韓国メディア「観艦式参加を検討:世論次第で取消も」
海上自衛隊が11月に実施する予定の国際観艦式を巡り、韓国メディアは「韓国政府がイージス艦を派遣することを検討している」としつつも、韓国政府関係者が「世論が悪化すればいつでも(参加を)取り消すことができる」などとも述べた、と報じました。まったく予想どおりの反応です。2018年の韓国自身の言動と整合性を重視するか、米韓同盟を重視するか。すべては旭日旗問題を巡る「自家中毒」を、韓国自身が克服できるかどうかにかかっています。
幕僚長「観艦式には招待したが2国間協力はまだ先」
海上自衛隊が11月に相模湾で実施する予定の国際観艦式を巡って、韓国海軍を招待したらしい、とする話題を巡っては、先日の『観艦式への参加打診は「韓国に選択させる」という妙手』でも取り上げたとおり、わが国としてはなかなかの妙手です。
これについては一部の「保守論客」などが、「2018年12月に発生した火器管制(FC)レーダー照射事件を巡って、韓国側が謝罪していないにも関わらず、韓国を招待するのはいかがなものか」、といった批判を提起していることは事実でしょう。
実際、時事通信が23日に報じた海自トップの酒井良海上幕僚長の記者会見でも、このFCレーダー照射事件が現在でも日本の防衛当局に深い不信感を与えている様子をうかがい知ることができます。
日韓防衛交流「まだ環境にない」 観艦式招待も懸案残り 海自トップ
―――2022/08/23 18:10付 Yahoo!ニュースより【時事通信配信】
時事通信によると酒井氏は23日の会見で、国際観艦式に韓国を招待した狙いを次のように述べたのだそうです。
「多国間協調の観点で招待したが、日韓2国間ではまだ防衛交流を進める環境にない」。
非常に短い記事ではありますが、この「防衛交流を進める環境にない」の意味は、時事通信の記事にもあるとおり、おそらくはFCレーダー照射事件などの整理・解決が必要だ、というものでしょう。
だからこそ、世間的には「FCレーダー照射問題が片付いていないのに韓国を招くのはけしからん」、といった評価が多いのでしょう。
自家中毒の韓国に「踏み絵」
しかし、当ウェブサイトが韓国の観艦式招待を「妙手」と考える理由は、これが事実上の「踏み絵」として機能するからです。
そもそも韓国自身が現在、一種の「自家中毒」という状況に置かれているという点を踏まえておく必要があります。旭日旗を「戦犯旗」と侮辱するだけでなく、2018年には両国世論や第三国を巻き込んで大騒ぎしてしまった手前、引っ込みがつかなくなっているのです。
この旭日旗を巡っては、2011年1月25日に行われたサッカーの国際試合以降、韓国側が一方的に「戦犯旗」などとする主張を捏造し始め、いまや韓国社会ではすっかり「旭日旗=戦犯旗」というウソが定着してしまっています。
このため、2018年10月に韓国海軍が主催した国際観艦式では、主催者である韓国側が日本など参加国に対し、艦旗を掲揚しないように要求し、激怒した日本は観艦式への艦艇の派遣を取りやめている、という騒動がありました。この騒動自体、海軍の世界では国際的に非常に有名なものとなっているようです。
(ついでにいえば、あの中国ですら、2019年4月に青島で行われた国際観艦式で、参加した日本の護衛艦「すずつき」が堂々と旭日旗を掲揚して入港するのを認めたほどです。)
しかも、そもそも今回の観艦式は日本で実施されるものでもあるため、当然、自衛艦旗(いわゆる「旭日旗」)が各所でたなびいているであろうことは想像に難くありません。観艦式に韓国艦艇が参加すれば、映像に旭日旗が映りこむのは避けられないでしょう。
よって、もしも今回、韓国が旭日旗たなびく日本の観艦式に参加するのであれば、2018年の「艦旗騒動」における自国の主張や行動とは整合性が取れませんし、「観艦式に参加する代わりに旭日旗を掲揚しないでくれ」、といった要求をしたとしても、それを日本が受け入れるはずなどありません。
韓国メディア「イージス艦派遣を検討中」
これに加えてもっと大きな問題が、「韓国の世論が観艦式への参加を許すかどうか」、という論点でしょう。これに関して韓国メディア『JTBC』に少し興味深い話題が出ていました。
【単独】旭日旗を掲げる日本の観艦式に私たちの「イージス艦」を派遣か?【※韓国語】
―――2022-08-26 10:35付 JTBCより
JTBCは「わが国(=韓国)は2016年のパク・グンヘ(※)政権以来、7年ぶりにこの観艦式に参加する方向で検討している」、「最新艦艇であるイージス艦を派遣する見通しだ」、などと報じました(※「パク・グンヘ」とは「朴槿恵(ぼく・きんけい)」元大統領のことでしょう)。
ただし、それとともにJTBCは「海上自衛隊は日本の帝国主義の象徴である旭日旗を使用する」などとしたうえで、韓国の観艦式参加を巡っても「政府が韓日関係を改善する意思と解釈される」としつつ、「国民場長が変数となる」、などと述べています。
JTBCのいう「変数」としては、次のようなものがあります。
- 海上自衛隊日帝侵略の象徴である旭日旗を公式の旗として使用している
- 日本は韓国にいくつかの商品の輸出規制を維持している
- 日帝強制徴用賠償判決問題も依然として議論が続いている
…。
そもそも旭日旗を「戦犯旗」「日帝侵略の象徴」などとみなしているのは世界広しといえども韓国くらいなものであり、しかもそれを言い出したのは2011年以降の話です。
また、日本が韓国に輸出「規制」を課した事実はありませんし、2019年7月に日本政府が発表した対韓輸出管理適正化措置のことを言っているのであれば、その原因を作ったのは韓国です(『もう3年:輸出管理適正化措置の原因は韓国側が作った』等参照)。
さらに、自称元徴用工判決問題は韓国による日本に対する一方的で純粋な不法行為であり(『そもそも日本にとって徴用工問題「解決」は必要なのか』等参照)、日本の側に過失は皆無です。
韓国が大好きな「被害者」「加害者」というフレームワークを使うなら、むしろ日本の方が、2018年12月のFCレーダー照射問題で韓国側からの謝罪を受けていない「被害者」の側でしょう。
そもそも韓国の世論が許すかどうか
ただ、JTBCは「国防部関係者」の話として、「日本の自衛隊観艦式参加を肯定的に検討中」としつつも、「世論が悪化すればいくらでも取り消すことができる」と述べたのだそうですが、この発言にすべてが尽くされています。まさに韓国は、自分自身が作り出したウソで自家中毒になっているからです。
つまり、尹錫悦(いん・しゃくえつ)政権がこの問題を巡って、国民世論の理解を得ることができなければ、観艦式への参加を見送らざるを得なくなり、そうなれば当然、米国などに対しても、「韓国は日韓関係の改善を望んでいない」という強いメッセージを送ることになります。
そうなれば、ただでさえ文在寅(ぶん・ざいいん)政権下でガタガタになった米韓同盟にも影響が及ぶことは避けられません。尹錫悦政権が国民世論の反発を覚悟のうえで観艦式に参加するのか、それとも米韓間の結束をさらなる危機にさらしてでも観艦式不参加を選ぶのかは、興味深いところです
日本の防衛当局がそこまで狙っていたのかどうかはわかりませんが、結果として今回の招待状、韓国に対する強烈な踏み絵として作用していることは間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました
自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。 |
【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。 |
『観艦式以外にも、外交は他にいくらでもある。
観艦式に参加せずとも 血盟同盟である米韓関係は微塵も揺るがない…』
ペロシ議員の時も こんな具合に主張していましたから、
まあそうなるでしょう。
「世論が悪化すればいくらでも取り消すことができる」
国民の顔色を伺う政権てそもそも恥ずかしくないの?
そう言えば何となく既視感があるような…
この件は、個人的にはことの推移を楽しむモードです。
ここで韓国が招待に応じようが応じまいが、青組の立場への疑念が変わることはなく、大きな立ち位置は変わらないでしょう。
私の予想は、尹政権は招待に応じた上で世論に叩かれる、でしたが、そんな感じになりそうですね。
武藤元大使の解説記事をご紹介。
韓国が海上自衛隊・観艦式「7年ぶりの招待」で試されていること、元駐韓大使が解説
https://diamond.jp/articles/-/308643
今回の韓国軍の招待は、韓国の日韓関係改善への期待に対する日本の回答であると同時に、韓国と日本が民主主義という共同の価値観に基づく協力関係を構築できるか見極める試金石ともなるものであろう。
新宿会計士さんの記事と比べると、純真無垢で直球な捉え方だと思いました。(笑)
試金石というより、尹政権もやっぱりダメ判定なのか、望みが首の皮一枚残るか、の分かれ目くらいじゃないでしょうかね。
武藤さんが匙を投げるときってどんなときなんだろう。半分は投げてる気がしますけど。
武藤氏は保守派の尹氏が大統領に就任したから招待状を送付したのだろうと分析しているが、報道によれば招待状の送付は本年1月であり当時の文在寅政権に宛てたもので、立論の前提が事実誤認。悪いのは文在寅で韓国(人)は悪くない、韓国(人)は日本のことが大好きという親韓派ウォッチャーらしい論調。
武藤元駐韓大使も哀れな方ですね。
元統一教会の信者もこのような人が多いのではと思います。
現実を認識することができない方々です。
約束を破ることに躊躇のない国です。
参加するにせよ、しないにせよ、何らかの爪あとは残してくれるでしょう。
日本国民を不快にさせる形で。
ここはひとつ、公開土大王で観艦式に参加してもらい、盛大にレーダー波照射の公開訓練でもしていただきたいものです。
良い考えだと思いますよ🤣
いずれにしても、韓国軍にとって、日本は真の仮想敵国としての位置付けでしょうから。
最近の武力充実の方向は、対日本を意識してるのは明らかですものね。
これで、必然的に韓国主催の観艦式には自衛隊の参加は未来永劫無くなった。あとは公式に敵国認定をするだけ。アメリカが余計な取り持ちさえしなければ、韓国とは益々疎遠になれる。半島有事が、仮に起きても、米軍の日本基地の使用は認めなければよい。これからは、在日韓国人や朝鮮人の特別永住権の3世以降は廃止。祖国にお帰り願おう。
国際観艦式がおこなわれる11月までにはまだしばらく間がありますから、これからもいろんな論調がアチラのメディアに現われてくるでしょうが、少なくともこのJTBCの報道については、「旭日旗ガ~」と言い募る一方で、海自との葛藤の焦点である火器管制レーダー照射の問題は、ものの見事にスルーですね(笑)。
本当なら、「危険な低空飛行で我が軍船を脅かした上に、謝罪すらしない日本に、ご機嫌伺いにノコノコ出向くつもりニカ!(怒)」なんて、クレームを付けてこそ、首尾一貫した愛国メディアという評価を受けられるはずなんですが。
まあ、アレはチョンボくらいのことは、周知の事柄になってきてるんでしょうね。そして、旭日旗の解釈については、相変わらず「ウリが正しいニダ キッパリ」なんでしょう。
>アレはチョンボくらいのことは、周知の事柄になってきてるんでしょうね。
ノンノン(笑)。チョンボでなくて知られたら生かして返してはいけない何かが有ったと思いますね。
複数の艦船が居て複数回ロックオンする事は
「必然的にそうしないといけない何かが無いと」他から何らかのフォローがあります。
なかったからそういう事なのでしょう(笑)。
もし当方があの駆逐艦の艦長ならば
「甲板上の総員自衛隊機に向かって笑顔で帽振れ!」の命令一択ですよ(笑)。
裏に日本には知られたらマズイ事があるならばなおさらです(笑)。
>裏に日本には知られたらマズイ事があるならばなおさらです(笑)。
仰るように、日本やアメリカに知れると大変まずいことが行われていたと私も推測しています。
多分北朝鮮と連携した行為だったのではないでしょうか?
レーザー照射の責任転嫁は逆切れの最たるものです。
決してチョンボではありません。
今回の踏み絵は生前の安倍元首相の
シュミレートによるものなのでしょうか?
だとしたら安倍さんなき今、この先が不安になります。
韓国が参加表明をしたら、まだレーザー照射の謝罪と再発防止の連絡を受けていない、と参加拒否するのはどうでしょう。
参加表明した後で国民世論により不参加もある、とフザケた話をしているようですし。
「レーザー照射の事実は無い」と言われてお仕舞だと思われます。一文字違いで大違いなのでここは正確に。
火器管制レーダーの照射は準戦闘行為です。ロックオンです。あとは対空ミサイルの発射ボタンを押すだけです。
政府も海自もわかっているはずです。
その上での観艦式招待。
韓国政府が、韓国国民がどう判断するのかの踏み絵です。
もういい加減、「歴代韓国政府は韓国国民に嘘ついてました」ってぶっちゃけるのが、伊大統領の生き残る唯一の道かと。無論ロウソクを覚悟しなければなりませんが。
大事なそして大切な日本国民である自衛隊が危険にさらされた事案です。
いい加減な解決はそれこそ日本を危険に晒します。
今回の観艦式は青チームの結束としてヤムを得ませんがレーダー照射は最後まで追求すべきです。
全く仰る通りです。
当時現場海域において、韓国海軍第1艦隊旗艦が何を行っていたのか。かなり異常・違法なことをしていたのでしょう。それを隠すための極めて異常な行為。
あのような韓国海軍のとても正気とは思えない行為を、絶対に有耶無耶にしてはなりません。
今でも自衛隊機に対するFCレーダー照射は、韓国軍の規定として存在する異常さ。
現場の自衛官の方々に犠牲が出てからでは遅いのです。