立憲民主党の岐阜県連常任顧問がJR乗車券を詐取した疑いで、続報が出てきました。逮捕された山下八洲夫容疑者(79)がJR無料パスを「落選後も継続的に使っていた」、「(無料で新幹線に乗れた)議員時代のことが忘れられなかった」、などと供述しているのだそうです。まさに野党議員であること自体、落選しても忘れられないほどの「利権」だったという証拠かもしれません。
鉄の「利権トライアングル」
「日本を代表する利権の代表例といえば、官僚、メディア、野党議員である」――。
これは、以前から当ウェブサイトで述べてきた論点のひとつです。
たとえば、日本では法律を作るのは官僚機構ではなく国会ですが、出来上がった法律をもとに、政令、省令、告示、解釈通達といった細かくてわかり辛いルールを定めて運用しているのは官僚機構です。たとえばレジ袋有料化自体、法律に基づかず、違法性が極めて濃厚な省令で行われていることは、その典型例でしょう。
SNSなどで「レジ袋有料化は義務ではなかった」とする記事が話題になっているようですが、結論からいえば、これは執筆者の方の事実誤認という可能性が濃厚です。執筆者の方が引用した国会答弁を読む限り、「レジ袋有料化は義務ではない」、「政府としてこれを見直す方針だ」と政府関係者が答弁したとは考えられないからです。ただし、レジ袋有料化自体に深刻な問題が含まれている点については間違いありません。違法行政の象徴?「レジ袋有料化」『「国民の敵」環境省・検証されないレジ袋有料化の効果』を含め、以前からときどき取... 「レジ袋有料化は義務ではなかった」記事は事実誤認か - 新宿会計士の政治経済評論 |
また、官僚機構は業界などに対するさまざまな許認可権を握っているほか、記者クラブを通じ、オールドメディア(とくに新聞、テレビなど)に対して強い影響力を保持しています。
『報道の自由度を引き下げているのはメディア自身では?』でも述べたとおり、フランスに本部を置く体「国境なき記者団」(reporters sans frontières)が公表している日本の「報道の自由度」が世界71位に留まっている大きな理由は、記者クラブなどの閉鎖的な組織の存在にあります。
日本の言論の自由度を引き下げているのはメディア自身だった――。「国境なき記者団」が公表したランキングによると、今年の日本の報道の自由度は昨年からさらに下がって71位だったそうです。ただ、その原文を読むと、どうもこれは日本政府の問題というよりも、明らかに日本のメディアの問題ではないかと思えてならないのです。RSFの昨年の「報道の自由度ランキング」当ウェブサイトで「定点観測」的に取り上げている話題のひとつが、フランスに本部を置く団体「国境なき記者団」(reporters sans frontières)が公表する「報道の自由... 報道の自由度を引き下げているのはメディア自身では? - 新宿会計士の政治経済評論 |
すなわち、官僚機構とメディアが結託し、国民に対する情報発信を独占しているというのが現在の日本の大きな問題点、というわけですが、それだけではありません。メディアは徹底的に、特定の政党(少し前の民主党、民進党、最近だと立憲民主党など)を守ろうとしています。
自民党議員の不祥事や発言などについては針小棒大に取り上げるくせに、立憲民主党議員の不祥事についてはあまり触れていないという報道姿勢は、その典型例でしょう。
仕事をしない特定野党、おいしい国会議員
ちなみに特定野党のみなさんの行動を見ていると、本当に「仕事をしない人たち」だという印象を持たざるを得ません。コロナ禍の最中に、「コロナよりもりかけさくら」とばかりに、国民生活における喫緊の課題を無視し、しつこくスキャンダル追及に精を出していたからです。
そういえば、立憲民主党といえば、年初来の「CLP/ブルージャパン」問題、菅直人元首相の「ヒトラー発言」問題などに代表されるとおり、さまざまな不祥事、混乱が生じている、という状況にあります(『立憲民主党が「野党国対騒動」巡って日本共産党に謝罪』等参照)。
「立憲民主党はブーメラン政党」。最近だと、すっかり人口に膾炙してしまった表現です。こうしたなか、最新の「ブーメラン」事例が、「野党国対騒動」でしょう。14日に日本共産党を外したかたちで野党国対が開かれたものの、15日に立憲民主党は方針を一転し、日本共産党に謝罪したのだそうです。立憲民主党の小川淳也政調会長が岸田文雄政権を「朝令暮改」と揶揄したそうですが、こうした批判がそのままブーメランとして突き刺さった格好です。立憲民主党のジレンマ立憲民主党といえば、各種世論調査では政党支持率、「投票したい政党... 立憲民主党が「野党国対騒動」巡って日本共産党に謝罪 - 新宿会計士の政治経済評論 |
結局のところ、野党議員も利権の一種なのでしょう。
国会議員になれば、議員歳費、文書通信交通滞在費、政党交付金などのさまざまな名目で、年間数千万円というカネを国から支給されます。
たとえば、歳費月額はヒラ議員で129万4000円ですので、年換算すれば1552万8000円(!)に達しますし、これに「期末手当」と称して6月と12月にそれぞれ300万円以上が支給されているため、合計すれば年間2100万円以上が国会議員に支払われている計算です(ただし、所得税などが引かれます)。
また、文書通信交通滞在費は完全に非課税で、年間1200万円が支給されますし、政党交付金は総額が約300億円少々ですので(総務省『政党助成制度』等参照)、国会議員1人あたりで単純に割れば、1人あたり4000万円少々に達します(※ただし、政党交付金を受けていない政党もあります)。
さらには、国会議員は国の負担で秘書を3人まで雇うことができます(政策秘書、公設第一秘書、公設第二秘書)し、これらの秘書に対しては国家公務員に準じた給与が支払われているようです。
JRパスという特権
こうした厚待遇に加え、国会議員にはほかにもいくつもの特権が付与されています。
たとえばJRパスがその典型例でしょう。
『国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律』第10条第1項の規定に基づけば、国会議員らは「その職務の遂行に資するため」、JR各社の路線を無料で利用することができる「特殊乗車券」などの交付を受けることができる、とされています。
本当に特権的地位を感じることができるとしたら、まさにこの「特殊乗車券」にあるのかもしれません。
さて、もっとも、最近だと、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響もあってか、立憲民主党が社会的な注目を集めることはめっきり減っているように思えていたのですが、久しぶりに立憲民主党が注目される出来事がありました。
昨日の『立憲民主党の県連常任顧問が乗車券詐取等の疑いで逮捕』でも取り上げたとおり、社会党時代の衆議院議員・民主党時代の参議院議員を歴任し、現在は立憲民主党の岐阜県連常任顧問を務めている山下八洲夫容疑者(79)が乗車券詐取等の疑いで愛知県警に逮捕されました。
「また」立憲民主党でしょうか。同党の岐阜県連の「常任顧問」を務める山下八洲夫容疑者が新幹線のグリーン券などをだまし取った容疑で愛知県警に逮捕されました。しかも、本件について現時点において立憲民主党の公式ウェブサイトに何らかの声名は出ていません。ちなみに山下容疑者は社会党の衆議院議員、民主党の参議院議員などを務めたのだそうです。時事通信に今朝、こんな記事が掲載されていました。元参院議員の男逮捕 新幹線グリーン券詐取容疑―愛知県警―――2022年05月09日01時09分付 時事通信よりこれによると、立憲民主党の... 立憲民主党の県連常任顧問が乗車券詐取等の疑いで逮捕 - 新宿会計士の政治経済評論 |
本件について、いちおう立憲民主党は昨日、泉健太・党代表のツイートと西村智奈美・党幹事長のコメントで、同氏の役職解任と除籍を発表していますが、それ以上に驚くのが、産経ニュースに昨晩掲載された、こんな記事です。
無料パスを「継続使用」と供述、逮捕の山下元参院議員
―――2022/5/9 23:42付 産経ニュースより
産経によると、山下容疑者は捜査当局に対し、JR無料パスを「落選後も継続的に使っていた」、「(無料で新幹線に乗れた)議員時代のことが忘れられなかった」、などと供述しているのだそうです。
しかも、乗車券の詐取方法がまた強烈で、どうやら自身が過去に使っていたJR無料パスを提示し、国会議員用の申込書に現職議員の氏名を記入して駅員に提出するという方法を使用していたのだとか。
とてもアナログな仕組みですが、実態の解明が必要であることはいうまでもありません。
結局は野党利権の問題
なお、いちおう付記しておくならば、当ウェブサイトとしては、国会議員に対する高額の歳費、文書通信交通滞在費、政党交付金、無料乗車券といった特典については一律になくすべきではないと考えています。真面目に議員活動をしていれば、当然、非常にコストがかかるからです。
ただ、厚待遇が与えられるという国会議員の地位を「勘違い」して、まったく仕事をせず、それどころか霞が関から多忙な役人を呼びつけて「野党合同ヒアリング」と称したパワハラ大会を実施して役所の足を引っ張り、さらには無料のグリーン乗車券を使いまくるのならば、それは明らかに存在自体が税金の無駄でしょう。
いずれにせよ、著者自身の持論は、官僚・メディア・野党議員という「鉄のトライアングル」が長らく日本を悪くしてきたというものでもありますが、それと同時に、この「鉄のトライアングル」構造が現在、音を立てて崩壊し始めています。
いうまでもなく、インターネットの隆盛でメディアが社会的影響力を急速に失っていることにあります。利権は一見すると鉄壁の構造であっても、内部は意外と脆いものです。いったん「トライアングル」の一角が崩れれば、あっという間に崩壊するかもしれません。いや、もう崩壊し始めているというべきでしょうか。
とりあえず、夏の参院選で立憲民主党がどれだけ議席を増やすか、維持するか、それとも減らすかについては、ひとつのメルクマールとなるかもしれない、と思う次第です。
View Comments (7)
この逮捕された人がどうだったかはよく知らないのですが(知りたいとも思いませんが)、「天下を取りたい」で左翼活動に身を投じた人は、「権力を私物化したい」でもあったのかもしれないと思っています。左翼思想はその手段でしかなかった。
上でうまい汁を吸ってる奴らの既得権を、自分も得たい。法?知らん。革命だ。
今回の行動ととても一致している気がしました。
関係ないですが、最近は左翼は人気がないようで、ピンク色の政党は「ホシュ」を標榜して朝鮮人学校無償化を訴えたりしているようです。しらんけど。
https://www.youtube.com/watch?v=dj_gAlfGsOM
山下氏の逮捕、任意同行の瞬間!
普通、こういう瞬間に立ち会えるものなのだろうか?
JR東海や警察から情報が入ったのか?
撮影が中日新聞(東京新聞の親会社)というのもジワるw
立憲にさらなる追撃の文春砲が炸裂!
https://news.yahoo.co.jp/articles/29396a27f5a82517b91b35fcf4b73adb44d93eab
「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。それはおかしい」
立憲本多氏のこの主張は猛烈なバッシングを受け、離党と議員辞職に追い込まれた。
だがこれは党内で捏造され、外部に流出したものだというのだ。
(詳しくはリンク先を読んでほしい)
真実がどうであれ立憲はガバナンスが欠如している。
参院選2ヵ月前の気を引き締めるタイミングでこれらの問題が噴出。
これではとても参院選を戦うどころではない。
今年の地方選の惨敗と合わせて参院選も惨敗だろう。
これが噂や期待に寸分も違わぬ立憲クヲリティー!
麻生の高笑いが聞こえてきそうだw
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(というより、自分でも、独断や偏見であって欲しいので)
今回のウクライナ機で、日本の安全保障を真剣に考えなければならないので、野党の国会議員も、(どうやっても、100%の正解がないことを覚悟して)真剣に考えて欲しいものです。
これは、(近未来に)駄文になるのでしょうか、ならないのでしょうか。
ヤクザでもクライアントのために仕事をしている。
いったい、お前らは何のために存在しているのか?
私は泉健太を筆頭とする立憲民主党の連中に、〝恥を知れ” という言葉を投げたい。
底抜けの樽にいくら放り込んでも、何の音も返ってきませんよww
コメント失礼します。
CLP青日本菅野完へ約10億の私的な献金を行い、保育園への口利きもやってた福山が許されてるのに、2010年から今年迄キセルし捲ってた山下を許さない立憲共産党の不思議。立憲信者が悲しむのでは?
参院選に向けて良き判断材料を提供してくれた、立憲共産党には感謝してます。
利権と言えば「NHK」
ヒャダインをNHKで見てしまいました。
私的にはネットの人でしたのでNHKもここまで追い込まれたか!!
とある意味感慨深いです。
新宿会計士様はじめいろいろなところでNHKの酷さ(止めろコール)が噴出しています。
これにNHKも危機を感じ変化を始めた、と思って居ます。
落としどころがどこになるのか気にはなります。
又NHKの働き盛りの退職者増えて居るのだとか。転職ですね。
今年さらなる動きが有るのか。良い方向に行くと良いですね。