新レンドリース法でクリミア半島に米軍基地の可能性も
米国でレンド・リース法が復活したら、最悪の場合、クリミア半島に米軍基地ができるかもしれない――。「何を突拍子もないことを」、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。日本のメディアではまだそれほど取り上げられていないフシもありますが、ここ数日、欧米諸国では重要な話題が相次いで報じられています。ひとつがフィンランドなどのNATO参加、そしてもうひとつが「新レンド・リース法」です。
目次
「東に進む」NATO
ロシアはNATOの東進を恐れていた
ロシアにとって、首都・モスクワからウクライナまでの物理的な距離は、最短地点だと400㎞あまりであり、これは東京・大阪間の直線距離とあまり変わりません(※日本列島の場合は山がちであるためでしょうか、東京駅と大阪駅の営業距離数は556.4㎞だそうです)。
また、一部ではロシアの今回の軍事侵攻がNATOの東進を防ぐためにあった、などと指摘されていますが、実際にNATOの加盟国は徐々に増えていることも間違いありません。
外務省の説明によると、加盟国は1949年に原加盟国12ヵ国で発足しましたが、現在は30ヵ国に増えています(図表1)。
図表1 NATOの東進(具体的な国名)
時点 | 国 | 加盟国数 |
---|---|---|
1949年 | アイスランド、米国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルク | 12ヵ国 |
1952年2月 | ギリシャ、トルコ | 14ヵ国 |
1955年5月 | 西ドイツ(現・ドイツ) | 15ヵ国 |
1982年5月 | スペイン | 16ヵ国 |
1999年3月 | チェコ、ハンガリー、ポーランド | 17ヵ国 |
2004年3月 | エストニア、スロバキア、スロベニア、ブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア | 20ヵ国 |
2009年4月 | アルバニア、クロアチア | 27ヵ国 |
2017年6月 | モンテネグロ | 29ヵ国 |
2020年3月 | 北マケドニア | 30ヵ国 |
(【出所】外務省HP『北大西洋条約機構(NATO)』を参考に著者作成)
地図で照らし合わせながら確認していくと、NATOの東進はよりいっそう明らかでしょう。
図表2 NATOの東進(地図表示)
(【出所】外務省HP『北大西洋条約機構(NATO)について』【※PDFファイル】P4)
ついにフィンランドもNATOに加盟?
そして、ロシアにとって、とくに大きな転機が、2004年3月だったことは間違いありません。なぜなら、エストニアとラトビアがNATOに参加したことで、ロシア本土とNATO加盟国が、直接、国境を接することになったからです。
(※なお、厳密にいえば、原加盟国であるノルウェーもロシア本土と国境を接していますし、1999年にポーランドがNATOに参加した際、ロシアの飛び地であるカリーニングラードがNATOと陸で国境を接していますので、「これまでにまったくNATO加盟国と国境を接していなかった」というわけではありません。)
ちなみに、欧州連合(EU)加盟国のなかでも、歴史的に見てフィンランドはNATOに参加してきませんでしたが、ここに来て、ロシアと長い国境を接するフィンランドもNATOに加盟するのではないかとの報道が出て来ました。
フィンランドとスウェーデン、今夏にもNATO加盟へ=英紙
―――2022年4月11日8:51付 ロイターより
ロイターによると、英紙タイムズが11日、「米当局者が明らかにした情報」として、フィンランドとスウェーデンが今夏にもNATO入りする見通しだと報じています。
現時点でこの報道をどこまで信頼するかは微妙ですが、留意しておく価値はあるでしょう。
ロシアの行動がNATOの東進を招いたようなものでは?
このあたり、過去に『ロシアのウクライナ侵攻の目的は「キエフ公国回復」?』などでも紹介したとおり、ロシアのウクライナ侵攻の当初の目的が、どうやら最低でもウクライナの非武装中立化、あわよくばウクライナの衛星国化にあった可能性が濃厚です。
「プーチンは独裁者」=一般教書演説「ウクライナ戦争は自由主義国対独裁国家の戦いに」――。バイデン大統領の一般教書演説を眺めていると、米国側のそんな決意が見て取れます。その一方で、『クーリエ・ジャポン』によると、ロシアの国営メディアは誤って2月26日付で「勝利記事」を公表してしまい、あわてて削除したものの、その内容からは今回のウクライナ侵攻におけるロシアの「真の目的」が「キエフ公国の回復」にある、との指摘が出てきました。バイデン大統領の一般教書演説現地時間の3月1日(日本時間の本日)、ジョー・バイ... ロシアのウクライナ侵攻の目的は「キエフ公国回復」? - 新宿会計士の政治経済評論 |
この点、ロシア当局は今回のウクライナ侵攻を、この期に及んで「特殊軍事作戦」と言い張っていて、ロシア国内的には「東部・ドンバス地域での限定的、局所的な作戦」、「非ナチ化が主目的」などと述べており、また、ブチャでの虐殺についてもかたくなに関与を否定しています。
しかし、状況証拠に照らして、ロシアの戦争目的のひとつに、NATOの東進を食い止めることがあったことは明らかであり、それだけロシアにとってはNATOの東進は脅威と認識されていたということを示唆しているのです。
もっとも、もしもロシアが本気でNATOの東進を食い止めようと思うならば、もう少し他のやり方があったのではないでしょうか。
一般に、外国を支配する国には、「軍事力で周辺を威圧すること」と、「文化力で外国を魅了すること」というやり方があると思います。核ミサイルなどの大量破壊兵器で「逆らうな」と脅すか、コーラーやマクド・バーガー類で外国人の胃袋を支配してしまうかの違い、と言っても良いでしょう。
その意味では、皮肉な話ですが、日本国憲法第9条で外国を侵略しないと決めたはずの日本が、いまや全世界の若者の生活を支配してしまっているという笑い話も、「秋葉原ファン」を自称する外国人からは、よく聞かされます。
先ほどの図表1に示した国々のうち、たとえばチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアなどはソ連の衛星国でしたし、エストニア、ラトビア、リトアニア(バルト三国)に至ってはソ連に軍事侵略され、併合されていた「ソ連邦構成国」でした。
ソ連の後継国家であるロシアにとっては、かつての衛星国や自国から独立した国が、どんどんとNATOに入っていくという屈辱を味わった格好だとも言えますし、逆に、これらの旧衛星国などからすれば、それだけ旧ソ連、ロシアに対して安全保障上の脅威を感じている、という意味でもあります。
新レンド・リース法
チャーチルとFDRがきっかけを作ったレンド・リース法
こうしたなか、ロシアを巡っては、もうひとつ重要な話題があります。それが、「レンド・リース法の復活」、という論点です。
米国には過去に「レンド・リース法」(Lend-Lease Act)と呼ばれる法律がありました。
米国国立公文書館(National Archives)のウェブサイトによると、これは1941年3月11日に成立した法律で、「米国の防衛にとって不可欠」だと大統領が考える相手国に対し、大統領の権限で軍事物資を供給することを可能とするものです(日本語では「武器貸与法」と呼ばれることも一般的です)。
Lend-Lease Act
―――National Archives ウェブサイトより
米公文書館の記載によると、この法律が成立したのは、ウィンストン・チャーチル英首相の武器貸与要請がきっかけだそうです。
英国が1940年7月、ドイツ海軍との10日間に及ぶ戦闘で11隻の駆逐艦を失った際、チャーチルの要請に基づき、フランクリン・D・ルーズベルト(FDR)がカリブ海とニューファンドランドの英軍基地の99年間の租借と引き換えに、50隻の駆逐艦を供与したのです。
このFDRの行動を契機に、米国内では「英国を支援すべきか、中立を維持すべきか」を巡る議論が生じたものの、最終的には「中立を維持しながら英国を支援する」という目標を両立させるために、FDRが議会に対して法律を提案し、最終的に議会がこれを可決したものだ、などとしています。
その意味では、チャーチルとFDRがこの法律を作ったようなものといえるのかもしれません。
ポイントは「リバース・レンド・リース」
そして、このレンド・リース法の特徴は、あくまでも「無償供与ではない」、という点にあります。米国からの物資の供給に対する相手国からの反対給付のことを、「リバース・レンド・リース」と呼ぶそうですが、これはたいていの場合、軍地基地の提供を含めた米軍への便宜供与です。
たとえば、ニューファウンドランドの『ヘリテージ・ウェブサイト』によると、このレンド・リース法に基づき、英国が米国に対し「リバース・レンド・リース」として、英国の8ヵ所の海外基地・領土などが米国に貸与され、また、海外の米軍にさまざまなサービスや資材が提供された、などとしています。
すなわち、英国にとってはレンドリース法によって米国から多大な武器の「レンド・リース」を受けたのと引き換えに、世界各地にある自国の基地を米国に使用させるという「リバース・レンド・リース」ことでこれに答えたということでしょう。
私見ですが、米国が第二次世界大戦後、それこそ全世界の事情に首を突っ込むようになったのは、日本軍を激戦の末に破ったことで過度に自信をつけたことに加え、リバース・レンド・リースに基づき英国から軍事基地を提供されるなどの事情もあったのではないかと思います。
(※ただし、このあたりはあくまでも私見であり、何らかの歴史書等に出て来る話ではありません。)
「ブチャ事件」がレンド・リース法を復活させた!?
どうして唐突にこんな話を取り上げたのかといえば、「レンド・リース」と「リバース・レンド・リース」の関係が復活する可能性が出てきたからです。
米国上院は4月6日に、いわば「2022年度版のレンドリース法」を全会一致で可決しました。これについてはいくつかのメディアがこれについて報じているのですが、ここでは(おそらくは誰でも無料で読めるであろう)『ポリティコ』の次の記事を確認しておきます。
In the fight against Putin, Senate unanimously approves measure that once helped beat Hitler
―――2022/04/06 23:03 EDT付 POLITICOより
ポリティコによると、今回の法案は、米国がナチス・ドイツとの戦いで英国などに迅速に物資を補給することに寄与した第二次世界大戦中のレンド・リース法と同様のものであり、「ジョー・バイデン米大統領に対し、より効率的に武器やその他の物資をウクライナに送ることを可能にするものである」としています。
また、レンド・リース法は「時間がかかる手続上のハードルなしに米国が相手国に軍需物資を補給することを可能にするもの」としたうえで、第二次世界大戦上の「ゲームチェンジャー」だったと指摘しています。
ではなぜ、上院が全会一致で可決したのか。
これについては、やはり『「ブチャ事件」で明らかに変わった「国際社会の潮目」』などでも述べたとおり、「ブチャ事件」の影響は否めません。
ロシアは「ブチャの惨劇」について、しらを切りとおすつもりなのかもしれません。『タス通信「ブチャの事件はウクライナ側の虚偽の宣伝」』ではメドベージェフ前大統領のSNS投稿を紹介しましたが、これに加えてクレムリンの報道官も、「ブチャ事件」については「西側がロシアの説明を聞かない点に問題がある」などと述べているのだそうです。ただ、「カチンの森事件」当時と異なり、現代はインターネットが存在します。真相をいつまでも隠蔽できるというものでもないでしょう。ウクライナ戦争はすでに40日が経過2月24日に始まった... 「ブチャ事件」で明らかに変わった「国際社会の潮目」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
ポリティコは水曜日の夜、法案を可決する前に民主党の乗員院内総務であるチャック・シューマー氏がブチャでの事件を「純粋な悪」と呼び、「ロシア軍がウクライナで大量虐殺を行っている」とする趣旨の演説を行った、としています。
こうしたポリティコの指摘が当たっていれば、まさにロシア軍にとっては「ブチャ事件」が大きく流れを変えるきっかけを作った、ということでしょう。
クリミア半島に米軍基地?
なお、現時点でこの法案は、まだ「案」に過ぎません。法律になるためには、下院で可決されたうえ、ジョー・バイデン大統領が署名する必要があります。この点、ポリティコは、ほかにもロシア関連の超党派による制裁法案を複数審議中であるため、審議日程を含めてまだ不明である、などとしています。
ただし、可能性の議論として、第二次世界大戦中のようなレンド・リース法が成立すれば、米国からウクライナに対する武器供与はさらに加速する可能性が濃厚であり、これに加えて「戦後秩序」にも影響が生じてくるかもしれません。というのも、極端な話、ウクライナに米軍基地ができる可能性があるからです。
あくまでも「仮の議論」ですが、ウクライナが米国のレンド・リースに基づいてロシア軍を追い詰め、ドンバス地域やマリウポリ周辺、さらにはクリミア半島から追い出したとすれば、当然のことながら、米国に対する反対給付(リバース・レンド・リース)がもたらされるでしょう。
ウクライナがNATOに参加するかどうかという点も、ロシアにとっては非常に気になる論点だと思われますが、ロシアにとって、ずばり「悪夢」の可能性を指摘すれば、それは現在、ロシアが軍事拠点として使用しているクリミア半島のセバストポリ海軍基地が米軍に貸与される、というものです。
もしそうなれば、これはロシアにとり、大変皮肉な話でしょう。
万が一、ロシアがクリミア半島を失うような事態になれば、ロシア海軍にとっては黒海ルートを失いかねませんし、そうなればロシア海軍の作戦展開能力は、かなり限定されてしまう可能性もあるからです。
いずれにせよ、フィンランドやスウェーデンのNATO加盟と米国の「新・レンドリース法」は、ただでさえ「特殊軍事作戦」が停滞しているロシアを、さらに苛立たせているであろうことは、想像に難くないのです。
View Comments (25)
ソ連による千島・樺太への侵攻もレンドリースの一環として実現したのですから、北方領土問題の解決に向けて、米国には、”もっと積極的に” 当事者意識をもって関与して欲しい気がします。
この戦争の着地点はどこになるのか……どこにすればいいのか……
プーチンを破滅するしかない状況まで追い込むと、核が撃たれる確率は上がるのでしょうね。
しかしプーチンを生かしておくと核と言う毒付きナイフは抜き身のままになる。
進むも地獄、退くも地獄とは正にこの事か。
唯一平和的になりそうな妥協点としては、クリミア半島はロシアの支配下に残しつつも
ウクライナ全土からロシア軍撤退、そこから停戦交渉。
後はプーチンが寿命を迎えるのを待つ……くらいかな?
でもこれだとロシアがウクライナに賠償しそうにないし、核も没収できないんですよね。
となると、やはり非現実的で実現しそうにないかな……
とりあえず、プーチン氏が「特別軍事作戦は所期の目的を達成した」と国内向けに宣伝できる程度の状況にならない限り、ロシア軍は止まらないでしょうね。ウクライナのNATO加盟は阻止できたようなので、後はドンバス地方の状況次第でしょう。
ウクライナへの賠償?まずありえませんね。同様にロシアが核を放棄することもありえないでしょう。そんな要求を突きつけたら、ロシアは第三次世界大戦も辞さない勢いで抵抗すると思いますよ。状況が泥沼化するだけです。また、昨日もコメントしましたが、たとえプーチン氏を退場させることができたとしても、その後釜がプーチン氏よりも「マシ」である保証など何もありません。
もはや、事ここに至っては、誰もが納得する(あきらめる)ような「落とし所」などないのではないかと、最近思うようになってきました。現時点での最優先事項は、いかにしてロシア軍の軍事行動を止めるか、これ以上の破壊や人命被害をくい止めるかということであると思いますが、最近流れるニュースはそれに反する方向のものばかりですしね。
なので、誰がどうやってどのように「落とし前」をつけるのか、ちょっとわからなくなってきました。
プーチンより「マシ」な政治家がロシア大統領になる可能性自体は十分にあるよ
「マシ」な大統領なら核兵器放棄や賠償金に応じるかと言えば、その可能性ゼロだけど
賠償金払ったら国家破産の危機だし
核兵器放棄した後で「ロシアは核兵器再配備を企んでいる。証拠もある」と言いがかりつけられ、モスクワやレニングラードを絨毯爆撃される展開が普通に予想できるわけだから
英国がウクライナに対艦ミサイルを渡すそうですが、とりあえずロシア黒海艦隊を殲滅あるいは壊滅レベルの被害を与える反攻作戦はあるのかしらん?
飽和攻撃できるくらいの供与…は無いか
> もしもロシアが本気でNATOの東進を食い止めようと思うならば、もう少し他のやり方があったのではないでしょうか。
具体的には?
プーチン氏は侵攻前から「ウクライナのNATO加盟は絶対に容認しない」と明言していましたよ。歴史に鑑みて、東欧諸国がロシア(およびドイツ)に軍事的な脅威を覚えていたことは明らかなので、NATO(要するにアメリカ)の後ろ盾を望むというのは無理からぬ話だとは思いますが(OSCEは安全保障機構としてはほとんど実態がありませんし)、ロシアから見れば、ソ連崩壊後の混乱からまだ立ち直っておらず、なおかつチェチェンでの紛争に忙殺されて身動きできないタイミングで東欧諸国などがNATOに加盟するというのは、純粋に安全保障上の危機と捉えられたことでしょう。実際、2004年のNATO東方拡大は、ロシアを過度に刺激することを懸念するフランスやドイツの意向をアメリカが押し切ったものでしたから、ロシアからみれば、お得意の火事場泥棒をまんまとやられたようなものでしょう(東欧諸国が気を見るに敏だったとも言えます)。ましてウクライナとなればなおさらです。その意味では、今回のウクライナ侵攻は予告されたものだったとすらいえると思います。
レンドリース法が可決されれば、ウクライナ軍の補給はほぼ無尽蔵とも言えるようになります。軍事衝突が長期化する可能性は高まりますし、そうでなくとも補給難が伝えられているロシア軍としてはますます苦しくなるでしょう。それはつまりロシア軍による戦術核の限定的使用の可能性が高まったということを意味します。そこまでロシアを追い詰めることに何の意味があるのか、私にはわかりません。
>具体的には?
読解力のない●●は哀れだね
ソレができなかったから今に至るワケではありますが、
ロシアが「ナゼ衛星国旧領元同盟国が離反していくのか」を真摯に深く考察し、ドウスレバ喜んで仲良くお付き合いしてくれるのかを導き出すことに努める
まーソレができるならソビエト崩壊すら無かった無理無理ムーブなのでイタシカタナシでございましょう
伝え聞くロシア兵の行状も"ヒャッハー"の世界人みたくアリマス
> それはつまりロシア軍による戦術核の限定的使用の可能性が高まったということを意味します。
その説には賛同できません。
ではウクライナを援助しない、レンドリースをやらなかったらロシアが戦術核を使用しないと言い切れるのでしょうか?
援助しないでウクライナが焼け野原になり、ロシアが併合に成功したら、次はバルト三国やポーランドが攻められる可能性があります(そう見せかけて実は日本狙いかもしれませんけど)。もちろん、戦術核を使わない保証はありませんし、防ぐ手立てはありません。
> そこまでロシアを追い詰めることに何の意味があるのか
ここでロシア軍を食い止める、あわよくばウクライナから撤退させる事ができればバルト三国やポーランドが攻められる可能性を潰す事ができます。
援助しなければ100%絶体絶命、援助したら核攻撃か撤退が半々という選択肢であれば、リスクを負ってでも後者に賭ける方が死地を脱する可能性が高いです。アメリカはそれに賭けたという事でしょう。
それと、レンドリースによってアメリカが得られるメリットも大きいです。
まず、提供した武器やロシア軍の反応の情報収集ができます。そのデータを取る事ができれば仮にウクライナが犠牲になっても次のロシアとの対決に活かせます。
通販の会社がお試しセットを送ってアンケートに答えてもらい、商品開発に活かすのと同じです。ウクライナはいわばモニターですが、今は非常時ですから使える武器は何でも欲しがります。
さらにレンドリースによって大量の武器を送ればロシア製およびその廉価版が中心であるウクライナ軍の装備をNATO仕様に変えさせる事も可能です。軍需企業に取ってはウクライナを将来の顧客にし得るチャンスです。また、ウクライナが中立化したとしてもスウェーデンのようにNATOと協力させられる、最低でもロシア軍との連携ができないようにさせる事にも繋がります。
レンドリースには多額の費用がかかりますが、その見返りは大きいです。ただ、私は米軍のクリミア駐留よりはウクライナ国内、できればドンバス地方に中距離弾道ミサイルを配備させる権利を得る方が有効だと思います。ドンバスからモスクワまでは1000キロもありませんから。
ヨーロッパ人にとって「平和」=「戦争してない状態」でしかないから
ロシアがいつ攻めて来るかわからんマフィアみたいな連中だとはっきり認識しながらも、妥協を重ね、妥協しながらも自分の国益は守るというのが外交であり「平和を守ること」
「レンドリースはアメリカの利益になる」というのはさらに噴飯ものの議論で、「そんなつまらんことでヨーロッパを戦乱に巻き込むのかよ(戦闘には巻き込まれなくても難民流入で迷惑千万)」と怒っているヨーロッパ人も多いかもよ
> 怒っているヨーロッパ人も多いかもよ
おそらく。しかしそれが政府レベルの意見でないのなら気にする必要はありません。
それと、毎度あなたに思うのですが、何が言いたいのかわかりません。
私の論点は、補給を含め、ロシア軍が苦しくなればなるほど戦術核を使用する可能性が高まるだろうということであって、レンドリース法によってウクライナ軍の補給体制に不安がなくなることは、補給面でロシア軍を苦しめる一要因でしかありません。その意味では、ロシア軍を苦しめる要因は多数考えられますし、ロシア軍にとっての状況が悪化すればするほど、戦術核を持ち出す可能性が高まることに変わりはありません。元々、戦術核兵器は「使える核兵器」として開発されたものですし。
まあ、ロシアが体力を消耗し、他国に手を出す余裕がなくなるというのは、東欧諸国や国内に火種を抱えるバルト三国にとっては良いことでしょう。どうせ傷つくのは自国ではありませんし。
> ドンバス地方に中距離弾道ミサイルを配備させる権利を得る方が有効
現在アメリカは配備可能な中距離弾道未ミサイルを保有していません。今頃になって、慌てて開発を進めているようですが。
龍様もご指摘のとおり、ロシアのペスコフ報道官は「存亡の時でのみ核兵器を使用する」と表明しています。仮にクリミア半島が失陥し、黒海からアゾフ海、ドン川に続く制海権を喪失するような事態が生じる場合、それはロシアにとって存亡の危機と認識される可能性が高いでしょう。ロシアにとって戦略的な優先度が比較的低い、西部内陸部の都市がターゲットになる可能性が高いと思います。この点は、龍様のご見解と同じ考えです。
ただ、ロシアが核を使用する状況は、ロシアにとって戦況が著しく良くない状況、かつ、戦略的な価値が高い場所における致命的な敗北を避ける必要がある場合という、ロシアが本当に追い込まれた場合に限定されるのではないでしょうか。龍様のご認識どおり、少なくとも現状は異なりますし、レンド・リースにより米国産兵器が投入されたとしても、それを用いてウクライナ軍が何をするか次第だと思います。このことは、ウクライナ軍も理解していると思います。
龍様同様、私もロシアを追い詰めることには反対です。
確かに、キーウ攻略作戦は戦術的には大敗でしたが、ロシアとしては、ウクライナの中立化という戦略的目的の一部を達成することはできました。東部地域では、アゾフ大隊の本拠地であるマリウポリが陥落しつつあります。これから開始される東部地域での攻防の結果次第では、プーチンの掲げた目的はある程度達成したと主張できるかもしれません。早い停戦を望む次第です。
ウクライナとしても、停戦が成立し、レンド・リースにより防衛兵器を充実できれば、実質的にはウクライナと西側諸国の勝ちに等しいのではないでしょうか。
もちろん、核攻撃によりウクライナ国民が犠牲になろうとも、ロシアの延命に繋がる一時的な停戦より、後顧の憂いを断つことを優先すべきという考え方もあるのかもしれません。
都市部への無差別爆撃、砲撃、原発への攻撃、非戦闘員への攻撃、クラスター爆弾の使用等々、傍若無人なロシアに対峙するうえで、ウクライナ国民、ウクライナを支援する諸国には、その覚悟が問われているように思います。
でも、私は、まだその覚悟には至りません。ついつい早期の停戦の姿を妄想してしまうのです。
>私は米軍のクリミア駐留よりはウクライナ国内、できればドンバス地方に中距離弾道ミサイルを配備させる権利を得る方が有効だと思います。ドンバスからモスクワまでは1000キロもありませんから。
「自分が追い詰められたら核を使う」と自覚しているだけに、プーチンとしては悪夢でしょうね。
もともと、プーチンがロシアの復活という野心を持っていたことに加え、2019年の中距離核戦力全廃条約の破棄以降、プーチンはウクライナのNATO参加の動きに対して、更に警戒感を高めたのだろうと思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E6%A0%B8%E6%88%A6%E5%8A%9B%E5%85%A8%E5%BB%83%E6%9D%A1%E7%B4%84
トルコ国の政情を安定させて経済実力を育成強靭化することで、長期的な地域発展の礎とするのはいかがでしょうか。黒海全体を含む中央アジア回廊西端の要衝となっていただくというアイデアです。ロシアはこのまま孤立へ向かわせると。
トルコは自ら大国化の道を歩んでいますし、兵器開発でも自力開発の実力をずいぶん上げてきています。
米国の影響が減る中、欧州とトルコに仲違いをやめてもらって、中東と中央アジアに睨みを利かせてもらえると勢力図はシンプルになりそうな気がします。
何とか自由民主主義陣営としてのラベルを獲得(or付与)して欲しいのですけどね。
トルコがいつロシアと関係改善するかもわからない上に
万が一強国にまで変態したトルコがロシアより「マシ」とも限らない
強いトルコ=西はエジプト、北はルーマニア、東はサウジアラビアのあたりまでの領土を取り戻す。とやられても困る
「ウクライナ軍が米国のレンド・リースに基づいてロシア軍を追い詰め、ドンバス地域やマリウポリ周辺、さらにはクリミア半島から追い出す」というのは、ウクライナにとってはベスト・シナリオですが、そうなればプーチンの面目は丸潰れなので、プーチンも死に物狂いで阻止すると思います。
加えて、ウクライナのベスト・シナリオが実現した場合、EU加盟国の中で「対ロシア経済制裁解除論」を唱える国(石油・天然ガス等の資源をロシアに依存してきた国など)が出てきて、逆にEU加盟国の結束が乱れる恐れもあります。
結局、ウクライナ国の一部をロシアが不法占拠する状態が続き、G7を中心とした経済制裁も継続・強化され、ロシアを「蛇の生殺し」のようにして国力を奪っていくということになりそうな気がします。
米英は、この際プーチン体制を潰してしまおうと一歩踏み出したのでは無いかと思います。
そのためには、ウクライナからロシアを追い出すか、少なくともプーチンが勝ったといえる状態にならないよう、ウクライナにより攻撃的な兵器の提供を決めたのだと思います。
或いは、紛争の長期化によるロシアでのプーチン降ろしを狙っているのかもしれません。
但し、戦うのはウクライナ軍であり、被害を被るのはウクライナ国民です。
NATO軍が戦う事は出来ないという事情はありますが。
見方によれば、英米は武器の提供だけでロシアの体制転覆が出来れば安いものかもしれません。
ウクライナへのより一層の武器提供の強化は、EU諸国にすれば、戦争の拡大やプーチン後のロシアの混乱など、大変リスクが大きい選択でもあります。
英米とEUとの合意が出来ていれば良いのですが。
レンド・リースに関して言えば、武器提供だけでウクライナに戦ってもらって、ロシアの体制転覆若しくは弱体化が出来れば、それだけで英米は儲けものというべきでは無いでしょうか?
そのうえ交換条件を要求するのは高利貸し的行為にも見えますが如何でしょうか?
ゼレンスキー大統領を英雄視する人も多いようですが、私は疑問を感じています。
やはり戦争を防げなかった責任は国民に対して負うべきだと思いますし、一旦戦闘状態になるとこれを止めるのは大変難しいという事は過去の歴史を見ても明らかでなので、どこまで外交的な努力をしたのかという問題はあると思います。
今は取り敢えず頑張れと励ますしかないと思いますが。
ゼレンスキー大統領は、今回の事態をどのように収めようとしているのでしょうか?
落しどころが見当たらないのが不安です。
>ゼレンスキー大統領は、今回の事態をどのように収めようとしているのでしょうか?
ゼレンスキーだけでなくプーチンも、他のどの国の首脳も意図はあっても、落とし所や、予定調和的な行く末を語れる人はいないと思います。
プーチンは短期間で勝利して「事態を収める」つもりで戦争を仕掛けたのでしょう。
戦争をしかけられたゼレンスキーはそれに抗ってロシアを撤退させることで「事態を収める」つもりだと思います。
戦争は意図と意図のぶつかり合いで、結果は出てみないとわからない、シンプルな話だと思います。だから全力を尽くすんです。
結果が見えていればそもそも戦争はしないと思います。
まず、残念ながらウクライナ側が今回の事態を収める事は極めて難しいと思います。
何故ならば、ロシアが一方的に侵略しているからであり、ロシアが止めれば終わる戦争だからです。
一方で、ロシアは現在も一貫して非武装中立化を要求しており、到底受け入れられるものではありません。この状況でウクライナ側に落としどころを見出すのは困難だと思いますし、ロシア側に停戦する気があるのかすら疑わしいです。
よって不安なのはロシアで、落しどころが見当たらないのはロシアの方です。
ロシアはどこまでやるのでしょうか?
5月9日の対独戦勝記念日に合わせて何らかの勝利宣言を行い、そこが停戦のきっかけになる気がしますが、その後も侵略行為は続くと思われます。
また外交的努力と述べられているところですが、ロシアとの外交についてでしょうか?ロシアとの外交であれば、ロシア側の偽旗作戦による侵略を外交努力で防止する事は極めて困難であり、どの様な外交を行ったとしても武力による侵略を防げた可能性はかなり低かったと思います。
ウクライナが侵略された要因は主に2つの要素だと思います。
1.ロシアに弱いと思われた
2.攻められて助けてくれる軍事同盟国が無かった
これらの責任はゼレンスキー大統領だけではなく、歴代のウクライナ政権にも責任がありますが、民主主義が成熟されるまでには時間が掛かるものなのだと思います。
ミアシャイマー教授の意見は、参考になるのでは。今回の紛争の責任はアメリカによるNATO拡大だと言われてます。
リンク
https://m.youtube.com/watch?v=cZaG81NUWCs&noapp=1