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「プーチンは権力の座に留まるな」発言にロシアが反発

ロシア自身が「敗戦処理」を誰よりも強く意識している証拠では?

米国のバイデン大統領がロシアのプーチン大統領に言及し、「権力の座に留まるべきではない」と述べたところ、これにクレムリンのペスコフ報道官が「ロシアの大統領を決めるのはバイデンではなくロシア人だ」と反発したそうです。メディアが統制されているロシアが「民主主義」を騙るのはいかがなものかという気もしますが、それ以上に感じるのは、米露双方のやり取りに見えるクレムリンのピリピリした雰囲気です。

米国のジョー・バイデン大統領は訪問先のポーランドで現地時間26日夕刻、ロシアのウラジミル・プーチン大統領を巡って「権力に留まるべきではない」と発言しました。

Remarks by President Biden on the United Efforts of the Free World to Support the People of Ukraine

―――2022/03/26 18:16 CET付 ホワイトハウスHPより

記事タイトルを直訳すると、「ウクライナの人々を支援するために自由な世界がともに努力していることに関するバイデン大統領の発言」、といったところでしょうか。

バイデン氏の発言から「権力に留まるべきではない」と述べた部分を抜粋すると、次のとおりです。

“We will have a different future — a brighter future rooted in democracy and principle, hope and light, of decency and dignity, of freedom and possibilities. For God’s sake, this man cannot remain in power”.

「我々には別の未来がある」、「それは民主主義と原理原則、希望と光、品位と威厳、自由と可能性に根差した明るい未来だ」などとしたうえで、「願うことならば、この人物が権力に留まることはできないことを」、などと述べている、というものです。もちろん、ここでいう “this man” とは、プーチン氏のことです。

その一方で、ロシア政府はこの発言に反発したようです。

ロシア国営の『タス通信』(英語版)の記事によると、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は26日、「ロシアの大統領はロシア人によって選ばれる」としたうえで、「それはバイデンが決定することではない」と反論したのだそうです。

Kremlin hits back at White House remark: Russians, not Biden, elect president of Russia

―――2022/03/27 05:12付 タス通信英語版より

報道の自由が事実上存在していないロシアのことを「民主主義国家だ」と、などといわれても、ちょっと困惑してしまいます。ただ、それ以上に感じるのは、プーチン氏の権力の除去をうかがわせる西側諸国の発言に対する、クレムリンの反応の神経質さです。

本件に限らず、現在、バイデン大統領の発言に対し、クレムリンが即座に反論する、といった場面が見られることが増えています。こうした反論自体、クレムリンの内部におけるピリピリとした雰囲気の証拠にも思えてなりません。

現時点で「戦後」について議論するのはまだ早いのかもしれませんが、それでも当ウェブサイトでは『国際社会はそろそろ「ロシア解体」を議論し始めるべき』でも議論したとおり、「ロシアの敗戦処理」に関する考察も、そろそろ開始しても良いのかもしれない、などと考えています。

そろそろ「戦後処理」を議論しても良い局面かもしれません。国際法を無視し、武力で外国を侵略するような無法国家を、国連常任理事国の地位に留めておいてよいはずはありませんし、そのような国が核、生物・化学兵器といった大量破壊兵器を所持しているという状態は解消しなければなりません。その方法論には依然課題は多いとはいえ、ここらで「ロシア連邦解体」についても考えておくことは有益でしょう。G20追放論ロシアのG20追放にバイデン氏が言及当ウェブサイトでは以前から、ロシアがG20から追放されるという可能性や、...
国際社会はそろそろ「ロシア解体」を議論し始めるべき - 新宿会計士の政治経済評論

もしかして、「敗戦処理」を最も強く意識している国は、ほかならぬロシア自身なのかもしれません。

新宿会計士:

View Comments (13)

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    自称大国には威信という厄介事が存在しています。
    我が国でも「一撃講和論」という幻影でズルズルボロボロになる迄停戦合意ができませんでした。

    今回は世界に核攻撃というバッドエンド分岐付きです(笑)。
    停戦合意は難しいですよ(笑)。

  • 個人的な気分としては、バイデンと同一です。ただ客観的な予測としては、何とも言えないな、と思います。昨日のサンジャポで在日ロシア人の小原ブラスさんが「ロシア国民はテレビでウクライナ人がウクライナ軍に殺された、ロシアに感謝しているというインタビューを見せられている。もちろん西側が逆の報道をしているだろうことも薄々感じている。結局自分の生まれ育った国がひどいことをしているという話と、感謝されることをしているという話のどちらを信じたいか、ということだと思う」と話していました。「人は見たいものしか見ない」はカエサルの有名な言葉です。プーチン政権が早期に崩壊し、ウクライナに平和が戻ることを懇望しますが、現実は長期化しそうな嫌な予感がします。

  • 戦争犯罪人と名指しされて、普段の鷹揚さをかなぐり捨てて即座に反論したケースもありました。
    よく分かっているじゃないか、そう当方は感じました。
    プーチン大統領は「開戦宣告演説」において嘘の帝国という単語と2回使いました。西側諸国を指して言っているようです。それはそうかも知れないが、ロシアのほうがよほど嘘の帝国を実践していないか。当方の疑念はますます深まるばかりです。

  • いやー、やはり日本は民主主義の国であるべきですね!
    中国もデフォルト問題をうまく処理することは不可能でしょうし経済停滞からの衰退は免れません
    中国サッカーも完全に日本に負けました
    第二の教訓となる日も近いでしょう

  • いやー、やはり日本は民主主義の国であるべきですね!
    中国もデフォルト問題をうまく処理することは不可能でしょうし経済停滞からの衰退は免れません
    中国サッカーも完全に日本に負けました
    第二の教訓となる日も近いでしょう

  • 私は、どのような背景があろうと、ウクライナに対して先に手を出したロシアは全く支持できません。この時代に国家間の正規軍同士の戦争を見ることになるとは、本当に残念に思っています。

    さて、ロシアが核の使用を「国家存亡の危機にのみ」と言っている(https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-nuclear-idJPKCN2LJ27W)なかで、バイデンが政権転覆とも取れる発言をしたことに対しては、ロシアに核の使用を自己正当化させる方向に誘導しかねないと不安に思っていました。

    さすがに、ロシアの政権転覆を求める意図ではなかったと釈明したようです。本音はともかく。

    (米大統領、ロシアの体制転換求める意図否定 ワルシャワ演説巡り)
    https://news.yahoo.co.jp/articles/f80a186fdeb35e73e4d5817fd7c196a3d544d808

  • この場合、ロシアの報道官の発言は「民主主義」と言うよりも「国家主権と国民主権」をアピールしたのだと思います。単なる国民主権と言うよりも国家主権と国民主権とを不可分のモノとして、本音としては国家主権が主張したいだけなのだが一応その権威の源としての国民主権もセットに主張せざるを得ない。でロシア内の保守派(アンチ米帝派など)にはこれだけで喝采を受ける事になるでしょうが、アメリカに指図されないのは当然として国民主権の方はどうなっているのか?と言う疑問が国民の中から当然出てきてもおかしくない。まぁ富裕層や技術者は我先に国外に脱出してしまうお国柄なので政権打倒の軸となる政党政治や革命党が欠けているのですが。

    • 安心しろ
      梅田大統領は人権派だから大丈夫
      アメリカの人権派にとっては、他国にアメリカのような国民主権を創設するためには、その国の国家主権は全然無視してもかまわない。というのが昔からのスタンスだから
      今は核戦争になりかねないから発言を引っ込めたが、本格的にロシアが疲弊したら、(日本やイラクにしたように)ロシアにアメリカの考える素晴らしい国民主権を導入するために、一肌も二肌も脱いでくれるし、同盟国には全裸になるように協力要請してくるから

  • まープーチン自身が今ウクライナ侵略がデダシ躓いたトキにウクライナ軍にクーデターを唆したわけですし、今回のクレムリンもおまいう案件に過ぎませんわねェ

    • プーチン大統領は開戦しょっぱなにクーデター教唆しました。緒戦が躓いてからではありません。
      「スパイマスター」の称号にふさわしい振る舞いではありませんか。彼にとって敵国排除とはつまりトップを引きずり下ろせと兵士に命じる反乱教唆に他ならなかった。冷酷な事実を裏付ける発言と思います。

      • 24日開戦25日呼び掛けだったような…
        その後48時間完了の予定稿漏洩もありましたし、出足躓きアワ喰って48間に合わせ期待のソソノカシかと思うとりもしたわ

      • 24日開戦25日呼び掛けだったような…
        その後48時間完了の予定稿漏洩もありましたし、出足躓きアワ喰って48間に合わせ期待のソソノカシだと思うとりましたわい

  • まあ、平和を願う世界の合言葉は
    くたばれプーチン!なのですが、
    ただ、バイデンさんが言ってしまうと
    プーチンを追い詰めて破れかぶれの
    狂気の沙汰に走る危険があり、
    あまり懸命な発言とは思えません。

    すでにプーチンの味方は
    鳩ぽっぽさんたちぐらいのものですので
    プーチンに期待をもたせて命乞いさせておいて
    バッサリ切ることが良策と考えます。