外国人が3週間で韓国株を5兆ウォン以上売越=韓国紙

やっぱり外国人投資家は韓国株を売り越していたようです。韓国の証券取引所のデータによれば、とくにウクライナ危機以降、外国人投資家が韓国の株式を5兆ウォン以上売り越していたというのです。これについて当ウェブサイトではかなり以前から「韓国のトリプル安」という経済事象と外国人投資家の関係に着目していたのですが、こうした仮説が正しかった証拠が出てきた格好です。CMIMを除くとドル建てスワップがない韓国にとっては、こうした事象はどう出てくるのでしょうか。

トリプル安はあまり生じないはずなのだが…

一般に金融市場では毎日、さまざまな金融商品が取引されています。

市場のリスク選好が高まればリスク資産の価格が上昇し、安全資産の価格が下落する一方、何かリスクが意識されるイベントが発生したときにはリスク資産の価格が下落して安全資産の価格が上昇する、というのが基本形でしょう。

教科書的には、「リスク資産」の典型例は株式、「安全資産」の典型例は債券とされ、これに加えて通貨に関していえば、米ドル、日本円、スイスフランなどが「安全資産」、新興市場諸国通貨などが「リスク資産」である、などと説明されることが多いようです。

実際、ロシアのウクライナ侵攻の際には、日本では超長期ゾーンを除く日本国債が買われ、株価(日経225など)が下落する現象が観察されました(※ただし、日本円に関しては米ドルに対し売られています)。

ただ、その国の金融市場で、何らかの「異常事態」が発生している場合には、株式、債券、通貨がそろって下落することもあります。

これが、「トリプル安」です。

株式と債券が同日に売り込まれるということは、さほど多くありません(※皆無というわけではありませんが…)。

これに加え、その国の通貨が売られるということは、これが示唆しているのは、「外国人投資家がその国の株式や債券を売却し、通貨ポジションを手仕舞いする動き」が発生しているという可能性です。

韓国で発生したトリプル安は年初来12回

こうしたなか、ちょうど先週の『韓国でまたもトリプル安:ウォンは1年9ヵ月ぶり安値』などでも取り上げたとおり、韓国ではこのところ、数回にわたって「トリプル安」が発生しています。

これについて気になってマーケットデータを調べてみたところ、今年に入ってからに限定しても12回ほど、この「トリプル安」状態が発生していたようです。

WSJのマーケット欄で韓国10年債利回り、韓国3年債利回り、KOSPI、USDKRWの前日比増減をそれぞれ並べてみると、次のとおり、大なり小なり12回の「トリプル安」が確認できます。

  • 03/08(火)…+4.5bp/+6.0bp/▲-28.91/+1.380
  • 03/07(月)…+3.0bp/+1.0bp/▲-62.12/+14.74
  • 02/11(金)…+5.0bp/+7.5bp/▲-24.22/+0.040
  • 01/27(木)…+5.5bp/+7.0bp/▲-94.75/+6.290
  • 01/26(水)…+0.5bp/+0.5bp/▲-11.15/+1.130
  • 01/25(火)…+2.0bp/+3.5bp/▲-71.61/+0.710
  • 01/18(火)…+2.0bp/+1.0bp/▲-25.86/+2.060
  • 01/17(月)…+8.0bp/+7.5bp/▲-31.82/+0.800
  • 01/14(金)…+5.0bp/+8.0bp/▲-40.17/+3.400
  • 01/10(月)…+1.0bp/+5.0bp/▲-28.17/+0.480
  • 01/06(木)…+7.5bp/+8.0bp/▲-33.44/+5.330
  • 01/05(水)…+6.0bp/+3.5bp/▲-35.27/+2.190

なお、 “bp” はベーシス・ポイント、すなわち「100分の1%ポイント」のことです。債券市場では債券価格の変動は利回りの変化で表示されることが一般的であり、この値がプラスになっているということは、韓国国債価格が下落していることを意味します。

また、為替市場でも、「米ドルに対するその通貨の価値」で表示されることが多く(たとえば “USDKRW” は1米ドルあたりの韓国ウォンの価値)、この値がプラスになっているということは、韓国ウォンが下落していることを意味します。

やっぱり外国人投資家が韓国から資金を引き上げていた

いずれにせよ、トリプル安という、本来ならば「滅多に生じないはずの市場現象が、今年に入ってから韓国では12回も観察されているという事実は、非常に気になります。

本来ならば、一国の金融市場内ではリスク資産と安全資産でバランスが取れるはずなのに、リスク資産たる株式も、安全資産たる債券も同時に売られ、かつ、通貨・韓国ウォンの価値まで下落しているのですから、これが示唆するのは「外国人投資家が韓国の資産を売却している」という兆候だからです。

こうしたなか、韓国メディアに今朝、こんな記事が掲載されていました。

5兆ウォン売って韓国から手を引く外国人投資家、株式保有率6年来の低水準に

―――2022.03.14 07:02付 中央日報日本語版より

「セルコリア」相次ぐ…韓国株、外国人持ち株比率が過去6年で最低に

―――2022/03/14 07:46付 朝鮮日報日本語版より

『朝鮮日報』、『中央日報』(いずれも日本語版)には、同じような趣旨の記事が掲載されていますが、要約すれば、外国人投資家の韓国の株式保有比率が6年ぶりの最低水準に下落している、というものです。

当ウェブサイトでは「韓国で相次ぐトリプル安は外国人が韓国の証券市場から離脱している証拠ではないか」と申し上げていたのですが、その見立てが正しかった証拠が出てきた格好です。

このうち中央日報の方の記事によれば、韓国の証券取引所が13日に発表したデータで、外国人投資家が先月18日から今月11日までKOSPI市場で株式約5.1兆ウォン相当を売り越した、などと記載されています。

ドル建てのスワップがない韓国

もちろん、市場というものは売られっぱなしでお終い、というものではなく、価格が下落すればいずれ再び上昇する機会が到来することも多いため、これをもって韓国でただちに通貨危機が起こる、と断言できるものではありません。

ただ、とくに韓国を含めた新興市場諸国では、市場不安が連想を誘う形で、通貨安が金融危機ないしは通貨危機に発展することもあります。1997年のアジア通貨危機など、その典型例でしょう。

とくに、現在の韓国は通貨スワップ・為替スワップを通じて米ドルを入手する手段が限られています。

1997年のアジア通貨危機を教訓として発足した「チェンマイ・イニシアティブ」などに基づき、韓国は日本との間で通貨スワップ協定を締結しており、2012年には当時の野田佳彦首相のイニシアティブで通貨スワップの規模が総額700億ドルに拡大したこともありましたが、現在、その金額はゼロです。

また、2020年3月のコロナ禍では、米FRBが韓国銀行を含めた世界9つの中央銀行・通貨当局と緊急の時限的為替スワップ協定を締結していましたが、この為替スワップ協定は昨年末で失効してしまっています。

このため、現在の韓国が通貨スワップを通じて米ドルを入手する手段は、基本的にはチェンマイ・イニシアティブ・マルチ化協定(CMIM)しか存在しておらず、仮に通貨危機が韓国を見舞ったとしても、基本的には自国の外貨準備だけで何とかするしか方法はありません。

この点、2022年2月時点の同国の外貨準備高は前月比2.4億ドル増加の4617.7億ドルであり、韓国で今すぐ通貨危機が発生するという状況ではないのですが、ただ、同国の外貨準備はここ半年ほど伸びが停滞しているのも気になるところでしょう。

読者コメント一覧

  1. たろうちゃん より:

    日本人は韓国人みたく横断幕を掲げてお祝いはしないとは思うが個人的には韓国のデフォルトを目撃できれば、溜飲がさがるのは間違いない。世界中で未だにコロナが厄災を振り撒いている。日本の政治家をみていると「大丈夫かね?」との思いが日々強くなる。隣国との「未来志向」の関係は「未来永劫」必要ないとオレは思う。全く岸田文雄氏と林芳正氏が政権トップとは日本国民は不幸極まりない。誰かマトモな人物はいないかねぇ、、、

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      名実共に未来志向な関係なら大歓迎する日本人多いと思うけど
      「どこが未来志向やねん。それは未だに過去志向だろ」だからね

    2. 迷王星 より:

      韓国債がデフォールトしても別に留飲は下がらないし下げたいとも思いませんが,プラグマティックな理由で韓国の経済破綻は喜ばしい.

      即ち,韓国軍(特に韓国海軍)が推し進めようとしている(対北でも対中でもなく)対日戦争のための新たな装備(短距離弾道ミサイル搭載潜水艦やその原潜化…※,およびF-35B搭載のSTOVL空母など)の導入が,韓国が経済破綻すれば現実的に不可能になるので日本国民の一人としては少し安全になるからです.

      ※:米国が原潜技術を韓国に提供する可能性はまず皆無だし,米国型原潜の原子炉に使用する兵器級高濃縮ウランの保有も韓国に認める可能性は無いと考えて良いが,フランスが原潜を韓国に売却する可能性は十分にあり,フランスの原潜が使用するのは原発などと同じ民生用の低濃縮ウランなので現在の韓国でも保有できる.

      ということで,早くこいこい韓国の経済破綻~♪
      (日本人は「みんなで仲良く」なんて小学生レベルの幼稚な考えを捨てて「隣国となんて所詮はゼロサムゲーム」と認識を改めるべき.EUの現状は極めて特殊だがドイツが他国に配慮せずに今のような独り勝ちを続けるならば遠からず破綻するだろう)

  2. sqsq より:

    コロナでいったん1800まで下げたKOSPIが3200まで上がり今2500くらいまで下がっている。その間、国と家計の債務が膨らみ続け韓国の格付けが下がるかもしれない。(機関投資家は他人の金を運用しているので格付けの下がった国への投資は減らす)
    その状況で外国人はそろそろ手仕舞うかなと思ってるんじゃないかな。
    韓国は時々空売り禁止のような反市場的な動きもするし今のうちと思ってるかもしれない。
    売った株はドルに替えて本国に持ち帰るのでドル買いウォン売りでウォン安になる。するとドルに換算した株価はさらに下がり、もっと売る。
    アメリカの金利上昇につられて韓国も金利を上げ(そうしないとウォン安になるから)、それにより債券価格が下落。このような流れがトリプル安の原因か。
    4月になると例年のことだが12月決算の会社の配当の支払いが行われる。KOSPIの3割以上は外国人が保有しているから配当の3割も外国人向け。もらった配当を追加で投資する人よりドルに替えて本国に持ち帰る人が多いから毎年4月に外貨が流出する。
    これが原因で今年の4月は大きなウォン安があるかもしれない。 あー心配だ。

  3. より:

    直近2週間について言えば、外国人は5兆9700億ウォンほどの買い越しになっています。

    参考: https://finance-naver-com.translate.goog/sise/sise_trans_style.nhn?_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja

    KOSPI指数が思ったほど下がってないのは、おそらくこのためなのではないかと思います。

  4. だんな より:

    出遅れましたが、1240は、抜けたんですかね?

    1. より:

      12:50現在で、1240.88ですね。
      さて、今週はどういう展開になることやら。

      1. だんな より:

        龍さま
        ありがとうございました。
        今見たら、1240.5でした。
        日経は上がってますが、コスピは下げ。
        なんとなくですが、韓国人がウォン売りに回っているような気もしますね(鈴置さんも、自国民が売るってましたもんね)。

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