X

2ヵ月連続で支持率「ゼロ」となった社民党=読売調査

四捨五入の都合でしょうか、読売新聞の世論調査では、社民党の政党支持率が前月に続きゼロ%となったようです。おりしも今夏の参院選では、立憲民主党が辻元清美氏の比例での擁立を決めているのですが、もしかすると比例で当選を続けてきた社民党の福島瑞穂氏との間での「共倒れ」も視野に入って来る可能性があります。

読売新聞が最新世論調査を公表

当ウェブサイトでは6つの世論調査(読売新聞、朝日新聞、時事通信、共同通信の4社分、および産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同調査)をもとに、内閣支持率、政党支持率などの数字を「定点観測」しています。

こうしたなか、今月はまず読売新聞が世論調査を公表しています。ロシアによるウクライナ侵攻とこれに伴う欧米諸国の厳格な経済・金融制裁が本格的に見えてきたなかで、支持率がどう動いているのかは興味深い点ですが、これについてさっそく内容を確認してみましょう(図表1)。

図表1 内閣支持率(2021年2月~3月、カッコ内は前回比)
メディアと調査日 支持率 不支持率
時事通信(2/11~14) 43.4%(▲8.3) 25.3%(+6.6)
共同通信(2/19~20) 56.6%(+0.7) 27.4%(+2.2)
朝日新聞(2/19~20) 45.0%(▲4.0) 30.0%(+8.0)
産経・FNN(2/19~20) 62.6%(▲4.3) 30.0%(+3.2)
日経・テレ東(2/25~27) 55.0%(▲4.0) 31.0%(+1.0)
読売新聞(3/4~6) 57.0%(▲1.0) 28.0%(±0)

(【出所】各社報道より著者作成)

読売の調査では、内閣支持率は前月比1ポイント低下の57%でしたが、不支持率については28%で横ばいでした。

内閣支持率は(なぜか)堅調

この点、支持率が60%を超えているものは産経・FNNの2月19日から20日の調査のみであり、それ以外の調査では、支持率は軒並み60%を割り込んでいます。しかし、不支持率については20%台後半から、せいぜい30%少々であり、まだまだ「危険水域」ではないのでしょう。

この点、岸田文雄首相はG6の対露制裁声明に半日遅れるという醜態をさらしました(『日本政府、対ロシア追加制裁への参加を半日遅れで表明』等参照)し、どうも株式市場に関する「妄言」も目立ってきています(『岸田首相「株主還元で成長の果実流出」=企業収益分配』等参照)。

西側諸国によるロシアのSWIFT遮断・外貨準備凍結などを巡って日本が半日遅れで参加を発表しました。そして、これに対しホワイトハウスのサキ報道官は日本の対応を「歓迎する」との声明を出しているようです。その一方で、ウクライナ危機を巡っては米韓同盟という「意外なところ」に微妙な波紋も投げかけているようです。ウクライナ情勢を巡るさまざまな進展ウクライナ情勢を巡っては、次から次へとさまざまな進展が続いています。欧米主要国は日本時間の昨日、ロシアの一部の銀行をSWIFTから遮断したうえで、外貨準備を凍結...
日本政府、対ロシア追加制裁への参加を半日遅れで表明 - 新宿会計士の政治経済評論

岸田妄言録がまたひとつ追加されました。企業収益の分配の在り方について「株主還元という形で成長の果実等が流出していることについてはしっかりと受け止め、この現状について考えていくことが重要」などと述べたのだそうです。岸田首相が個人として「新しい資本主義」とかいう怪しい考え方を信奉するのは自由ですが、首相という立場に就いた以上、不勉強な発言自体が日本の資本市場全体に対する信頼を揺るがしかねないという危機意識を、自民党の各位にも持っていただきたいと思う次第です。岸田文雄首相といえば、『岸田首相肝いり...
岸田首相「株主還元で成長の果実流出」=企業収益分配 - 新宿会計士の政治経済評論

この状況で内閣支持率が横ばいというのも、なんだか奇妙に思えてなりません。

菅義偉総理のときには、メディアは菅総理の責任でもないことも含めてそれこそ「総叩き」だったはずですが、岸田首相に対しては、メディアの舌鋒鋭い追及も鈍っているのではないでしょうか?

政党支持率では維新が立憲をリード

こうしたなかで、もうひとつ興味深いのが、政党支持率です。日本維新の会が「最大野党」であるはずの立憲民主党を支持率で上回ることが増えているからです(図表2)。

図表2 政党支持率(2022年2月~3月、カッコ内は前回比)
メディアと調査日 自民 立憲 維新
時事通信(2/11~14) 26.0%(+0.4) 4.8%(+0.8) 3.8%(▲0.5)
共同通信(2/19~20) 48.4% 8.0% 12.6%
産経・FNN(2/19~20) 40.7%(+0.4) 5.0%(▲1.0) 5.9%(▲0.8)
日経・テレ東(2/25~27) 46.0%(±0) 7.0%(▲1.0) 8.0%(▲2.0)
読売新聞(3/4~6) 40.0%(±0) 5.0%(±0) 7.0%(±0)

(【出所】各社報道より著者作成)

図表2で見ると、時事通信の2月11日から14日の調査を除けば、ほかの4つについてはいずれも日本維新の会が立憲民主党を支持率でリードしています。

社民党の支持率がゼロ

これに加えて今回の読売新聞の調査でもうひとつ興味深い点があるとすれば、社民党の支持率が「ゼロ」と表示されていることでしょう。

2022年3月 電話全国世論調査 質問と回答

―――2022/03/07 05:00付 読売新聞オンラインより

読売新聞によると、「今、どの政党を支持していますか。1つだけあげて下さい」とする質問に対しては、社民党とれいわ新選組が「0」でした(前回調査では社民党は0、れいわ新選組は1)。

おそらく、読売新聞の世論調査の場合は小数点以下四捨五入されているため、本当の意味での「ゼロ」という意味ではないのだと思います(本当に「ゼロ」だった場合は、NHK党のように「―」で表示されるのだと思います)。

しかし、社民党の支持率が「四捨五入してゼロ%になってしまう」という状況は、このところ、ときどき観察される現象でもあります(たとえば『社民党「支持率ゼロ」の衝撃と「来宮駅騒動」を考える』等参照)。

JNNの5月の世論調査で、社民党に対する政党支持率がゼロになったことが、ネット上では「ちょっとした話題」になっています。こうしたなか、「社民党」と聞いて思い出すのは、社民党全国連合常任幹事でもある、とある車椅子ユーザーの方による「来宮駅騒動」です。彼ら自身、「なにがおかしいのか」について気付かないのであれば、社民党自体が日本社会から受け入れられなくなるのも、ある意味では当然のことなのかもしれません。支持率調査の「使い方」内閣・政党支持率は「どう利用するか」が重要以前から当ウェブサイトでは、「...
社民党「支持率ゼロ」の衝撃と「来宮駅騒動」を考える - 新宿会計士の政治経済評論

限られたパイの奪い合い→共倒れも?

そして、立憲民主党と社民党が揃って支持率の低下に直面しているという現象は、まさに今後の「共倒れ」リスクを高めているのは間違いありません。

これについて参考になるのは、『辻元清美氏の比例擁立で福島瑞穂氏の当選はどうなる?』などもなどでも取り上げた、辻元清美氏と福島瑞穂氏が参院比例で同時に立候補する可能性が出てきた、という論点でしょう。

立憲民主党が辻元清美氏を比例で擁立することが、正式に決定したようです。そうなると、同じく比例で立候補するであろう社民党の福島瑞穂氏の地位がどうなるのか、大変に気になるところです。参院の比例は「非拘束名簿式比例代表制」という仕組みを採用しているからです。果たして今夏の参院選はどうなるのでしょうか。立憲、女性候補の通年募集を開始いくつかのメディアに報じられているとおり、立憲民主党は今夏の参院選や来年の統一地方選、あるいは次期衆院選などに向け、昨日から女性候補の通年募集を開始したようです。立民、女...
辻元清美氏の比例擁立で福島瑞穂氏の当選はどうなる? - 新宿会計士の政治経済評論

そもそも論ですが、辻元清美氏が今夏の参院選で立候補することになった理由が、同氏が昨年の衆院選で、日本維新の会の候補者に敗北し、小選挙区で落選したからであり、また、比例復活もならなかったからです。このこと自体、立憲民主党に逆風が吹き始めている証拠といえるかもしれません。

それに、参院選の比例は、「非拘束名簿式比例代表制」といって、有権者が政党名、候補者個人名のいずれかに投票し、各政党の議席数は政党名と個人名の合計に応じて配分され、当選者は個人名の得票数が多い順に決まる、という仕組みです。

したがって、辻元氏が当選するためには、「立憲民主党」と書いてくれる有権者、「辻元清美」と書いてくれる有権者が一定以上必要ですし、福島氏が当選するためには、「社民党」と書いてくれる有権者、「福島瑞穂」と書いてくれる有権者が一定以上必要です。

ひと昔前であれば、辻元清美氏と福島瑞穂氏が同じ選挙で争う、といった展開は、あまり考えられませんでしたし、もしそのようなことがあったとしても、2人ともかなり余裕をもって当選することができていたかもしれません。

しかし、これまでであれば社民党や福島氏に票を投じていた層が、今回の辻元氏の立候補に伴い、福島氏に対してではなく、辻元氏に対して投票する、といった可能性もあります。つまり、左派政党同士が限られたパイを奪い合う、といった「仁義なき戦い」の勃発ですね。

それだけではありません。パイの奪い合いの結果、「共倒れ」というシナリオも、十分に視野に入って来るでしょう。その意味で、各メディアの世論調査で社民党が順調に支持率を落としているのは、大変に興味深い兆候と思わざるを得ない次第です。

新宿会計士:

View Comments (13)

  • 写真の「ひとりを笑うな」ってネタとしか思えないんですけど。
    関係ないですけど、劇団ひとりは笑ってあげなきゃ失礼ですね。

    「れいわ」は支持率1→0なんですね。
    ロシア非難国会決議への反対が裏目に出たのかな。
    信じる道を進めばいいと思います。

    • 民主主義国では全会一致は危険な兆候
      という意見もあるから
      一人くらい反対か棄権があるのは正常な状態かも

  • 会計士様

    「れいわ」も「0」を達成しております。
    社民党だけ記載し、「れいわ」を忘れるなんてヒドィー

  • 独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (というより、流石に自分でも、独断や偏見と思いたいので)
    これ以上、政党支持率が下がることがなくなった社民党が、開き直って「少数意見を国政に反映させるために、社民党の議席を保証しろ」と言い出すのではないでしょうか。もっとも、少数意見なら、社民党が認めたくないような意見もあるとあるのですが。
    蛇足ですが、ロシアがウクライナに、中立と非武装を要求していることを、(非武装中立論の)社民党は喜んでいるのではないでしょうか。もっとも、ウクライナで、それが実現した後に、ウクライナがどうなっても、社民党は関心がないでしょうが。
    (独断や偏見だ、と言われかねない)駄文にて失礼しました。

    • ”非武装中立論”に反応します。

      今回のロシアのウクライナへの”非武装中立要求”で、流石に、工作員に牛耳られた政党(悪党)のサポーター(無知蒙昧のお花畑)も”不味いことをしている”と認識してくれた気がします。

      • ロシアのウクライナへの要求がまさに非武装中立なわけですが、誰からも要求されないうちから、そんなことを党是とする政党が野党第一党になれる国なんて日本くらいでしょうね

      • 農家の三男坊様
        >サポーター(無知蒙昧のお花畑)も”不味いことをしている”と認識してくれた気がします。
         「自分は余命から、サポーターを辞めなくても逃げ切れる」と思えば、(意地になって)サポーターを続ける、と思います。

  • うっかりここに投票すると全国全駅にエスカレーターやエレベーター設置しなけりゃならなくて、凄まじい公共交通運賃の値上げがあるし、煽りをくらって廃線廃駅で生活インフラ根底から破壊されると思うと…

    私は全国津々浦々の皆さんの移動の自由の方を優先します。

    ところで世界で共産主義・社会主義の国無くなっちゃったんで、彼らの脳内にしか存在しない主義になってしまいました。
    露中は軍政で王政です。
    キューバも行ってみたけど、共産主義だから元気なのではなく元々明るい人々の国が共産主義国家になっただけで疲れきっていました。

    脳内妄想主義捏造派かな?

  • 2人とも我が国にとっては有害無益な人罪なので,近年減少著しく残り僅かとなってきた左翼支持層の票を食い合って両人共に落選が日本の将来のためにも望ましい.

  • 対辻元さんだったら、福島さんを応援したいな。 コアな支持層が同じで・・・・。ニヤニヤして観察しています。 害虫駆除と同感覚ですね。 

  • >パイの奪い合いの結果、「共倒れ」というシナリオも、十分に視野に入って来るでしょう。

    パイはパイでも奪い合っているのは「失ッパイ」ですよね。🐷