「K防疫」を誇るはずの隣国で、コロナ重症者数、新規死亡者数の2つの指標で最悪期の日本をあっさりと抜いたようです。また、人口100万人あたりの新規陽性者数や新規死亡者数で見ても、現時点では日本を除くG7諸国などと比べて状況はマシですが、徐々に悪化しているのが気になるところです。
目次
K防疫を神聖視する韓国
先日の『鈴置論考「失敗国家に進む韓国:K防疫は神聖な存在」』では、韓国観察者である鈴置高史氏の論考をもとに、韓国では「K防疫」そのものが神聖視されているフシがある、という話題を取り上げました。
鈴置高史氏が「韓国の幼いナショナリズムがK防疫を神聖な存在に押し上げた」と指摘したうえで、「韓国は失敗国家に向かって突き進んでいる」と警告を発しました。今回の鈴置論考、テーマは「K防疫の失敗」ですが、これを敷衍していくと、まさに現代韓国論そのものであるように思えてなりません。2021/12/22 12:20 追記オリジナル記事は12月11日に公表したものですが、文末の誤植などを修正したうえで再度、公表します。対日不法行為の数々以前からしばしば申し上げてきたとおり、韓国で文在寅(ぶん・ざいいん)政権が2017年5月に発... 鈴置論考「失敗国家に進む韓国:K防疫は神聖な存在」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
もちろん、コロナの新規陽性者数など波があるものです。したがって、一時の新規陽性者数の増減をもって、ただちに「わが国の防疫は世界に冠たるものだ」、あるいは「わが国の防疫は大失敗だ」、などと決めつけるべきものではありません。
しかし、ともすれば韓国では、この「K防疫」が神聖視されているきらいがあるのではないか、というのが鈴置氏の指摘です(※余談ですが、この「K防疫」については「慰安婦」、「独島」などに置き換えても、同じようなことが成り立つのではないか、という点については、『虚構に基づく神聖性が支配する国』でも議論したとおりです)。
「神聖なXX」。この「XX」に入るのはK防疫であったり、独島であったり、慰安婦であったり、とさまざまですが、共通しているのは「虚構である」という点です。つまり、虚構に基づく神聖性、というわけです。昨日の『鈴置論考「失敗国家に進む韓国:K防疫は神聖な存在」』でも取り上げた韓国観察者の鈴置高史氏の論考に含まれていたキーワードなども手掛かりに、こうした「虚構」に深く依存した国とどう付き合うかについて考察してみましょう。神聖性で読む韓国最新の鈴置論考昨日の『鈴置論考「失敗国家に進む韓国:K防疫は神聖... 虚構に基づく神聖性が支配する国 - 新宿会計士の政治経済評論 |
韓国でまた新規陽性者数が過去最多に!
ただ、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に掲載された次の記事を読むと、やはり、どうも隣国のコロナ状況がかんばしくないのではないかと思わざるを得ません。
韓国、新型コロナ新規感染7850人で過去最多…重症964人、死亡70人増
―――2021.12.15 10:01付 中央日報日本語版より
中央日報によると、15日午前0時時点で韓国全体の「新規感染者」(※「新規陽性者」の誤りと思われます)は7850人で、これは前日の5567人と比べて2283人も多く、また、過去最多となった1週間前の8日時点の7174人よりもさらに676人多かったのだそうです。
この点、意外なことですが、新規陽性者自体では、現在の韓国の状況は、最悪期の日本と比べてさほど悪いものではありません。
日韓の人口には約2.5倍の開きがありますので、韓国の7850人を日本に置き換えると、だいたい2万人弱という水準ですが、日本で新規陽性者数が最大だった8月20日が25975人でしたので、辛うじて日本の最悪期には到達しないで踏みとどまっている状況です。
重症者数と死亡者数では最悪期の日本をすでに上回る
ただ、個人的に気になるのは、その次の、こんな記述です。
「重症患者も58人増え964人となり、新規死亡者数は70人増え累積4456人が死亡した」。
これが事実だとしたら、重症者、新規死亡者数については、現時点ですでに日本の最悪期を抜いてしまっているのです。
日本の最悪期は、重症者は9月3日時点の2223人、新規死亡者は9月8日の89人でしたが、人口比で考えると、韓国の重症者964人を2.5倍したら2410人、韓国の新規死亡者70人を2.5倍したら175人となり、それぞれ最悪期の日本を上回ってしまいます(図表1)。
図表1 最悪期の日本と現時点の韓国
比較項目 | 日本 | 韓国(2.5倍) |
---|---|---|
新規陽性者数 | 8月20日…25975人 | 7850人→19625人 |
重症者数 | 9月3日…2223人 | 964人→2410人 |
新規死亡者数 | 9月8日…89人 | 70人→175人 |
(【出所】日本のデータは厚生労働省『オープンデータ』、韓国のデータは中央日報記事より著者作成)
もちろん、重症者の定義は日韓で異なる可能性があるのに加え、人口比も厳密に2.5倍と限らない点を踏まえると、こうした比較は若干乱暴ではありますが、ただ、韓国の状況は私たちが考えているよりも深刻である、という可能性がある点には注意が必要でしょう。
諸外国と比べても徐々に深刻になる韓国の状況
この点、データサイト “Our World in Data” から取得できるデータでは、日本基準でいうところの「重症者数」についてのデータは見当たりませんが、新規陽性者数・新規死亡者数(100万人あたり、どちらも平準化ベース)について、G7諸国と韓国を比較した最新データについても確認してみましょう。
人口100万人あたりの新規陽性者数について実数表記したものが図表2-1、対数表記したものが図表2-2であり、同じく人口100万人あたりの新規死亡者数を実数表記したものが図表3-1、対数表記したものが図表3-2です。
図表2-1 人口100万人あたり新規陽性者数(平準化ベース、実数表示)
図表2-2 人口100万人あたり新規陽性者数(平準化ベース、対数表示)
(【出所】データサイト “Our World in Data” より著者作成)
図表3-1 人口100万人あたり新規死亡者数(平準化ベース、実数表示)
図表3-2 人口100万人あたり新規死亡者数(平準化ベース、対数表示)
(【出所】データサイト “Our World in Data” より著者作成)
韓国の新規陽性者数については、カナダのそれを上回ってはいるものの、イタリアや米国を十分に下回っており、ましてやG7諸国で最悪の水準にある英国、フランスドイツなどと比べれば、ずいぶんとマシに見えます。
ところが、新規死亡者数に関してはここ数日、カナダを抜いて急増しており、ドイツ、米国ほどではないにせよ、英国、フランス、イタリアとは遜色ない水準に達してしまっています。
しかも、このグラフはあくまでも「平準化ベース」です。
2021年12月13日時点における人口100万人あたり新規死亡者数が多い順に並べ替えてみたものが図表4です。
図表4 人口100万人あたりの状況(2021/12/13時点)
国 | 新規陽性者数 | 新規死亡者数 |
---|---|---|
ドイツ | 422.203 | 5.638 |
米国 | 594.115 | 4.106 |
韓国 | 108.449 | 1.832 |
イタリア | 210.444 | 1.623 |
カナダ | 212.515 | 0.788 |
英国 | 792.513 | 0.572 |
日本 | 0.532 | 0.008 |
(【出所】データサイト “Our World in Data” より著者作成)
日本が突出して低いというのはさておき、新規陽性者数では相変わらず英国が多いですが、新規死亡者数で見ればドイツ、米国に続き、韓国が多いようです。
明日は我が身:我々一般人としては自衛を!
この点、当ウェブサイトで何度となく申し上げているとおり、相手が感染症である以上、過度な楽観は禁物ですし、外国の状況は明日のわが国、となる可能性もあります。
とくに日本では3回目接種も始まりましたが、『3回目接種に潜む「メディアリスク」と「岸田リスク」』でも述べたとおり、日本には新聞、テレビなどの「オールドメディア」が科学的知見を無視して大騒ぎするという社会的問題点もあるため、決して安心できる状況ではないのです。
日本のワクチン接種は対象者の9割近くに対して実施されるなど、大変に優秀な成績を収めました。ひとえに菅義偉総理が掲げた「1日100万回接種」目標を、オールドメディアの理不尽な批判を跳ね除けてやり遂げたからですが、果たして菅総理の後継者である岸田文雄・現首相に、政治的な圧力よりも専門的な知見を重視し、「批判されてもやり遂げる」ということができるものなのでしょうか。VRSデータなどの検証ワクチン接種状況に関し、当ウェブサイトではこれまで、「ワクチン接種記録システム(VRS)」(※)や首相官邸ウェブサイ... 3回目接種に潜む「メディアリスク」と「岸田リスク」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
いずれにせよ、私たち一般人レベルでは、引き続き、マスク着用や手洗いの励行、「集近閉(しゅう・きん・ぺい)」の回避など、感染拡大予防に努めるべきであることについては、言うまでもないでしょう。
View Comments (21)
4000、5000,7000と増えていた頃に比べると、勢いも鈍化しましたね。
折返しも近いのかもしれません。
当時の勢いのまま10000もすぐに突破するんだろうと思ってたんですが。
検査能力が飽和してるだけだと思いますよ。
現時点で韓国政府は、効果的な新規感染者抑制策をしていませんので、トンネルの出口は見えていないでしょう。
今日は、昼から台湾まぜそばです。
過去最多といっても、図表を見ると他国より状況が悪いってわけでもなさそうだし・・・・・
まぁ、なるようになるんじゃないのでしょうか?
よくわかんないけど (*ノ>ᴗ<)テヘッ
陽性者に対して死亡率が高いのが気にかかります。
オミクロン感染者として日本で発見された外交官の載っていた飛行機に同乗していた人は
半分が韓国で降りていたそうですし、オミクロンによる感染爆発はこれからでしょう。
namuny様
死亡率だと、図表4での新規陽性者数に比べた新規死亡者数が、イタリア、英国、カナダがすっごく低いように思えるのです♪
医療体制がしっかりしてて、ちゃんと治療ができてるってことなのかな?
>医療体制がしっかりしてて、ちゃんと治療ができてるってことなのかな?
ドイツの死亡率が高いことから、必ずしもそうではないような気もします。
イタリア、イギリスについては、体力のない人(別の病気で寝たきりの人)が既に死亡済み、という可能性も。
>陽性者に対して死亡率が高い
陽性者数をごまかしているのでしょう。過少に。
こんな酷い状況だったけど、
K防疫のおかげで
今ではこんなに収束しました。
という喜劇をお披露目中
すべての数字があてにならないような気がします。感染者数や死亡者数が爆発的(?)に増えているということだけが事実で、一つ一つの数字をみてもなんら確かなことは言えないのではないでしょうか。
韓国のコロナ防疫について、まともな分析が出ていたのでご参照ください。
尚、money1で最初に見かけた記事なので引用にならないよう、元ソースと小考察のみにとどめます。
https://m.yeongnam.com/view.php?key=20211212010001255
これに加え、ワクチン移送中の温度厳守などを日本では出来たことも要因でしょう。
なぜPCR検査数やワクチン接種率で世界何位だの日本と比べて勝っただの負けただの先進国だのになるのか韓国の思考回路は未だに理解出来ません。
疾病であるコロナウィルスに対して克服したり勝つべきでしょう!
また昨日の韓国記事で
「『K防疫』と言い出したのは韓国ではなくG7を始めとする先進国が韓国を称賛して言い出した言葉である!」
と逃げをうちはじめましたが、即座に2020年5月に元日韓合意の際の外交部代表の参加するタスクフォースが「K防衛」と名付けようと発案した事がばらされて恥の分厚い重ね塗りが炸裂しています。
東南アジア諸国や中欧・北欧で立看板たてる為に使った1000億ウォン超の「K防疫」宣伝・広報費をワクチン取得や病床整備や外食産業救済に使っいれば感染死者や自営業自殺をかなり防げたのではないでしょうか?
昨年5月頃に韓国が吹きあがっていた
「K防疫のドライブスルーPCR検査がISO規格に採用された!」
という内容もいくらISO規格を探しても見当たりません。
当たり前なんですが、車に乗ったままPCR検査を受けられる…程度のどうでもいいようなアバウトな事で国際標準規格は取得できないんですが…
夢想と現実の境目が無い地域の人たちに逆恨みされるくらい鬱陶しいものはありません。
K-ISO規格には採用されているんですよ、きっと。あれ?K-USO規格かな?
「ウィズコロナをやめよう」という議論は起こらないんですね。
さすが「徳」が支配する国。間違いを認められないのでしょう。
新規陽性者は検査数x陽性率なので、
検査を減らせば減ります。
検査対象をスクリーニングする方法は
不明ですが、検査待ち数の報道が
なくなりましたね。
感染者と接触あった検査対象範囲が
広いため検査待ちが多いのかも。
ただ、百万超えの数字は見たので、
狙い通りには検査が出来てない。
陽性率は良くわからん。
重症者数は人工呼吸器・ECMO使用者数
らしく、病院の装置数を越えない。
人工呼吸器・ECMOなければ重症者なし。
自宅療養で人工呼吸器・ECMO使う?
入院待ち1700を見た記憶あるが、
自宅なら重症を飛び越えて死亡のハズ。
コロナ死認定するかどうかは政府次第。
他の国では国民の半分以上がワクチン接種したら一時的にせよ感染者激減したが、韓国ではそれがないのが痛い
ちなみに、ワクチン接種に関して韓国は「データ無し」扱いされているとか
日本は高齢者接種が一巡したところで波が来たので、高齢者の重症化抑制が顕著でしたが、韓国は先行していた高齢者の免疫力が落ちて来ていたというところに波が来たというタイミングも悪かったですね。若年層のワクチン接種率もあまり高まってない御台ですし、そこが拡散の中心になってるみたいなのは日本の夏場と同じですね。高齢者のブースターが行き渡るまではこのままかなあ。まあ、明日は我が身ですけどね。