韓国の次期大統領の有力候補者である李在明(り・ざいめい)氏が1日、自身のSNSに「日本政府は賠償判決を速やかに履行するべきだ」と投稿したそうです。自称元徴用工問題の本質は、韓国が「近代法治国家」でいられるかどうかという点にあるのですが、聯合ニュースが報じた李在明氏の発言を読んでいる限り、どうも李在明氏にその認識はなさそうです。
自称元徴用工問題は韓国が近代法治国家でいられるかの問題
当ウェブサイトではそれこそ数百回議論してきた論点ですが、自称元徴用工判決、すなわち「戦時中、強制徴用された」などと自称する者やその遺族らの訴えを認め、韓国の裁判所が日本企業に損害賠償を命じた件は、究極のところ、韓国が近代法治国家でいられるかどうかの試金石でもあります。
そもそも論として、韓国自身がかつて1965年に締結した日韓請求権協定の内容は、韓国の裁判所をも拘束するものであり、そして、自称元徴用工判決自体が結果として、日韓請求権協定に違反する状態を作り出しているからです。
ということは、もしも韓国が国家としてこの判決を放置するというのであれば、韓国が国として日韓請求権協定をみずからの手で破ったということであり、その意味では、日韓関係の法的安定性が危機に瀕している、という意味でもあります。
もっとも、日韓請求権協定を破っているのは韓国の裁判所だけではありません。
自称元徴用工判決が出た直後の2019年早々、日本政府は韓国政府に対し、やはり日韓請求権協定に従い、最初は外交的協議を呼び掛け、これが4ヵ月余り放置されると、今度は国際仲裁手続の付託を通告しました。
そして、韓国政府はこれらのすべてを無視したのです。
その意味では、自称元徴用工判決問題には、次の3つの問題点があるといえるのです。
自称元徴用工判決の3つの問題点
- 日韓間の請求権に関するあらゆる問題は、1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みであり、自称元徴用工判決はこの日韓請求権協定に違反する状態を作り出している。
- 韓国側が主張する「被害」の多くは、(おそらくは)韓国側によるウソ、捏造のたぐいのものであり、最終的には「ウソの罪をでっち上げて日本を貶めている」のと同じである。
- 日本政府は2019年、日韓請求権協定に従って、韓国に対し外交的な協議や国際仲裁手続を申し入れるなど、平和的な問題解決に向けた努力を行ったが、韓国政府はこれらを無視した。
(【出所】著者作成)
ただ、この自称元徴用工問題を巡って、上記3つの問題点、あるいは「日韓関係が韓国側の一方的な不法行為により破綻しそうになっている」、という点を深く認識している政治家や(自称)有識者は、あまり見当たりません。
それどころか、先ほどの『関係を破壊している側が「関係改善」を模索する不思議』などでも取り上げたとおり、どちらかといえば韓国側は「自分たちの不法行為を棚に上げて、日本に対し一方的な譲歩を迫る」という形での「関係改善」を模索する動きもあります。
韓日関係改善を模索する「韓日フォーラム」が3日、非公開で行われる――。なぜ日韓関係を破壊している側が「関係改善」を模索しようとするのでしょうか。この手の報道を読むと、いつも疑問に感じる点です。というよりも、いまや日韓関係が韓国側の国際法破り、国際条約破り、国際約束破りで破綻しそうになっている状況を踏まえると、日本がこれ以上韓国に譲歩するという選択肢は御免蒙りたいと思う次第です。外交は人間関係と同じ普段から当ウェブサイトにて申し上げているとおり、外交というものは人間関係とよく似ています。国といっ... 関係を破壊している側が「関係改善」を模索する不思議 - 新宿会計士の政治経済評論 |
(※くどいようですが、個人的にはいかなる形であれ、日本が譲歩するような「関係改善」には強く反対したいと思うしだいです。)
李在明氏「日本政府は賠償判決を速やかに履行すべき」
ところで、ここ数日、自称元徴用工問題に関する話題がよく出てきますが、その理由はおそらく、11月29日が三菱重工に対する韓国大法院(※最高裁に相当)の判決から3年の節目だったからなのだと思います。
こうしたなか、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に本日、こんな記事が出ていました。
徴用賠償判決「日本は速やかに履行すべき」 韓国大統領選の与党候補
―――2021.12.01 16:02付 聯合ニュース日本語版より
これは、来年3月の大統領選で「左派政党」とされる与党「ともに民主党」の公認候補である李在明(り・ざいめい)前京畿道知事が1日、自称元徴用工判決を巡り、SNSに次のような内容を投稿した、とする記事です。
- 「歴史は顔を背けても消えるものではない。日本政府は賠償判決を速やかに履行するべきだ」。
- 「三菱側は大法院の判決が出た後も慰謝料を払わず、資産の差し押さえや売却命令が出ると抗告する手法で(3年以上も)時間稼ぎをしている」。
大変に興味深い見解でしょう。大統領選に与党から公認を得た人物がこの程度の認識だということにも驚くからです。
そもそも「日本政府が賠償判決を履行せよ」と述べている点については、もしかすると自称元徴用工判決の方ではなく、自称元慰安婦に関する今年1月8日の主権免除違反判決(『【総論】韓国主権免除違反判決の現時点におけるまとめ』等参照)の方を述べているのかもしれません。
当ウェブサイトではこれまで、「主権免除」に関する考え方や、韓国の裁判所による「主権免除違反判決」などに関し、三々五々、さまざまな場面で議論してきました。ただし、これらの記事が各所に散らばっていて、なかなか読み辛いのが実情です。そこで本稿ではこれらについて、これまでの当ウェブサイトの議論内容をあらためて箇条書きにしたうえで、情報を集約しておきたいと思います。主権免除に関する考え方・まとめ当ウェブサイトではこれまで、「主権免除」に関する考え方を、三々五々、さまざまな記事で記載してきました。ただし... 【総論】韓国主権免除違反判決の現時点におけるまとめ - 新宿会計士の政治経済評論 |
ただ、「時間稼ぎをしている」という意味では、自称元徴用工側も同じでしょう。三菱重工に関しては知的財産権、日本製鉄や不二越に関しては現地合弁会社株式など、基本的には換金できない資産ばかりをわざと差し押さえているからです。
もしも確定判決に従って損害賠償を受ける気があるならば、手っ取り早く確実に換金される金銭債権などを差し押さえるのが鉄則であり、実際、自称元徴用工側は8月に三菱重工の売掛債権を差し押さえようとして慌ててそれを撤回しています(『【速報】自称元徴用工側が金銭債権差押を「取り下げ」』等参照)。
本稿は、「速報」です。例の自称元徴用工判決に関し、金銭債権の差押を原告側が取り下げてしまったようなのです。ある意味では予想どおりでもあったのですが、とり急ぎ、ここでは韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の記事を紹介します。『徴用工「金銭債権の差押」の衝撃』で報告したとおり、自称元徴用工問題を巡り、韓国で原告側が金銭債権の差押に踏み切ったと発表したことは、個人的にはかなりの衝撃を受けました。これが事実なら、自称元徴用工問題の「フェーズが変わってしまった」からです。なぜなら、金銭債権の場合、... 【速報】自称元徴用工側が金銭債権差押を「取り下げ」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
自称元徴用工側が、突如として金銭債権に関する差押えの申し立てを取り下げたこと自体、彼らが本気で「裁判手続を通じて賠償を受ける」つもりがないことの間接的な証拠ともいえるでしょう。
問題解決の主体は「日本政府」ではなく「韓国政府」だ
それはともかくとして、聯合ニュースの記事の続きを読んでいきましょう。
李在明氏は次のようにも述べたのだそうです。
「問題解決の主体である日本政府の対応にも懸念を覚える。大法院の判決後、日本政府は韓国政府に対して継続的に『経済報復』を示唆し、裁判結果を否定している」。
残念ながら、問題解決の主体は、韓国政府です。
なぜなら、この問題は結局のところ、韓国側の二重の日韓請求権協定違反(韓国の裁判所が日韓請求権協定に違反した判決を出したこと、韓国政府が日韓請求権協定に違反し、日本政府との協議も仲裁も拒否したこと)にあるからです。
聯合ニュースによると、李在明氏はまた、「大法院判決を認める前提の上で問題解決方法を改めて探るべきだ」、などと主張したのだそうですが、そもそも「大法院判決自体が違法である」という点に意識が向いていない時点で、やはり「お話にならない」というレベルのものでしょう。
このように考えていくと、自称元徴用工判決問題ひとつとってみても、李在明氏の遵法意識や国際感覚の一端をうかがい知ることができますし、仮に李在明氏が文在寅(ぶん・ざいいん)氏の後任大統領に就任すれば、日韓関係がどうなるか、何となく想像することができそうです。
View Comments (20)
なんで韓国の革新系は、最初から日本に拒否される提案を繰り返すのだろうか
バシラス・アンシラシスは土壌常在菌さま
彼らの思想信条と、反日する事でその場の利益が得られるからでしょう。
彼らの発言はすべて国内の愚民向けだと思えば何も不思議はないな。
日本に対して威勢の良い発言をしさえすれば大喝采するような愚民が蔓延っている限り、このような発言が続くでしょ。つまりは、大韓民国が存続する限り、変わらないということ。
左派は、世論調査劣勢の上、コロナ対応も上手く行かずに、今回の大統領選挙を「日韓戦」とする事で、凌ごうとして来る流れだと思います。
待ち侘びた反日の始まりで、これから投票日までは、反日攻勢と親日レッテル貼りが、続くだけです。
どうせ口だけで、何も出来ませんので、気にする事は有りません。
どれだけ韓国という国が、「あたおか」なのかと「日韓の価値観の違い」を理解する良い機会だと思います。
韓国国内の裁判の前に日韓で交わした条約を履行してから口を開けとしか
日韓請求権協定も歴史なのでは?
二代続いて弁護士の資格もお持ちなのに
広がる弁護士への風評被害。
日韓関係の正常化つまり百余年前の日本人の間違った判断によって背負ってしまい戦後もアメリカの都合で背負わされ続けて来た韓国という重荷を下ろすために,日本としては李在明候補に是非とも大統領に当選してもらわねばなりません.
なので,日本としては表面上はアメリカ政府の願望通りに保守系候補を明示的に応援することで,韓国民の強い反日意識を活用するのが手筋ということになります.韓国民自身に地獄への道を選択させるということです.
外交音痴のアメリカ民主党政権も,李在明氏が次の大統領になれば流石に韓国との同盟継続は無理だと諦めて中華属国へと戻る韓国の経済面・技術面での焦土化作戦を本気で開始する可能性が極めて大きいですから.
アメリカ政府が本気で韓国を経済・技術面で焦土化するとなれば,日本政府や日本財界に対しても焦土化に協力せよと命じて来るのは確実で,そうなれば目先の銭だけで行動する売国経団連の老人連中も否応なく韓国への投資は損切りするしかないと諦めるのは必定.
なにしろ対韓投資に拘ってアメリカの意向に逆らえば最悪だと米国市場から日本企業が締め出される事態=日本経済がジ・エンドになっちゃいますからね.
これで漸く日本は韓国という重荷(別名,寄生虫)を完全に切り離すことが可能になる.そして,アメリカが韓国との同盟関係を切れば,竹島奪還のために韓国を対日戦争へと日本が追い込むことも可能になります.
韓国から対日戦を始めさせて日本が韓国を力で叩き潰した時こそ,不法占拠されて来た竹島が我が国の手に戻り日韓の腐れ縁が完全に切れる時です.
日本にとって最悪の道は順法意識の強い保守系候補が大統領となり,国際法違反判決の問題を部分的にでも解消して日本に擦り寄って来られ,アメリカ政府も韓国の「改心」を見て,従来のように日本に対して日韓請求権協定に反する譲歩(日韓請求権協定の実質的な見直し)を命じてくる事態です.何しろアメリカの外交は戦後一貫して来た対日基本戦略という長期戦略を除くと目先のことしか考えられないので.
この事態は日本として何としても阻止せねばなりません.さもなければ,全ての韓国民から「植民地時代に先祖が味わった苦痛に対する慰謝料請求」という裁判を韓国内で起こされて際限のない慰謝料支払い義務を日本が負わされる羽目になる危険性が極めて高くなるので.
>そもそも「大法院判決自体が違法である」という点に意識が向いていない時点で
ちょっとだけ視点を変えた意見を述べてみるのです♪
国際法とか持ち出す前の前提だけど、国家が国家足り得るのはぶっちゃけ他の国家の司法権なんか無視する力を有するからだと思うのです♪
特殊な事例だけど、外国で殺人を犯した日本人が日本に逃げて来たときにどうするのかを考えてみるのです♪
当該外国からは、犯人の引き渡しを要求されると思うけど、原則は、お断りすると思うのです♪(ただ日本の刑法は殺人罪は国外であっても適用されるので、日本で捕まえて日本で裁くことになると思うのです♪)
例外は、犯人引き渡し条約がある国から要求された場合だけなのです♪
詳しい理屈はよく知らないけど、自国民を他国からを守ることは、他国の法体系を守ること以上に大切だから、こんな制度になってるんだと思うのです♪
だから、銭形警部みたいな世界中どこにいてもルパンを捕まえるなんて人は物語の中でしかあり得ないのです♪
閑話休題
そういう目でみると、
>日本は速やかに履行すべき
というのは、本来、戦争で日本を負かして力ずくで実現するしかない要求だと思うのです♪
ましてや、今回は、国どおしの約束を違えた、少なくとも日本政府としてはそう考えている判決を、韓国が勝手に出しているのです♪
そんなものを履行しろなんて要求は、国際法なんかを持ち出すまでもなく拒否すべき要求でしかないと思うのです♪
むしろ、日本が被害企業に判決の履行を働きかけたりするのなら、それこそ国益のために必要なんだって理由をつけなきゃならない例外的な対応になるんだと思うのです♪
刑法と民法で考えが異なるのかもしれないけど、あたし自身は、そう思うのです♪
長ったらしくなったので、ちょっと補足なのです♪
下のふたつの考えのうち、あたしは、どっちかというと①の考えなのです♪
①「韓国の判決を履行せよ」という要求に従う根拠となる2国間又は多国間の協定等が存在しないので、韓国の要求には従うべきではない
②韓国の判決が日韓請求権協定等に反しているから、その履行を求める韓国の要求に従う必要ない
更に補足だけど、
司法判断なんかしなければ2国間の協議で曖昧な妥協ができた可能性があったかもだけど、司法判断をした以上日本としてはそれに則した判断はできなくなった。
って思うのです♪
韓国が話の通じる相手ではないことは明らかです。
日本に対しては(・・・だけではないようですが)、歴史のねつ造も歪曲も・・そして謀略もお手のもの、と言いますか、お家芸として見せてくれています。
そのような日韓関係は、突き詰めれば力関係でしかない、ということなのでしょうから、我が国としては、その腹づもりで国力を養い、対処していくしかないと思います。
私、法律疎いんですが差押えしたら賠償って無くなるのと違うんですか?
差押え現金化された上で賠償したら二重払いじゃないんですか?
>歴史は顔を背けても消えるものではない
歴史すら整形する大整形民国の次期大統領候補に、この替え歌を贈ります(*^_^)
別のタブで曲を聴きながらお楽しみ下さい(*・ω・)ノ
愛をとりもどせ! 〜K-Version〜
コリアン 嘘を吐いて生きている
コリアン 嘘を重ね生きている
厚い嘘を 事実で暴いても 今は無駄だよ
邪魔するウリは チニルパ指定で ナムさ
コリアン 嘘の被害 創り出す
コリアン 嘘の歴史 創り出す
お金求め さまよう歴史 今 嘘で覆われて
いつかバレて 無惨に飛び散るはずさ
重ねた嘘を守る為 事実をねじ曲げ 歴史を 見失った
歴史を忘れたコリアに 未来は無いさ 嘘は終わらない
コリアン 嘘で事実 切り裂いて
コリアン 嘘で歴史 切り裂いて
誰もコリアの妄想 止める事 出来はしないさ
引き付け合う中韓 離れない 二度と
重ねた嘘を守る為 事実をねじ曲げ 歴史を 見失った
歴史を忘れたコリアに 未来は無いさ 嘘は終わらない