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ワシントンポストが「日本のように行動すべき」と主張

日本の新聞、テレビはあまり報じませんが、現在の日本の武漢肺炎・コロナ禍の状況は、主要先進国の中でも非常に良好です。昨日は首都・東京で新規陽性者数が2日連続して20人割れとなりましたし、『若年層に限定しでもワクチン接種完了率が7割を超える』でも述べたとおり、すでにワクチン接種も主要国でトップレベルです。こうしたなか、米メディア『ワシントンポスト』には先週、日本、ロシア、英国を比較する、何やら興味深い記事が掲載されていたようです。

東京都で2日連続「20人割れ」

東京都で昨日、新規陽性者数が2日連続で20人を割り込みました。

都内のコロナ動向<10月25日(月)時点>
  • 新規陽性…17人(前日比▲2人、前週比▲12人)
  • 7日平均…30人(前日比▲2人、前週比▲28人)
  • 重症者数…20人(前日比▲2人、前週比▲11人)
  • 新規死亡…3人(前日比+3人、前週比▲3人)

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

新規陽性者数が前週比で見て減少するのは、8月23日(月)以来、じつに65日連続のことであり、また、新規陽性者数が20人を割り込んだのは、日曜日に続き、今年で2回目です。

この点、月曜日は新規陽性者の報告数が減る傾向にあるため、本日以降は多少「リバウンド」する可能性もありますが、それにしても8月13日に5773人もの新規陽性者を出した東京都で、この減少ぶりには目を見張るものがあります。

GoToトラベル事業開始前の水準に!

これがいかにすごいことか、昨年7月下旬以降の期間でとったグラフについても示しておきましょう(図表)。

図表 東京都における新規陽性者数とその7日平均値、重症者数の推移

(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)

昨年から今年にかけては、「GoToトラベル」事業、その後のいわゆる「第3波」、「第4波」と来て、東京オリパラの少し前くらいから「第5波」が東京を襲いましたが、現在の新規陽性者の水準は、この「GoToトラベル」事業が始まるよりも前の水準にまで減っているのです。

その大きな原因がどこにあるのかを巡っては、当ウェブサイトなどは「ワクチン接種の効果が大きかったのではないか」、などと考えているのですが(『若年層に限定しでもワクチン接種完了率が7割を超える』等参照)、実際、専門家の間ではこれといった説はないようです。

本稿は一種の「定点観測メモ」です。日本のワクチン接実績が1億8500万回を超え、接種率も1回目77%、2回目70%弱に達しました。こうしたなか、注目すべきは「12歳から64歳までの層」に対するワクチンの2回目接種率が70%を超えたことです。諸外国の事例から判断しても、日本のワクチン接種はそろそろ「頭打ち」と考えて良いのかもしれません。ワクチン接種完了率は日本全体で7割にメディアの速報によると、10月25日における東京都のコロナ新規陽性者数は17人と、およそ500日ぶりの最低値を更新したようです。こうしたなか、先日の...
若年層に限定しでもワクチン接種完了率が7割を超える - 新宿会計士の政治経済評論

そもそも厚生労働省『ファイザー社の新型コロナワクチンについて』などによると、ワクチン接種で感染を防ぐ効果があるかどうかについては、よくわかっていないとされていますし、また、日本人が手洗い・マスク着用・「集近閉(しゅう・きん・ぺい)」回避などの生活習慣をじつによく守っていることの影響もあるのかもしれません。

日本のオールドメディアこそコロナ禍を悪化させた犯人

ただ、新規陽性者数が爆発的に増大していた局面、それこそ毎日のようにコロナの恐怖を煽るコンテンツを垂れ流していた新聞やテレビを中心とするオールドメディアは、このところ、新規陽性者数の急減にはダンマリを決め込んでいるフシがあります。

しかも、『徹底して自分に甘いテレビ朝日:説明は明らかに不十分』などでも指摘した「テレビ朝日女性従業員泥酔ビル転落事件」の例にも見るとおり、テレビ朝日を筆頭とするマスメディア業界こそが、じつはコロナの感染拡大につながりかねない行動を取って来たにもかかわらず、です。

せめて1ヵ月くらい自主停波しては?「甘い、甘い、甘すぎる」!昨日の『「転落事件」から1ヵ月:ダンマリ決め込むテレビ朝日』の「続報」が出てきました。株式会社テレビ朝日が(なぜかPDFファイルで)例の不祥事についてやっと1ヵ月ぶりに詳細を発表したのですが、事実関係の調査と発表になぜ1ヵ月もの時間を要したのか、そして関係者に対する処分があまりにも軽すぎないか、読めば読むほど疑問に感じます。テレビ朝日がやっと報告書を公表昨日の『「転落事件」から1ヵ月:ダンマリ決め込むテレビ朝日』では、テレビ朝日とい...
徹底して自分に甘いテレビ朝日:説明は明らかに不十分 - 新宿会計士の政治経済評論

こうしたなか、あるメディアに先週金曜日、こんな記事が掲載されていました。

Opinion: The big pandemic lesson is the one we’ve not fully learned

―――2021/10/22 12:18EDT付 Washington Postより

リンク先は米メディア『ワシントンポスト』(WP)のもので、日本、ロシア、英国の3ヵ国の事例をもとに、ワクチン接種やコロナ対策の状況について比較したオピニオン記事です。

記事冒頭には10月9日付の夜の渋谷の写真が掲載され、多くの日本人がマスクを着けながら行き交う姿が確認できますが、その日本で「一時は8月に2.3万人を超えた『感染者』」が10月20日には全国で400人にまで減ったことが取り上げられています。

“In Tokyo, bars are packed, trains crowded and the mood is celebratory. In the capital, the positivity rate fell from 25 percent in late August to 1 percent this month.”

つまり、飲み屋に人が溢れ、電車は満員であるにも関わらず、首都・東京における陽性率が8月下旬の25%から10月には1%にまで落ちた、というのが、WPの問題意識だそうです。

このあたり、コロナ禍を悪化させた日本のオールドメディアと異なり、日本の状況が米国よりも随分とマシだということを、ちゃんと指摘しているのが面白いところです。

WPの答えは「日本人が行動したからだ」

そして、WPなりの答えは、日本の「人々が行動したからだ」――です。

すなわち、7月上旬に15%に過ぎなかったワクチン接種完了率が、いまや70%にまで上昇したことで、日本の「感染」状況が好転した、というのがWPの分析であり、とくに「1日150万回が実行されたこと」については素直に驚きをもって受け止められているのです。

これに加え、「日本人は自発的にナイトライフを取りやめた」「コロナ禍以前から日本人がフェイスマスクを愛用していた」ことなども、新規陽性者数の急減の原因だというのがWPの指摘です。

つまり、「日本の経験に学べ」、というイメージでしょうか。

一方、WPの記事はまだ続きます。

ロシアでは1日の新規感染者が3.7万人を数え、また、新規死亡者数が1000人を超えるなど、コロナ禍始まって以来最悪の状況となっている」。

具体的には、自国でワクチン開発を進めたものの、ワクチン接種率は人口の3分の1に過ぎず、プーチン大統領自身が今月20日に国民に対し休業を命じたなどとする話題が紹介されています。

また、日本と並んでワクチン接種が進んでいるはずの英国の場合も、7月の規制解除などの影響に加え、さらにはフェイスマスクの着用をやめた人も増えているためか、新規感染者数は高止まりしているというのがWPの指摘です。

そのうえで、WPは次のように指摘します。

“To refuse a life jacket in a stormy sea is a choice — a costly and terrible one.”

嵐の海でライフジャケットを脱ぐというのはひとつの選択肢だが、結果的に高くつくかもしれないよ、というものです。

WPが日本を絶賛しているというのもなんだか気持ちが悪いものがありますが、あるいは「あのWPでさえ」、日本の状況を絶賛せざるを得ないほど、現在の米国の状況が芳しくないということでしょう。

そういえば、『英紙、日本のメディアのコロナ報道を「悲観的」と皮肉』でも触れたとおり、英ガーディアン紙も日本のコロナの状況を絶賛していました。

「日本の状況から、イギリスが学べる点は多い」。これは、英国のメディアが10月、日本のコロナ防疫を絶賛して報じた内容だそうです。英メディアはこうも指摘します。「日本の主要メディアではネガティブな記事がヘッドラインを飾りがちだが、データを比較すれば他のG7諸国よりも日本はおおむねうまくパンデミックに対処している」。これなど、まさに日本のメディアのコロナ報道に対する皮肉、あるいは間接的な批判ではないでしょうか。日本の新規陽性者急減東京都の新規陽性者、さらに前週比で半減東京都の新規陽性者の減少が続いて...
英紙、日本のメディアのコロナ報道を「悲観的」と皮肉 - 新宿会計士の政治経済評論

公正な目で見るならば、日本の状況は世界の中でも「成功事例」に映る、ということなのかもしれないと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (24)

  • 米加は1切ったけど英伊独の実効再生産数が軒並み1.1超えてるし、独は1.2超えてまだ伸びそうな勢いですからね。

    日本はワクチン打ってまだフレッシュな状態なのもあるでしょう。韓国もワクチン接種完了が日本に追いついたのでこれから日本風の道をたどるかも。もっとも、韓国って二回目接種してすぐに接種完了にしてそうな気がするので、3週間ぐらいずれ込むかもw 大規模交差接種実験の評価も楽しみではあります。

    あと、東京と沖縄を比較すれば、もう少し要因の定量的な話ができるかもですね。

    • > 韓国もワクチン接種完了が日本に追いついたのでこれから日本風の道をたどるかも。

      率では追い越した事になっている様です。

      しかし、1回目と2回目の間隔が開き過ぎている様なので、日本風になるかどうかは、良く判りません。

      また、「検査結果待ち(というか、保留)」という訳の分からない人が136万人以上居るそうなので、それもどうなりますでしょうか?

      > 東京と沖縄を比較すれば、

      東京と関西の比較なら、夏の高校野球の影響が尾を引いている様な気がします。オリパラ並みの感染対策とか大嘘ついてますが、IOCが大会関係者全員分のワクチンを予め用意したのに、朝日新聞も高野連もそういう事を全く行いませんでしたし、無観客だった五輪とは異なり、野球部と無関係な者を大量に大会関係者として観覧席に入れてました(決勝戦の少し前に、野球部と無関係な者は入れない様に改めましたが、野球部OBの家族って関係者なの?)。

      • 遠征費用をいくらかでも援助?寄付?負担していたらばローカルスポンサー枠でせうかね >野球部OBの家族
        もしかすると野球部の活動に理解を示している、とかなんとかで精神的スポンサー枠(ナンノコッチャ)かも?

  • 日本の場合、ワクチンもあるでしょうが、食中毒が発生しやすい梅雨〜夏の高温多湿のなかでも、刺身や生卵を食べる食文化と共に育んできた、衛生意識の高さが効を奏したのでしょう。
    そう言えば、急速にワクチン接種率を伸ばし、数字上は日本を越えてホルっている国があるようですが、75%が「トイレ後に手洗い」するようになったことが新聞で報道され、劣化コピーしたのり巻きで食中毒を出すような環境で、どういう結果が出るかが楽しみです。
    学術的な比較をしたいだけで、アレの哀号を楽しみにしているわけではありません(棒)。

  • 今回は、あれほど政府やマスコミが自粛要請をしても、マンネリ化して人出が減らない状況だったのに、この結果です。
    「ワクチン・マスク・手洗い」と「自粛」を比べれば、当初思われたよりも前者の効果が高いと言えるのではないかと感じます。
    長引く経済活動の停滞から復活させるためのウィズコロナ的観点から「何よりワクチン・マスク・手洗い」の啓蒙が重要ではないでしょうか。他国と比べて日本の効果的な行為は、それぐらいしか思いつかないのですから。
    「J防疫」とまで言うのは恥ずかしいから嫌ですが、国内向けの言い方はポジティブにした方が良いと思います。

    • 外国では
      ミネラルウォーターで手洗いするような贅沢は、富豪以外には許されないのでは?

  • 日本における新規感染者の激減は謎。
    ワクチンの効果を強調する人が多いが8月20日から8月26日に1日当たり2万5千人程度の新規陽性者を出したころのワクチン完了者の割合は43%くらい。
    昨日現在のワクチン完了者が約70%で新規陽性者が300人程度。ちょっと首をひねるような数字。日本人はマスク手洗いのコンプライアンスがいいからという意見にも同意できない。コロナ禍の初期からそうだから。一番わかりやすいのはウィルスの弱毒化じゃないかな。
    このあたり統計手法に強い西浦氏の出番じゃないかと思うけど、あの人何か言ってる?

  • 新型コロナの新規感染者数の急減要因は、まだよく判りませんね。個人的には単なる流行の波がメインのような気がします(当然再発も、このまま収束もありうる)。従って、感染抑制に効果があって、さほど負担にならない①ワクチン接種②マスク着用③手指洗いなどは、継続でしょうね。逆に皆さんに負担感の大きい①飲み会②旅行③スポーツ観戦などは、一旦は自粛解禁でしょう。テレワークは微妙なところかな。それから個人によって必要度に差異のある①カラオケ②ライブ③大規模(5人以上)宴会などは、意見が分かれるでしょうね。gotoキャンペーンのような促進策は止めた方が良いように思います。海外を見ても、抑制策は、その国の実情・許容度に応じてやるしかない。英国のように、ウィズコロナでも楽しみたい、と考える人が多いなら、それもやむなし。マスク着用に抵抗感強いならそれも仕方ない。中国みたいに自由の制限が許されるなら、それが最も効果的でしょう。菅前首相の退陣は本当に残念でしたね。”人がいい”だけの岸田首相では、日本はまた停滞しそう。

  • >「日本人は自発的にナイトライフを取りやめた」「コロナ禍以前から日本人がフェイスマスクを愛用していた」ことなども、新規陽性者数の急減の原因だというのがWPの指摘です。

    アメリカでそれが出来れば、これほど感染者数は増えないでしょう。
    コロナ以前からインフルエンザでも多数の死者を出してましたので、習慣や文化などの違いだと思います。

  •  ワシントンポスト、まあ地方紙ですからね。ずいぶん小さなところからごきげんようという感じで。
    <新聞発行部数ランキング>
    https://00m.in/25q4r
     アメリカには。。。というよりこの世には日本のようななかば「全国紙」が存在しません。NYタイムズもワシントンポストも地方紙であり、アメリカの大多数の意見を反映してるわけではありません。日本のメディアがこの2紙をよく取り上げますが、現地特派員という「現地に溶け込んでいない」社員がこの2紙を取り上げているのを見るともうなんだか・・・。
     もっとも、我々の「全国紙」の在り方が正しいわけではないことは身に染みてわかっていますよね。朝日新聞。。。赤い活動家の「広報誌」のようですし。日本のビジネスパーソン必読!(笑)の「日経」も、あれでよく経済紙を名乗れるかと。「国債の構造と仕組み」とか、解説できるのでしょうか。

     日本だけではなく、海外もメディアは左巻きが多いですから、会計士様のおっしゃる通り「あの」ワシントンポストに褒められるのもなんか気味が悪い気もします。

    • ローカル紙と言っても本拠地はホワイトハウスと連邦議会議事堂のあるワシントンDCなので、政治への影響力は結構大きいんですよね。

  • 私も、日本の、ここ1、2か月感染者、重傷者の急減にはキツネにつままれたような思いです。ここまでくると、冗談ではなしに、この新型コロナには、疫学的というよりも文化人類学的なアプローチが必要になってきそうですね。で、文化人類学というとフィールドワークとか参与観察とかいって、社会の中に観察者が入り込んでの科学的調査をやるそうですが、現在、そのような地道な活動をやっている人はいるんでしょうか?新聞・TV・ネットの情報でも、そのような地道な調査に基づいた、これはと思えるような議論は殆ど見当たらない感じがします。

    • はぐれ鳥様

      話に乗っからせてもらうと欧米では表情から感情を読み取るのに口元、日本は目元を注視するといわれていて、マスク拒否はそこらへんに起因するのだろうという記事を見たことがあります。
      米メジャーリーグの野球カードで選手が歯を見せて笑顔を作りながら目元が笑ってない表情に違和感を持っていましたが、なるほど目元の評価値が低いのかと納得した次第です。
      ファクターX関連で日本語は比較的に発話で唾を飛ばさない言語だともいわれていました。そうなると発話に大きな動作や特徴が無いから目元を注視するようになったのかもしれません。

      テキトーなことを申しましたがコロナ禍で得られたデータに基づいた研究が発表されることをゆるゆる待ちましょう。

  • ワクチン射った
    マスクした
    距離とった
    自宅待機した
    手洗い・うがい

    ここまでは大差無いか

    土足で自宅を歩き回らない
    特別あれもんなアジアの国々と疎遠になった

    世界中の方には最後のがおすすめです。
    それ以外特に変わった対策してません。

    • びっくりしたんだけど、野党の支持者ってまだワクチン接種率を40%位だと思ってるんだね!

      オールドメディアが仕事サボってる成果かな?

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
     中国でデルタ新型コロナが流行しているそうです。(もちろん、ゼロコロナに拘らなければ、大したことはないのかもしれませんが)
     そこで、北京冬季オリンピックを控える中国共産党としては、(外資も含めて)中国国内での経済活動を規制するのではないでしょうか。(もっとも、中国の場合は石炭不足による電力不足を誤魔化すために、新型コロナ対策と言い出す可能性もありますが)
     駄文にて失礼しました。

    • 中国はワクチンがかなりいきわたっているはずですが、中国製。
      有効率50%程度で、しかも打ち始めから時間がたっている。
      ひとたび火がつけば、あっという間に燃え広がるのではないか。
      中国当局もそれを一番心配しているので、中国以外でコロナ終息するまで国内はゼロコロナ政策をとっているのでは? そこに北京オリンピックがやってくる。メンツ上中止にはできない、中国製ワクチンが効いていないとも言えない。いまさら海外のワクチン打ちますともいえないし。困った。

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