セルフレジの普及で「有人レジの有料化」はあるのか?

本稿は、ちょっとした「雑感」です。大手コンビニエンスストア・チェーン店では、徐々にですが、セルフレジが増えつつあるようです。東京などの都心部の場合、店舗は狭くて入り組んでいるため、セルフレジでレジ待ちの客が減るのは大変良いことでしょう。もっとも、世の中があまりにもキャッシュレスに馴染んでしまうと、大規模停電が発生するなどした場合に心もとない気もします。

コンビニのセルフレジ

本稿は、ちょっとした「雑感メモ」です。

仕事の要領が悪いためでしょうか、著者自身は少々多忙が続いており(※いつもです)、最近ちょっとした買い物での外出もままならない日々が続いているのに加え、どうしてもランチなどはコンビニエンス・ストアを利用することも増えています。

不定期にやってくる繁忙期にこうなってしまうのは止むを得ないのですが、こうしたなか、近所のコンビニに出掛けたところ、ちょっとした変化がありました。

少し前まで設置されていなかった「自動セルフレジ」が数台設置されていたのです。

このコンビニチェーン店では、他の大型店舗を中心にセルフレジが少しずつ設置されていたのですが、当社のすぐ近所にあるのは同チェーン店の比較的小型の店舗であり、そこにセルフレジが設置されたのは、個人的には意外な気がしました。

しかもこの店舗、セルフレジ設置前はレジ前に常に行列ができていて、狭い店舗で身動きも取り辛かったのですが、セルフレジの効果か、顧客動線も非常にスムーズに流れているのです(※あるいは、単に訪れた時間帯が良かっただけ、という可能性もありますが…)。

アマゾンゴーというテクノロジー

この点、最新テクノロジーという意味では、「アマゾンドットコム」が運営する、ニューヨークなどにある「アマゾンゴー」が有名です。

これは、一種の「無人店舗」ですが、買い物カゴもレジもなく、顧客は店内で商品を手に取り、自身のカバンにそのまま放り込み、店を出たら自動で決済される、という仕組みだそうです(なお、あらかじめアプリをダウンロードしておかねばならない、などの条件があるそうです)。

本稿執筆時点において、さすがに日本のコンビニでこの「アマゾンゴー」のような仕組みを実装した大手コンビニチェーン店はまだ出現していませんが、昨今では、タグを自動的に読み取る技術なども飛躍的に進歩しているようです。

最近だと大阪の中小企業が開発したセルフレジ特許を某大手アパレル企業が侵害したとして、法廷闘争が行われているようですが、こうした技術の進歩は目覚ましく、コンビニやスーパーなどでも、いちいちバーコードを読み込ませなくても合計金額を計算することができるような時代が、もうすぐに到来するかもしれません。

(※なお、くだんの某アパレル企業を相手取った特許訴訟については、個人的には同じ中小企業経営者として、技術開発者を応援したいと思う次第です。)

現金商売にコストがかかる!?

さて、セルフレジの件に話を戻しましょう。

さきほども申しあげたとおり、某店舗を含めた都心のコンビニは、総じて店内が狭く、顧客の動線の確保もなかなかに大変だ、という特徴があります。

ただ、セルフレジの導入の成果でしょうか、たしかにレジ待ちの客が減ったように思えます。

この点、個人的な主観に基づけば、セルフレジでそこまで劇的にレジ待ちの客が減るとも思えませんでした。もたもたする人もいるでしょうし、また、ほとんどのケースでは、セルフレジはクレジットカードやペイアプリ、電子マネーなどの「キャッシュレス決済」でなければ使用することができません。

これについていろいろと観察していたところ、たしかにセルフレジでもたつく人もいるのですが、それと同時に、セルフレジには「休み」がない、という特徴があります。これに対し有人レジだと、日中の最も忙しい時間帯は別として、それ以外の時間帯だ「店員が休憩を取る」などの事情でカウンターに人がいないというケースもあります。

ふと思い浮かんだのですが、もしかすると将来、たとえば「現金を使って有人レジでモノを買う」というケースでは、余計なおカネがかかる、という時代が来るかもしれません(※なお、コンビニと違い、某スーパーの場合、セルフレジは現金にも対応しています)。

ここで真っ先に思い出すのが、『現金商売にこだわるなら、両替手数料は「必要コスト」』などでも述べた、「小銭のコスト」です。

こうしたなか、少し前に、ゆうちょ銀行が2022年1月17日以降、「硬貨取扱料金」というものを新設する、という話題がありました。

ゆうちょ銀行「大量の小銭預け入れ」有料に 神社「お賽銭」の扱いにひと苦労

―――2021年07月06日20時00分付 J-CASTニュースより

『J-CASTニュース』によると、これは窓口で51枚以上の硬貨を預ける際、100枚まで550円、といった具合に、手数料が徴収される、というものです。

すでに大手銀行では硬貨の両替手数料や預入手数料が発生していますが、記事タイトルにもあるとおり、まさに5円玉だの、10円玉だのといった「お賽銭」を直撃する可能性が出て来た、ということでしょう。このように考えていくならば、今後の世の中のトレンドとしては、やはり現金商売がますます難しくなっていくのかもしれません。

「ますます便利に」…災害時は?

ただし、たしかに電子マネーを含めたキャッシュレス決済は、ユーザー、販売者などから見て便利な仕組みではありますが、世の中があまりにも「キャッシュレス」決済に対応し過ぎると、大規模停電(ブラックアウト)などが生じた際に、すべての決済インフラが止まる、という可能性があります。

このように考えていくと、やはりユーザーサイドとしては、「災害に備える」という観点からは、小瓶や引出にちょっとした現金(とくに千円札、百円硬貨、十円硬貨)をある程度の枚数は溜めておいて、数日間のブラックアウトに備える、という努力はした方が良いのかもしれない、と思う次第です。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. 欧州某国駐在 より:

    セルフレジはこちらの国のスーパーでは当たり前なのですごく便利です。またキャッシュレス決済ですがコロナの影響でずいぶんと進みました。ありていに言えば硬貨やお札を介しての感染防止がはじまりでしたが。
    ちなみにキャッシュレス決済の問題点はご指摘の停電時の問題もありますが、こちらで問題になっているのは銀行口座などを持っていない人が買い物ができないということです。ホームレスの方々をはじめ信用の問題から口座を開けない人が一定数存在します。そういう方々が現金を持っていても買い物ができないというおかしな現象が発生して結構問題になっています。ちょっと前ですがどうみてもホームレスの方が「オレはただでパンをくれと言っているのではないんだ。ここにお金はあるんだ。なぜ売ってもらえないんだ」と、涙声で店員に言っているのを見ました。ちょっと胸がつまるシーンでした・・・。

    1. とある福岡市民 より:

       ああ、無情……

       そのうち、パンを現金で買おうとして断られた人が、パンを盗んで懲役19年の刑を受ける、なんて話が出てくるのでしょうか?

    2. ちょろんぼ より:

      欧州某国駐在様

      同様な件は何年か前、北欧の事例で見た事があります。
      北欧の事例では高齢者でしたね。 カードの使い方が解らずパンが買えない
      という問題でした。 お金は持っているのですけど、買えないのです。
      日本の今後の問題は、地震等災害での問題だけでなく
      北欧と同様、高齢者のチャージができない等の問題が出て来ると思います。
      目が悪くなると、機械の表示が見えなくなると聞いております。

  2. 迷王星 より:

    >こうしたなか、少し前に、ゆうちょ銀行が2022年1月17日以降、「硬貨取扱料金」というものを新設する、という話題がありました。

    これは已むを得ないでしょうね.
    元々,法律でも同一の硬貨に関して強制通用力が認められているのは20枚までで,21枚以上の同一通貨に関しては銀行でも受け取りを拒否する自由が法的に認められていましたから,処理に手間=コストがかかる51枚以上もの同一通貨による入金に対して処理費用を求めるのは,ある意味では当たり前だと思います.

    この大量の硬貨の銀行での受け入れに関しては,これまでが法律を超えたサービスを無償で提供してもらっていたに過ぎません.

    この大量硬貨による入金有料化の件と,コンビニなど一般人向けの小売りにおいて有人レジの有料化(店舗側に現実に人件費というコストが発生しているとは言えども高齢者などデジタル弱者に新たな負担を強制する仕組み)や(日本のような世界一の自然災害大国で,しかもブログ主様もお認めの通り自然災害に対して極めて脆弱な)キャッシュレス社会への誘導の一環としての法律で無制限の強制通用力が認められている紙幣を主とした現金による支払いの有料化とかが社会的に許されるべきか否かとは,全くの別問題だと思います.

  3. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

    有人レジの有料化、さらに進んで有人レジの廃止を推進したら
    店員の数が減って経済的になる
    つまり、今まで店員だった人が無職になる

    1. 匿名 より:

      見事なまでの社保庁理論w
      社保庁って効率化したら職員の職がなくなるって言って業務の効率化を阻んでたんだよね。もしかしてあんた、五毛じゃなくて実は社保庁の職員だろ。

    2. 門外漢 より:

      無人化・効率化って、結局雇用の流動化を実現しなければ、儲かる会社と職に就けない労働者に二極化すると思うんです。
      しかし流動化っても、機械に置き換え可能な単純労働に就いてる人をより知的な労働環境に誘導するって、どうするんですかねえ?

  4. 福岡在住者 より:

    この業界のセルフレジは、将来的にはあるのかもしれませんが、人件費削減目的でこれをやるのは、どうなんでしょうかね? 今のセブン・イレブンのレジ・レベルであと5~10年くらい繋いだ方が、「平和な日本」だと思います。
    留学生などの外国人を最近よく見ます。 彼ら・彼女たちの収入源なのです。

    若者向けに、極一部地域限定(例えば大学内とか)で「格安」をやるのも良いと思うのですが、盗みを正業にする「強者」も出現するでしょうか?

    いずれにせよ、世代交代がかなり進まない限り難しいと思っています。 例えば、スーパー「イオン」の有人レジの長蛇の列。 金融のブラックリスト様以外がほとんどと思いますが、不思議な光景です。

  5. とある郵便局員 より:

    みなさまにおかれましては、今回のゆうちょの料金改定は広範囲になるということをご承知ください。
     1.硬貨の入出金を伴うATMの入出金に手数料がかかる。
     2.窓口からの現金からの振込に、別途手数料がかかる(通信販売などで商品を購入したときによく同封されている郵便局用の振込用紙なども)
     3.郵便局以外に設置されているゆうちょのATMの時間外手数料がかかる。
     4.定額小為替などの手数料の値上げ。
    硬貨だけじゃあないんです。

    1. 裏縦貫線 より:

      払込票による窓口での振込はずいぶん手数料が上がってしまいました。紙で払込証明を貰う筆夜がないかぎりATMに行ってしまいます。受取る側に払込票のコピーが届くのも有料になったようです。民営化を実感します。「貯金小切手」は今でも手数料無料でしょうか。郵貯の限度額が今よりずっと低かった頃は、銀行にお金を移すときに時折利用していました。

  6. トトちん より:

    セルフレジは20年以上前からアメリカでは研究されていました。ICタグを貼り付けることでレジを通らなくても会員登録した方がレジを通らなくても決算出来るシステムを開発しましたが、ICタグがどうしてもコスト的に価格が下がらず、食品スーパーでは導入出来ませんでした。小さな店舗では入店客を絞りカメラで追って精算するシステムが使われています。今日本国ではスーパーで行われているレジでは支払い部分だけお客様が行う自動精算が主流になりました。しかし、レジを通ってご自分で精算しない方が少数ですがいるのが現状です。アメリカのスーパーでは日本国には考えられないシステム、遊園地の出入り口のようになっています。日本国では北海道で見ましたが、客数から非常に難しいです。

  7. クロワッサン より:

    良いアイデアだと思います。

    日本社会の人達ってお店の人に無料で何かをして貰う事を軽く受け止めている感じが強いですけど、実際にはお店に居るだけで時給などのお金が発生してる訳ですしね。

    自宅がお店に近いから買った商品を運んで貰えて当然と考えている人とか居ますし。

    1. バシラス・アンシラシスは土壌常在菌 より:

      機械ならなぜ無料になるの?
      機械も電気代かかるけどね

  8. がみ より:

    最近はちょっと違うようですが、現時点でのセルフレジ以上に有能だったのは昭和の時代のキオスクの売り子さんだっのでは?

    複数客相手に各お客の手にとった商品合計額暗算して、出したお金(お札も含む)に応じた釣り銭がマッハの速度でかえってくる。
    尚且つ、同時に商品補充もこなす!

    マシンの用な完璧売り子さんたちがそこには居た!

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