本稿は、ショートメモです。岸田文雄首相が就任後、韓国との電話首脳会談が実現していないことを巡って、韓国メディアがしきりに気にしているようですが、こうしたなか、昨晩は「韓国大統領府高官」が、日韓電話首脳会談の「日程を調整中」、「決定すれば発表する」と述べた、と韓国メディアが報じました。たかが電話会談を、しかもまだ調整中の段階でわざわざ発表すること自体、韓国政府の置かれた苦境の証拠でしょう。
目次
日韓電話会談がまだ行われていないことの意味
『岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク』や『韓国メディア「韓国の解決意思に日本の政権も呼応を」』では、岸田文雄首相が今月4日に就任して以来、各国の首脳との電話会談に踏み切るなかで、韓国の文在寅(ぶん・ざいいん)大統領との会談が実現していない、とする話題を取り上げました。
韓国メディア『ハンギョレ新聞』(日本語版)に今朝、岸田文雄首相が就任後に電話首脳会談を行っている相手国から韓国が「後回し」にされているとする記事が掲載されていました。国際法、条約、約束を守らない相手国に対する対応としては、ある意味では当然のことではあります。ただ、その一方で、韓国で「李在明大統領」が実現するならば、日韓関係はさらに緊迫したものとなってくる危険性もあります。人間関係と外交関係「みんな仲良く」論のウソひとつ、個人的な体験談を告白しておくならば、ウェブ主自身、学生時代には「みんな仲... 岸田首相の電話首脳会談「韓国飛ばし」と李在明リスク - 新宿会計士の政治経済評論 |
日本に必要なのは「日韓テーパリング」準備当ウェブサイトではこれまで、日韓関係を巡っては、日本側からの「対韓譲歩・配慮論」と韓国側からの「用日論」が、ひとつのセットだと考えて来ました。その考え方が間違っていない証拠は、韓国メディアに不定期に掲載される、「日本が韓国に対して譲歩すべきだ」とする「用日論」的な発想です。ただ、こうした議論を読むと、やはり日本に必要なのは日韓友好論ではなく、「日韓テーパリング論」ではないかと思えてならないのです。日韓友好+韓日友好論日韓友好の3類型~自己反省を込めて~... 韓国メディア「韓国の解決意思に日本の政権も呼応を」 - 新宿会計士の政治経済評論 |
具体的には、岸田首相はすでに、ジョー・バイデン米大統領、スコット・モリソン豪首相、ウラジミル・プーチン露大統領、ナレンドラ・モディ印首相、習近平(しゅう・きんぺい)中国主席らと、相次いで、電話での会談を実施しています。
これについては日本にとって最も重要な同盟相手国である米国を筆頭に、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)にコミットする「クアッド」構成国であるインドと豪州との関係を、非常に大切にしているという意味では、象徴的なものです。
この点、日本外交は菅義偉総理大臣のイニシアティブ下で、中露韓などの「近隣国」を重視するというものから、すでにFOIP重視型に舵を切ったわけですが、それでもやはり近隣国との関係は重要であり、その意味では中国、ロシアとも会話を交わしたというのは、菅総理の後継者でもある岸田首相なりの判断でしょう。
しかし、そもそも韓国は、日本から見た「友好国」カテゴリーであるFOIPには含まれていませんし、中露と同じ「近隣国」カテゴリーにあるはずの韓国が後回しにされたというのは、韓国にとってはいたく衝撃的な出来事なのかもしれません。
このあたり、一部のメディアは岸田首相が「選挙対策」、つまり「韓国に対して厳しい姿勢を示すことを有権者にアピールするためにある」、といった見方を示しているようですが、個人的には、そのような見方には賛同しません。
そもそも有権者は、日韓関係を見ているほど暇ではないからです。
韓国が日本にとって「どうでも良い国」になりつつある
おそらく、常識的に考えていけば、現在の日本は、外交・安全保障面では、日々高まる中国リスクのマネージとFOIPの実現に向けて忙しく、FOIPにコミットしているわけでもない韓国は、正直、「どうでも良い国」と化しつつあるのです。
もちろん、韓国といえば、「日米同盟」プラス「米韓同盟」、すなわち「日米韓3ヵ国連携」の相手国ではありますが、この「日米韓3ヵ国連携」の仕組み自体、形骸化も甚だしいものがあります。
岸田首相自身、2015年12月には安倍晋三総理大臣のもとでの外相として、日韓慰安婦合意の形成に当事者として関与しましたが、この慰安婦合意自体、短期的には「日米韓3ヵ国連携」を円滑に機能させる、という意味合いがありました。
実際、慰安婦合意の直後、2016年7月8日には米韓両国が在韓米軍への高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備で合意しましたし、同年11月23日には、稲田朋美防衛相(当時)が韓国との間での軍事情報保護協定(いわゆる日韓GSOMIA)に署名しています。
しかし、この慰安婦合意の存在にも関わらず、韓国はソウルの日本大使館前の慰安婦像問題の解決に、誠実に取り組もうとしませんでしたし、あろうことか、釜山にある日本総領事館前の公道上には2016年12月末、あらたな慰安婦像の設置も許してしまいました。
激怒した日本政府は、当時の官房長官だった菅総理が2017年1月6日、韓国への対抗措置として、日韓通貨スワップ再開交渉などの無期限延期を打ち出し、実際、日韓通貨スワップは今日に至るまで再開の兆しは一切見られません。
しかも、さらに困ったことに、2017年3月に罷免された朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領に代わって、同年5月の選挙を制して就任した文在寅(ぶん・ざいいん)大統領は、この慰安婦合意をいともあっけなく破りました。
慰安婦合意時の当事者だった岸田首相としては、韓国が慰安婦合意により設立された財団を再設立し、慰安婦合意を着実に履行すると言明しない限りは、どうも韓国との協力についてはやり辛いところでしょう。
もちろん、岸田「外相」を慰安婦合意の当事者にした安倍総理の狙いが、最初から韓国が合意を破ることを見越して、岸田氏が将来首相になったときに韓国に変な譲歩をしないようにする点にあったのかどうかは、正直、よくわかりません。
ただ、そのような狙いがもしもあったのだとしたら、安倍総理が良い意味で、大変に老獪(ろうかい)な人物であることは間違いないでしょう。
たかだか電話会談、しかも「調整中」なのに発表した韓国政府の焦り
さて、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)は昨夜、こんな記事を配信しました。
文大統領と岸田首相の電話会談 韓国「日程調整中」
―――2021.10.12 19:30付 聯合ニュース日本語版より
聯合ニュースによると、韓国大統領府高官が12日、記者団に対し、日韓電話首脳会談について「日程を調整中」、「決定すれば発表する」などと述べたのだとか。
この点、韓国政府の場合、「~で調整中」などと述べ、それが結果として「ウソでした」、といった事例が大変に多いので、本件についても「じつはそんな調整、まったくやっていませんでした」というオチなのかもしれない、という可能性はあります。
ただ、もしそうだとしても、正直、文在寅氏の訪日などではなく、ただの電話会談であり、しかもいまだに正式決定していないにもかかわらず「調整中」と報道発表するという事実自体が、現在の日韓関係を象徴しています。
先ほど申し上げたとおり、当ウェブサイトとしては、日韓電話首脳会談が実現していない理由は「岸田首相が韓国に対して強硬な姿勢を示しているから」ではなく、単純に「現在の日本政府にとって、韓国の戦略的な重要性が、本当に低くなってしまったから」だと考えています。
したがって、「最優先で会話する相手ではない」、というわけですが、余裕があればいちおう、形のうえでは会談し、「日韓関係を正常で健全なものに戻すためのきっかけを韓国自身が作ってほしい」くらいのことは岸田首相としても述べておくべきだ、といった程度のことでしょう。
韓国と積極的に首脳会談を開こうとする国はない
ただ、韓国大統領府自身が「調整中」という状況でこれを発表したこと自体、現在の韓国政府がいかに外国から相手にされていなくて焦っているか、という証拠に思えてならないのです。
『鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及』でも紹介しましたが、韓国観察者の鈴置高史氏が7月16日付『デイリー新潮』の『文在寅が菅首相をストーカーするのはなぜか 「北京五輪説」「米国圧力説」……やはり「監獄回避説」が有力』で、こんな内容を述べています。
「平気で約束を破り、堂々と他人を裏切る韓国と首脳会談を開こうとする国はまず出てこない。何を取りきめようが、すぐに反故にされるからです。日本と韓国がうまくいかない原因は『日韓関係の特殊性』ではなく『韓国の特殊性』にあるのです」。
文在寅氏「ブラックスワン・ストーカー」説、いつにもまして辛辣な小気味よさ巷間「日韓関係の特殊性」に関して議論する人はいますが、じつは特殊なのは「日韓関係」ではなく「韓国」だったと指摘されれば、思わず目からウロコが落ちるという思いをすることができます。日本を代表する鈴置高史氏が昨日、『デイリー新潮』に寄稿した最新論考では、文在寅氏が日韓首脳会談に拘る理由――「ブラックスワン・ストーカー説」――について、あらためて丁寧に説明されています。どうなった?「文在寅氏の訪日」論文在寅氏は日本にやって来るの?... 鈴置論考、「日韓の」ではなく「韓国の」特殊性に言及 - 新宿会計士の政治経済評論 |
私たち日本人にとっては、韓国といえば「日本との関係が破綻しかねない状態にある国」、というイメージを持ってしまうフシがありますが、その韓国は、度重なる約束破り、ウソツキのため、北朝鮮からも、米国からも、中国からも袖にされている状況だと考えれば良いでしょう。
いずれにせよ、今月末の衆院選で自民党が引き続き政権与党としての地位を維持したとして、岸田首相が国際法違反を続ける韓国に「手を差し出す」可能性は非常に少なく、日韓関係が修復されるにせよ破壊されるにせよ、「動く」としたら、文在寅氏の大統領としての任期切れを待つしかなさそうです。
もっとも、その前に韓国発の金融危機、通貨危機などがあるかもしれませんが、これについては少し議論が長くなりますので、余裕があれば別稿にて議論したいと思う次第です。
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>先ほど申し上げたとおり、当ウェブサイトとしては、日韓電話首脳会談が実現していない理由は「岸田首相が韓国に対して強硬な姿勢を示しているから」ではなく、単純に「現在の日本政府にとって、韓国の戦略的な重要性が、本当に低くなってしまったから」だと考えています。
韓国の戦略的な重要性が高いままだったら、岸田首相が文在寅主席報道官に「約束を守らないのは韓国と新たな約束を結ぶ事は出来ない」などと直接伝える事が起こり得るのか、ふと疑問に思いました。
決裂が表面化すると、それはそれで問題な訳で、表面化させない為に電話会談をしないという選択もあるんじゃないかと。
どうせ衆院選後に、再組閣することになるので、挨拶はその後で十分ですね。
あっ、もう年末ですね。
クリスマスと新年の挨拶、来年の暑中見舞を最後にまとめてでいいんじゃないですか。
ご近所であっても、
「あらやだ。最近静かだと思ったら、いつの間にか孤独死してたのね。キャハ」
で済ませる関係があってもいいではありませんか。
電話会談するする詐欺でしょうか。何れにしても韓国側にとって今の状況は都合が悪いのでしょう。よって今の状態が日本にとって正しいと言えますね。客観的に見ても会談するメリットは皆無に等しく、むしろ害になる可能性もありますからね。
>たかが電話会談、しかも調整段階で発表した韓国の苦境
「ウリに早く電話するニダ」。
明日解散だから、今日電話会談が無いと、イーシャさんの言う通り、総選挙後でもおかしくないと思います。
青瓦台が「電話会談を調整中」と発表して、「電話会談が無いまま放置されるリスク」なんか、ウリは考え無いニダ。
岸田首相にとっては、新総裁として初の国政選挙ですので、是非とも集中して結果を出して欲しいものですね。
黒電話「呼んだ?」
門外漢様。
パチパチパチ。
座布団差し上げます。
>韓国と積極的に首脳会談を開こうとする国はない
英国が韓国を日本の朋友国?的な位置づけで招聘したG7の場での、菅総理の塩対応ぶりが象徴的だった気がします。
*もはや日本は韓国の後見国ではありません。
仰る通り、菅さんは韓国への塩対応というわかり易い形で、日韓関係をG7首脳に理解させたのだと思います。
あれだけ反日を唱えていたのに、電話をもらえないと、気になるのですかね。日経の言う通り選挙対策もあるでしょうが、より多くは、日本における韓国の重要度の低下じゃないですか。日韓基本協定は無視する、慰安婦合意は実質破棄する、そんな国と付き合っても仕方ない、政府もそう思い、国民の多数もそう思っている。まあ電話挨拶ぐらいはしてもいいけど。気にするということは、外交手段として有効だと自認するようなもので、韓国の国益に沿わないと思いますが。
韓国メディアでは、「総選挙対策として使うことが有効視されるくらいに、日本にとって韓国は重要な国なのだ」という論調が飛び交ってますよ。自称先進国(一応、UNCTADはそう認めてますが)で世界の大国である(つもりの)韓国としては、日本に軽視されるというのが苦痛で仕方なく、甚だ不本意であるということなんでしょうね。
まあ、明日衆議院を解散すればそのまま総選挙モードに突入し、岸田総理も大変忙しくなるでしょうから、適当なところで時候の挨拶くらいはしてもいいんじゃないですか。どうせ中身のある会談などになるはずもないんだし。
「今日は、青瓦台はたいへんな人ですこと!」と言ってあげましょうか?
と、どなたかが、アントワネットの言葉を待つデュバリー夫人のようだと。
そう言ってマシタ。
韓国が日本との関係をよくしたい(そう見せたい)のはアメリカからのプレッシャーでしょう。
「韓国側から電話会談を提案しているのに日本が応じない」という状況をつくりアメリカに「やってます、日本が消極的」と見せたい。オリンピックの開会式出席問題と同じだね。
彼らが何を考えているのか注意する必要がありそうだ。
でも、その手口も使い過ぎて、もはや底意がバレバレなので、少なくとも文在寅政権の間は通用しないんじゃないかなぁ。日本の新首相から挨拶を何番目に受けたかなんて気にしているのは韓国だけだろうし。
駐日大使の決定、東京オリ・パラに合わせた文在寅大統領の訪日、そして今回の電話会談と、調整中もしくは調整もしていないのに韓国が勝手にマスコミを使って発表する手口が常態化しています。
オオカミ少年の嘘は3度までなので、4度目には誰も駆けつけず食い殺されるという結末が待っています。
狼少年は嘘つきではなく、常に真実を語っていた可能性あるかもよ
村人が狼で騒ぎ出したら、狼も逃げるだろうってこと
えーっと、意味わかんね。??
>狼少年は嘘つきではなく、
>常に真実を語っていた可能性あるかもよ
この場合は
オオカミ少年は本当に
狼を見て騒いでいたけど
狼のほうがより狡猾で襲撃の都度
村人の出てくる気配を察知して
村人に姿を見られる前に逃げて
(それも三回も!)
結果的にオオカミ少年が村人に
ウソツキ認定されてしまい
四回目の襲撃でとうとう村人が
少年を助けに出てこないことで
狼がおいしく少年を食した。
ということでしょう。
匿名29号さまの言いたいことが
全く伝わっていないレスに
マジ解説しました。(苦笑)
安倍、菅、岸田と見事に韓国無視ですよね。ある意味、これだけは国民の要望を、何の
苦労もなく手軽に反映させることができるのが今の日本ですね。(時代や世代が代わるって、
こういうことなんですね。)
しかし、まあ、ひとつ関わると、誤解、曲解、嘘、妄想を入り交ぜて、10の揉め事を作り
出して返してくる韓国人には、正直、だれも相手にしたくないのは良く分かります。だから
と言って無視していては・・・。と言うパターンが一般的なのですが、韓国に関しては、
それでも何ら問題ないのですから・・。まあ、気を使わなくていい、どうでもいい国という
本音がよく出ているのではないでしょうか。
最近、何かにつけて日本を追い越しただの、日本は何番目?だとか言っているが、本音は
挑発して、日本に振り向いてほしいからなのだと思います。世界を席巻する韓流とか言って
いますが、ほとんどの売り上げは日本によるものらしいです。
北と同様にホットラインでも繋いで、外務省の兼務特認係長クラスが朝
「繋がりました」
夕方
「お疲れ様でした。遮断します。」
でいいんじゃないかな?
文さんや韓国政府は、この程度でも
「今日の最後の連絡が来ない…心配だぁ」
なんですから安心させてあげるか。
自動音声係長でもいいんだし。
カスタマーセンターで対応させては如何でしょうか。
要件を0〜9に割り振って、例えば、通貨スワップに関する事は0を、ワクチンスワップに関する事は1を、外交交渉に関する事は2を、TPP加入申請については3を、ホワイト国復帰に関するご相談は4を、首脳会談申請に関するご相談は5を、国際法遵守に関するご相談は6を、以下…………。
「現在、お電話が大変混雑しておりますので、このまま暫くお待ちいただくか、再度おかけ下さいますようお願いいたします」
なにぶん多忙な時期ですからこの対応で致し方ないと思います。
路傍の小石様
9時〜17時開設・土日祝祭日は「本日の営業は終了しました。」もありですね。
かけてくるんだからメッセージ前に世論調査にご協力いただくとかCM音声聴いてもらって経費捻出するとか。