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    Categories: RMB金融

中国が途上国に対し「ドル建て」で7686億ドル融資

債務の罠に嵌っているのは、じつは中国自身?

巷間では、中国が途上国に対し、返しきれないくらいの多額のカネを貸し、借金のカタに港湾などのインフラを取り上げる、といったやり口への警戒が強まっているようです。こうしたなか、「中国の一帯一路プロジェクトで中国が8430億ドルを途上国に貸し付けている」とする研究結果が公表されたのですが、個人的にそれよりももっと注目したいのが、ドル建ての貸付金が7686億ドルにも達している(らしい)、という点です。

実態のない一帯一路

一帯一路プロジェクト

中国政府が2015年ごろから「鳴り物入り」で展開しているプロジェクトがいくつかありますが、そのうちのひとつが、「一帯一路」です。英語圏では “Belt and Road Initiative” を略してBRIなどと呼ばれることもあります。

ただ、『行き詰まる一帯一路構想と中国に失望する中・東欧諸国』などを含め、以前からしばしば報告しているとおり、この一帯一路には、どうも具体性があまりありません。

たとえば、中国国務院ウェブサイトに2015年3月30日付で掲載された次の記事には、ダラダラと抽象的な理念がひたすら綴られています。

Full text: Action plan on the Belt and Road Initiative

―――2015/03/30 19:31付 中国国務院ウェブサイト英語版より

このなかで、一帯一路について定義あるいは理念を謳っていると思しき文章は、おそらく次のくだりでしょう。

The Belt and Road Initiative aims to promote the connectivity of Asian, European and African continents and their adjacent seas, establish and strengthen partnerships among the countries along the Belt and Road, set up all-dimensional, multitiered and composite connectivity networks, and realize diversified, independent, balanced and sustainable development in these countries.

当ウェブサイトなりに意訳・要約すれば、こんな感じです。

一帯一路はアジア、欧州、アフリカ大陸とその隣接海域の接続を促進し、一帯一路に沿った地域間のパートナーシップを確立・強化し、あらゆる次元における多層的・複合的な接続ネットワークを確立・構成し、これら諸国に多様で独立で均衡が取れ持続可能な発展をもたらすことを目的としている」。

…。

大変に抽象的で大変にわかり辛い文章であり、思わずひと昔前のソ連のプロパガンダ文を見せつけられているような錯覚にも陥る人もいるかもしれませんが、あえてここから意味を汲み取るならば、「一帯一路諸国が経済的に有機的に結びつき、一緒に発展しましょう」、ということではないでしょうか。

不可解な一帯一路の地図

さらに興味深いのが、中国国務院報道局の英語版ウェブサイトに設けられた “How the world will benefit from China’s Belt and Road?” というページに掲載された、こんな地図でしょう(図表1)。

図表1 「新シルクロードと21世紀の海上シルクロード」

(【出所】中国国務院報道局英語版ウェブサイト “How the world will benefit from China’s Belt and Road?” )

さりげなく、日本が完全に無視されているというのも大変興味深い点ですが、それだけではありません。そもそも、陸路に関しては、明らかにそこは欧州とアジアを結ぶ「最短ルート」ではありませんし、シベリア鉄道に関しても完全にその存在を無視されています。

このあたり、『日本がシベリア鉄道よりもFOIPを重視するのも当然』などでも議論しましたが、アジアと欧州を「陸路の最短距離で」効率良く結ぶなら、シベリア鉄道の改良が最も理想的な選択肢です。

逆に言えば、「一帯一路」とは「陸路の最短距離で経済の一体化を図る」という構想ではない、という意味であり、どちらかといえば中国が自国の影響力を拡大するために、「現代版シルクロード」の地域を版図に収めようとする構想にも見えてしまうのです。

あるいは、遅れてきた「3B(ベルリン-ビザンチウム-バグダッド)政策」(※19世紀にドイツ帝国のヴィルヘルムⅡ世皇帝が主導したドイツの帝国主義政策)などを思い出してしまいます。

ツッコミどころとしては、ほかにもいくつもあります。たとえば海路については、スエズ運河やマラッカ海峡などは、中国とは無関係にすでに通路として確立していますし、南シナ海に関しては、むしろ中国が違法な海洋進出を通じて航行の自由を妨げている側でしょう。

AIIBの迷走

さらに興味深いのは、「一帯一路構想」を推進する資金供給役だったはずの、「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の迷走でしょう。

日米が「乗り遅れた」AIIB発足6年目のお寒い現状』でも説明しましたが、AIIBは発足から6年を迎え、世界87ヵ国から1000億ドル近い出資をかき集めたにも関わらず、「本業」に属すると思しき融資は100億ドル少々に過ぎず、しかもそのうち80億ドルあまりは「コロナ関連融資」です。

これだとまるで、「武漢肺炎を発症させる新型コロナウィルスは、中国がAIIBの融資を活発化させるために世界にばらまいたのではないか」、といった皮肉のひとつでも言ってやりたくなります。

いずれにせよ、本来ならば「アジアのインフラに投資する」はずの1000億ドル(約11兆円)という出資のうち、「本業」であるアジアのインフラ投資額は、残りわずか20億ドル少々、日本円にして2200億円前後という計算です。

そういえば、日本がAIIBに参加しなかった2015年当時、「今後、日本はアジアのインフラビジネスから除け者にされる」と言い放った方もいらっしゃいましたが、日本の3つのメガバンクだけで700兆円近い総資産を抱えているという事実をご存じではないのでしょうか。

たかだか11兆円ごときの出資規模で、あるいは設立6面目でたかだが2200億円程度の融資で、いつ、どうやって「日本をアジアのインフラビジネスから除け者にする」つもりなのか、あらためてご高見をお伺いしたいと思う次第です。

いずれにせよ、中国は見かけ上、世界第2位の経済大国に浮上していますが、アジアにおけるインフラ金融の世界では、日本や米国が主導するアジア開発銀行(ADB)という「ガリバー」にも、日本のメガバンク税にも、まったく太刀打ちできていません。

それどころか中国の通貨・人民元自体、国際化に向けた動きが、事実上、2015年を境にプッツリと止まってしまいました(『数字で読む「人民元の国際化は2015年で止まった」』等参照)。

(※余談ですが、中国が日本から「奪った」ものといえば、インドネシアへの高速鉄道輸出案件くらいでしょうが、これもプロジェクト自体は順調に難航しているようです。もしも余裕があれば、近日中に別稿にて議論したいと思います。)

中国の融資の実態

ファイナンス主体も多数存在する

さらに、この「一帯一路」構想、実態がよくわからない理由はいくつかあるのですが、その最たるものは、そのファイナンスの規模、種類、内容などについて、全体像がいまひとつつかめないからです。

中国政府、あるいは中国共産党が所有している「ツール」は、AIIBだけでなく、ほかにもたくさんあるようです。有名どころとしては、たとえば「シルクロード基金」、「中国投資有限責任公司」(いわゆるチャイナ版SWF※)などが挙げられるでしょう。

(※SWFとは:英語の “Sovereign Wealth Fund” の頭文字を取った略語で、日本語で「国富ファンド」と俗称される存在。おもに政府などが外貨準備を積極運用するためのファンド)

先ほど、「AIIBの融資が鳴かず飛ばずだ」と申し上げましたが、私見ですがその最たる理由は、AIIBには中国以外にも多数の国が入っているからでしょう(たとえばG7だと日米両国を除くすべての国が、G20だと日米+メキシコを除くすべての国が、それぞれ参加または参加意思を表明しています)。

つまり、AIIBだとガバナンス的に実行できない融資は、中国本土のこれらの基金が担当している可能性がある、というわけです。

米国の研究について

こうしたなか、米国にある「ウィリアム・アンド・メアリー大学」(W&M)の研究所である「エイドデータ」が先日、こんな論考を発表しました。

AidData’s new dataset of Chinese development projects worth $843B reveals major increase in ‘hidden debt’

Belt and Road Initiative implementation problems also revealed<<…続きを読む>>
―――2021/09/29付 College of Willam and Mary News and Mediaより

タイトルとリード文からわかるとおり、一帯一路には「世界中で8430億ドル相当の『隠れ債務』を生み出している」という問題点がある、という主張です。

リード文には「一帯一路」と書かれていますが、期間的には習近平(しゅう・きんぺい)国家主席が一帯一路構想を提唱するよりも以前のものも含まれているため、これらの案件のすべてが「一帯一路関連」と見るべきではありません。

いちおう、同研究所のサマリーの説明を概観し、日本語で意訳・要約ておきましょう。

  • 本研究は300を超える中国の政府機関や国営企業が165ヵ国・13,427件のプロジェクトに提供した8430億ドル相当の資金の分析などをもとに、中国が途上国に対して提供した「融資」が「援助」の31倍だったと結論付けるものである
  • これらのなかには信用リスクが高い国に対する融資もかなり含まれており、融資条件は平均金利4.2%、期間10年未満で、これはドイツ、フランス、日本などの経済協力開発機構(OECD)によるDAC(開発援助委員会)の条件(平均金利1.1%、期間28年)と比べ、借り手にとって非常に不利である
  • これらの融資の特徴は、借り手の主体が当該国の政府ではなく、国有銀行・国有企業、あるいは特別目的事業体(SPV)や合弁事業、民間企業などであり、さらには民間債務と公的債務の区別があいまいとなっているなどの問題が生じている

…。

ここに書かれている内容が事実だとしたら、AIIBでほとんど融資が伸びていない理由も、なんとなく理解できます。

途上国金融にはありがちですが、汚職がはびこる国では、実質的な政府債務であるにも関わらず、独裁者・権力者・政府高官、あるいはこれらのものと癒着した者たちや彼らの経営する私企業などに資金が流れ、それが当該国の債務なのか、その私企業の債務なのかがあいまいになってしまう、という事例でしょう。

問題は、それだけではありません。

資金を出す側の中国も、中国輸出入銀行や中国開発銀行などの「政策銀行」だけでなく、国営商業銀行(中国銀行、中国工商銀行、中国建設銀行など)が積極的に関わる「メガプロジェクト」も増えており、さらには債務者に対する担保なども積極的に使用されている、というのです。

すなわち、融資を出す側も受ける側も、外部から見て、政府部門のバランスシートの計上されないという問題点があるのだ、ということなのでしょう。

データ自体の完全性には強い疑念も

もっとも、非常に残念ながら、個人的にはこの研究データについては、正しいのかどうか、よくわかりません。

研究のバックデータについてはエイドデータ研究所のサイトからZIPファイル形式でダウンロード可能です。

AidData’s Global Chinese Development Finance Dataset, Version 2.0

具体的には、次のとおりだそうです。

  • 収録されているのは2000年から2017年までに承認され、2021年までに実行された13427件
  • 資金を受領した国は世界165ヵ国、金額は8430億ドル
  • 資金を拠出したのは中国の政府系機関や国有企業など300社

ただ、残念ながら、実際の13427件のデータをダウンロードしてみたのですが、データが不完全なのか、金額が空欄のデータも多く、この「8430億ドル」という金額については、どこをどう集計したものか皆目見当がつきませんでした。

いちおう、米ドル換算の金額と思しき項目の単純合計値を示しておきましょう。

  • フィールド名「Amount (Constant USD2017)」…1,768,869,183,948
  • フィールド名「Amount (Nominal)」…1,579,935,136,559

しかし、先ほどの説明からは、これらのどれかの合計額が8430億ドルにならなければおかしいのですが、ほかのフィールドなども参考に、何度も何度も検証したものの(たとえばステータスごとに集計する、実行年が空欄のデータを飛ばす、など)、やはりどうやっても「8430億ドル」という数値は導き出せませんでした。

いずれにせよ、合っていたのは「件数」のみ、というわけです。

敢えていえば、ステータスが “Completion” (完了)と “Implementation” (実行)となっている案件について、フィールド名「Amount (Nominal)」を合計すれば「8520億6516万2072ドル」という数字が出てきますので、これが「8430億ドル」に一番近そうではありますが…。

いずれにせよ、個人的な20数年間の拙いデータ処理業務経験上、この手の「インフォメーションが極端にわかり辛く、また、データの完全性にも疑念がある」というデータは、たいていの場合、公表段階まででどこかエラーが含まれているものでもあります。

しかも、この13,427件を検証すると、中断案件(元フィールドでいえば “Cancelled” と “Suspended” )や構想段階のもの(元フィールドでいえば “Pipeline: Pledge” )などのデータも含まれてしまっており、そもそもこれらをすべて「一帯一路プロジェクト案件」に含めること自体不適切でもあります。

エクセル評論家としては忸怩たる思いがしますが、ただ、そもそもの「タテ計」が合っていない以上、これ以上このデータと格闘しても意味がないと思いました。本稿は非常に不完全燃焼ですが、データ分析は打ち切りたいと思う次第です(というか、著者自身の2時間を返せ、と言いたい気持ちでいっぱいです)。

中国の金融リスク管理の稚拙さ

さて、W&Mの研究については、データ自体がかなり不完全なものであり、サマリー本文とデータがまったく一致していない、データには実行されていないものなど明らかに不適切なものが含まれているなど、なにかと残念な代物ではありました。

ただ、中国の金融の実情については、巷間指摘されている「過大な貸付を行い、あとで施設を取り上げる」などの事例もあるのですが、それと同時に融資を受ける側の途上国も、一筋縄ではいきません。

あくまでも理屈のうえでの話かもしれませんが、たとえば、政府高官の親族が経営する私企業に中国の国営銀行が融資を行ったものの、その高官が失脚し、その企業が消滅してしまう、といった事態が生じれば、融資自体が焦げ付くということだって発生します。

当ウェブサイトとしては、今年6月のG7コミュニケ(P24)などでも指摘されていたとおり、一部の国が「債務の罠」を使って世界の途上国をカネで支配下に置こうとしている可能性は十分にあると考えています。

ただ、それと同時に、政府部門などで汚職がはびこる途上国などに対する金融のガバナンスは、途上国金融の世界ではかなり昔から指摘されてきた「基礎的論点」でもあります。

W&Mが公表した1.7兆ドル融資リストについても、中国が途上国を債務だらけにして支配下に置いてしまおうとする邪悪な意図がある、と読めなくもありませんが、金融規制の専門家という立場から見れば、中国自身が焦げ付きリスクを抱えている、ということでもあるのです。

さらには、先ほどのW&Mのリストを見てみると、融資リストのうち「米ドル建ての融資」の実行額は7686億ドルにも達しており、これは中国当局が「外貨準備」だと主張する約3.2兆ドルのうち、ざっと4分の1強、という数値でもあります。

これに対し、自国通貨である人民元建ての融資(「人民元借款」、でしょうか?)は475億ドルと、全体の5.57%しかありません(図表2)。

図表2 中国の実行済みの融資案件
通貨 金額(ドル) 割合
米ドル 768,619,667,545 90.21%
人民元 47,466,406,129 5.57%
ユーロ 24,882,739,487 2.92%
その他 11,096,348,911 1.30%
合計 852,065,162,072 100.00%

(【出所】W&M)

中国自身が信用力の低い国に対し、貴重な外貨を使い、不透明な融資を通じてそれだけ多額のエクスポージャーを抱えているということ自体、中国という国の信用リスク管理の甘さを意味しているように思えてならない、という次第です。

新宿会計士:

View Comments (10)

  • >中国自身が信用力の低い国に対し、貴重な外貨を使い・・

    ということは不適切な融資で、外貨準備高のうち最大で25%程度の資金が焦げ付いちゃってるのかも知れないんですね。

  • 中国の事実上の一党独裁、党のトップの神格化の影響もあり、兎に角一帯一路の名の下にその該当地域を中心として支配力、影響力を強めることありきで、融資が杜撰という事なのでしょうか。最初はそれなりに丁寧に戦略考えてたのでしょうけど。

  • 作ったインフラを没収するのが目的の融資だから
    焦げ付いても無問題なのでは

  • 報告書の信憑性はともかくとしても、とにかく巨額のドル建て融資が行われているらしいというところまでは確かなんでしょう。そこでちょっと気になるのが、一体どの程度の割合、どの程度の資金が「還流」されているのかということです。
    融資が行われていても、その全額がプロジェクトに投入されているとは考えにくく、それなりの割合が現地担当者または有力者のポケット、そして中国側への「還流」が行われているだろうと想像します。仮にこのような「漏出」が10%だったとしても、その総額は数百億ドルに上るでしょう(10%で済んでるとは思えませんが)。

    一昔前ならばスイスの銀行にとなったでしょうが、最近だと、タックスヘイブンのペーパーカンパニーに巨額のドル資金が積みあがっているのかもしれませんね。

    • 日韓請求権資金みたいに普通に自国企業に還流してるんじゃないですかね。

  • 会計士という職業柄からか,1円単位で正確に計算しよという努力に感服します。ただ,隠れ債務のようなものは,概算の推定値でも十分で,用途によっては,そのオーダー(何桁の数か)が分かるだけでも十分な場合があります。8430億ドルまで細かくなくても,大体1兆ドルだな,という程度で投資判断には十分使える気がします。もともと中国の発表する統計データが怪しいのは周知の話で,習近平氏にすら正確な数字は上がっていってないのではないか,とも推測しています。中国経済に対するもっと大きい不安要素は以下のように沢山あります。
    1. 恒大で判明したような不良債権や不動産バブルがどの程度あるのか。少なくとも上の数字より2~3桁以上上だと思います。
    2. 先富政策から共同富裕政策への転換の影響。
    3. 習近平氏の最近の有力民間企業潰しが今後どうなるか。
    4. 停電問題など,外国企業が中国国内で活動するのがだんだん難しくなっていく件。
    他にもいろいろあった気がしますが,すぐには思い出せません。上のような習近平氏の政策によって国内が混乱した場合,台湾に手出ししないか,それなりに心配しています。

  • 「世界の製造工場」の金看板も次第に色あせしてきて、半ばCM料のつもりでバラ撒いてきた対外融資も、そうそう大盤振る舞いを続けるわけにもいかなくなってきたのではないでしょうか。先進諸国が実施している途上国向け融資に比べて、圧倒的に金利が高いことも加わり、中国から途上国へ出て行くカネより、中国に回収されるカネが上回るという事態も、近い将来予想されそうです。

    米国の対中姿勢の硬化で、これまでのように巨額の対米貿易黒字で人民元の価値を保つのが難しいとなれば、その減少分はこれまでの膨大な貸付金の回収で補いたいところでしょうが、さて?

    しばしば当サイトで論じられている、日中両国の経済的依存度。ものの流れについて言えば、規模は巨大だが、マネーの流れについては一衣帯水の距離にある経済大国の関係にしてはあまりに小さいという指摘。

    親亀こけたら…、とならないなら、もっけの幸いですね。

  • 「共同富裕」はシナ歴史上にある目立った豪商から資金還流させ、それを国に還元するというものではないかという事です。
    一番の問題は国の手元資金の枯渇。
    現在爆弾を抱えている住宅問題、それから派生する金融危機を脱するにも、資金が必要。
    情報遮断やデモ実行者を逮捕しても、住宅ローン債務は消えない。
    国債発行し資金を得ようとしても、自国内で消化する事は難しく(購入する所は豪商)、
    海外での販売に賭ける他はない。 あれ、共産主義国で国債発行なんているのか?
    海外融資は他国を領土の一部分として活用できるが、活用するにはさらに開発資金が必要。
    早期に借金返済できる見込みの国は無い。
    巨額とされる外貨準備高の大部分を占める米国債を売却できるか、それが問題。
    さらに穀倉地帯である江南の洪水の被害は大きく、ブタのアフリカ熱問題も続き、食料・飼料の確保問題もある。 日本の食品の値上げ問題は長続きそうである。
    何年間は中共経済が低迷する可能性はあるが、日本のマスコミは従来通り中共を絶賛し続けるだろうが、昔から国内問題を解決する為、海外問題を造ってきたのは歴史では決定事項。
    では、台湾問題を解決させる時期はいつなのであろうか? 南西諸島は?尖閣ではない。
    台湾の防空識別圏内に30機以上の航空機を毎日差し向けているのは、実施前の予行演習。
    いつ本番になるかは、北京しだい。

  • 本記事の図表1をつらつら眺めて思ったのは、一帯一路構想の実際の下敷きはモンゴル人の征西と鄭和の大航海かも、ということでした。モンゴル人の征西目的が世界征服の一環であったことは明白ですが、一方の鄭和の大航海は目的がイマイチ不明確です。ですが、仮にあの事業が中断されず継続されていたら、欧州が新大陸を獲得するチャンスも無く、以降の地球的覇権は中国にあったかも知れないとも言われます。なので、両者ともモンゴル・中華の覇権を求める行動であることには間違いないでしょう。依って、この一帯一路も中国の覇権追求が目的であることは疑いようがないです。平和的東西交易を連想させるシルクロードの名は隠れ蓑に過ぎません。

    欧州諸国は、私以上にそのことを敏感に嗅ぎ取っているはずです。このような地図を見れば、多分彼らは、かつての悪夢(モンゴル人の来襲)を思い出し心穏やかではないはずですから。このことは、最近の米中対立局面において、彼らが米国に肩入れし、英・仏・独が遠く離れた太平洋にまで軍艦を派遣するようになったことにも見て取れます。或いは、最近のオーストラリアが過激な反中に傾いてきたのも、彼らの、欧州人の末裔としての遠い記憶が呼び覚まされた結果かも知れません。もっともこのような自由主義諸国連合もかつての十字軍を連想させ、私などには、その中に加わることに若干の違和感があるのも確かなのですが。

  • 途上国向け融資がどの程度が焦げ付いているのか分かりませんが、4%とはかなりの高利貸しですね。ドル建てであれば4%以上の経済成長がないと利払い負担が重くのしかかります。乱脈融資を行なっていればいつかはある程度は焦げ付きますし、私企業への融資なら重要インフラの提供を受けるのも難しいでしょう。いずれ債務放棄を求められるのではないでしょうか。
    中国は今は経済は右肩上がりでGDPも2020年代後半にアメリカを抜くのではといわれてますが、予想以上のペースで少子高齢化が急速に進んでおり、GDPが予想よりも早くしぼみ始める可能性か出ておりすぐアメリカに逆転される可能性があります。中国の一帯一路による途上国への影響力拡大、尖閣、台湾、南シナ海での攻勢もここ数年ぐらいがピークになるかもしれません。