希望する全国民に対するコロナワクチンの2回の接種は、おそらく、早ければ来月中に、遅くとも11月には終了します。まさに、菅義偉総理大臣の孤独な獅子奮迅の活躍があってのことだと思いますが、そんな菅総理は最後の最後まで朴訥かつ誠実であり続けました。当ウェブサイトとしては、菅総理だったからこそここまでの成果が上がったと考えている次第です。
ワクチン接種の現状
昨日の『ワクチン接種「2回目」が6割弱』でも指摘したとおり、日本におけるワクチン接種については事実上、終わりが見えて来ました。
当ウェブサイトではここ数ヵ月、「ワクチン接種記録システム(VRS)」の元データなどを使いつつ、「日本におけるワクチン接種が非常に急速に進んでいる」、「このペースで行けば、7月末には高齢者向けの2回の接種が、10~11月中には高齢者以外への2回の接種が終わる」、と申し上げて来ました。
少し誤算があったとすれば、当初は「VRSへの未入力問題」を甘く見ていたことです。
いちおう、ルール上は、VRSには前日までの接種実績を入力しなければならないとされているにも関わらず、現実のVRSデータを確認すると、バックデートでどんどん、どんどんと接種回数が増えて行くという珍現象に直面したのです。
過去100日分のVRSデータを見比べ、分析していくと、酷い場合にはその時点までの接種実績は、全国で1100万回以上、未入力となっているのです(たとえば8月10日までの接種実績は、本日までに1100万回以上、上方修正されています)。
いずれにせよ、ワクチンの接種が完了しているにも関わらず、VRSのデータに反映されていないという事例は、おそらくは800~1200万回ほど存在していると見るべきであり、こうした事情を踏まえるならば、現在の実質的な接種率は、すでに1回目で7割を、2回目で6割を、それぞれ超えていると考えるべきでしょう。
もっとも、こうした「未入力」データを考慮に入れず、現在の公式データのみで判断しても、すでに総接種回数は1.6億回を大きく超え、接種率も1回目で7割弱、2回目で6割弱です(図表1)。
図表1 総接種回数と接種率
区分 | 総接種回数 | 接種率 |
---|---|---|
全体合計 | 162,466,180 | |
うち1回目 | 88,218,057 | 69.39% |
うち2回目 | 74,248,123 | 58.40% |
65歳以上合計 | 64,219,385 | |
うち1回目 | 32,342,421 | 91.14% |
うち2回目 | 31,876,964 | 89.83% |
高齢者以外合計 | 98,246,795 | |
うち1回目 | 55,875,636 | 60.97% |
うち2回目 | 42,371,159 | 46.24% |
(【出所】VRSオープンデータおよび首相官邸ウェブサイト『新型コロナワクチンについて』データをもとに著者作成。9月29日時点で取得したVRSデータ、9月28日時点で取得した職域接種データ・重複計上データなどを使用。「接種率」とは累計接種数を『令和2年住民基本台帳年齢階級別人口』【※エクセルファイル】記載の人口で割った数値。高齢者接種率は累計接種回数を3548万6339人で、「高齢者以外」の接種率は、接種回数合計から65歳以上接種回数を引いた数値を、9164万2566人で割って求めたもの)
ワクチン接種に終わりが見えてきた
ことに、高齢者に関しては、接種率は9割前後に達しています。
このあたり、諸外国の事例などをもとにした個人的な予想だと、接種率は7割か、行ってもせいぜい8割くらいだと考えていたので、日本人の接種率の高さには驚きます。
ただし、高齢者以外に限定すれば、公式なデータでは、2回目の接種を終えた人は、まだ50%に達していません(もちろん、先ほど指摘した「VRS未入力問題」を踏まえるならば、すでに50%を超えている可能性は十分にあるのですが…)。
この点、日本の人口(約1.27億人)から高齢者(約3550万人)、ワクチン接種対象外とされる12歳未満の人口(約1200万人)を除外した人口を約8000万人と仮定しましょう。また、VRSの未入力実績が、1回目と2回目でそれぞれ500万回ずつだったと仮定します。
この8000万人のうちの8割(6400万人)がワクチン接種を希望していると仮定すれば、1回目接種はあと400万回、2回目接種は1700万回、合計2100万回で終了です。
また、ワクチン接種を希望しているのが9割(7200万人)だったとすれば、1回目接種は1200万回、2回目接種は2500万回、合計3700万回で終了です。
現在の接種速度だと、だいたい平日ならば1日に150万回前後、休日でも100万回弱のペースで進んでおり、10月は祝日がないため、このペースを維持すれば、「8割接種」ならば10月10日前後、「9割接種」ならば10月25日前後には、「希望する全国民」へのワクチン接種が完了します。
しかし、自治体により接種能力に差があることに加え、接種が完了して行けば、集団会場の数も減っていくと予想されることから、やはり現実的には「希望する全国民」が2回の接種を終えるのは11月以降でしょう。
東京都では新規陽性者は248人に
ただ、現時点においても、接種状況は大変に良好です。
接種「率」だけでみれば、日本はすでに米国のそれを超え、主要先進国に伍しています。
また、当ウェブサイトで長らく追いかけてきた東京都の新規陽性者数に関しても、「前週比でマイナス」という状況が、すでに37日間連続しています。
9月28日(火)時点の東京都の状況
- 新規陽性…248人(前日比+94人、前週比▲5人)
- 7日平均…341人(前日比▲1人、前週比▲323人)
- 重症者数…117人(前日比▲8人、前週比▲35人)
- 新規死亡…8人(前日比▲3人、前週比+5人)
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
一時5000人に達しようとしていた7日間平均値についても341人へと減りましたし、一時は300人にも達しようとしていた重症者数は117人に減少しています(図表2)。
図表2 東京都における新規陽性者数
(【出所】東京都『新型コロナウイルス陽性患者発表詳細』、『新型コロナウイルス感染症重症患者数』より著者作成)
尾身茂会長の見解
さて、これに関連し、昨日は菅義偉総理大臣や新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が記者会見を行いました。
新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見
―――2021/09/28付 首相官邸HPより
尾身会長はラジオ日本の伊藤記者の質問に対し、こんな趣旨の見解を述べています。
- 今回のワクチンは感染予防効果は必ずしも100%ではない
- ワクチンにはたしかに重症化の予防という効果があって、感染防止効果も一定程度ある
- 今回、感染が急激に減少してきたひとつの要因だ
- このワクチン接種のスピードは公平に見て、諸外国よりもかなり速い
- 諸外国ではある一定のところに行くと頭を打つが、日本の場合には頭打ちのレベルが他の国よりももう少し高くなることが私の立場としての希望である
大変に論理的な説明です。
ワクチンが接種完了すれば問題は完了、というわけではなく、今後の政権も経済動向と感染動向を両にらみしながら、難しいかじ取りを迫られるでしょう。また、「集・近・閉(しゅう・きん・ぺい)」の回避、うがい・手洗い・マスク着用の励行など、引き続き感染を防止する取り組みが、我々一般国民に求められるのではないでしょうか。
#ありがとうガースー
さて、菅総理はご自身の発言の最後に、こんなことを述べました。
「最後になりますが、この1年、お付き合いいただいた記者の皆様方にも感謝申し上げます。そして、国民の皆様。皆様の御協力なしには何一つ実現することができなかったと思います。国民のために働く内閣への皆様の御支援、御協力に心から感謝と御礼を申し上げます。皆さん、本当にありがとうございました。」
菅総理の人柄が凝縮された発言でしょう。
安倍総理のあとを継ぎ、いきなり新型コロナウィルス感染症対策という困難な課題に、内閣総理大臣として直面し、陣頭指揮を執り、批判されまくったわけですから、通常の人であれば心が折れてしまっても仕方がありません。
そういえば、普段から申し上げているとおり、自称某分野の専門家の方も含め、テレビの情報を受け売りにする人ほど、「ガースー(※菅総理のこと)はコロナ対策で何もしなかった極悪人だ」、などと舌鋒鋭く批判する人は非常に多いのが実情でしょう。
そのような人にこそ、「正確な客観的事実に基づいて物事を判断すること」の大切さを認識していただきたいと思う次第です。
また、菅総理の「記者の皆さまにも感謝申し上げます」の発言に対し、どの社の記者がどう反応したかについては、ここでは敢えて触れません。リンク先記事で直接ご確認いただきたいと思いますが、端的に申し上げて、「菅総理お疲れ様でした」のヒトコトすらいえない記者が多いのには呆れます。
いずれにせよ、当ウェブサイトとしては、菅総理に対し「本当にありがとうございました」と申し上げたいと思う次第です。
View Comments (12)
菅首相は次期内閣に参加しないとか。
菅首相には、今迄言われのない誹謗・中傷にさらされながら、政務を実行された事に
感謝します。
誹謗・中傷されるのは、自民党だからであり、これはどうしようもない話です。
ただ、一部の政策だけはあまり良くないのがありましたが、それも「負の責任」を
負っている自民党の役目なんですよね。
コロナ問題が無ければ、もっと強い政策も実施できたかと思うと、残念です。
菅首相には、官房長官時代から合わせて「お疲れ様でした」といったところでしょうか。
特定野盗は、自分達に出来ない菅首相の成果を矮小化し、否定すると思います。
昨日の記者会見は、良かったので、内閣支持率が上がり、特定野盗への無視、無関心が増えると思います。
だんな さま
特定野盗 → いいですね。これ。
菅総理ありがとうございました。(この場をお借りして)
>「菅総理お疲れ様でした」のヒトコトすらいえない記者が多いのには呆れます。
なんとなく気になったので、リンク先を確認してきました。
・質問者13名中、慰労の言葉があったのは7名
→『新宿会計士様がおっしゃることは正しい』
しかし、順番で考えると違った側面が見えてくる気がします。
慰労の言葉の「有」「無」で並べると
・無無無無無有有有有有有無有
1~5番目が「無」で、6番目以降は1名を除いて「有」です。以下の様に考えました。
・1~5番目は 「礼儀知らず」「うっかり」「悪意」のいずれか
・6番目は 「礼儀を知っている」
・以降の「有」 「礼儀を知っている」『礼儀を学習した』のいずれか
・以降の「無」 「悪意」「学習できない」
『礼儀を学習した』して「有」になるのが多数であることから、1~5番目は「学習機会前だった。学習すれば実行できる」可能性があると思います。
救いが無いのが『以降の「無」』。
ああ、やっぱりA新聞かw
矢塚さま、解析ありがとうございました。最後の無は「旭日新聞の意思で、悪意」だと思います。
出だしの日テレは幹事社だそうですが「礼儀知らず」よりも「傲慢」じゃないかと感じました。6番目の日経はビジネス礼儀はわきまえているのかと。
何にしてもマスコミなんてこんなもんだ、という印象です。
特定野党の方々を始めとする批判者たちは、批判することで自分の心の安寧を得ているのではないのかなあーーーーそんなふうに感じます。
批判者から論理的、具体的な対案を聞いた記憶がほとんど無いので。
さのよいよい様
世の中には、身の回りに起こる不都合な出来事を自分の努力不足を棚に上げて、誰かのせいにすることで自身の心を安定させている人が一定割合いると思います。
いつも誰かを糾弾することで、そうした人たちの支持を取り付けることが狙いなんではないでしょうか。また、そうした人たちの心の安定に役立っていることだけは、ごく少ない功績なんだろうとも思います。
今になってしみじみと感じたのですが、コロナの逆風の中で、批判を一手に引き受けながら東京オリパラを粛々と実行させただけでも素晴らしい成果だと思います。 マスコミ受けは宜しくなかったけれども、良識ある大方の日本人は菅総理で良かったと感じているのではないでしょうか。
菅さんは貧乏くじでしたねえ。
コロナ対策は野党やメディアの妨害や悪条件にも関わらずよくやったと思いますけどね。
政権が一年程度しか持たずに変わるのは内政的にも外交的にもよろしくないのですが、残念です。
菅総理お疲れ様でした。
武漢肺炎等で最悪の時期に本当に頑張っていただいたと思います。
ワクチン接種率は菅総理がいらっしゃらなければまだまだ低迷していたと思います。
オリンピック、パラリンピックも批判にさらされながら無事成功させました。
携帯料金の値下げや重要土地利用規制法の成立、FOIPなどなど短期間で数々の成果、実績を上げられました。感謝しかありません。
お疲れとは思いますが岸田新総理の官房長官いかがでしょうか。
尾身さんの
>諸外国ではある一定のところに行くと頭を打つが、日本の場合には頭打ちのレベルが他の国よりももう少し高くなることが私の立場としての希望である
多くの方々は既にご存知と思いますが,Our World in Data
・ https://ourworldindata.org/coronavirus
では,COVID-19に関して各国の任意の日付での様々な統計データ(ワクチン接種率(最低1回,2回完了),100万人当たりの陽性者発生率,同死亡者率,致死率など)が日付を横軸とするグラフで(興味のある国々のグラフを同時に表示させて)見られるので,眺めているだけでも色々と考えさせられて実に興味深い(正にブログ主様がしばしば仰っておられる「知的好奇心を刺激される」)のですが,少なくとも1回接種の人口比率のグラフを見ると,少なくとも1回接種した人の比率ではアメリカのみならず接種先進国のイスラエル(ファイザーワクチンを開発したビオンテックの本拠地であるドイツ)をも極く僅かながら追い越したのには驚きました.
「1日100万回やります!」という達成/未達の判定を誤魔化しようのない明確な目標を掲げて国の最高責任者たる菅総理がコミットしたことの威力に改めて感心した次第です.
逃げ隠れ出来ない明確な数値目標を全国民に対して示しコミットするのは最高指揮官として精神的に大変な心労だったと思いますが,そのお蔭で日本の接種率がここまで来れたのには本当に感謝しています.
接種率グラフ(1回以上,2回完了とも)を見ると欧米諸国の多くは60%辺りから明確に伸び悩む(恐らくは宗教や「ワクチンを打つなど弱虫」といった偏見などから接種に強い拒否感を持つ人々が30%程度いるということだろう)ようですが,日本は淡々と直線的に接種率を上昇させているので,欧米諸国の大半よりは高い最終接種率に到達して尾身さんの希望は達成されるだろうすると,Our World in Dataの接種率グラフから予測できます.
それにしても驚くのは,ポルトガルの接種率(1回以上,2回完了とも)の高さです.流石に85%辺りから頭打ちになってきましたが,既に1回以上接種率は87%を超え接種完了率も84%台に達しているので,最終的な接種完了率は90%をクリアすると思われます.
日本の場合,ネットで見ている限りにおいてですが,若い人々の間でのワクチン不信論やワクチン不要論を信じている比率が高齢者よりも高い気がするのが気掛かりです.
ポルトガル並みに最終的な接種完了率が9割超になれば,今後に出現し得る感染力がデルタ株以上に強い新たな変異株に対する集団免疫の観点からもかなり安心度が高まるのですが.
マスコミも国民を脅して日本の経済を冷え込ませるのが好きならば,若者に対しても「実は感染者の半分前後がウィルスが完全に体内から消えても後遺症で悩み続けるんですよ.若い人でも後遺症が出る比率は高齢者と変わりませんよ.ワクチン打つと後遺症で悩む比率が下がるんですよ.ワクチン打ってない若い人が感染したら,下手すると人生棒にふっちゃいますよ」ぐらいの脅しを繰り返しかけてもらいたいですね.
もっとも若年層は新聞テレビといったマスゴミを最初から見てないのが実態で,根本的な問題はインフルエンサーと呼ばれている殆どはCOVID-19に関して何の専門的知識もない与太者が流すデタラメを少なからずの若年層の人々が信じていること(だからデタラメを流す人がインフルエンスする人と呼ばれる訳)なのだが.このネット経由のデタラメの流布を何とかする手立てはないものか.
インフルエンザ?
ドラえもんで出てきた流行ビールスみたいなやつか?