ネットが「ネット以外」を上回る=総務省メディア調査
総務省が昨日公表した最新の調査報告書によれば、ネットを利用する人(行為者)がネット以外を利用する人(行為者)を上回っていることが明らかになりました。10代から20代に至っては、ネット以外の媒体(たとえば新聞、テレビ)よりも、ブログやSNS、動画配信サイトなどを利用する人が圧倒的に多い、ということです。
総務省の最新報告書
総務省は昨日、『令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』なる資料を公表しました。
「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
総務省情報通信政策研究所は、東京女子大学 現代教養学部 橋元 良明教授ほかとの共同研究として「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を実施し、その報告書等を取りまとめましたので公表します。
―――2021/08/25付 総務省HPより
総務省によると、この調査は東京女子大学現代教養学部の橋元良明教授らとの共同研究で、2012年から毎年実施しているもので、今回が9回目の調査だそうです。
これによると、なかなか面白いことが判明しました。
インターネットの利用時間数が、ネット以外の利用時間数を上回ったというのです。
調査では「行為」を行った人を1人とカウントしているようであり、たとえば「スマホ・携帯電話」の区分で「メールを読む・書く」、「ブログやウェブサイトを見る・書く」などの項目が列挙されているのですが、この場合、「スマホでメールを読み、ブログを見た」場合には2人とカウントされると考えられます。
※これに関する総務省の説明は次のとおりです。
「行為者数は日別の行為者数を指し、たとえば1人の回答者が、パソコンで『メールを読む・書く』を調査対象の2日とも行った場合は2、1日のみ行った場合は1、1日も行わなかった場合は0で算出している」。
行為者数では全体で「ネット>ネット以外」に
これについて、全年齢層(サンプル数:3000人)について、ネット利用者がテレビを含めた「ネット以外」の利用者数を上回りました。平日だとネットが延べ7320人で、ネット以外利用者の6065人を上回り(図表1)、休日に関してもネットが3224人で、ネット以外の2929人を上回っています(図表2)。
図表1 平日の行為者数(全年齢層)
区分 | 媒体 | 行為者数 |
---|---|---|
ネット利用 | スマホ等 | 5,197 |
PC | 1,519 | |
タブレット | 354 | |
テレビ | 232 | |
その他 | 18 | |
小計 | 7,320 | |
ネット以外 | テレビ | 3,157 |
スマホ等 | 897 | |
PC | 462 | |
タブレット | 98 | |
印刷物 | 1,059 | |
その他 | 392 | |
小計 | 6,065 |
(【出所】総務省ウェブサイト『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』に公表されているエクセルファイルより著者作成)
図表2 休日の行為者数(全年齢層)
区分 | 媒体 | 行為者数 |
---|---|---|
ネット利用 | スマホ等 | 2,438 |
PC | 454 | |
タブレット | 188 | |
テレビ | 136 | |
その他 | 8 | |
小計 | 3,224 | |
ネット以外 | テレビ | 1,743 |
スマホ等 | 370 | |
PC | 89 | |
タブレット | 41 | |
印刷物 | 562 | |
その他 | 124 | |
小計 | 2,929 |
(【出所】総務省ウェブサイト『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』に公表されているエクセルファイルより著者作成)
図表1、図表2に「テレビ」「PC」「タブレット」「スマホ」などが重複して出てくる理由は、たとえば、同じ「テレビ」であっても、地上波などを視聴している場合は「ネット以外」に、YouTubeやNetflixなどを視聴している場合は「ネット」に計上されるからです。
もちろん、「スマホで地上波テレビを視聴する」、「電子版の新聞を読む」などのケースも考えられるのですが、いずれにせよ、ごく単純化していえば、とうとう「ネット」が「ネット以外」を大きく上回る時代が到来した、というわけです。
高年層ですらネット利用者が増えつつある
また、年代別にこれをグラフ化すると、さらに露骨です(図表3)。
図表3 年代別行為者数
(【出所】総務省ウェブサイト『情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査』に公表されているエクセルファイルより著者作成)
これもごく大雑把に、行為者を「ネット」「ネット以外」に分け、それぞれ平日、休日について年齢階層別に集計してみたのですが、10~20代では平日の「ネット以外」の行為者数が休日の「ネット」の行為者数すら下回っているのに対し、60~70代では「ネット」と「ネット以外」が逆転しています。
ただ、70代であっても、最近だとネット利用者が増えて来たようであり、休日の「ネット以外」と平日の「ネット」がほぼ並んでいる状況ですので、ひと昔前の「ネット人口は若年層ほど極端に高く、高齢層ほど極端に低い」という状況からは脱しつつあるのです。
いずれにせよ、ともすれば高年層には「テレビ信仰」「新聞信仰」のようなものがあるのかもしれませんが、そうした信仰ですら、ネットの便利さの前に徐々に薄らいでいる、というのが実態に近いのかもしれません。
本文は以上です。
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— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
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昨年初コロナが出てからはずっとStay Homeなので外で「ネット」で情報操作する必要性が殆ど無くて、家で「テレビ」と「ネット on PC」が半々です。
テレビはお気に入り女優の出るドラマは真面目に見ますが、その他は天気予報の解説が役立つくらいで、緊急速報の受信機と時計、みたいな感じです。
ニュース情報はネットで確認しつつ、テレビ各局の脚色を比べて楽しんでます。
但し家内はテレビ人なので、夫婦の会話の維持にはテレビが重要なんです。。。
この傾向がこのまま加速するのでしょうね。
オールドメディアの生きる道は不偏不党、公正中立、客観的な事実のみの報道に徹し、事実を知りたければ○○TV、○○新聞を見ろ、と言われる程の信頼を得なければ難しいでしょう。
角度をつけろ、エビデンスなんかネーヨそんなもの、みたいな考え方をお持ちのかたは退場していただきましょう。
アジビラとして生き残りたいのならご勝手に、ですが赤旗や聖教新聞のように立場を明確にしてください。
本当に1次情報をネットで調べてしまう状況になると
オールドメディアで特に民放は極端な保守かリベラルに偏ると思います
情報はネットでわかる。
自分と同意見を聞いて気持ちよくなりたいからTVを見る
じゃなきゃ 誰がTVを見るんですか
ますます偏向報道だらけになると思います
>オールドメディアの生きる道は不偏不党、公正中立、客観的な事実のみの報道に徹し
本調査によれば、これは違うと思います。
何をやっても、オールドメディアはマイナーとなって消える立場にあると思います。テクノロジーの違いでラジオからテレビ、テレビからネットに移行しているだけで、報道姿勢を変えるみたいな方法ではこの移行を止めることはできません。
オールドメディアが今の報道姿勢を変えたら、現読者を失うことになり、ビジネス的にリスクがあります。
とにかく、オールドメディアが変わるというような幻想は持たないほうがよい。
えっへん。←お許しを。
60代の高齢者ですが、
◎平日はスマホ80%、タブレット18 %、テレビ1%(仕事場でチラ見)、パソコン1%(近いうちに0%へ。持ち運べない。ヤダ)。
◎休日はスマホ50%、タブレットが50%。です。
印刷物ってナニ?(失笑)。ポストに入った大切な案内文なら読むけど。ポスティングチラシなどはゴミ箱へ、です。
スーパーの特売品を知るツール。それ以外の価値はない。
夏休みに孫たちが来てたが、彼ら、テレビをほとんど観ない。
何を見ているか。任天堂スイッチでYouTubeを観ている。
YouTubeの中で自分たちの観たいものだけを、好きな時間に、観たいだけ観ている。
テレビの時代は終わりつつあるのではないか。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(そう自分に言い聞かせないと、素人が舞い上がってしまうので)
ネットの時間が、ネット以外の時間を上回ったところで、テレビ局員の頭は、この事態を受け入れることを拒否して、まだまだ、「テレビの天下が続く」と思っていることでしょう。(これはテレビ業界に限った話ではありません)
(流石に自分でも独断と偏見と思いたいのですが)「テレビの視聴時間が減っても広告効果は前と同じ」とスポンサー企業の説明するかもしれません。(「CMの商品が、ネットで拡散される」と説明するかもしれません)
駄文にて失礼しました。
すみません。追加です。
(説明しやすく、1社提供にしますが)テレビ番組だと、1つの番組で1社の商品しか宣伝できませんが、ネットだと、1つの番組で(例えば)5社の商品を宣伝できます。つまり、(単純に考えて)ネットは1社からもらうスポンサー料は、テレビの20%で済みことになりませんか。
駄文にて失礼しました。
飛行機の中の映画、昔は機内のあちこちにあるスクリーンで同じ映画を映して、乗客はみな同じものを観ていた。次に前の座席の背もたれに組み込まれた小さな画面で乗客が好きな映画を選べるようになったが、1つ1つの映画の開始は同時。次には好きな時間に好きな映画を最初から見ることができるようになり、さらに映画以外にゲームもできるようになった。
最近は機内にWi-Fiがあり自分の携帯やPCで好きなものを観ることができる。最初のレベルがNHKしかないころのテレビ業界、2番目が現在のテレビ業界。テレビの進歩ははここで止まっている。
観る人の少ないものにスポンサーは金を払わないはずだ。いずれテレビはニュースと天気予報以外はショップチャンネル、ドラマの再放送、韓流ドラマになり、最後は24時間のうち半分くらいしか電波をださない(昭和30年代はそうだった)ようになるのでは。
sqsq 様
わかりやすいたとえをありがとうございます。
いずれ本文にて使わせていただきます。
引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
これからのTVの役割は、乳幼児期と老齢を対象になっていくと思います。
それ以外は電子機器によるネット利用になると思います。
ただ問題は、興味のある部分に特化しすぎる傾向の存在と疑問を持った時に
検索する手段があるかどうかが問題です。
検索問題は現在も玉石混交ならまだしも、検索できない問題もあります。
乳幼児期は未だタブレットの操作ができないというのではなく、
1)全家庭へのタブレット同等品が普及するかどうか
2)親が番組を強制するかどうか(NHKの教育番組だけ?とか)
ですが、幼児期からのタブレット等の使用は目が悪くなる要因と騒がれていましたが
現在はどうなるのでしょうか?
老齢期は目が衰え本が読めなくなり、新聞も止め、結局TVが暇潰し材料になります。
国会中継を見ている老人が多いと聞きましたが、国会中継は物事の上辺部分だけを
映像化しているにすぎず、結局野党のムダなパフォーマンス会場化しております。
ただ、投票権を持っている為、偏った報道を鵜呑みし、悪夢の民主党政権を誕生させました。
新聞は、現在のような中立を騙った新聞か赤旗を中心とするアジ新聞だけになると
思います。