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徴用工「差押」報道により韓国への信用商売がリスクに

昨日の『徴用工「金銭債権の差押」の衝撃』と『自称元徴用工・資産差押に関する続報と日本政府の反応』で取り上げたとおり、自称元徴用工判決問題を巡り、原告側が三菱重工の売掛債権の差押えに踏み切った、と報じられました。ただ、この報道自体、かなり唐突感もあるのに加え、その後の続報を眺めていると、差し押さえたのは「三菱重工の資産」ではなく、同社の孫会社の資産である、との疑いが濃厚です。さらに時事通信は、裁判所の「命令の効力が消失する」可能性がある、などと報じています。

本稿の要約

始めに、要約をしておきます。

自称元徴用工問題に関連し、原告側が三菱重工の資産のひとつである金銭債権を差し押さえた、とする話題が、昨日までに報じられました。

ただ、この話題自体、いくつか不自然な部分もあります。

たとえば、「日本政府、日本企業などから公式の声明、立場などに関する説明が、今のところは見当たらないこと」がその典型例ですが、それだけではありません。

あくまでも当ウェブサイトの理解に基づけば、自称元徴用工側が差し押さえる資産は「換金し辛いもの」に限られていたにも関わらず、それが唐突に換金が非常に容易な資産の差押えに変わったのは不自然です。

さらに、一部報道によれば、そもそも今回差押えがなされたのは、三菱重工ではなく、その孫会社である三菱重工エンジンシステムが保有する金銭債権であり、これについて時事通信は「命令自体が失効する可能性がある」という趣旨の指摘をしています。

これについてどう考えればよいかを含め、さっそく「本論」部分に入っていきましょう。

唐突感のある債権差押え

「売掛債権の差押え」、どうも不自然に見える理由

自称元徴用工判決問題に関連し、原告側が三菱重工(※)の韓国企業に対する売掛債権の差押えを行ったとする話題については、昨日の『徴用工「金銭債権の差押」の衝撃』と『自称元徴用工・資産差押に関する続報と日本政府の反応』で、相次いで取り上げました。

(※ただし、記事によっては、「三菱重工」ではなく、「三菱電機」、「三菱重工業エンジンシステム」など、別法人の名前が掲載されており、これについては「より詳細な事実関係の公表を待つ必要がありそうだ」と申し上げたとおりです。これについては後述します。)

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

当ウェブサイトなりの持論とともに、改めて申し上げておくと、この話題、かなり唐突感があります。

なぜなら、個人的理解に基づけば、自称元徴用工側の本当の目的は、べつに三菱重工などの日本企業から損害賠償を受けることではないからです。

2018年10月と11月の、韓国大法院(※最高裁に相当)による自称元徴用工判決は、自称元徴用工らが「韓国国内の裁判手続」を通じ、日本企業から謝罪や賠償を受けるのに道を開いた(と彼らは思っている)わけですが、もしそうだとしても、いちいち裁判手続をしなければなりません。

また、同じ歴史問題の範疇に属する自称元慰安婦問題の場合、日本の総理大臣などの謝罪に加え、2回に及ぶ基金方式での賠償金の受領、さらには「国際社会で日本を悪者にして日本を叩くことで爽快感を味わう」などの「利権」を確立することに成功しました(※少なくとも「彼らの認識では」、ですが)。

ということは、自称元徴用工問題の関係者も、おそらくまったく同じことを考えているのでしょう。

だからこそ、まずは「韓国国内の裁判で原告が勝利したこと」、「『三権分立』の原則があるから韓国政府は関与できないこと」、「そもそも日本の非人道的な行為に対しては日韓請求権協定は適用されないこと」、といったさまざまな屁理屈を並べ立てているのだと思うのです。

どうして資産売却が依然として実現しないのか

もちろん、こうした韓国側の言い分は、国際社会において通用するものではありません。

しかし、おそらく自称元徴用工問題の関係者らは、まずは日本政府や日本企業と「交渉」をすることを目的にしているものと思われます。

このように考えていくと、大法院判決で敗訴した日本製鉄や三菱重工、あるいは高裁レベルで敗訴した不二越の各社について、差し押さえられている在韓資産は、非上場株式であったり、知的財産権であったりと、換金が著しく難しいものに限られている点について、スッキリと説明がつくのです。

実際、大法院判決から3年近くが経過するにも関わらず、(高裁レベルで敗訴した不二越を含めた)3社の在韓資産については、差し押さえられはしたものの、依然として売却される兆候はありません。

それどころか、『韓国地裁が三菱重工業の即時抗告の「ごく一部」を棄却』などでも指摘したとおり、資産差押手続、売却に向けた手続が、遅々として進みません。まるで原告側と裁判所が申し合わせるかのように、それこそサラミを薄く、薄~く切るように、本当に少しずつ、少~しずつ進めている状態にあります。

三菱重工の知的財産権売却に関する同社側の即時抗告を、原告4人について4つの手続に分け、それぞれ審理しているというのは、その典型例でしょう。

売掛債権の差押えはたしかに手っ取り早いのだが…

ちなみに非上場株式の売却がなぜ難しいかについては昨年の『非上場株式の売却、「法治国家では」とても難しい』などを含め、当ウェブサイトでは何度か説明していますので、とりあえず本稿では割愛したいと思います。

そして、今から約2年半前の『徴用工判決問題、三菱重工の知財差押えという動きをどう見るか』『韓国経済に「突然死リスク」があるとすれば「資金ショート」』などで繰り返し説明してきたとおり、本気で「強制売却」を進めるならば、知的財産権ではなく、金銭債権(とくに売掛債権)を差し押さえるのが定石です。

そもそも売掛債権の場合、一般に換金されるまでの期間(サイト)は長くてもせいぜい数ヵ月であり、また、非上場株式や知的財産権と違って、面倒で時間のかかる評価手続、入札手続は必要ありません。支払期日が到来するのを待ち、本来、債務者が債権者に支払うべきタイミングで、取り立てればよいだけの話だからです。

ただし、換金が容易であるということは、いったんそれを差し押さえてしまったら、通常は「換金まで一直線」です。なぜなら、ひとつの売掛債権について差押をしておきながら、原告がそれを取り立てず、債務者が債権者にその売掛債権を支払ってしまったら、債権が消滅し、差押手続をもういちどやり直さねばならないからです。

そして、いちど差押を喰らってしまったならば、通常の日本企業は今後、用心して、韓国法が支配する法域の企業に対しては、基本的には「現金商売」に切り替えるでしょう。

だからこそ、金銭債権の差押えは韓国という国の国際的な商取引における信用を失墜させる、悪手中の悪手、というわけです。

それに、当ウェブサイトの見方が正しければ、自称元徴用工らの目的は「基金方式」などの「徴用工利権確立」にあるのであり、日本円にして1人あたり、たかだか1千万円前後というレベルの金銭を、せいぜい数十人の自称元徴用工に支払わせてお終い、というわけではないでしょう。

つまり、背景には数万人とも数十万人ともいわれる自称元徴用工が手ぐすね引いて「基金方式」の決定を待っていると考えるべきであり、売掛債権の差押えは、もしかしたら「金の卵」を産むことになるガチョウを食べてしまうようなものだ、というのが当ウェブサイトの昨日の主張です。

だからこそ、今回の売掛債権の差押えという韓国の報道自体、かなり唐突感があった、というわけです。

孫会社に対する資産の差押えというアクロバット

不自然な点は、ほかにもあります。

先ほども述べたとおり、昨日の報道では、メディアによっては原告である自称元徴用工らの側が差し押さえたのは、「三菱重工の韓国企業に対する債権」ではなく、「三菱重工業エンジンシステムの韓国企業に対する債権」、などと記載されているケースがありました。

さらには、朝鮮日報のように、三菱重工と資本関係がない「三菱電機」の名前が出ていて、個人的には思わずのけぞってしまった次第です(※もっとも、朝鮮日報の記事はほかにも「債権」と書かなければならない部分を「債券」と書いてしまっているなど、ちょっと事実誤認が酷すぎるようでしたが…)。

ただ、さすがに「三菱電機の債券」は記述がハチャメチャすぎるにせよ、「三菱重工エンジンシステムの韓国企業に対する債権」であれば、それなりに整合性はあります。

三菱重工エンジンシステム株式会社は三菱重工の持分比率100%の完全子会社です(※正確には、三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社の完全子会社ですが、その三菱重工エンジン&ターボチャージャが三菱重工の完全子会社でもあるため、「孫会社」ということです)。

ただ、日本法の場合は、税務において、親会社に対する租税債権について、子会社の資産を差し押さえたという事例はあるようですが、通常の民事訴訟において、法人格が異なるにも関わらず、親会社に対する債権を原因として子会社の資産を差し押さえるというのは異例です(理論上、不可能ではないとは思いますが…)。

もし昨日の中央日報などの報道が事実ならば、「原告である三菱重工が賠償に応じない」という理由で、その孫会社の資産を差し押さえるというのは、訴訟手続としては大変に雑です。

あまり続報がないなかで、どう考えるか

やはり、あまりにも唐突過ぎる

いずれにせよ、日本政府は「日本企業に不当な不利益が生じること」を一線として示し、その一線を越えた際には対抗措置を講じる可能性があると警告してきましたし、差押が非上場株式や知的財産権に留まっている限り、韓国がその一線を越える可能性は非常に低かったはずです。

しかし、いきなり金銭債権、それもよりによって商事債権に手をかけたというのは、やはり「いきなり一線を越えに来た」という印象があります。

あまりにも、唐突なのです。

こうしたなか、もうひとつ重要な事実があるとしたら、肝心の「金銭債権差押え」という話題自体、現段階では報道に留まっている、ということでしょう。

昨日の時点では、「不自然な状況は多々あるが、続報がなければ何とも言えない部分が多い」という趣旨のことを申し上げたつもりですが、とくに、日本政府や日本企業からの公式の声明・発表が、ほとんどなされていないのです。

たとえば、三菱重工は本件について、今のところプレス・リリースなどを出している形跡はありません。また、加藤勝信内閣官房長官も、昨日午前の記者会見では従来の日本政府の立場を繰り返したのみであり、政府として報じられた事実があったことを把握しているようには見受けられませんでした。

したがって、現時点においても、やはり本件については報道をベースに探らざるを得ません。

新味に欠ける、「韓国政府が日本と協議中」

こうしたなか、昨日はあまり進展があったとは言い難いにせよ、「続報」については、いくつかありました。

まずは、韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)に昨日夕方掲載された、こんな記事を紹介しておきたいと思います。

三菱重工資産の差し押さえ命令 韓国大統領府「日本と協議中」

―――2021.08.19 17:37付 聯合ニュース日本語版より

聯合ニュースによると、「韓国大統領府の関係者」が19日、本件を巡って「政府は被害者の権利実現および韓日関係などを考慮し、多様な合理的解決策を見つけるために各界各層の多様な意見を取りまとめ、日本側と緊密に協議している」、などと述べたのだそうです。

「もし日本政府と協議する気があるのなら、なぜ2019年1月以降の段階で、日本政府の協議申し入れを無視したのか」、というツッコミを入れたい気持ちは山々ですが、ただ、それと同時にこの「韓国政府は日本側と協議している」などとする発言、べつに今に始まったものではありません。

LSエムトロン自身が認めた?

しかし、同じ聯合ニュースがもう少し遅い時間に、こんな記事も出しています。

三菱重工への代金差し押さえ命令 現金化や賠償につながるかは不透明

―――2021.08.19 20:14付 聯合ニュース日本語版より

読みごたえがあるのはどちらかといえばこちらの記事でしょう。

聯合ニュースによれば、「三菱側がこれを不服として即時抗告を起こす可能性や、訴訟を起こす可能性」もあるとしつつ、債務者であるLSエムトロンが19日、聯合ニュースの取材にこう答えた、ともしています。

裁判所の決定文によると債務者は三菱重工となっているが、われわれが取り引きする企業は『三菱重工エンジンシステム』で、別の企業。事実関係を確認した後、裁判所の決定に従う予定」。

そのうえで、当ウェブサイトが昨日の時点で述べた内容については、聯合ニュースも次のように疑義を呈しています。

法曹関係者によると、LSエムトロンの説明通りであれば、三菱重工の同社に対する債権自体が存在しないことを確認する訴訟が提起される可能性もあるという」。

すなわち、売掛金が差し押さえられ、おそらくは法務局などに供託されたままペンディング状態となり、そのままズルズルと訴訟合戦が始まる可能性もある、ということでしょう。

時事通信は「命令の効力は消滅」

そして、LSエムトロン側が19日、「取引先は三菱重工ではなく(その100%孫会社である)三菱重工エンジンシステムだ」と述べた、とする話題については、時事通信のこんな記事でも触れられていました。

三菱重工との取引否定 元徴用工訴訟で韓国企業

―――2021年08月19日17時25分付 時事通信より

時事通信の方の記事では、より踏み込んで、次のように述べています。

「(LSエムトロンと)三菱重工との取引がないことが確認されれば、命令の効力が消失する見通しだ」。

さすがに「命令の効力が消失する見通しだ」、については、少々書きすぎ、という気がします。

先ほども述べたとおり、親会社に対する損害賠償請求権を原因に、子会社の資産を差し押さえるという事例は、(多少難しいとはいえ)不可能だと断言すべきではないからです。

というよりも、命令が失効するかどうかを決めるのも韓国の裁判所でしょうし、いずれにせよ、「命令が失効」はさすがに踏み込み過ぎではないかと思う次第です。

経済的実態としての影響

もっとも、ここで大切なことは、日本企業が韓国企業と取引をする際に、ある日いきなりわけのわからない歴史問題で訴えられ、ありとあらゆる資産を没収される危険性が、通常の商事債権の分野にも及んできたという事実でしょう。

本件を巡っては、まだまだ事実関係等にあいまいな点がいくつか残っていますが、ただ、合理的に考えるならば、現段階で日本企業は、韓国企業に対し、迂闊に掛け売り(企業間信用・貿易信用など)を行うことが難しくなったと考えるのが妥当でしょう。

今回も、金額的にはせいぜい数千万円から1億円前後と、それなりの規模を有する大企業にとっては、十分に負担可能なレベルではあります。

ただ、問題は三菱重工だけではなく、数十社あるといわれている「戦犯企業」や、その「戦犯企業」と関連するとみなされる企業にも、累が及ぶ可能性が出てきたことにあります。

たとえば、三菱重工であれば、資本関係がない三菱UFJ銀行、三菱電機、三菱商事、三菱地所なども「グループ会社」とみなされるかもしれません(※著者自身がそう考えるのには、きちんとした理由があるのですが、大変申し訳ないことに、その詳細について述べることはできません)。

あるいは、日本製鉄(旧社名は「新日鉄住金」)の場合も、「住友」と名が付く住友商事、三井住友銀行、住友不動産、住友生命、はては三井住友銀行とまったく無関係な三井住友信託銀行なども、同じグループとみなされる可能性がある、ということです。

いずれにせよ、日本の企業社会が今回の出来事をどの程度深刻に見るかについては、現時点ではよくわかりません。ただ、「まともな経営センスがおありならば、リーガルリスクについてはあまり甘く見ない方が良いですよ」、とだけ申し上げておきたいと思う次第です。

新宿会計士:

View Comments (73)

  • 間違っていたら御免なさい。

    差し押さえられたのは「三菱重工エンジンシステム」の資産ではなく、「三菱重工エンジンシdステム」の納入先である韓国企業の「LSエムトロン」が代金として「三菱重工エンジンシステム」に払う予定の資産なのでは?

    差し押さえられたのは韓国企業の資産であり、日本企業の資産ではないというのが時事通信の記事から推察される状況です。

    • 芽島津 様

      >差し押さえられたのは韓国企業の資産

      そうなんです。
      支払期限が来るまでは韓国企業の負担なんでしょう。期限が何時かは知りませんが。
      なので現時点では日本企業に直接の被害は無い。
      で、期限が来るまでは「売るぞ売るぞ」の瀬戸際作戦が出来る。日本政府としても現時点では遺憾砲以外の手が無い。
      上手い手を考えたものです。
      官房長官は先の新日鉄と同じと考えて「現金化されれば・・・」って言ってますが、これはダメです。
      「支払い期限までに解決されなければ・・・」と言わねばなりません。
      尤も期限が来れば韓国企業から「差し押さえ執行停止の仮処分」などが申請され、また半年くらいは「売る売る詐欺」が続けられるんです。

    • 芽島津様

      >差し押さえられたのは「三菱重工エンジンシdステム」の納入先である韓国企業の「LSエムトロン」が代金として「三菱重工エンジンシステム」に払う予定の資産なのでは?

      つまりそれが、三菱重工エンジンシステムが有する「売掛債権」なのです。三菱重工エンジンシステムがLSエムトロンに対して有する支払を受ける権利です。

      このあたりは、ある程度の会計の知識が無いと解りにくいかと思いますが、相手先に売り上げを計上し、相手先もその仕入を認識している(しうる)場合、現預金や手形等の具体的な資産を得ていない場合でも、それら資産を受け取る権利として「売掛金」という債権(疑似資産)が認識されるのです。
      会計仕訳でいうと、売掛金×××/売上高×××、となります。

      加藤官房長官は、「現金化されることがあれば、云々」といったコメントを出しましたが、それは上記売掛金が、現預金や受取手形等で入金されれば、という意味で言ったものと思われます。
      しかし、経常的な商取引の行為として常に発生する売掛金が差し押さえられるということは、企業にとって資金繰りが行き詰る可能性があり、極めて深刻な事態です。
      加藤官房長官がそういった現状把握がどこまでできているのか、少々不安に思います。

      • ご教示を有難うございました。

        私は企業間の財務にも疎いのですが、この事例の場合「代金の支払い側の資金が差し押さえられる」のであれば、債務者側が損をするばかりで債権者側には直接の影響はないのでは? 

        「差し押さえ命令」によってLSエムトロン側の三菱エンジンに対する債務が自動的に消滅するわけなのでしょうか?

        素人考えでは代金の支払いが終わった瞬間に三菱エンジンの口座に対して差し押さえするのが順当なの、に何故わざわざ支払いの前に債務者側の資産を差し押さえるのかの道理が理解出来ません。

        • >わざわざ支払いの前に債務者側の資産を差し押さえる

          これは債務者が「韓国企業」だからだと、私は思ってます。
          裁判所の命令通り慰安婦の口座に振り込んでしまっても良いし、執行停止を申し立ててグズグズ引き延ばしても良いし、申し立てを一旦取り消して再度・・・など、政府の都合で如何様にも対応できるからです。

        • 芽島津 様
          >何故わざわざ支払いの前に債務者側の資産を差し押さえるのか

          韓国裁判所の権限だけでは、韓国内に存在する資産でないと差押えられないからではないのでしょうか?
          今回の差押え対象は「三菱重工エンジンシステムの代金受領権」だと思われますので、代金決済期日の到来と同時(支払い前)に相当額を裁判所権限で取立てる流れなのかと・・。

        • 芽島津様

          「代金の支払い側の資金が差し押さえられる」のではなく、「三菱エンジンが有するLSエムトロンに対する売掛金(営業債権)が差し押さえられる」のです。

          つまり、将来支払(入金)を受ける権利が差し押さえられたということであり、その支払いをするために現在LSエムトロンが所有する現預金等の資産が差し押さえられたわけではありません。

          従って、おっしゃるように、LSエムトロンは三菱エンジンに対する支払義務がなくなり、その売掛金は判決結果上の被害者に事実上移管される、と考えても良いのでしょう。

          >素人考えでは代金の支払いが終わった瞬間に三菱エンジンの口座に対して差し押さえするのが順当なの、に何故わざわざ支払いの前に債務者側の資産を差し押さえるのかの道理が理解出来ません。

          それが大きなポイントです。
          口座入金後等の、いわゆる現金化を行った後に差し押さえを行うとすれば、その後に法的な手順を踏む必要がある等で時間がかかりますが、その現金化前の売掛金の差し押さえであれば、差し押さえ時点で売掛金を「自由にできる」ので、時間短縮につながります。
          具体的にはファクタリング(売掛金の第三者機関による買取)等で、即現金化も可能になります。

          またもっと大きな視点としては、
          従来の判決では、「現金化するぞ!するぞ!」と日本政府と企業を脅しつけ、日本政府を交渉のテーブルにあげようとしていたのですが日本政府が頑として応じないため、より脅迫度の高い売掛金の差し押さえを行うことで、より強い日本政府への圧力強化につながる、ということです。

          韓国の最終目的は、あくまで日本と世界に日本統治が不法(違法)であったことを認めさせること、韓国側が認識する徴用工に関わった日本企業は299社、それら会社の関連会社全てを訴訟対象として勝利するために、日本政府が日本統治を不法(違法)であったことを事実上認めさせることが必須なのです、日本政府が交渉に応じる前に現金化すれば、目的が達成されないことになりますから。。
          なお、日本政府が交渉に応じて何らかの妥協案を認めた場合、その時点で事実上不法(違法)統治であったことを日本政府自ら認めた、と見做すのでしょう。

          https://www.news-postseven.com/archives/20181112_800188.html?DETAIL

          • つまり、将来支払(入金)を受ける権利が差し押さえられたということであり、その支払いをするために現在LSエムトロンが所有する現預金等の資産が差し押さえられたわけではありません。

            と言う事は、当該の徴用工訴訟に全く無関係である民間企業2社(LSエムトロンと三菱重工エンジンシステム)間の売買契約そのものが韓国裁判所の命令により一方的に無効化・改定されたという事でしょうか? 

            私は韓国の法体系については全くの素人ですが、例えば米国の法体系の下では特定の民事訴訟において当事者ではない第三者に対しては管轄外なので、一方的に判決・命令を強制することは出来ない筈です。
            ですので、当該の韓国地方裁判所が民事訴訟の判決の結果として「差し押さえ」を実行する為には予め「三菱重工エンジンシステム」を民事訴訟の当事者として認定しなければ裁判所の管轄権自体が存在しない訳で、このステップなしにいきなり民事訴訟の判決の直接的な影響を関係の無い第三者に反映させる事は出来ません。

            まあ韓国の司法制度は色々な面で滅茶苦茶なのでそんな事も普通に有り得るのかも知れませんが、そんなリスクのある国で商取引をする企業は経営能力を問われるかも。

          • 芽島津様の、8/20 19:49のコメントに対する返信です。

            >と言う事は、当該の徴用工訴訟に全く無関係である民間企業2社(LSエムトロンと三菱重工エンジンシステム)間の売買契約そのものが韓国裁判所の命令により一方的に無効化・改定されたという事でしょうか? 

            そういうことになります。
            現地ニュースでは、LSエムトロン原告側弁護団は「LSエムトロンは裁判所の決定文の送達前には、三菱重工業との取引を認めていた」と主張していたようですが、三菱重工業本体との取引がないことが確認された場合、債権差し押さえと取り立て決定は、いったんですが、取り消される可能性が高いように思います。

            但しその場合でも、「法人格否認の法理」が適用されることで、個々の取引関係において子会社である三菱重工エンジンシステムの法人としての独自性を否定し、三菱重工エンジンシステムに対する売掛金は親会社である三菱重工に対する売掛金と看做す、という追加判決が出る可能性があります。

            別のコメントに対する私の以下のコメントをご参照ください。
            https://shinjukuacc.com/20210819-04/#comment-181663

            いずれにしても、韓国は事実上無法国家、おっしゃるように無茶苦茶なあらゆる法理論を駆使して強引に判決することでしょう。
            日本基準での常識的な議論等、無意味に近いのかもしれません。

            これを機にカントリーリスクが倍増した韓国企業との取引を見直す日本企業も多くでることでしょうね。

        • 芽島津 様へ
           「素人考えでは代金の支払いが終わった瞬間に三菱エンジンの口座に対して差し押さえするのが順当なのに、何故わざわざ支払いの前に債務者側の資産を差し押さえるのかの道理が理解出来ません。」
          ⇒LSエムトロンが購入代金を支払う予定の三菱重工エンジンシステム名義の口座がある銀行名、支店名や支払予定日時を、原告が調査して突き止める過程で、LSエムトロンや三菱重工エンジンシステムは、当然、その動きを察知しますから、支払方法や支払銀行・支店・口座を変更して差し押さえを免れようとします。
           原告は、この「差押え逃れ」を防ぐため、「売掛債権(将来、代金支払いを受ける権利)そのものを差し押さえるということです。

          • 原告は、この「差押え逃れ」を防ぐため、「売掛債権(将来、代金支払いを受ける権利)そのものを差し押さえるということです。

            そもそも普通の法治国家では、裁判所であろうとも、当該の民事訴訟に無関係である第三者企業間(三菱重工エンジンシステムとLSエムトロン)、そして2社間では争議にさえなっていない売買契約を勝手に改定・無効化する事は出来ない筈です。

            裁判所が三菱重工エンジンシステムとLSエムトロンの間の売買契約に介入出来るのはこの2社が当該の裁判所において訴訟の当事者である場合だけです。

            それ以外の場合にはこの裁判所には管轄権は無いハズです。

  • お早うございます.更新有難うございます.ところで,
    >(※もっとも、朝鮮日報の記事はほかにも「債権」と書かなければならない部分を「債券」と書いてしまっているなど、ちょっと事実誤認が酷すぎるようでしたが…)

    恐らくですが,この原因は事実誤認ではなく,朝鮮日報で記事の日本語版を作るのに機械翻訳を使っているのが原因だと推測されます.

    Google翻訳で実際に試してみたのですが,日本語の「債権」も「債券」も共にハングルだと“채권”と訳されるので,日本語の「債権」も「債券」も韓国語のハングル表記では全く区別不能なことが分かります.

    そして朝鮮日報が記事の日本語版作成に使ったであろう逆向きの翻訳(韓国語→日本語)でGoogle翻訳によって“채권”を日本語に訳させると「債券」となってしまい,他の候補(つまり「債権」)は全く表示されません.

    ということで,御指摘の誤記の原因は本当の意味での事実誤認ではなく,記事の日本語版を作成するのにGoogle翻訳を使用して生成された訳文を人手で元の韓国語の元記事と対照チェックをせずに(あるいはチェック漏れ,つまりは手抜きで)日本語版記事として公開した可能性が極めて高いと判断できます.

    • 素人の質問をお許しください。

      韓国では、債券と債権の表記を区別することが不可能、ということですか。
      これは、表記の区別ができないだけで、経理上(?)の区別は存在するのですよね。
      しかしそれで経済活動は不都合なくできるのですか。

      • ヨコから失礼します。

        ハングル表記そのものの制約だと思います。

        「戦車」と「電車」、「放水」と「防水」、「放火」と「防火」が同表示の表記システムですからねぇ…

        どの言語にも同音異語はありそうですが、なにしろハングル表記は発音記号の羅列なので、回避策は厄介です。

        • 日本語にも同「音」異義語はありますが、漢字表記で容易に区別できます。話していても、意識には漢字表記がいつも存在していますから。
          しかし、発音表記しかないのなら、同音異義語は表記で区別することが原則不可能です。
          「さいけん」が債券ではなく債権を意味することは、説明が必要です。
          韓国の経済記事には、これらの説明がいつもされていて、記述が日本語記事より長くなる傾向にある、というような事実があるのでしょうか。

          しつこくて申し訳ありません。

      • 興味があったので一寸実験をしてみました。

        日本語版のWikipediaの「債権」のページのの左側の韓国語版タブを開くと韓国語版の記述では漢字で「債権」英語では ”Credit”)ハングル表記では「채권(法律)」となっていました。

        逆に日本語版のWikipediaの「債券」のページのの左側の韓国語版タブを開くと韓国語版の記述では漢字で「債券」英語では ”Bond”)ハングル表記では「채권(ファイナンス)」となっていました。

        ですから「채권」の二つの違った意味は法律用語であるか財政用語であるかの注釈を付けるか、あるいは漢字か英語の用語を併記するかで区別しているようです。

        以上は朝鮮語が理解出来ない者が Google 翻訳を通じた実験の結果を解釈した結果なので、勘違いの可能性もあります。

        • リロードしていませんでした。
          丁寧な解説ありがとうございます。

          概念の区別を自国の言語で行えないのは、大変でしょうね。
          日本でも過去にローマ字採用論などがあったように聞きますが、実施されなくて本当に良かったです。
          文化も歴史も断絶されてしまいますから。

    • だんな 様
      この会社が裁判所の言いなりなら、以後日本企業は「何時もニコニコ現金払い」にするでしょうし、他の会社に波及することもあるでしょうね。

  • 最初に結論というか、文在寅の目的を挙げると、今年5月以降の動きの大半は、来年の大統領選挙に向けたパフォーマンスであり、今回もその一環。
    「日本に対して強くでている」ことで、文の子分が当選しやすくなることを期待し、自らの訴追投獄を逃れようとしている。
    アメリカと中国の争いを柔道試合に例えれば、ミャンマーではアメリカが「指導」をとられ、アフガンでは「技あり」をとられてしまったから、アメリカは連敗ということができる。
    もっとも、アメリカが外国で軍事費を垂れ流すことへの危惧は以前からあったのだが、カッコ悪いために歴代大統領たちはサインを先送りしてきたわけで、なにもバイデンが特別弱腰だということではない。
    茂木さんが以前「アメリカは日韓関係に口を出すな」といったらしいが、同じような気分は韓国にもあり、アメリカがアフガンにかまけているこのタイミングを狙って日本にあらたな喧嘩を売ってみた、というあたりだろう。

    日本政府が沈黙しているのは当然である。この喧嘩に、法律や規則で対抗するのが難しいからだ。そんなことができるのは、クリントン、ブッシュJR時代のアメリカくらいであって、要するに「生意気なやつは片っ端から殴りつけてやる」くらいの軍事力を要する。無法に対抗するのは法ではなく腕力、ということである。

    以前、麻生さんが韓国を押さえつける方法が100くらいある、と公言していたが、そのうち、どれをもちだすのかを検討しているのだと思うが。なにもせずに遺憾砲、というわけには、今回はいかない。韓国も、あえて、日本がどんなふうに殴り返してくるのかを待っているのだろう。

    • 自問自答をやる。
      これまで日本政府はつとめてことを荒立てないように対応してきたと、思う。それは基本スタンスとして正しいと思うが、それも相手によりけりで、ここまで阿呆で幼稚な韓国であれば、ぐっと刺激して韓国の阿呆さを世界に可視化させるのがよいと思う。オリンピックの際の、あのざまが韓国だ。
      で、具体的なやり方だが、以前から時に触れて提唱してきた「中古タンカー改装の特務艦配備」がよいだろう。中古船も値上がり傾向にあるが、ミリタリーにくらべれば格段に(二桁)安い。
      7万トン(旧パナマックス規格)のを2隻
      ヘリポートをつける(格納庫やエレベータは不要)
      白色塗装で船首に青の斜め線を書き入れる
      これを竹島の東南海上5kmほどの海上に浮かべ、国境警備の基地として使用する
      与野党議員やマスメディアもどんどん招待する
      ドローンを竹島上空に飛ばす
      わが国政府の主張に沿えば、全く合法行為であり、諸外国からとやかくいわれる筋合いではない。これに対する韓国の反応を広く世界に向けて発信するのがよいだろう。

      • さらに続ける。
        わが国防衛装備の短所のひとつに、弾薬備蓄が極めて少ないことを挙げた。また、以前、海保関係者から「20ミリは、弾が高いんですかね、年1回20発撃って、それが射撃訓練ですよ」とも聞いたが、これで国境の海を守れるのだろうか。
        先のタンカー改装特務艦を母船として、竹島近海で北朝鮮工作船の拿捕を想定した訓練をもっと頻繁にやってはどうか。

        さらに、今回のオリンピック、コロナ禍で思うところがあり。たとえば選手村だが、こんなものはクルーズ客船を10隻くらいチャーターして浮かべる方がはるかに安上がりで機動的だと思うのだが、役人たちにそういった発想はないのだろうか。コロナ禍では、いまごろになって「野戦病院云々」が議論されはじめているが、去年初めごろから「駐車場に発熱外来をプレハブで建てよう」という意見もあったが政府の腰は重かった。
        クルーズ客船の中古の売り物というのが少なからずあるのだから、それを数隻購入して、海自の病院船としてはどうか。

  • 韓国の訴訟では、日本の「戦犯企業グループ」と認識されれば、どこでも提訴され、資産を奪われる(凍結される)という事ですね。

    もうこれでは韓国から手を引くしか無いでしょう。それか60日後、90日後といったサイトでは無く、現金決済のみか(それでも横車を言って来そう)。日韓ビジネスはどんどん減らそう!

  • 新宿会計士さまがおっしゃる「子会社・孫会社への差押えが有効に認められる可能性」と、聯合ニュースがいう可能性とは天と地との差があると思います。

    新宿会計士さまはこの債権が孫会社名義であることは偽装で実質親会社の債権であると認められる。または孫会社そのものが偽装設立されたということが認められるといった論理と推測します。

    ただ、韓国側にそこまでの意識はないみたいです。原告は単純に三菱重工の債権だと思って裁判所に申し立てて、裁判所も調べもせずに(ろくに調べないのが普通でそれそのものは問題ない)認めただけのようです。

    それでも聯合ニュースが「認められたら」の仮定のもとでその後の展開を書いているのは、何も法的検討を加えずに「子会社だから実質同一体」「三菱と社名についているなら大差ない」ぐらいで考えているものと思われます。

    一応時事などは「別法人の債権なら却下される」と見て記事を書いています。これが妥当な見方でしょう。

    もし、ここで強引にこの差し押さえを強行すれば、流石に法的に無理な点が続出し、日本企業としての反攻のきっかけが生まれてきます。これら全てに「反日無罪」的な無理な法理を振りかざしていったら、流石に韓国の法的不安定性から企業の韓国進出も止まるでしょうし、日本政府の制裁も近づきます。

    ただ、聯合ニュースって公的資金が入ってる話も聞きますし政権と近いんですよね。我々でも無茶と思うような展開に突っ走る可能性はなきにしもあらず。

    • >「三菱と社名についているなら大差ない」ぐらいで考えているものと思われます。

      カニの足やオリンピックのメダルに「旭日旗だ!」って大騒ぎするぐらいですしね...。

  • その昔、竹島の件を国際司法裁判所に訴え、韓国が半年以内に受けなければ竹島に軍隊を送る案を出した事があります。
    これは、軍隊を出すのが目的ではなく、日本と韓国が紛争状態になり日本からの中間財が止まったり、現金でしか取り引き出来なくするのが目的です。
    韓国は、日本の優秀な中間財を使って、日本と同じものを少し安く売る事で利益をあげてます。その川上を止めると干上がるのではと思い上記の案を考えました。

    しかし、そんな面倒臭い事をしなくても、韓国自らその状態に持って行ってくれるとは。
    もし、このニュースが本当なら左翼が政権をとると、実業に多大な影響が出る証左となります。

  • LSエムトロン⇒三菱重工業エンジンシステムへの支払期日はいつなんでしょうかね。
    今回の事実関係の確認が遅々として進まない可能性もあるし、状況によっては並行して三菱重工業エンジンシステムが仲裁か裁判に持ち込むことも想定した圧力をLSエムトロンへ掛けていくのかな?
    徴用工問題には別にしても、支払期日に支払いが実行されなかった場合は取引先に対して遅れは容認しないという厳格な態度を示すように対応してもらいたい。

    • みつばち 様

      >三菱重工業エンジンシステムが仲裁か裁判に持ち込む

      これは無いでしょうね、振り込み期日まで知らん顔だと思います。

  • 差し押さえられたのは、韓国企業であるLSエムトロンの資産です。
    三菱重工業に支払われた後に差し押さえされる訳ではありません。
    日本側が口を出す話ではないでしょう。
    しかし、どういう事情があろうと、LSエムトロンから三菱重工業への支払いが期日までに行われなければ、三菱重工業は債務不履行とみなし、LSエムトロンへの納品を停止するでしょう。
    それだけでなく、三菱グループの全企業が、LSグループの企業全てに対して納品を停止する可能性もあります。

    LSエムトロンとの取引は、代金が三菱重工業に支払われない限り、再開されないでしょう。
    他のLSグループ、もしくは、全ての韓国企業との取引も、代金の支払いは。最悪でも納品と同時、厳しければ先払が求められるようになります。
    幸い不幸なことに、韓国企業には余裕資金が少なく、今でも資金繰りが苦しい会社が多いようです。
    今回の判決を契機として、韓国企業への掛け売りが認められなくなれば、愉快展開が待っていそうな気がしてなりません。

    • イーシャ 様

      上記、芽島津様のコメントに対するコメントでも記載しましたが、

      >差し押さえられたのは、韓国企業であるLSエムトロンの資産です。

      差し押さえられたのは、三菱重工エンジンシステムが有する「売掛債権」なのです。三菱重工エンジンシステムがLSエムトロンに対して有する支払を受ける権利です。

      このあたりは、ある程度の会計の知識が無いと解りにくいかと思いますが、相手先に売り上げを計上し、相手先もその仕入を認識している(しうる)場合、現預金や手形等の具体的な資産を得ていない場合でも、それら資産を受け取る権利として「売掛金」という債権(疑似資産)が認識されるのです。
      会計仕訳でいうと、売掛金×××/売上高×××、となります。

      この売掛債権が差し押さえられたということは、三菱重工エンジンシステムがLSエムトロンに対して有する支払を受ける権利が消滅したこと、同時に、LSエムトロンが三菱重工エンジンシステムに対して有する支払義務も消滅したことを意味します。
      つまり、LSエムトロンは実質支払済、ということになるのでしょう。

      • PONPON様

        >しかし、経常的な商取引の行為として常に発生する売掛金が差し押さえられるとい>うことは、企業にとって資金繰りが行き詰る可能性があり、極めて深刻な事態です。(先の芽島津様のコメントに対する投稿より引用)

        >つまり、LSエムトロンは実質支払済、ということになるのでしょう。

        三菱重工エンジンシステムの立場からすると、いわゆる0:100案件とも言えそうです。
        同社にとって1mmたりとも責任がないにもかかわらず、取引先の韓国企業から売掛金を回収できなくなるリスクが生じてしまいました。最悪のケースを想定すると、「同社の資金繰りが行き詰る可能性があり、極めて深刻な事態」になりかねません。

        とは言え、仮に三菱重工エンジンシステムにとって、この韓国企業への売上高が数ある取引先の一つに過ぎないのであれば、近い将来資金繰りが行き詰まるリスクは低いものの、少なくとも当面の間は「出荷前の100%現金T/T決済」にする等、LSエムトロンをはじめとする韓国魏業との取引条件をかなり厳しくする等の措置をを取る可能性があります。

        となると、韓国得意の瀬戸際外交が「韓国企業に対する『セルフ経済制裁への道』を拓く」という、ブーメランを投げた瞬間に後頭部に直撃案件へと発展しそうですね。

        • 名古屋の住人様

          おっしゃる通りかと思います。
          ブーメランとなって、日本企業との間にサプライチェンを構築する韓国企業に跳ね返ってくるのでしょう。

          しかし文政権、及びそれを支える活動家、法律家、マスコミ等の左翼は韓国企業の損失よりも、日本による統治が不法(違法)であったことを日本と世界に認めさせることの方が、
          永遠の金づる(旧日本政府の統治行為すべてが不法行為に基づく損害賠償対象となりうる)を確保できる、
          また民族が自ら戦って韓国を樹立した(三一一独立運動以降の上海臨時政府)という自尊心を確保できる、

          という点で大義の前には仕方がない、と考えているのでしょう。

      • この売掛債権が差し押さえられたということは、三菱重工エンジンシステムがLSエムトロンに対して有する支払を受ける権利が消滅したこと、同時に、LSエムトロンが三菱重工エンジンシステムに対して有する支払義務も消滅したことを意味します。

        もし「三菱重工エンジンシステムがLSエムトロンに対して有する支払を受ける権利が消滅した」なら既に日本企業が金銭的な実害を受けた事になります。 支払い期限に関係なく。

        この時点で日本政府は韓国に対しての制裁を発動できるのでは?

        • 野宿様

          売掛金(金銭債権)の差し押さえを行った、ということは新宿会計士様おっしゃるように、明らかに違うステージに入ったものと思われます。
          商取引にも悪影響がでますので、事実上実害を受けたに等しいとも考えられます。
          日本政府がどういう手段にでるのか、今熟慮中といったところなのではないでしょうか?

      • PONPON様
        韓国裁判所が「債権は存在しない事になる」と言っても、企業間取引は契約に基づいて行われます。
        正当な理由無く入金が遅れれば、契約書に書かれている裁判所で裁判になり、日本の裁判所で有れば、正当な理由にはならないと判断されるでしょう。
        そして、係争中の間は取り引きが止まると思います。
        LSエムトロンは、必要な部品(エンジン)がなければ、製造に支障が出るでしょう。

        どうでしょうか?

        • だんな様

          おっしゃるように、企業間の取引上発生した売掛金は契約行為によって発生したものですが、韓国裁判所がその売掛金の差し押さえ命令を出したのですから、法的には三菱重工エンジンシステムのLSエムトロンに対するその売掛金は消滅した、事実上判決上の被害者に移管された、と考えられるのではないでしょうか、、

          おっしゃるように、確かに、その売掛金自体は被害者に移管されたとしても、その売掛金に相当する取引に係るLSエムトロンの三菱重工エンジンシステムに対する支払義務が残っているとすれば、結果的にはLSエムトロンが二重に実質負担(損)する、ということになるのでしょう。
          しかし、そもそも三菱重工に対する損害訴訟なので、そういったことは考えにくいかと思います。
          口座入金後差し押さえならば確実に三菱重工エンジンシステム負担となるわけですから、それと同じ経済効果を前提としているものと思われます。

          まだ地裁レベルの判決なので最終確定ではないですが。。

          • PONPONさま
            三菱重工エンジンシステムが、韓国裁判所の法的判断を認める事は無いでしょう。
            そんな話になれば、三菱重工が謝罪と賠償するのと変わりません。

          • イーシャ様、だんな様

            おっしゃるように、三菱重工エンジンシステムが、韓国裁判所の法的判断を認める事は無いでしょうし、決して認めるべきではありません。

            しかしLSエムトロン側は三菱重工エンジンシステムと取引を継続したいのでしょうから、三菱重工エンジンシステムとの以降の取引を日本国内の口座への入金に限定する等、何らかの方策を提示するものと思われます。

            三菱重工エンジンシステム側が飲むかどうかは条件しだいでしょうが、今回差し押さえられた売掛金に相当する金額を何らかの方法で補償してくれるのなら、飲む可能性もあるかと思います。

            個人的には、売掛金の差し押さえという従来より高いカントリーリスクとなった状況下、取引自体を見直すのが良いように思いますが。。

          • PONPON 様

            >結果的にはLSエムトロンが二重に実質負担(損)する

            仮にこういう結果になったとしたら、原告としては「賠償を勝ち取った」という実績がつきます。
            三菱として「正規の代金として受けとった」と言ってもそれは通らない(韓国司法が否定する)と思いますし、実質的損害が無ければ、「売却がレッドライン」と言ってる政府としても動き様が無い。
            三菱が受け取らなければ良いと思うのですが、そう上手く行きますかね?
            LSエムトロンが韓国企業である以上、あえて二重負担する可能性はある、と。

          • 売買契約書の実物を確認しないと確実なところはわかりませんが、通常契約書には準拠法と紛争時の専管裁判所が記述されます。三菱側はまず間違いなく日本法準拠と(おそらく)東京地裁を専管裁判所とするよう主張したはずです(少なくとも雛形はそうなっているはず)。相手側がどうしてもとゴネれば、第三国の法を準拠法(たいていはデラウェア州法)とし、紛争解決はICCに持ち込むという形になるかと思います。三菱側が韓国法準拠という条件を呑むことはまずありえません。

            そこでまず疑問なのは、韓国法を準拠法としていない売買契約の条項(支払い条件などを含む)に韓国の裁判所が容喙することは果たして法理的に可能でしょうか? もし可能であるとするならば、韓国の裁判所は韓国法人と外国法人との間で交わされた契約内容をどうにもでもできてしまうことになりませんか?

            韓国法人であるLSエムトロン社は韓国の裁判所の判断に服する必要があるでしょうが、日本法人である三菱重工エンジンシステム社には韓国法に服する義務はありません。従って、韓国の裁判所がどのような判断を下そうが、三菱側から見れば契約違反に他ならず、契約書に指定された専管裁判所に対して訴訟を提起することになると思われます。

            まあ、いずれにしても一番困った立場に追い込まれたのはLSエムトロン社であり、三菱側としては、いつでも損金処理&取引中止とすることができるのですけれども。

          • おっしゃるように、三菱重工エンジンシステムが、韓国裁判所の法的判断を認める事は無いでしょうし、決して認めるべきではありません。

            PONPON様、

            普通の英国・米国由来の司法体系を持っている国では抗争中でない民間の任意の合法的な商行為に裁判所が一方的かつ専断的に民事介入することは出来ません。 裁判所が介入出来るのはLSエムトロン社か三菱エンジン社がその特定裁判所に訴え出た時のみで、裁判所は当事者に「お呼ばれ」しない限り「当事者に判断・判決を強制する裁判権」は発生しません。

            この件の場合、この裁判所はこのLSエムトロン/三菱エンジンの2社に裁判権を託されたワケではないので、件の差し押さえという司法命令は裁判権の不在という理由で無効です。

      • PONPON 様
        例え韓国側がそう判断しても、三菱重工業エンジンシステムが納得しなければ、LSエムトロンとの取引を継続する義務はないわけで、「取引停止 → LSエムトロンの経営破綻」 という流れは覆せないでしょう。
        取引を継続せよと訴えても、国際司法の場へ持ち込まざるを得ないでしょうし、裁判中は取引停止のまま推移し、LSエムトロンは事業を続けられなくなると思います。

        • イーシャ様

          おっしゃるようにその可能性も決して低くはないと思われます。
          回避のために、三菱重工業エンジンシステムとLSエムトロンは互いに知恵を出し合うのでしょうが。。

          • PONPONさま
            >互いに知恵を出し合う

            韓国政府の主張と変わりませんが。

          • 知恵を出さねばならないのはLSエムトロン側であって、三菱側ではありません。三菱側としては、さっさと損金処理して、以後同社との取引は打ち切り、または全額前金でしか取引しないということになると思います。そして状況が状況だけに、LSエムトロン以外の韓国企業との取引も同様の条件にするでしょうね。
            こう言っては何ですが、中韓(特に中国)企業相手の売掛金未収というのはそれほど驚くべき事態というわけでもないので、上記のような処理自体はそれほど難しくはないはずです。

        • 外部からの介入で取引を中止するということは起こり得るでしょうが、無理矢理取引を継続させるという話は聞いたことがありません。
          従って、困るのはLSエムトロン社側だけです。まあ、売掛金未収となれば、三菱側の営業さんは頭を抱えるでしょうが、後は法務部の出番ですから。

          # 三菱の法務相手に喧嘩するだなんて、そんな怖ろしいことなど
          # 考えたくもありませんが。

  • いつも知的好奇心を刺激する記事の配信ありがとうございます。

    今回の韓国の手ははっきり言って悪手と考えます。

    当方がムンムンならばアメリカに判決の根拠と日韓基本条約の英文解釈を見せた上で「条約に含まれない」植民地支配の自称徴用工に対する慰謝料を日銀が保有する米国債の名義書き換えで取り立て出来るように要求します。

    アメリカが「承知の上で(笑)」騙されてくれれば「ポツダム宣言受諾以降の請求権の放棄の無効化」を前列でできたとして「自称両班の子孫(=全国民(笑))」からの「前期倭寇」の被害における「歴史的不法行為」の賠償金(年利1割から15%程度の複利遅延金付)を判決で確定させて、アメリカへ「前回の前列にしたがって」名義変更請求と執行を求めるのです(笑)

    アメリカや日本が疑義を申し立てしても当方がムンムンならばこう言い切るでしょう。

    「ウリナラを嫌う右翼共が言うようにチョッパリの国は万世一系ですから同一権威での統治行動での不法行為責任は免除できなくて当たり前です(笑)。前回貴国が認めた前例にしたがってご対応下さい。」

    又は「韓国から」日韓基本条約に基づく仲裁を「東アジアの利害に関与する国連常任理事国である米中露」に実施させるように求めるのも手です(笑)。

    「力の政治の信奉者たる中露」が「アメリカの国益を削ぐ為に」どちらの主張を受け入れるか明白だからです。

    外交は「綺麗事の名でキタナイ事を「合法的に実現」出来るようにする事」です。

    実際にムンムンが実際に上記手順で外交を実施した場合に日本がどうするべきか考えるのも知的好奇心を刺激する事ではないでしょうか。当方程度の低知能は向こうにも存在しますので「時間の問題で」もっと厳しい外交を行うと思います。

    日本のガースーやニヤニヤ外務大臣になったつもりで対抗策をお考え頂ければ。

    以上です。駄文失礼しました。

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