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    Categories: 金融

「物資不足」なのに「物価安定」?北朝鮮経済の謎解き

物価とは、「モノとカネの交換比率」である

当ウェブサイトでは「金融評論」に力を入れているつもりです。こうしたなか、以前からときどき、北朝鮮における物価水準が異様に安定している(ように見える)、という話題を取り上げてきました。もちろん、『北朝鮮の物価がさらに上昇:短期的混乱か、それとも…』などで述べたような「短期的な乱高下」はありますが、やはり長期的なトレンドとしては、北朝鮮の物価は、一見すると「経済が崩壊に向かう国」にありがちな、「物価が急上昇する(=貨幣価値が急落する)」という状況にはないのです。

北朝鮮の物価の乱高下

先日、当ウェブサイトの『南北通信線で「経済危機」の北朝鮮に振り回される韓国』では、北朝鮮の物価が6月から8月にかけ、乱高下している、という話題を取り上げました。

その際参考にしたのは、『アジアプレス・ネットワーク』というウェブサイトが公表している『<北朝鮮>市場最新物価情報』というページに金、栄西されている、ガソリン、軽油、白米(以前は「北朝鮮産米」)、トウモロコシの4品目と、人民元、米ドルとの為替相場に関する情報です。

同サイトからデータを取得し、2021年に限定してついて35日(=5週間)間隔でグラフ化したものが図表1(※グラフ終点を最新調査である8月4日に設定)、この図表1を2019年2月以降の2年半分に拡大したものが図表2、そして為替相場(対人民元、対米ドル)のみを抜き出したものが図表3です。

図表1 北朝鮮の諸物価(2021年)

(【出所】アジアプレス・ネットワーク『<北朝鮮>市場最新物価情報』より著者作成)

図表2 北朝鮮の諸物価(2019年2月以降の2年半分)

(【出所】アジアプレス・ネットワーク『<北朝鮮>市場最新物価情報』より著者作成)

図表3 米ドルと人民元の為替相場(2019年2月以降の2年半分)

(【出所】アジアプレス・ネットワーク『<北朝鮮>市場最新物価情報』より著者作成)

北朝鮮経済の怪

【参考】北朝鮮ウォン(クリックで拡大)

(【出所】Voice of America

「自由経済の尺度で北朝鮮経済を語るな」

あらためてこれらのグラフを眺めて気付くのは、短期的な乱高下は見られるものの、漏れ伝わる窮状にも関わらず、北朝鮮の物価水準は意外なほどに落ち着いている、という点です。

たとえば、今年6月には4品目の物価が急騰し、8月に急落するという局所的な「大変動」は生じましたが、経済が崩壊する国にありがちな、「無限に物価が上昇していく(=貨幣価値が下落していく)」という状況にはありません。

この点、先日の記事に対しては「まともな市場経済もないのに西側の自由経済の尺度で北朝鮮の経済は語れない」というコメントを寄せた人物がいらっしゃいました。

このコメント主様が、いったい何を根拠に北朝鮮に「まともな市場経済もない」とコメントしたのかは存じ上げません(※個人的にはこの「西側の自由経済の尺度」という破壊力満点の表現、嫌いではありません。もっとも、口に含んでいたコーヒーを噴出してしまいましたが…)。

こうした突拍子もないコメントは論外としても、北朝鮮ウォッチャーの間でも、「なぜ、北朝鮮の物価は安定している(ように見える)のか」、あるいは「なぜ、北朝鮮経済がまだ生きているのか」に関しては、ちゃんとした証拠をもって明確な答えを示しているというケースは見当たりません。

たとえば、くだんのコメントで示されていた次の記事などは、その典型例でしょう。

「この国にはもう、食糧はないのか」北朝鮮国内で動揺広がる

―――2021年08月11日06時26分付 Yahoo!ニュースより【デイリーNKジャパン配信】

当ウェブサイトでは公序良俗等に反しない限り、コメント欄で何を主張していただくのも自由ですが、さすがにこの記事をもって「北朝鮮経済を西側の自由経済の尺度で語れない」の根拠にするには、かなりの無理があるような気がします。

なぜ北朝鮮経済はいまだに崩壊していないのか?

ただ、「北朝鮮経済は今すぐ崩壊する」、といった報道はよく見かけるのですが、そのわりに、この状態で金正恩(きん・しょうおん)体制が何年も生き永らえている(?)のは、やはり不思議です。

そして、北朝鮮の経済が苦境にある、とする記事は、ほかにもたくさんあります。

たとえば、2020年冬にコロナ禍が始まって以降、北朝鮮は中朝国境の往来を制限するなどした影響もあり、貿易高が激減し(『VOA「北朝鮮の11月対中輸出は実質2832ドル」』等参照)、生活物資などが極度に不足しているとの報道がありました。

また、今年に入ってからは、在平壌(へいじょう)外国大使館員らが北朝鮮から脱出する動きが相次いでいる、などの情報もありました(『米メディア「北朝鮮で停電頻発」』、『ついにチェコが北朝鮮大使館を「一時閉鎖」へ=RFA』等参照)。

これらの報道のなかには、あたかも「北朝鮮経済が今にも崩壊する」かのような印象を抱くようなものが含まれているのも事実ですが、ただ、「北朝鮮の物価が安定しているように見える」ことに対する言及はさほど多くありません。

もちろん、当ウェブサイトとしても、『アジアプレス・ネットワーク』による調査がすべてだ、申し上げるつもりはありません。

同サイト自身が認めているとおり、調査実施地域(サンプルなど)には偏りがあるますし、統計上の誤差が生じることは止むを得ないでしょう。また、物価データに季節変動があまり見られない点も、なんとなく違和感があります。

しかし、個人的にはどうも同ネットワークの物価調査を頭から「間違っている」と決めつけるべきとも思えません。

このあたりは感覚的なものですし、『アジアプレス・ネットワーク』の調査が「正しい」、「間違っている」については証明のしようもありませんが、やはり、北朝鮮の経済を考えるうえで、ある程度は参考にすべき指針のひとつではないかと思えるのです。

(※余談ですが、同サイトの物価が安定している(ように見える)という事実だけをもって、「北朝鮮に対する経済制裁は効いていない」とする、逆の意味での極論をおっしゃったかたもいらっしゃいましたが、これについては『北朝鮮の経済制裁は「物価」だけでは測定できない』などもご参照ください。)

2年半前のWSJ「経済の地下化と市場化が経済成長もたらす」

こうしたなか、北朝鮮で物価が安定している(かにみえる)点について言及した例外的な記事といえば、米メディアのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に掲載された、こんな記事でしょう。

北朝鮮経済、制裁にどう耐えているのか

―――2019 年 2 月 26 日 15:47 JST付 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版より

このWSJの記事が書かれたのは2年半前ですが、当時からすでに、北朝鮮ではコメ価格もガソリン価格も意外なほどに安定している、という点が指摘されています。

具体的には、WSJは脱北者、人道支援関係者、政府当局者、北朝鮮訪問者ら30人以上にインタビューを実施し、「1990年代に今よりもっと厳しい状況下で生活していた多くの住民は、市場経済がより深く根付く状況に適応しつつある」、と結論付けています。

すなわち、当ウェブサイトなりに読み解くならば、経済の「地下化」と「市場化」が、私たちが思っている以上に進展していて、その生産性の向上が経済制裁の効果を相殺している、というのがWSJの指摘でしょう。

貨幣現象としての物価

経済制裁逃れが常態化しているのも間違いないが…

ただし、産油国でもない北朝鮮がガソリンなどを手に入れるためには、「外」から調達する必要があります。

そもそも、北朝鮮に対しては2017年の国連安保理決議(具体的には2017年9月11日付『国連安保理決議第2375号』や2017年12月22日付『国連安保理決議第2397号』)などを含め、国際社会から厳しい経済制裁を課されているはずです。

そして、現在、北朝鮮の石油精製品の輸入は年間50万バレルに制限されています。この状態でガソリン価格が安定しているというのも不思議な気がします。

この点、「北朝鮮が違法な瀬取りなどを通じ、国連安保理制裁逃れを常態化させている」とする報告もあります(さまざまな報告がありますが、日本語で最も手っ取り早く読めるものとしては、外務省ウェブサイト『北朝鮮関連船舶による違法な洋上での物資の積替えの疑い』が良いと思います)。

これに加え、『国連パネル「北朝鮮が暗号通貨3億ドル窃盗」等を報告』等でも報告したとおり、最近だとサイバー空間での犯罪活動も巧妙化させており、暗号通貨の窃盗などを通じて不法に現金・現金同等物を入手しているようです。

このため、北朝鮮の経済を生き永らえさせているのは、経済の部分的な自由化・市場化であり、違法な瀬取を含めた闇貿易であり、サイバー犯罪である、などとする仮説には、それなりの説得力が生じてくる、というわけです。

おそらく石油精製品に関しても、年間50万バレルを大きく超える数量が、何らかの手段で北朝鮮に搬入されている、と考えておいた方が良いでしょう。

物価は貨幣現象である

もっとも、先日の記事に対し、「野」様というコメント主の方からは、こんな趣旨の指摘をいただきました(コメント本文については要約しています)。

『物価が安定している』状況を生じさせる要因としては、『モノとカネが両方有り余っている』状態と、『モノとカネが両方とも枯渇している』状態が考えられる。北朝鮮の場合は後者ではないか。

このご指摘、じつは当ウェブサイトで長らく持論として提示してきた、「物価とはモノの価格であると同時にカネの価格である」とする考え方の裏返しでもあります。

「コメ5キロ=2000円」という状況だと、消費者から見れば「2000円でコメ5キロを手に入れること」を意味しますが、生産者・販売者から見れば、「コメ5キロを2000円に換金すること」を意味します。

ここで、世の中の通貨(カネ)の量が一定で、コメがいきなり枯渇してしまうという、1993年のコメ不足のような事態が発生すれば、いったいどうなるでしょうか。

おそらく、コメの値段が上がります。

2倍の「5キロ4000円」になるのかもしれませんし、5倍の「5キロ1万円」になるのかもしれません。あるいは最近話題の「お値段据え置きで料だけ減らす」という「サイレント値上げ」パターンで、「4キロ2000円」、「3キロ2000円」などとなるのかもしれませんが、とにかくコメ1キロ当たりの値段は上昇するはずです。

これが「物価上昇」の基本でしょう。

ところが、仮に黒田東彦・日銀総裁が突如として辞任され、後任に白川方明・前総裁のような「デフレ主義者」が就任し、量的質的緩和(QQE)の撤回を表明したとしましょう。

そうなると、市場から通貨の供給量が急激に減り始め、おカネの価値が上昇(=モノの価値が下落)します。これがデフレの基本形です。つまり、モノの供給量がまったく変わらなくても、通貨の供給量が減れば、物価は下落してしまうのです。

「そんなバカなことあるか」と思われる方は、2008年から2013年までの白川時代の日銀がいかなる金融政策を展開し、その間、市場期待インフレ率(BEI)や国債金利がどう推移したかを調べてみれば、すぐにわかるでしょう(※2007年2月の利上げのこと、覚えていますよ、白川さん!)。

ましてや、北朝鮮のような閉鎖経済において、紙幣の印刷などをしなければ、いったい何が生じるかは、想像に難くありません。

ソマリアシリングの事例

こうしたなか、先日の記事では、こんな趣旨のことも記載しました。

通貨当局が北朝鮮ウォンの紙幣をわざと刷らない(十分な量の貨幣を供給しない)ことで、市場では北朝鮮ウォン不足が生じ、物価は上昇しない(=カネの価格は下落しない)、という貨幣現象が生じているのではないか」。

これに対し、「とある福岡市民」様からは、こんなコメントがありました。長いのですが、良いコメントなので、原文に近い形で紹介したいと思います(※改行箇所等、微修正を加えている部分もあります)。

ノンフィクション作家・高野秀行さんの『謎の独立国家ソマリランド』『恋するソマリア』に書かれてあった、南西ソマリアで使用されているソマリア・シリングがまさにこれです。

ソマリア・シリングは1991年にソマリアの中央政府が崩壊して以降は発行元がなくなり、年月が経つにつれて紙幣が破損して流通量が減り続けています。そのためインフレの起きようがなく、南西ソマリアではドルと同じくらいに信用されています。

高野さんがラピュタに例えたソマリランドではソマリランド銀行(※通貨発行権を持つ中央銀行でありながら市中銀行の業務も行なっている銀行)が発行するソマリランド・シリングはカネ不足を補うべく紙幣を増発しているので、年に数パーセントのインフレが進行しています。

そのため、ソマリランドにおいてもソマリア・シリングの方を重宝する人がいるそうです。ソマリランドと南西ソマリアの間にあるソマリア海賊の根拠地、プントランドでもソマリア・シリングが信用されてます。

中央政府ができた「ラピュタ」ソマリランドで物価が不安定となり、中央政府が崩壊した「リアル北斗の拳」南西ソマリアで物価が安定し、中央政府の崩壊した国の通貨がかえって信用されるという逆転現象が起きています。これもカネ不足のもたらした不思議ゆえでしょう。

【参考】『謎の独立国家ソマリランド

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)

【参考】『恋するソマリア

(【出所】アマゾンアフィリエイトリンク)

大変に参考になる話ですね。

これについて、「とある福岡市民」様のコメントに触発され、個人的にいくつかのウェブサイトで調べてみたところ、ソマリア・シリング紙幣は1991年以前に製造されたものが重宝されている、などの情報もありました(※真偽はよくわかりませんが)。

人類の紙幣愛

ここから先は、あくまでも個人的な主観に基づく印象で恐縮ですが、やはり紙幣には不思議な魅力があります。「人類の紙幣に対する愛着」、とでも言えばよいのでしょうか。

紙に「1万円」だの「5千円」だのと印刷されただけの代物なのに、人々がそれをありがたがるのは、紙幣には「通貨としての法的に通用する」という「強制力」以外にも、人間の深層心理に、その紙きれ自体への本能的な畏敬の念が生じているように思えてならないのです。

この点、子どものころから親が紙幣でさまざまな買い物をし、その紙幣を大事にサイフにしまっているのを見て育つと、自然と紙幣の威力が刷り込まれるものなのかもしれません。

もちろん、北朝鮮の場合は、かつてデノミの失敗で通貨価値の暴落が発生するなどしているようであり、それで資産を失った人からすれば、自国の紙幣に対する恨みつらみもあるでしょう。ただ、それでも現時点の紙幣自体、貴重なものと見られている可能性は濃厚です。

もちろん、北朝鮮の物価が安定している理由としては、「外貨(人民元や米ドルなど)を使用した場合に厳しい罰則が適用されるため、人々は嫌でも北朝鮮ウォンを一定数保有せざるを得ず、その北朝鮮ウォンで測定された物価が安定する」、といった仮説も成り立ちます。

ただ、この仮説だけだと、北朝鮮ウォンの価値が人民元や米ドルに対して上昇していることについて、うまく説明することができません。

やはり、北朝鮮の物価が安定しているとされる要因は、「物資の供給が安定しているから」ではなく、「通貨の供給が不足しているから」、と考えた方が良いのかもしれません。

そうなると当然、北朝鮮経済には「突然死」のリスクも排除できない、ということでしょう。

このあたりは今後も注意深く見守っていく価値がありそうな論点、というわけです。

新宿会計士:

View Comments (27)

  • 北朝鮮の物価・為替レートの動きは興味深いですね。
    もしも、南のウォンが価値を失って北のウォンは価値を保つという現象を観測出きれば、一層興味をそそられそうです。

  • 金融は良くわかんない素人の感想なのです♪

    図表3をみると米ドルと人民元の価格がぴったり寄り添って動いているのです♪
    北朝鮮で元を仕入れて、他所で元が上がったときに売れば大儲けできるのかな?

    ソマリランドも遭難だけど、流通してる通貨が複数ある社会での暮らしって、どんな感じなんだろう?
    お店とかでか使い分けしたりしてるのかな?普段使いは一方で、もう一方は貯蓄に回したりするのかな?とか考えると、なんか不思議なのです♪

    • 七味 様

       実は流通している通貨が一つしかない社会や時代というのは、長い歴史の中では少数派です。日本もかつては通貨が複数ありました。
       江戸時代の日本では大判小判の金貨、粒状や塊状の銀貨、寛永通宝の銭貨が貨幣として使用されてました。
       日常では銭貨が使用されます。金貨や銀貨は貯金や高額決済に使用します。金貨と銀貨の為替レートは変動相場制であり、貨幣を交換するには両替商に持ち込む必要があります。その両替商が明治以降になって銀行へ業態転換したところもあります。
       藩によっては藩札という紙幣もあり、他の貨幣との交換が約束されてました。実際には藩の都合で紙切れになる事が多かったです。藩札は藩内のみで通用する地域通貨でしたが、各藩の領地が複雑に入り組んだところでは藩外との取引にも使用された例があります。

       明治時代になって通貨が円、銭、厘と全国的に統一されたものになり、他の貨幣の使用が禁止されます。藩札も廃止されますが、交換レートの発表前に政府関係者から情報を仕入れ、藩札を交換レートよりも安値で買い漁って大きな利益を得た岩崎弥太郎のような人物もいます。完全にインサイダー取引ですね。
       なお、戦後の一時期は在日米軍基地周辺でドル紙幣が通貨として使用された事もあります。

       他の国や地域でも複数の通貨が使用された例は多々あります。貿易港ではあらゆる国からの品物が来るため、あらゆる国からの通貨も集まります。その通貨との為替相場もあったようですが、基本的には金銀の重さを計った上で取引をしていたようです。銅貨や紙幣は日常での取引、金銀は貯金や高額決済というのが基本ですが、地域によっては金銀が日常での決済に愛用された例があります。

      • とある福岡市民様

        返信ありがとなのです♪

        いろんな通過を使い分けて暮らす方が当たり前と聞いて、びっくりなのです♪

        あたし自身は、今の円しかない生活が当たり前だけど、いろんな通貨がある地域とか時代の人は、それはそれで生活を営んでて、不思議でも何でもないんでしょうね♪

        あっちのスーパーは円で買ったらお得で、こっちはドルでみたいな使い分けをしつつ、ドルがちょっと足りないから両替しとこう、みたいな日常も、何だか楽しげに思えてきたのです♪

  • 国を維持する最低限物資のガソリン、軽油、白米、とうもろこしは地下経済化が進んでいるのではないでしょうか。

    労働党による統制経済など、もう破綻してます。村の一角、町単位に路上ヤミ物資が並んでる。それを取り締まることもせず、黙認。外貨持ちが非合法で連れて行かれるなら、物々交換が有力です。

    食べた事無いですが、どうせ北朝鮮産の米、とうもろこし等、日本人は食えたものではありません。家禽の餌並みでしょう。物価が安定しているというのは、オモテに出て来る対象品の量が、あまりに少ないからでは無いですか。

  • 私は金融とかまったくわからないので、主様の解説はものすごくわかりやすく勉強になりました。ありがとうございます。

  • 現在の北朝鮮国内での物価安定という怪事については、外側から眺める分にはあくまでも対岸の火事に過ぎず、その理由についてもやはりあくまでも推測の域を出ないのであるためさほどの興味は覚えません。

    ただ、もし新宿会計士様のご指摘通り、モノもカネも払底しつつあるが故の物価安定という現象なのだとしたら、それはとりもなおさず現在の北朝鮮経済が縮小再生産の段階になりつつあるという事に外ならず、それはそれで望ましいことだと云えそうです。

    現在の北朝鮮を見るに、李氏朝鮮の末期とはこういう状態だったのではあるまいかと思うことがあります。

    閔妃は巫堂の宗教儀式に入れ込み、国庫の数倍もの国費を濫用し、役人は役人で国民から搾取した金を賄賂として閔妃に差し出して、自らの保身をはかっていたと云います。国民は度重なる搾取に疲弊し果て、反抗する意思までなくしてしまっていた様子を、イザベラ・バードやその他当時朝鮮に居留していた多くの外国人たちが、日記や紀行文として残しています。その有様はまるで今の北朝鮮そのものです。

    閔妃が巫堂に溺れて国を傾けたが如く、金正恩は核に溺れて今再び国を滅ぼそうといていると云えるのかもしれません。

  • かつてのソ連では、自由市場を除き、物価は需給にかかわらず公定価格となっていました。しかしながら、現在の北朝鮮では平壌においてすら配給システムが機能しておらず、食料品その他の調達は市場に頼らざるを得ないとのことなので、市場がないから物価変動もないという説は否定されます。(ただし、当局が市場価格に全く統制をかけてないかどうかまでは不明)
    また、かつてスーパーKで名を馳せた北朝鮮に紙幣印刷能力がないとは思えません。一応中央政府も機能している(らしい)ので、紙幣の供給が滞っているというのも考えにくいでしょう。(ただし、意図的に紙幣印刷を停止していないかまでは不明)
    そして、もし絶対的にモノがなければ、価格の付けようがありませんので、表面的な価格は変動しないということも考えられます。しかし、ガソリンはまだしも、食料品までもが絶対的にモノがないとなれば、今頃住民は片っ端から餓死しているはずですが、そこまでの惨状は伝わっていません。(ただし、餓死者が発生してないかどうかは不明)

    4月に金正恩総書記が「苦難の行軍」を宣言したそうなので(*)、北朝鮮経済がかなり逼迫していることは事実でしょう。供給に問題がなければ、わざわざ「苦難の行軍」を宣言することはないはずだからです。つまり、供給の不足は、国境付近や海上で少々ちょろまかした位ではカバーしきれてないとみるべきでしょう。それにもかかわらず、表面的に物価が安定しているかのように見える(らしい)のは、何らかのトリックがあると考えざるを得ません。
    いかんせん信頼するに足る情報がなさすぎるので、ほとんど憶測になりますが、個人的には、やはり当局が市場価格に介入しているのではないかと考えています。介入と言っても、公定価格を一意に決定するのではなく、上限価格を定めてそれを上回って販売したら処罰するという形でしょう。そして、上限価格も固定ではなく、多少の幅を持たせておけば、ある程度までは需給の変化に対応できる(かもしれない)と思います。

    北朝鮮指導部にとっての最優先事項は、体制の存続と維持であると考えた場合、末端での物価の大変動はなんとしてでも防がねばならない事態でしょう。力で人民を抑え込むのは限界があります。そう考えると、北朝鮮当局が「市場価格」の変動を放置しているとは考えにくいと思います。

    (*) https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66401

    • 今日から公開されるアマプラのシン・ヱヴァンゲリオンの為に今週は、前三作を復習しましたが、北朝鮮では毎日ヤシマ作戦状態なんでしょうねえ。

      北朝鮮は対空レーダーに回す電力も無いと聞きますが…。
      韓国は米軍のレーダーに回す電力はねえとやってますけどねwww。

      • エヴァのヤシマ作戦は第5使徒に陽電子砲を発射するため。
        北朝鮮のヤシマ作戦は喜び組に将軍の欲望を発射するため。

  • 共同通信平壌支局ってなにかお仕事してるのかな?
    維持している意味あるのかね。

    • りょうちん様

      貴重な外貨を上納するという高貴で崇高な任務があります。
      又、輝かしいご首領様がおっしゃる事を世界各地(主に日本に居る同士)に広めるという
      崇高なお仕事がございます。

  •  経済に詳しい方にお尋ねします。
     (毎日、必ず、市場である商品を買うことができる人数)*(その人が、一日で必ず消費する、その商品の量)が、(1日で市場に供給される、その商品の量)と同じなら、市場において、その価格は安定するのではないでしょうか。つまり、供給量が減れば、人数を調整すれば、よいのですから。
     回答、お願いします。

    • >つまり、供給量が減れば、人数を調整すれば、よいのですから

      調整された人数、つまり買うことを制限され市場に入れない人は何も食べないで過ごすことになります。それはできないので市場に入ることのできた人から買おうとするでしょう。その値段は市場の値段より上のはず。

      • sqsq様
         まず、市場での価格の安定だけで、他のことは無視できるとします。(他の問題は、別の人間が解決する問題、ということです)
         また、(理論上になりますが)「買ことが出来る人は、一日で使い切る分だけを、毎日、購入する」、つまり、転売する余裕はなく、買い占めも出来ないとします。
         また、(これも理論上になりますが)市場の外での売買の価格については、関与しないとします。

        • 50人の小学校のクラスに給食は40人分しかない。選ばれた40人は決められた値段を払って給食を食べる。選ばれなかった10人は食べられずに見ている。価格は安定。
          これって経済学の問題なのだろうか?

          • 「(経済知識を利用して)物資不足なのに、物価安定する方法は、何があるか」という問題で、経済の問題ではありません。

  • >物価は貨幣現象
    私は価格は需要と供給で決まると教えられました。
    価格を論じる時この2つ(需要と供給)から絶対離れてはいけないとも。
    100円ショップにはどう見ても100円ではつくれないものが多数並んでいます。おそらく巨大な供給が背後にあるのでしょう。

    • 私は価格は需要と供給で決まると教えられました。

      それで良いと思いますよ。
      ただし、サイト主様の論点は「市場内の物価を議論する場合、商品の需要と供給と共に貨幣の需要と供給も考慮に入れる必要がある」という事だと思います。
      我々の普通の生活の中では「貨幣の供給量・流通量」なんて個人が制御出来るモノではないので考えもしませんが、経済システム全体ではプライムレートやインフレーションを左右する重要な独立変数です。

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