本稿は、ショートメモです。昨日の『【速報】感染拡大の原因のひとつはテレビ局自身だった』で取り上げたテレビ朝日従業員らの不祥事に関し、「続報」がありました。これについて報じられた事実関係を紹介するとともに、やはりテレビ業界で働く者たち自体が「『感染』爆発」局面を担っていた疑いが極めて濃厚であるという点について、確認しておきましょう。

テレビ朝日の不十分過ぎる報道発表

昨日の『【速報】感染拡大の原因のひとつはテレビ局自身だった』で紹介したとおり、「東京都などの自粛要請を無視し、徹夜の飲み会を敢行している者たちの一部はテレビ局の従業員だった」、という事実が明らかになりました。

問題のＰＤＦファイルを再掲しておきましょう。

当社社員の緊急搬送事案について【※ＰＤＦファイル】

―――2021/08/10付　テレビ朝日ウェブサイトより

驚くことに、このファイル、通常のニューズサイトに大きく掲載されているというものではなく、「株式会社テレビ朝日」のコーポレートサイトのプレス・リリースコーナーにひっそりと掲載されているものです（※しかも、ＰＤＦファイルで、です）。

株式会社テレビ朝日が公表した事実関係は、次のとおりです（なお、原文に含まれる「社員」という誤った表現を「従業員」に修正したうえで、当ウェブサイト側にて箇条書きに変更しています）。

• ①８月８日の夜、株式会社テレビ朝日の東京五輪番組担当スタッフ10人が「打ち上げ」名目の飲酒を伴う宴席を飲食店で開いた
• ②翌９日未明、退転する際に同社スポーツ局従業員１名が誤って店外に転落し、負傷して緊急搬送された
• ③当該従業員は現在入院中で、事案の詳細は確認中

改めて、これを読んでみると、大変に不自然であるとともに、情報としては明らかに不十分です。

まず①、宴席が始まったのは８月８日の夜ということです。

可能性があるとすれば、「東京五輪の閉会に合わせてテレビ朝日本社に近いどこか（つまり都内の繁華街）に飲みに行った」、ということだと思いますが、いったい何時から飲みに行ったのでしょうか。まさかとは思いますが、閉会式の終了後、すなわち夜10時半から11時にかけて飲み会を始めた、ということでしょうか。

次に生じる疑問は、そもそも東京都の自粛要請にも関わらず、そんな夜中にまで種類を提供する店が営業しており、それを「コロナ感染リスクの提言」を呼びかけるべき立場にあるはずのテレビ局の従業員らがそのような店に出掛けた、ということでしょうか。

さらに、「翌９日未明」とありますが、徹夜で飲んでいた、ということでしょうか。

いったい何をやったら店外に転落したりするものなのでしょうか。酔った勢いで胴上げでもしたのでしょうか。

そして、都内の医療体制が逼迫するなか、株式会社テレビ朝日の従業員が１名、病院に緊急搬送されたことで、医療リソースが「余計なこと」に浪費された、ということはなかったのでしょうか。

株式会社テレビ朝日の報道発表自体、400文字もない短い文章であり、正直、湧き出るさまざまな疑問にきちんと答える代物ではありません。

ＦＮＮプライム「深夜４時、カラオケ店の２階から転落」

これについてもう少し調べていくと、これらの疑問点のうちの一部が少しずつわかってきました。

といっても、取り上げていたのは、『テレ朝news』ではありません。同じ在京キー局のウェブサイトのうち、『ＦＮＮプライムオンライン』です。

社員ら10人で五輪打ち上げ　酔った女性がカラオケ店2階から転落し骨折　テレビ朝日「大変遺憾」

―――2021/8/10 12:17付　ＦＮＮプライムオンラインより

結論からいえば、先ほどの類推のうちの一部が正しかったようです。

まず、事件が発生したのは渋谷区神南のカラオケ店で、９日午前４時ごろ、株式会社テレビ朝日の女性従業員が酔ってビルの２階から転落して骨折したのだそうです（※渋谷区神南といえば、ＮＨＫ本社近くにある渋谷の一等地の繁華街であり、数多くの飲み屋が集まっている地域です）。

そして、救急車が駆け付けた経緯は、目撃者が「ビルから人が落ちてきた」と110番（※）通報したためなのだとか（※なお、ＦＮＮプライムの記事には「119番」ではなく「110番」と書かれています）。

カラオケ店の２階から転落するとは、なかなか想像し辛いことですが、もしかすると泥酔のあまり、階段で足を踏み外した、ということなのかもしれません。

いずれにせよ、株式会社テレビ朝日自身が「報道機関」を名乗っているわりに、「いかなる状況で従業員が転落したか」という状況が分かる情報を何も載せていませんし、「午前４時・カラオケ店」という非常に重要な情報を伏せて「未明・飲食店」などと事実を曲げて発表しているのです。

ＦＮＮプライムオンラインの報道が事実であり、上記の考察が合っているのだとしたら、株式会社テレビ朝日は「緊急事態宣言下で自社の従業員が深夜まで飲み歩き、一部の者が泥酔した状態でカラオケ店から転落した」、という、自社にとっては都合が悪い重要な事実を隠蔽している、ということではないでしょうか。

悪い呆れますね。

おそらくは氷山の一角

何となく嫌な予感がするのですが、今回の事件は「氷山の一角」に過ぎず、もしかすると株式会社テレビ朝日の従業員は、東京都の自粛要請などを無視し、夜中に大人数で飲み会をする、ということが常態化していたのではないでしょうか。

実際、「テレビ朝日」と「コロナ」で思い出すのは、テレビ朝日自身、昨年４月に『報道ステーション』のメインキャスターがコロナに感染した、という「事件」を発生させていた、という事実です（『テレビ局、メインキャスター感染の番組制作を「強行」』等参照）。

つまり、本件は「カラオケ店の２階から転落し、救急車で搬送された」という「露骨な不祥事」であり、ＳＮＳなどが発達した今日においては、渋谷の繁華街で生じた不祥事は隠しおおせないと判断し、やむなく報道発表をした、というのが実情に近いのではないかと想像します。

バレていないだけで、テレビ局関係者による緊急事態宣言下の深夜の飲酒というものは、わりと頻繁に生じているのかもしれません。

ちなみにもしも与党政治家が同じことをやったら、それこそ議員辞職に追い込むほどに厳しくバッシングすることでしょう。

それとも何でしょうか、「オリンピックがなければそもそも打ち上げをすることもなかったのだから、当社の従業員が骨折したのはオリンピックのせいだ」、とでも言い出すつもりでしょうか。

いずれにせよ、テレビ業界、身内の不祥事に対しては本当に甘いと言わざるを得ません（あるいは、「腐敗し切っている」、と言うべきでしょうか）。