どうせなら美味しくて安全な福島県産食品で「東京独りメシ」はいかが？

当ウェブサイトで先月から何度となく取り上げているのが、文在寅（ぶん・ざいいん）韓国大統領が東京五輪開会式を機に日本にやってくるかどうか、という論点です。これについては文在寅氏の精神的なタフさを思い出すと、たとえ「針のむしろ」状態であっても日本にやって来て１人で過ごす可能性は否定できませんが、日韓首脳会談が開かれるとなると、話はまったく変わって来ます。

日韓首脳会談騒動

日韓首脳会談キャンセル説を巡る騒動

今朝の『韓国の「次期政権」が「約束を守る」という保証はない』では、「文在寅（ぶん・ざいいん）韓国大統領が、（なぜか）菅義偉総理大臣と首脳会談をやりたがっているらしい」、「しかしその可能性は決して高くない」、という話題を取り上げました。

この話題自体、当ウェブサイトでは何度も繰り返して来たものですが、その最たるものは、「Ｇ７での日韓首脳会談キャンセル」説でしょう。

これは、複数の韓国メディアが６月14日に、次のように報じた、というものです。

「韓国の外交部当局者は、両国が11～13日に英南西部のコーンウォールで開かれたＧ７首脳会議の期間中、略式の韓日首脳会談を行うことで暫定的に合意していたが、韓国が例年実施している東海・独島の領土守備訓練を理由にして一方的にキャンセルしたと明らかにした」。

著者自身が確認した限り、日本語版だけでも『聯合ニュース』の『Ｇ７での韓日会談開催合意　日本が一方的に取り消し＝韓国当局者』や『中央日報』の『日本、Ｇ７韓日略式首脳会談に合意しておきながら一方的にキャンセル』などの事例がありますし、続報も後日、出て来ています。

複数メディアが同時に報じたということは、これらのメディアの言うとおり、韓国外交部の「当局者」が匿名でこのように述べたということは、おそらくは間違いないのだと思います。

そして、『「日本が首脳会談キャンセル」報道を官房長官が即否定』や『「日本が韓日首脳会談を一方的に取消」説が流れる意味』などでも報告したとおり、これについて日本政府側は、加藤勝信官房長官や茂木敏充外相ら閣僚クラスが「事実ではない」などとして直ちに否定しています。

「Ｇ７日韓首脳会談説」はいつもどおり、韓国側のウソだったという可能性が最も高いと考えて差支えないでしょう。

外交ルートが機能していない日韓

ただ、こうした騒ぎが生じること自体、現在の日韓関係を象徴しています。

通常の場合だと、両国関係が悪化した際には、外交官同士、あるいは有力政治家同士が、お互いの国民に見えないよう、外交ルートなどを通じて秘密裏に関係打開に向けて交渉するものですが、現在の日韓関係においてはこうしたやりとりが機能していない可能性が濃厚だからです。

あくまでも個人的印象ですが、とくに文在寅政権が発足して以来、日韓関係では「言った」、「言わない」のやり取りが非常に増えたように思えてなりません。

たとえば2018年12月の火器管制レーダー照射事件の際には、日韓両国の防衛当局が何度か協議しましたが、その都度、韓国側からメディアに勝手な内容がリークされ、日本側が激怒して交渉を打ち切る、ということがありました（『【速報】レーダー照射事件巡り、防衛省が「最終見解」を公表』等参照）。

また、日本政府が2019年７月に発表した、韓国に対する輸出管理適正化措置についても、韓国側では「強制徴用問題（※自称元徴用工問題のこと）に対する報復としての輸出『規制』だ」として、日本側にその全面撤回を要求しています。

しかし、これについても『徴用工解決と輸出管理撤回という政治決断はあり得ない』などを含め、くどいほど述べてきたとおり、結局は日韓両国政府間で基本的な政策対話すら実施されず、あろうことか輸出管理措置を韓国が世界貿易機関（ＷＴＯ）に提訴しているという状況にあります。

いずれにせよ、首脳会談を巡るやりとりひとつとってみても、韓国が日本との関係を壊してきたという状況の深刻さを示すエピソードに過ぎないと思わざるを得ない、というわけです。

五輪首脳会談観測

東京五輪での来日とその目的

さて、Ｇ７での日韓首脳会談が不発に終わったためか、韓国からは文在寅氏が東京五輪の機会で来日するかどうかに関する観測報道もいくつかでてきています。

といっても、「文在寅氏は訪日する方針だ」という報道であったり、「文在寅氏は訪日を見送ることにした」という報道であったり、日々、異なる内容を目にしているというのが実情でしょう。

もっとも、今朝の『韓国の「次期政権」が「約束を守る」という保証はない』でも報告したとおり、個人的には文在寅氏が東京にやってくる、という可能性は、それなりにあると考えています（菅総理が日韓首脳会談に応じるかどうかは別問題ですが）。

そう判断する根拠のひとつが、「ブラックスワン・ストーカー」論です。

といっても、この「ブラックスワン・ストーカー」論は、当ウェブサイトのオリジナルではありません。『鈴置論考の文在寅氏「ストーカー」説と韓国の「狙い」』でも紹介した、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏の議論の受け売りです。

鈴置氏のいう「ブラックスワン」とは、いわば、「滅多に発生しないが、もしそれが発生したら大変に大きな影響がある出来事」のことであり、具体的には北朝鮮の独裁者である金正恩（きん・しょうおん）が日本にやってくることです。

実際、報道や発言から垣間見える文在寅氏の思考パターン自体はかなり単線的であり、おそらくその本質は「親日」でも「反日」でもなく、単に「北朝鮮」にしか関心がないのだと思います（『文在寅氏、米誌インタビューで日本への言及は実質ゼロ』等参照）。

ということは、金正恩（または北朝鮮幹部）と会える可能性がある場は、何でも利用してやろうとするでしょうし、臆面もなく日本にやってくるという決断をすることは自然な発想として考えられることです。

相次ぐ観測報道

では、その可能性がどの程度あるのか。

これについては『ＦＯＩＰ重視する日本、韓国との合同訓練は「ゼロ回」』や『「東京五輪で文在寅氏の来日を調整中」、官房長官否定』などでも触れたとおり、『日テレNEWS24』や読売新聞などが、文在寅氏の来日について報じています。

ただ、これらの報道には続報がなく、それどころか『文在寅氏「訪日・独りメシ」構想と福島県産食材の魅力』でも触れたとおり、韓国側からは６月下旬ごろ、文在寅氏の訪日に後ろ向きな記事が相次いでいくつか出て来ている状況です。

これらを眺めていると、自然な発想では「文在寅氏が日本にやってくる可能性は極めて低いんだろうなあ」、などと思ってしまいますが、このあたりは固定観念で決めつけないように注意しなければなりません。

なにせ、相手は韓国だからです。

というよりも、文在寅氏には、2017年12月に中国を「国賓訪問」した際、「独りメシ」を余儀なくされ、平然としていたという前例があります。じつは、文在寅氏は精神的に大変タフな人物なのかもしれません（※「精神的にタフ」だからといって「政治家として優秀」という意味ではありませんが）。

いずれにせよ、「ブラックスワン・ストーカー説」に基づけば、文在寅氏が「独りメシ」覚悟で日本にやって来る可能性は十分にあると思うしだいです。

「日本が首脳会談に応じる」？本当？

ただ、文在寅氏が日本にやってきたとして、菅総理が本当に首脳会談に応じるものなのでしょうか。

こうしたなか、産経ニュースや『ＦＮＮプライムオンライン』は本日、あいついで文在寅氏の来日について報じました。

韓国大統領、東京五輪で訪日の意向　首相と会談も

―――2021/07/06 00:36付　産経ニュースより

【速報】文大統領 五輪開会式出席へ　日韓首脳会談も

―――2021/07/06 00:00付　ＦＮＮプライムオンラインより

産経とＦＮＮの報道はほぼ同時点ですが、両記事の情報源には、微妙な違いがあります。

産経の報道では「政府関係者が明らかにした」とあり、ＦＮＮの報道では「（日韓外交筋に対する）ＦＮＮの取材でわかった」とあります。

ほかにも細部に微妙な違いはありますが、ただ、両記事とも主要部分はほぼ同じで、「文在寅大統領が東京五輪に合わせて訪日する意向を日本側に伝えていた」、「文在寅氏の訪日が実現すれば、菅総理は首脳会談に応じる見通し」、などとあります。

先ほど申し上げたとおり、文在寅氏の来日自体、可能性はゼロではないと思いますが、菅総理が首脳会談に応じるとするくだりについては、かなり唐突感があります。

現在のところ、これを報じているのが産経とＦＮＮという、同一の「フジサンケイグループ」のメディアのみであるようですが、それと同時に、産経新聞とＦＮＮが申し合わせて虚報を出したという可能性は低いと考えて良く、おそらく、「『政府関係者』などが両メディアに明らかにした」というのは事実なのでしょう。

報道の目的はなに？

もっとも、個人的印象に基づけば、「限られた社に情報をリークして世論の様子を見る」というのは、政府がよくやる手法です。

いわゆる「観測気球」、というやつですね。

今回の報道も、おそらく「韓国側から日本政府に対し、文在寅氏訪日の意向が６月下旬までに伝達された」という部分は事実なのでしょう。ただ、「文在寅氏の来日」ならともかく、「日韓首脳会談を開催」とは、情報としてはやや唐突過ぎる気がします。

もちろん、「何らかの理由」で菅総理が急遽方針を変更し、日韓首脳会談に応じてやるという事情が出て来たという可能性もないわけではないのですが、あくまで個人的印象に基づけば、日本政府（あるいは外務省の現場レベル？）が判断を留保し、とりあえず観測気球を上げた、という可能性があります。

あるいは、やや陰謀論めいたことをいえば、外務省内の事務方、あるいは「日韓関係改善」派が、「既定事実」を作るために、菅政権の意向に反して「文在寅氏来日と日韓首脳会談開催」を韓国政府・外交部側と「勝手に握った」、という説も否定できません。

こうしたなか、外務省、あるいは菅政権関係者が当ウェブサイトをお読みになっている可能性が高いとは思えませんが、あえて申し上げておきましょう。

日韓首脳会談、実施すれば、菅政権の信頼が失墜します。

自称元徴用工問題、とりわけその中核を占める日韓請求権協定違反判決問題、日本企業の資産差押問題などは韓国が一方的に作り出した問題ですし、それらを巡る解決プロセスを無視したのは韓国側です。なぜ日本が助け舟を出さなければならないのでしょうか。

また、自称元慰安婦問題に関わる主権免除違反判決問題、火器管制レーダー照射事件に対する韓国側からの謝罪と関係者の処分・再発防止策の策定、国会議長による上皇陛下への侮辱発言など、片付いていない問題はいくらでもあります。

なにより、肝心の文在寅氏自身、すでに求心力を失っているとみられますが、そんな文在寅氏と会談をして、何か日本側に具体的なメリットでもあるというのでしょうか。

いずれにせよ、今回の報道はあまりにも唐突過ぎますので、続報を待ちたいと思う次第です。

良い思い出を作ってあげて

もっとも、批判を覚悟で申し上げるなら、個人的にはこの文在寅さんという人物、嫌いではありません。

中国からいじめられ、北朝鮮から袖にされ、米国と日本からは信頼を失い、国際的にはほぼ完全に孤立した感もありますが、なんといってもその精神力については、（良い意味でも悪い意味でも）「凄い」と思わざるを得ません。

なにより、どうせ来年５月に大統領を退任したあとには、今よりももっと過酷な環境がまっているかもしれません。

こうした環境で平然としていられるのかどうかについても、まことに興味深いところです。

いずれにせよ、今回の東京五輪では、選手村で福島県産のものを含めた日本各地のおいしくて安全な食材が提供されると聞いています（※本当にうらやましい限りです）。

韓国選手団はこれらの食品を「食べたくない」とおっしゃっているようなので、浮いた分の食材を文在寅氏に提供し、来年以降のご自身が置かれるであろう境涯に向けて英気を養っていただくというのは、決して悪い話ではないと思うのです。

その意味では、「文在寅氏東京独りメシ構想」、是非とも実現させてあげてほしいと思っているのはここだけの話です。

【重要】アンケート調査

ここで唐突ですが、記事本文と無関係に、アンケート調査を実施します。

「あなたは福島県産の食品がおいしくて安全であることを知っていますか？」

• ①知っていた。
• ②いま知った。