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現実の脅威よりも「1平米の土地国有化」が大事な韓国

「最後の1平米まで探して国有化」、その労力をもっと他のことに使わないのか

現実の脅威から目をそむけ、自国に何ら脅威を与えていない国を最大限敵視するあまり、放っておけば近代法治国家であることをみずから勝手に否定するという国があります。わが国に降りかかる火の粉はふり払わねばなりませんが、少し厳しい言い方をすれば、彼らが自国内で勝手に非生産的な行動を取ること自体は、正直、彼らの自由だと思う次第です。

法治国家と3つの「鉄則」

当ウェブサイトでよく「法治主義」や「法の支配」などの言葉を使います。

両者は厳密には同じ意味ではありませんが、当ウェブサイトが着目する、「その場の感情や空気ではなく、法に基づいて物事が決まっていく」という点に関しては、大きく違う点はありません(著者私見)。

法治主義の重要な考え方はいくつかあるのですが、個人的にそれらのうちの重要な要素(あるいは「鉄則」)は、次の3つだと考えています。

  • ①租税法律主義(法律で決めなければ税金を課すことはできない、という考え方)
  • ②罪刑法定主義(あらかじめ法律で定められていない行為を犯罪として処罰することはできない、という考え方)
  • ③遡及効の禁止(あとからできた法律を遡って適用することはできない、という原則)

もちろん、法治主義の考え方はこの3つだけではないのですが、それと同時に、この3つの法律がよく守られているかどうかで、その国が近代国家であるかどうかを判断することができる、という考え方が、著者としては非常にしっくりくるのです。

北朝鮮の例が非常にわかりやすい

このうち、①と②については非常にわかりやすいと思います。

たとえば北朝鮮などの独裁国家の場合、独裁者や政治権力者の横暴で、人々は私有財産を奪い取られたりしますし、理不尽な「罪」をなすりつけられていきなり死刑にされることもあります。

北朝鮮の市場責任者が不正行為で更迭、全財産没収され農村へ追放

―――2021年03月13日付 デイリーNKより

韓国の故郷自慢で公開処刑… ある脱北女性の回想

―――2020年12月31日 12:00付 AFPBBニュースより

北朝鮮が「コロナ怠慢罪」新設、幹部を死刑に…流入に恐怖心「30万人死ぬか50万人死ぬか」

―――2020/11/04 07:57付 読売新聞オンラインより

このような国だと、人々は何をやれば財産を没収されるのか、何をやれば死刑判決を受けるのかが予測できず、安心して暮らしていくことも、働いて財産を形成していくこともできません(もっとも、そもそも北朝鮮の場合、それ以前の問題として食糧事情も悪いなどの特徴もありますが…)。

だからこそ、近代国家ではあらかじめ法律で定めておかなければ、国家は税金を取ることも、ある人を「犯罪者」として罰することもできないのです。ちなみにこの原理は、日本国憲法にも規定されています。

【参考】日本国憲法

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第84条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

日本の場合は財務省の力が強くなり過ぎ、不要な税金をどんどんと取り立て始めているという問題はありますが、それでも形式的には、税制を変更するには国会による立法措置が必要です。また、罪刑法定主義については厳密に運営されていると考えて良いでしょう。

いくら腹が立っても遡及効は守らねばならない

ところで、3番目の「遡及立法」、「遡及効」については、少し解説が必要でしょう。

これは、「あとからできた法律を遡って適用することはできない」とする考え方で、「その行為をしたときには犯罪ではなかったけれども、あとからできた法律で有罪になる」という事態を防ぐための考え方です。

たとえば、こんな架空のストーリーを考えましょう。

2030年3月31日、路上喫煙包括禁止法が施行された。これは、路上喫煙者を死刑に処するという法律である。

このとき、2030年3月31日以降に路上喫煙を行った場合には、逮捕され、死刑にされる、というわけです。もしこのような法律が成立すれば、路上喫煙の抑止が期待されるなど、本当に素晴らしいことではありますが、ただ、ここでひとつの疑問が出てくることも事実です。

この法律が施行される前の路上喫煙については、どうなるのでしょうか。たとえば2021年3月31日に新宿区の路上で歩行喫煙をしている様子が監視カメラに写っていて、その者が逮捕されて、死刑とされるのでしょうか。

これも変な話です。なぜなら、2021年3月31日時点においては、歩行喫煙を行っても犯罪ではないからです(※ちなみに新宿区の場合は「路上喫煙禁止条例」がありますが、罰則がないため、路上喫煙を行う輩が後を絶ちません。早く何らかの罰則を設けてほしいものです)。

個人的に路上喫煙者に対しては●意を抱くことも事実ですが、現在の法律で路上喫煙が犯罪とされていない以上(※)、その行為者を犯罪者として裁くことはできないのです。

(※ただし、火のついたたばこを持ち歩いている者は、凶器を持ち歩いているようなものですので、個人的には軽犯罪法違反などの現行犯で逮捕して欲しいと思う次第ですが)。

平気で遡及効を破る国もある

ところで、日本を含めた文明国では禁止されている遡及立法が罷り通っている国が存在するという事実について、私たちはもっと認識すべきでしょう。

それが、韓国です。

当ウェブサイトでは過去に『朴槿恵・前大統領の二審有罪判決を淡々と眺めるしかない理由』や『法の不遡及を堂々と無視する韓国は無法国家だ』などでも触れましたが、問題の法律は「親日財産帰属法」と呼ばれるものです。

これについて参考になるのが、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に今から10年前に掲載された、次の記事です。

憲法裁「親日派財産の国家還収は合憲」

―――2011.04.01 09:59付 中央日報日本語版より

これによると、この法律は2005年12月に成立。これに基づいて2006年7月に「親日反民族行為者財産調査委員会」が発足し、2010年7月に活動を終えるまでのあいだ、「親日行為者」が所有していた土地約1300万平方メートルを没収したのだとか。

誰がどう見ても事後法・遡及立法であり、罪刑法定主義、租税法律主義などの考え方にも正面から反するものです。

それなのに、中央日報によると、2011年3月には韓国の憲法裁がこの法律について「合憲だ」との判断を下したのだとか。

なんだかすごい国ですね。

よく韓国では「法律の上に国民情緒法が鎮座している」などといわれることもありますが、「反日のためであれば、近代法治国家としての体裁ですらかなぐり捨てる」という、まことにわかりやすい国でもあります。

正直、日本では2018年10月の自称元徴用工判決以降、韓国が法治国家ではないのではないかと認識する人が増えたように思えますが、じつはそれよりも10年以上前から、韓国ではこの手の法律が施行されていたという事実については、意外と知られていないのかもしれません。

(※もっとも、自称元徴用工判決問題などと異なり、「親日派財産没収法」については韓国の国内の問題ですので、私たち日本人が何らかの口出しをすべき問題ではありません。当ウェブサイトとしても、あくまでも「韓国は法治国家ではない」という証拠としてこの法律に注目しているに過ぎません。)

最後の1平米まで探して国有化

さて、韓国では「日帝支配」の残滓を消すことに対する執着は強いようであり、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、こんな記事が掲載されていました。

「日帝の土地」1平方メートルまで探して…日本人帰属財産を国有化=韓国(1)

―――2021.03.30 08:18付 中央日報日本語版より

内容は、読んでいただければよいと思います。文字数は2000文字少々の長文ですが、大したことを書いているわけではないので、すぐに読めるでしょう。要するに、日本人の所有となっている土地を、「1平方メートルに至るまで」国有化するぞ、という記事です。

「日本が統治する以前の朝鮮王国にはろくに私有財産制度すら存在しなかったのでは?」というツッコミはさておき、記事を読んでいて面白いのは、小さな区画でも「日本人の所有だった」ことが判明し、それらを一生懸命に国有化しているという様子です。

韓国政府によると、公的帳簿に今も日本式の名義人が記載されている不動産が全国に10万件以上存在しているのだそうですが、なかには「創氏改名」により日本式の名前を名乗っているだけで、実際の持ち主は韓国人、というケースもあったのだとか。

そのうえで、「正確な所有主を確認するためには国家記録院が保有している『日帝強占期在朝鮮日本人人名(26万人)資料集』と各地方自治体が持っている1945年当時の韓国人除籍謄本、裁判所行政処の過去の登記資料などを一つひとつ照合しなければならない」、ということです。

大変な労力ですね。あるいは非生産的というべきか。

いずれにせよ、北朝鮮や中国の現実の脅威を無視し、韓国に何ら脅威を与えていない日本を一生懸命に排除する作業、本当にご苦労様なことだと思います。

あるいは、世界史などを学ぶ受験生の皆さんが「李氏朝鮮がどうやって滅んだのか」を理解するうえでは、格好の生きた教材といえるのかもしれませんね。

新宿会計士:

View Comments (26)

    • 酒を飲んだりスマホをしながら自動車や自転車を運転する人間も同じく死刑でお願いします。あと他人に絡んだりゲロを吐く酔っ払いも同じく死刑で。

  • 「日帝支配」の残滓を消すには、
    憎き日帝に移住して富を蓄えてた同胞に、遡及して課税しなければなりません。
    税率は 100%。
    現金納付できない分は、韓国内で強制労働させましょう。
    人身売買を禁じる法律がない韓国なら、北に売り飛ばすのもよし。

    • 朝日新聞も廃刊前の一仕事として帰還事業に協力してくれましょう♪

  • 親日には遡及法をやっても構わないという法治国家にあるまじき例外をやってしまったがために大変なことになっていますね。不動産不正をやった人にも遡及法で罰則とか。
    法治国家を維持するためには、にっくき親日相手だろうと遡及法なんて認めるべきではなかったのです。

    ただ、ここでたがを外したが為に法治の自由度?は格段に増しました。例の慰安婦判決や徴用工判決なんてまさにそれですね。

    法治国家であることを放棄した影響が出てきて、日本人目線では国として成り立たないのではと心配(するふり)するのですが、良くわからないのですが彼らは何とかしてしまうんですね。ホントに良くわからないのですが。
    もしかしたら…毎回毎回日本が手を差し伸べることで
    危機を脱していたのかも…今回も来ますよ、警戒しないと。(意味不明なお人好しの日本人って特徴もありますからね。気をつけても無駄かもしれませんが)

  • 素人の勝手な思い込みで済みませんが、
    韓国側からすれば1910年の韓国併合が日帝の悪行の始まりであり、それ以降の事案は全て時効が無い犯罪であり賠償請求の対象と考えているのだと思います(いわゆる慰安婦賠償の大法院判決の骨子がそういう趣旨であると、弁護士会の翻訳解説に書いてあった記憶)。
    日帝の悪行、日帝残渣については、遡及するのではなく時効が停止されていただけだ、みたいな事かと思います。

    それから少し論点が変わりますが、この3月22日の参議院文教科学委員会で、有村治子議員の質疑により政府側が「強制連行は無かった(証拠は確認できていない)」旨の回答をしたようなのですが、ニュースに出てなかったと思います(あるチャットで情報入手した)。ご確認、ご見解を頂けると幸いです。

    • 横から失礼します。

      有村治子議員の勇気と労力には讃辞を贈ります。日本国内的には大きな成果だったと思います。しかし、対韓国・対国際世論では、さしたる意味がなかったと私は見ます。

      理由1: 慰安婦の強制連行が無かったことは証明できない。
      これはいわゆる「悪魔の証明」です。有ったことは証明できますが、森羅万象を調べ尽くし、無いことを立証することは、有限の寿命を持つ人間には不可能です。

      理由2: どうせ韓国人は信用しない。
      「探すフリをしただけだろう」「証拠を見つけても隠匿しているだろう」です。

      理由3: 強制性の有無は国際世論の関心事ではない。
      問題は「戦時下の女性の人権」とすり替えられてしまっています。強制性があったとかなかったとか「そんな細かいところに問題を矮小化するな!」です。

      それとは別に、

      > 「では、この間、強制性を裏づけるような公文書、証文等が韓国から提示されたことはあるのでしょうか」
      > 「韓国政府からの状況につきましては承知していないところでございます」

      これは内閣府の大失態です。ここは「韓国政府から強制性を裏づけるような公文書、証文等は日本政府に提示されておりません」と発言すべきところでした。

      一般論として「無いものは証明できない」とはいえ、慰安婦問題が浮上した1980年代以降の有限の期間に、特定国から日本政府に向けられた公式文書に限定すれば、「無い」と断言することは可能です。それを「承知していない」という言葉を選んでは、この問題に対する関心の低さを露呈したようなものです。

      日本政府が悪魔の証明を抱えているのに対し、韓国政府は、たった一つでも「有る」ことを証明すればいいのですから、日本政府としては「あるというなら立証してみろよ」で済むわけです。思い切り煽ってやれたのに。有村議員の質問は事前に提出されていたはずですから、その位の準備はできたはずなのに。

      この辺りが、相変わらず日本政府は、戦略的な行動ができないな、と残念です。

      • 阿野煮鱒さま
        まあ、似たような認識なんですが、理由1について、売春婦で有る事は証明出来そうな気がしてます。
        それについて意味があるかは不明ですが、韓国人は変わらないと思います。

        • 売春婦であることと、強制連行の有無は直結しません。

          ある女が人攫い(さらい)に攫われて遊郭に売り払われたとします。逃げ出して飢え死に寸前の貧しい暮らしに戻るよりも、身をひさげば衣食足りる生活に納得して売春を続けた、という女がいたとしても不思議ではありません。

          売春婦は皆全て、本人の自由意志でそうなったのだから、強制性がないことが証明できた、というのは無理があります。

          さらわれた→自由意志で残った、という昔話。

          『鬼の褌を洗う女』
           むかし、むかし、ある女が鬼にさらわれた。
           何年も探して、やっと見つけ出した。
           女は川で鬼のフンドシを洗っていた。
           逃げようとも帰ろうともしなかった。

          下の作品↓は、似て非なるものです。

          『青鬼の褌を洗う女』 坂口安吾 (著)
          https://www.amazon.co.jp/dp/B009B03JSU/

    • 星のおーじ様
      1895年の下関条約(中国側呼称:馬関条約⁼バカンじょうやく)により、「意に反して? 清の配下から独立させられた」ところからなのかもですね。

      有村議員は、いい仕事をしました。 続報を期待しています。

    • 星のおーじ 様

      >遡及するのではなく時効が停止されていただけだ

      この理屈だと、1910年当時に当該法律が成立していなければなりませんね。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (そう自分に言い聞かせないと、韓国と同じく、自分は間違えない存在と自惚れそうなので)
     日本にも「現実よりも、平和憲法を守れと言い続けるほうが重要なのだ」と言っていた(元)野党第一党がいたことを考えれば、「現実の脅威より、1平米の土地国有化の方が重要だ」の韓国のことも、笑わないほうがよいのではないでしょうか。
     駄文にて失礼しました。

    • そうですよね。日本にも現実から目を背けて揚げ足取りばかりに熱中するマスコミや国会議員が沢山います。隣のことをあまり笑える状態ではないです。

  •  >もっと他のことに
     そうですよ。まだまだ呪いの杭の除去も、カイヅカイブキの伐採も、海外有名博物館の韓国ブース拡張も、月面調査も、ソメイヨシノの奪取も(あれ?今年あんまり騒がない?)済んでいないでしょうに。じきにジンダイアケボノの自生地も創らなければなりませんし。ファイティン!

  • 更新ありがとうございます。

    「1平方メートルの道路が1933年から『西大薫』という日本人の所有だったが昨年12月14日に国有化された」。

    エ?、、『西大薫』さんって本当に日本人なんですか?日本人姓で西大ってあまり一般的じゃないですけど。一字目に大が有るのなら分かりますが、二文字目に大は、極めて少ないと思う。それとも西さんですか?そしたら、名前の大薫ってそれこそ日本人好みの名前では無いですネ、、。でっち上げ?(笑)。

  • 新宿会計士様
       法治主義の重要な考え方の要素に、是非

       ④法の下の平等

      を付け加えていただきたい。
      共産党やウリが法の上にある国家?(というより、”ならず者一味”に支配された無法地帯)である中国や南北朝鮮等と日本米他の近代国家の大きな違いがここにあると思います。 

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