中国共産党の「2+2」批判は会合が大成功だった証拠

本当にわかりやすい!指摘が図星だと「逆ギレ」する中国の反応

ウェブ評論を通じ、長年、中国や北朝鮮、韓国のメディアを眺めて来た経験から申し上げると、中朝韓のメディアが相手国を批判するときは、たいてい、主客を転倒させるとうまく説明が付きます。昨日の「日米2+2」において、中国共産党の機関紙『環球時報』(英語版)が「日米の声明文にはサプライズはなく、また中国に対する批判には根拠がない」と批判して来たようです。すなわち、昨日の「2+2」が大成功だった、というわけです。本当にわかりやすい国ですね。

中国共産党が日米2+2を批判

昨日東京で開催された「日米2+2」会談では中国を名指しして批判したとする話題については、『「日米2+2」で中国を名指しも「日韓」には言及なし』で触れました。これに関連して中国共産党の機関紙『環球時報』の英語版、すなわち『グローバルタイムズ』が、さっそく、こんな記事を配信したようです。

US-Japan statement no surprise, ‘accusation baseless’

―――2021/03/16 22:53付 環球時報英語版より

環球時報によると、「中国側のアナリスト」らは「日米の共同声明にはサプライズはない」などとしつつ、日米が中国をと批判したことに関しては、「実際には中国の主権や革新的利益に関わるものであり、地域を不安定にしているのは米国」、「むしろ米国の側が自制すべき」、と結論付けているのです。

該当する記載は次のとおりです。

“Chinese analysts said that the US-Japan ministers’ joint statement is no surprise, and the so-called “coercion or destabilizing behavior” by China in the region is actually related to China’s sovereignty or core interests, and most frictions were triggered by provocations from the US or its allies, so the US should rethink how to reduce its negative impact to the region that would create more instability.”

中国が開き直るであろうことは、ある程度は想像していたことではありますが、まさかここまで凄い反応が出て来るとは思いませんでした。

日米は中国の行動を「ルールに基づく国際体制を損なう、地域の他者に対する威圧や安定を損なうもの」と批判したのですが、その点に関する具体的な反論もなしに、「中国の行動は問題がないから問題がないんだ」、といった主張です。

やはり非民主主義国では第三者を理屈で納得させる技術が発達しないというのは本当なのでしょう。

中国に対する批判には「根拠がない」

環球時報はまた、中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官が火曜日の会見で、「日米間の協力は各国間の相互理解と信頼を高めることに役立つものでなければならず、第三者の利益を損なうものであってはならない」と述べたのだそうです。

さらに、中国人民大学国際学部の金燦栄(きん・さんえい)副学長は次のように述べたのだそうです。

“The criticism against China raised by the US and Japan such as ‘behavior inconsistent with the existing international order’ is groundless, because almost all changes in the region are caused by the provocations from the US and its allies, partners or puppets in the region.”

意訳すれば、「米日が中国に対して提起した『既存の国際秩序に対する矛盾する行動』という批判には根拠がない」、「この地域における変化のほとんどすべては米国やその同盟国、パートナー、あるいは操り人形らの挑発が起こしているからだ」、といったところでしょう。

中国に当てはめたらうまく説明が付く

ウェブ評論を通じ、長年、中国や北朝鮮、韓国のメディアを眺めて来た経験から申し上げると、中朝韓のメディアが相手国を批判するときは、たいてい、主客を転倒させるとうまく説明が付きます。

たとえば、「日本は歴史を歪曲・捏造している」といった批判を見ることがありますが、「南京大屠殺」しかり、自称元徴用工問題しかり、自称元慰安婦問題しかり、たいていの場合、歴史を歪曲・捏造しているのは彼らの側だったりします。

この点、今回の環球時報の記事も、「米国」を「中国」に置き換えたらすんなりと意味が通じる箇所が多いのですが、一箇所だけうまく通じないのが、金燦栄氏の “the provocations from the US and its allies, partners or puppets in the region” の部分です。

なぜなら、インド太平洋には日本を筆頭に、米国の同盟国、準同盟国ならばたくさん存在しますが、中国の同盟国(あるいは属国)というものは、あまり思い浮かばないからです。せいぜいロシアか、それとも、 “puppets of China“ の部分に南北朝鮮が入るくらいでしょうか。

あるいは、外から見て、ロシアと中国が「仲が良い」ように見えるのはたしかですが、それでも両国がお互いにお互いを「同盟」と呼び合えるほどに信頼しているかは微妙です。

あくまでも一般論ですが、下記図表に示す、J国、C国のような国が存在したとして、周辺国はJ国、C国のどちらに憧れ、どちらを国家建設のモデルにしようとするでしょうか。

図表 基本的価値
基本的価値J国C国
自由主義かどうか自由主義国家である共産主義国家である
民主主義かどうか民主主義国家である独裁主義国家である
法治主義かどうか法治主義国家である人治主義国家である
基本的人権かどうか人権が大切にされる人権が無視される
平和主義かどうか平和主義国家である軍事主義国家である

(【出所】著者作成)

その答えはあえて申し上げません。

ただ、J国スタイルだと友邦が増える傾向にあるのに対し、C国スタイルだとあまり友邦は増えないのではないかと思えてならないのです。

結論:2+2、まずは大成功

いずれにせよ、バイデン政権後初の「日米2+2」であったという事情に加え、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)の4ヵ国(日米豪印=クアッド)が初めてテレビ首脳会談を持った直後というタイミングでもあり、普段の「日米2+2」と比べ、今回、かなりの注目を集めたことは間違いありません。

また、「日米2+2」としては初めて中国を名指ししたこと、これに中国共産党の機関紙が反発したことなどの事実を踏まえれば、中国を牽制するという意味での「日米2+2」は、まずは大成功だった、と考えても良いでしょう。

(あと、どうでも良いのですが、中国共産党には「雉も鳴かずば撃たれまい」ということわざを教えてあげたいという気がしないでもありません。)

読者コメント一覧

  1. タナカ珈琲 より:

    中共、K国、ATMが批判する時はgood job した時やと思っています。
    ワタシは批判されるのは大歓迎です。

  2. 伊江太 より:

    >中朝韓のメディアが相手国を批判するときは、たいてい、主客を転倒させるとうまく説明が付きます。
    >「米国」を「中国」に置き換えたらすんなりと意味が通じる箇所が多いのですが、一箇所だけうまく通じないのが…、中国の同盟国(あるいは属国)というものは、あまり思い浮かばないからです。

    これはウマい! サイト主さんのコメントでなければ、「座布団3枚!」とするところですね。

    要するに、精一杯4,自分を大きく見せかけようとしたところで、
    所詮は「徳」がないってことですね。

    1. より:

      ロシアにしたって、アメリカへの対抗上中国と仲良しに見せているだけで、中国と命運を共にするだなどとは夢にも思ってないでしょうしね。むしろ、中国共産党体制が崩壊すれば、旧満洲と新疆を切り取って傀儡国家を建てるくらいのことはやりかねないでしょう。

      ただ、新疆はともかく、満洲の方は満洲人がほぼ消滅しているので、民族国家を装うのはちょっと難しいかもしれません。

  3. めがねのおやじ より:

    更新ありがとうございます。

    中国はスグ噛みついて来ましたネ。しかし、世界にバイ菌ばら撒いて、無理矢理、武力や高利貸し援助で版図を変えようとしているのは、共産党独裁国家の中国です。アジアで尻尾を振るか、根性ナシで付いて行くか、心の中を見せずに付いて行くフリをするのは露、北南朝鮮ぐらい。

    日米が2+2で表明した通り、中国も理論で来られると反論出来ない。環球時報も支離滅裂、またお馴染みのガラ悪いイカツイ、目付き悪い、趙立堅報道官は「各国間の相互理解と信頼を高めることに役立つものでなければならない」え?

    アンタとこが一番の癌なのッ!

  4. 匿名29号 より:

    中国を名指しするとは日本政府も結構思い切ったことをしますね。対する中国の反応も米国への配慮からか かなり抑制されています(これが日本単独だったら中国にぶん殴られるところです)
    2010年代中国の激しい官製反日デモやレアメタル輸出を故意に遅らせる等の中国による制裁に耐えた日本はついに中国と決別する意思を固めたのでしょうか。中国が次はどのような手を繰り出してくるのかわかりませんが、その制裁が更に日本企業の中国離れを助長してゆくことになります。親中の歯車が反中に逆回転を始めた日として語り継がれるようになるのかも。

    ところで、日本が日米2+2で中国を名指ししたため、同じく米国の同盟国であり次の会談国の韓国はますます苦しい立場に立たされます。どういうことになるのか、こちらは他所んちのことなので気楽に見物していられます。

  5. 農民 より:

     先日、地球上では民主主義国家の方が少数派、という記述を見まして。国ごと1票を投じて「地球イデオロギー総選挙」を民主的にやると、民主主義が否決されてしまうやん、という。まぁ1票の格差がすさまじい、屁理屈ではありますが。
     国民は民主化したいと思っているけど独裁政権に抑圧されているという国もあるでしょうし、民主化なんて不要というのどかな国もあるかもしれません。あらゆる人間から見て、まして権力者が見て「J国の方が良い」というかはどうなんだろう?と思った次第です。
     あと、連綿と続いた衆愚政治がハマって、全然民主主義(というか他の項目も一通り)が向いていない実績を見せつけている国もありますしね。

    1. ちょろんぼ より:

      いつもお世話になっております。

       農民様のコメントにある民衆が民主化を必要としない国の代表例が
      中共です。 又、他国の歴史を見ていると本当に民主化が必要なのか
      疑問が生じるところです。
       米国が他国を民主化しようとして必ず失敗するのが、その国の歴史に
      無関心なところです。 本来その国は独裁又はそれに準ずる政体でないと
      機能しない国に民主主義を強引に持ち込もうとして失敗しています。
      例を上げればアフガンとかアフリカ諸国です。

  6. カズ より:

    >「米日が中国に対して提起した『既存の国際秩序に対する矛盾する行動』という批判には根拠がない」

    彼らの理屈では、「自国の領域を護持してる」に過ぎないのですから上記のような認識になってしまうのでしょうね。

    だからと言って、「お前のモノ以外は俺のモノ」的に境界をサラミスライスされ尽くした現況で、「お前のモノも俺のモノ」的な更なる暴挙を看過できる訳もなく・・。

    っていうか、どうせ何も言わなければ暴挙の限りを尽くすんでショ・・。
    (求む、ジャイアンの母ちゃんか、学校の先生・・。)

  7. 匿名 より:

    3/14の時事通信の記事によると
    参院長野選挙区補欠選の立憲民主党候補の羽田次郎は共産党と結んだ政策協定で「日米同盟に偏った外交」の是正が盛り込まれ、波紋を呼んでいる。

    尖閣諸島や北朝鮮拉致問題の解決に日米が連携するのは当然の処置だと思うが、立憲民主党は「日米同盟に偏った外交」の是正を容認している。
    立憲民主党の支持団体からは反発が出ているが、立憲民主党は共産党との連携を選んだようだ。共産党と連携、協業する立憲民主党は自らの政策を捨てている。国民を正しい方向へ導くより当選第一主義で行くということだろう。ふざけてないか?

  8. 理系初老 より:

    出典:アメリカ大使館SN。ブルーリボンバッジ付けてます。なかなかやるね。
    https://pbs.twimg.com/media/EwqcsyIVkAIeolN?format=jpg&name=small

  9. 匿名 より:

    puppets of Chinaといえばラオス、カンボジア、パキスタン+ビルマ、韓国かな。中国はすでにクアッド+2を実現していますね。南はともかく北はパペットにはならないと思いますけど。

    >雉も鳴かずば撃たれまい

    2015年にバンドン会議で安倍ちゃんが「強い者が、弱い者を力で振り回すことは、断じてあってはなりません。バンドンの先人たちの知恵は、法の支配が、大小に関係なく、国家の尊厳を守るということでした。」「侵略または侵略の脅威、武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立を侵さない。国際紛争は平和的手段によって解決する。」と言ったときには静かにしてたのにね。え?ひょっとして誰に向けたメッセージなのかわからなかった?まさかアメリカに向けて言ってるって思った?w

  10. ちょろんぼ より:

    いつもお世話になっております。

     記事の主客逆転話法は、いわゆるアサヒ話法です。
    儒教の盛んな国で多く見られる話法であり、原産国が中共・元祖原産国が朝鮮です。
    アサヒも儒教信仰にどっぷり浸かっておりいますので、朝日新聞によくでてきます。

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