NHK会長「(疑惑の調査をすると)事業活動に支障を及ぼす」
連日、メディアが大騒ぎしている「菅首相長男高額接待疑惑」を巡り、さらに2つほど、興味深い報道が出て来ました。NTTとNHKです。個人的には民間企業であるNTTによる接待にさほどの違法性があるとも思えないのですが、NHKに関しては大いに問題があると考えています。さらに、官僚の腐敗の問題を菅義偉総理の違法行為などの問題にすり替えるのにはかなりの無理があります。
菅総理の長男の「高額接待疑惑」
菅義偉総理大臣の長男が勤務する「東北新社」が総務省の幹部を接待していた、などとする「問題」が浮上し、今月1日には山田真貴子内閣広報官(60)が辞職しています。
マスメディアが「菅首相長男による高額接待疑惑」(※多くのメディアは菅総理を「菅首相」と呼びます)をことさらに騒ぎ立てるのには、「菅総理が何か悪いことをしていた」という印象を刷り込む狙いでもあるのでしょうか。
ただ、これも冷静に考えたら、おかしな話です。
「菅義偉総理の長男が接待を受けていた」というのならば何となく話はわかるのですが、この場合、菅総理の長男は「接待をする側」だからです(もちろん、万が一にもこの接待に違法性があったのであれば、関係者に対して然るべき処分がなされるべきですが)。
どちらかといえば、電波行政を司る総務省が民間企業の関係者から接待を受けていたという事実が倫理的に問題なのであり、ましてや菅総理本人が何らかの違法行為を行っていたと見るには、かなりの無理があります。
文春「NTTが高額接待」
こうしたなか、関連報道として気になるものが2つほどありましたので紹介しておきます。
ひとつめは、「NTTも総務省の幹部らに高額接待をしていた」と『週刊文春』が報じた、という話題です。時事通信の記事を紹介しておきましょう。
NTTが高額接待 処分の総務省幹部ら―週刊文春報道
―――2021年03月03日19時59分付 時事通信より
これによると、山田前広報官や総務省の谷脇康彦総務審議官らが、昨年までの3年間で3回、NTTの澤田純社長らNTTグループ幹部らの「高額の接待」を受けていた、とするもので、飲食代は合計50万以上に上った、と報じられています。
これだけだと1回の会食に参加した人数がわからないので何とも言えないのですが、仮にNTT側5人、総務省側5人、合計10人で3回の会食がなされたとすれば、1人あたり1万円を超える飲食代が発生していた、ということでしょう。
(※なお、あくまでも1人のビジネスマンとしての印象から申し上げるなら、1人あたり1万円少々というのはたしかに高額ではありますが、東京都内でちょっと洒落た店で宴席をすれば、その程度の金額が異常に非常識、という気はしません。)
もっとも、記事によれば、NTTはNTT法に基づき事業計画や取締役の選任などで総務省の許認可を受けているため、時事通信はNTT役員が「国家公務員倫理規程の利害関係者に当たるとみられる」としており、さらには「必要な届け出もしていなかった」としています。
NHKは調査を拒否
ただ、「疑わしい接待をしたこと」は責められるべきですが、百歩譲ってNTTの場合は民間企業であるという点を踏まえれば、そこに「倫理上、絶対に許されないほどの問題がある」とまでは言いきれません。
しかし、こちらの話題についてはどう考えれば良いのでしょうか。
NHKも総務省と会食か 違法接待確認できず―維新・足立氏
―――2021年03月02日17時13分付 時事通信より
同じく時事通信によると、日本維新の会の足立康史衆院議員は3月2日の衆院予算委員会で、東北新社関係者と会食した総務省の12人が「NHK幹部とも会食した」という可能性を指摘したのだそうです。
民間企業であるNTTと異なり、NHKの場合は「公共放送」を騙っている組織であり、放送法第64条第1項の規定に従い、どんな酷い放送をしていたとしても、テレビを設置した視聴者に半強制的に受信料を支払わせることが許されているという事業体です。
そんなNHKが、万が一にも許認可権を握る総務省の役人を接待していたのだとしたら、これはとんでもない話です。
しかも、接待の原資は視聴者の受信料、すなわち「公金」から出ているわけであり、ひと昔前問題になった「官官接待」と構図はそっくりです。
しかも、時事通信によると、足立氏が徹底調査を求めたのに対し、NHKの前田晃伸会長は「事業活動に支障を及ぼす恐れがある」として調査を拒否する構えを見せているそうです。
なにが「事業活動に支障を及ぼす」、ですか。
ちなみにこの前田伸晃会長は、某銀行が今世紀初頭に大規模なシステム障害を発生させたときの、当時のホールディングの社長でもあったという人物です。いろんな意味で現在のNHKに相応しい人罪であると言わざるを得ません。
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もっとも、意外と有権者はメディアや野党の「高額接待疑惑」には冷静なのではないかという気もします。『長男の接待疑惑が報じられ、内閣支持率1ポイント上昇』などでも報告したとおり、日経・テレ東の世論調査では、菅総理長男の接待疑惑が報じられたにも関わらず、支持率は微増しているからです。
もちろん、メディアの内閣支持率調査などに全幅の信頼を置くべきではありませんし、また、支持率が横ばいとなっている理由として、武漢肺炎、武漢コロナの蔓延が小康状態にある、という要因も考えられるからです。
たとえば、東京都の事例でいえば、3月4日における新規陽性者数は279人で前日比▲37人となりました。500人の大台を割り込むのは26日連続のことです。さらに、1週間移動平均は269人で前日比▲9人となり、昨年11月12日並みの水準です(図表)。
図表 東京都新規陽性者数の状況
(【出所】東京都HP『都内の最新感染動向』データより著者作成)
あくまでも主観ですが、菅義偉政権は総理本人が地味な見た目で損をしているものの、昨年の「日本学術会議」騒動でもわかるとおり、非常に仕事のできる内閣だとは思います。
今年のどこかのタイミングで解散総選挙が実施されたとすれば、自民党は議席を減らす可能性が高そうですが、それでも2009年8月の「政権交代」の悪夢は繰り返さないよう、私たち有権者の側も賢くなる必要があることは間違いなさそうです。
View Comments (21)
菅総理には、「まずは好物の甘味で英気を養って欲しい」ですね。
血糖値(決闘値)を高めて、対峙(退治)して欲しい件が山積です。
毎度、馬鹿馬鹿しいお話を。
「NHKは、(安倍前総理と違って)自分たちが不正なことをやっていないことを、自分で証明するんだって」
おあとがよろしいようで。
更新ありがとうございます。
「菅総理の長男が高額接待疑惑」とセンセーショナルに書き立てるから、よほどの事かと思って特に目にしないようにしてました。しかし会計士様の論考読んで、『やっぱりか』と思いました。モリカケと同じですネ。
無理やり火をつけようと。それなりの立場の方に一席設ければ、一人1万円や2万円で済むはずがない。座っただけで一人1万円という店もあります(ぼったくりではありません笑)。予算は一人4〜5万円が最低の目安ではないでしょうか。
落ち着いて目立たずに歓談出来る高級店は、東京都23区内(それもほぼ山手線内とその外周縁付近、江戸川区や荒川区、江東区、墨田区、台東区、北区辺りにはあまり無い)がダントツに多いです。
失礼ながら埼玉県や千葉県、神奈川県は首都圏ですが、そういうエリート・VIP層御用達の店はグンと少ないです。まだ大阪府、京都府のほうが多いでしょう。コレが都市の格だと思います。
NTTはともかくNHKは接待マズイでしょうに。前田晃伸会長は「事業活動に支障を及ぼす恐れがある」として調査を拒否する?よほどマズイ事がたっぷりあるんでしょうネ。
あと老舗の東北新社にいる菅総理の長男さん、何も悪い事してないやん!何が問題なのか訳わからない。マスコミや野党は身内をさらけ出して非難する。ダークだと吹聴する。その姑息さ、半島人と同じでっせ(爆笑)。
クソ田舎の農家だって経営者なので、情報収集でたまには1人2-3万の会食しますわ。"(マスコミ+官僚)×一等地"ってすごい額が動きそうだけど、案外質素だなとすら思いました。事業に関係ない友人となら5千円以内とかで時間を楽しみますけど、その感覚で語られてもなぁ。記者サマが「読者の貧乏人どもはこんな感じで扇動できるやろ」とか考えていそう、というのは邪推が過ぎるでしょうか。
新聞やらワイドショーやらも、部数や視聴率を稼ぎたいのなら、こういったわけのわからん話に正論で反対にまわった方が、稼げそうなのになー。
……と思いましたが、リテラシーがあって情報を鵜呑みにしない層は、そもそも上記媒体は利用しないので、稼げないか。合理的にコノザマなんですかね。バカのふりして金を稼ぐってつらそうだし、受け取る側はバカにされてるのを怒るべきだし。誰得。
こんな記事もあります(DIAMOND online)。
『総務省接待問題でなぜかおとなしいマスコミ各社が恐れる「特大ブーメラン」』
https://diamond.jp/articles/-/264461
官僚が、接待を喜んで受けるはずがない。迷惑千万でしょう。
断れない構造にしてしまっているのは、政治の側だ。
問題化したら、ほとんどは官僚側のモラルに起因する話にされてしまう。
単純な話、こういったことを防ごうとするのなら、飲食を伴う官僚接待を一切禁止する厳しい法律を制定すればすむことだが、それはなされていない。
なぜなら、彼ら与野党問わない政治家にとっては、権力や利権が及ばなくなりかねないから、とても困る。
これでは、いつまでたっても状況は変わらない。
それどころか、不毛の議論が続く国会対応等とも相まって、役人は疲れ果て、日本の官僚機構は機能不全に陥ることだろう。
衰退する日本の将来が見えてくる。
???
何が言いたいんや、この人は。。。?
つまり、官僚が接待に応じざるを得ないのは、これも仕事の一環とされてしまっているからだ、ということだろう。そこには政治の力が働いていると・・。
そうした俯瞰的見方を述べているのだが、現実にそうなってしまっている。
私も公務に携わった経験から、よくわかる話である。
つまり「これは強制接待ニダ」と。笑顔で会食している写真しか残ってないニカ?それは笑顔も強制ニダ。お花畑で花摘みして居た純真な官僚たちを政治主導で強制的に隠れ家的な宴席に連行したニダ。およそ20万人の官僚たちが連行され、大半は証拠隠滅のために明け方には殺害されて地面に埋められたニダ、と。
「接待することが業績になる」という職種もあるんですよね。
付き合わせられる方がたまったもんじゃないです。
最近はコンプラwとやらですっかり減ったので楽になりました。
それでも「説明会」を開きたいと言う申し込みは止みません。
ま、でもナンダカンダ述べたトコロで例の“未契約者遡り割り増し請求事実上法制化”は今国会でヤルみたいですし
自民党もナアナアなんでショ
その点陰謀論者は証拠がいらないので楽でいいです。結果だけみれば間違いなくクロ<犯人>ですね。
>菅義偉政権は総理本人が地味な見た目で損をしているものの、昨年の「日本学術会議」騒動でもわかるとおり、非常に仕事のできる内閣だとは思います。
国内政治のパワーバランスや利権に関して菅さんは恐らく安倍さんよりもずっと熟達しているのでその能力を国民に役立つ方向で発揮してくれれば仕事が出来ると思いますよ。但し、姜氏に対してアグレマンを出してしまったことでも実証されている通り、外交に関しては安倍さんのような戦略眼が皆無なので全く期待できないと思いますが。
また内政に関してもNHKの未契約者に対してはペナルティ的な受信料を科すのを閣議決定したことで証明されてしまった通り、国民の利益に反する方向に菅さんは自身の熟達した内政能力を発揮する場合があるので単なる無能よりも更に質の悪い事態(つまり国民の殆どにとってはマイナスになる方向で有能に仕事ができる内閣)となる可能性もあります。
要するに菅さんは昔からいる日本の政治家のタイプだと思います。安倍さんは外交が得意という点で日本の政治家らしくありませんが。
天下の郵政官僚ともなると、未だに事業者からおごってもらえるのですね。同じ公務員として、うらやまsゲフンゲフン決して許すわけにはいきませんね!
まじめなことを申し上げると、NTTが接待していたことが事実であれば、以下の点からさすがにかなり問題なのではないかと思います。
・国家公務員倫理法は、規制対象となる者を上級の国家公務員のみとしているものの、法の目的が「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り」とあることや、報告対象となる行為を金品等の供与又は供応接待としていることから、贈収賄の未然防止を意図していると考えられること。
⇒贈収賄事件として判断されれば、官民かかわらず贈賄側も刑事罰の対象となるため、贈賄と受け止められかねない行為を行うことは、誰が行おうとも倫理的に問題であると思います。
・NTTは通常の民間企業ではなく、NTT法に基づく特殊法人(特殊会社)であって、同じく特殊法人であるNHKに法人格が類似していること。また、NTTの前身がもともと独占企業体・国営企業であった経緯や、今なおNTTの筆頭株主が政府であること。
⇒NHKが接待することは「官官接待」として問題であるならば、同様にNTTも「官官接待」に当たると思います。
・NTTと会食を行ったとされるタイミングが昨年6,7月であり、NTTによるNTTドコモのTOB発表の数か月前であること。
⇒政府は、通信業界における公正競争の確保のためにNTTとNTTドコモは一定程度経営を分離するというこれまでの方針を翻して、ドコモの完全子会社化を追認したわけですが、この判断が接待による便宜だったと疑われてもおかしくないと思います。
個人的に、この話はNTTドコモ完全子会社化の是非、ひいては通信業界の競争性の確保にまで影響を及ぼす話だと思いますが、まあマスコミはそこまで掘り下げないんでしょうね。電波行政の再編とか影響するといやでしょうし。(多分、放送業界もばれてないだけで、在京放送局とか今まで旧郵政省を接待してるでしょうね。)