財務省税関が発表した『普通貿易統計』に基づく一連の論考については、本稿をもって、いちおうひととおり終了する予定です。最初に著者自身のデータベース整備の都合上、先日の議論で誤りがあったことを報告したうえで、本稿ではおもな品目について、具体的な国別の輸出入データを紹介したいと思います。そのうえで浮かび上がるのは、さまざまな課題です。
2021/02/01 11:00 追記
本文中にまたしても誤植がありましたので修正しております。
目次
貿易統計・当ウェブサイトの誤りについて
データベースの品目表が古いままでした
当ウェブサイトでは数日前から、財務省税関が公表した『普通貿易統計』と呼ばれる統計データを用いた日本の貿易構造の分析を開始しました。
- 『普通貿易統計発表:輸出入はともに大きく落ち込む』(2021/01/28 13:00)
- 『貿易統計①輸出品目は「モノを作るためのモノ」に特化』(2021/01/29 07:00)
- 『貿易統計②脱中国が遅々として進まぬ状況を直視すべき』(2021/01/30 05:00)
- 『貿易統計③日本の貿易上、台湾と韓国の地位は逆転へ?』(2021/01/31 05:00)
本稿はその続きですが、本論に入る前にお詫びがございます。著者自身の過失により、②と③に間違った記述が入っていました。うっかり古いデータベースを使ってしまい、誤った輸入品目コードを割り当ててしまっていたためです。
具体的には、②の稿では、中国からの「碍(がい)子」の輸入高が1兆9497億円で、対中輸入高全体の1割以上を占めている、というデータを紹介しました。また、③の稿では、台湾からの輸入品目のうち、「音響機器」が1.2兆円だ、という点にも触れました。
これについては、古いデータだと「70307」が「碍子」、「70311」が「音響機器」なのですが、現在のデータだと「70307」は「通信機」、「70311」は「半導体等電子部品」です。
つまり、中国から1兆9497億円を輸入しているというのは「碍子」ではなく「通信機」(スマホ等でしょうか?)であり、また、台湾から1.2兆円を輸入しているというのは「音響機器」ではなく「半導体等電子部品」です。
謹んでお詫び申し上げますとともに、該当する稿につきましては冒頭で修正を入れさせていただきました。大変申し訳ございませんでした。
結論的には大きくは変わらない
もっとも、自分自身で認識しているエラーはほかに数ヵ所あります。
たとえば、合計欄において、一部の品目名や国名がダブルカウントされているというエラーがあります。その理由は、同じコードでも時期によって微妙に名称が異なっているため、データベース上は「別のデータ」として扱われてしまうためだと思います。
一例を挙げると、データ上、国番号335については時期によって「セントクリストファー・ネービス」と「セントクリストファー・ネーヴィス」という表記が混在しており、これについては両国が別の国として認識されてしまい、同国に対する輸出入がダブルカウントされてしまうのです。
また、トリッキーな例だと、品目番号00501が「ミルク、クリーム及びバター」だったものが「ミルク及びクリーム」に変化してしまったがために、この「00501」のデータが2つ別々に存在し、集計されてしまう、というエラーがあります。
これは財務省税関に責任があるものではなく、全面的に著者の責任です。
もっとも、これらのデータ処理上の不具合は、おおどころで見て、全体への議論にほとんど影響を与えるものではありませんし、「日本は『モノを作るためのモノ』の輸出に強みを有している」という当ウェブサイトなりの仮説については、いささかも変わるところはありません。
よって、本日は引き続き、議論を続けていきたいと思います。
輸出高
日本の輸出構造
さて、本日の視点は、「品目別に見た日本の貿易構造」です。
連日の議論でも明らかにしているとおり、日本の輸出品目のうち、最多を占めているのが「機械類及び輸送用機器」であり、このジャンルだけで輸出高全体のざっと6割を占めていて、化学製品と原料別製品が1割ずつ、残りがカメラなどの雑製品などで占められている、という具合です。
それを品目別に確認したものが、次の図表1です。
図表1 日本の輸出品目(全体、2020年の金額と構成比、2019年との比較)
品目名 | 2020年 | 2019年比増減 |
---|---|---|
機械類及び輸送用機器 | 40兆4179億円(59.08%) | ▲6兆0292億円(▲12.98%) |
化学製品 | 8兆5398億円(12.48%) | ▲1993億円(▲2.28%) |
原料別製品 | 7兆5052億円(10.97%) | ▲9018億円(▲10.73%) |
特殊取扱品 | 5兆2947億円(7.74%) | ▲3550億円(▲6.28%) |
雑製品 | 4兆1148億円(6.02%) | ▲4029億円(▲8.92%) |
原材料 | 9930億円(1.45%) | ▲137億円(▲1.36%) |
鉱物性燃料 | 7231億円(1.06%) | ▲6599億円(▲47.72%) |
食料品及び動物 | 6703億円(0.98%) | +302億円(+4.71%) |
飲料及びたばこ | 1204億円(0.18%) | +62億円(+5.47%) |
動植物性油脂 | 273億円(0.04%) | +4億円(+1.58%) |
合計 | 68兆4065億円(100.00%) | ▲8兆5250億円(▲11.08%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
日本が輸出する「最終製品」、いまや自動車くらいしかない
ただし、このうちの「機械類及び輸送用機器」には、最終製品である「輸送用機器」(自動車など)と、最終製品とは限らない「一般機械」(半導体等製造装置など)、「電気機器」(半導体等電子部品など)が混在していますので、これについてきちんと分けることが必要です(図表2)。
図表2 日本の輸出品目のうち「機械類及び輸送用機器」の明細
品目名 | 2020年 | 2019年比増減 |
---|---|---|
機械類及び輸送用機器 | 40兆4179億円(59.08%) | ▲6兆0292億円(▲12.98%) |
→一般機械 | 13兆1421億円(19.21%) | ▲1兆9795億円(▲13.09%) |
→電気機器 | 12兆8211億円(18.74%) | ▲3865億円(▲2.93%) |
→輸送用機器 | 14兆4547億円(21.13%) | ▲3兆6632億円(▲20.22%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
つまり、現在の日本の輸出高は、「モノを作るためのモノ」が全体のざっと6~7割、自動車などの「輸送用機器」が2割、というわけで、それ以外の品目(たとえば農作物やビールなど)が全体に占める割合は、正直、現状ではほとんど重要性がないと考えて良いでしょう。
もちろん、農水省などが音頭を取って、日本産の美味しい食品を外国に輸出しようとする動きがあることはたしかでしょう。また、(普通貿易統計で補足し切れていませんが)アニメやマンガ、ゲームなどの知的財産権についても、日本がこれから力を入れていくべき分野かもしれません。
しかし、すくなくとも貿易統計上、現在の日本にとって非常に重要な品目は「モノを作るためのモノ」、つまり「機械類」、「化学製品」、「原料別製品」、「雑製品」などのカテゴリーに含められる製品群であり、これらの分野についてはキーデバイスを外国に握られないようにしなければなりません。
これこそまさに、知的財産権を包括的に保護する仕組みの整備が急がれるゆえんでもあります。
米国などの最終消費地向けが低迷
さて、日本の輸出高が前年比▲8兆5250億円(▲11.08%)と大きく落ち込んだ要因のうち、最大のものは、「機械類及び輸送用機器」のジャンルが前年比▲6兆0292億円(▲12.98%)と落ち込んだことで、そのかなりの部分は説明がつきます。
では、具体的にどの相手国に対する輸出が減少したのでしょうか。
これについてリスト化したものが、次の図表2です。
図表3 輸送用機器の相手先別内訳(2020年の金額と2019年との比較)
相手国 | 2020年 | 2019年比増減 |
---|---|---|
合計 | 14兆4547億円 | ▲3兆6632億円(▲20.22%) |
うち米国 | 4兆5199億円 | ▲1兆1251億円(▲19.93%) |
うち中国 | 1兆5963億円 | +902億円(+5.99%) |
うちオーストラリア | 7607億円 | +142億円(+1.90%) |
うちパナマ | 4632億円 | ▲1581億円(▲25.44%) |
うちカナダ | 4190億円 | ▲1033億円(▲19.78%) |
うち台湾 | 3527億円 | ▲217億円(▲5.80%) |
うちベルギー | 3397億円 | ▲442億円(▲11.51%) |
うちロシア | 3375億円 | ▲997億円(▲22.81%) |
うちUAE | 3186億円 | ▲1488億円(▲31.84%) |
うちタイ | 3043億円 | ▲713億円(▲18.99%) |
うち英国 | 2915億円 | ▲1398億円(▲32.42%) |
うちサウジアラビア | 2805億円 | ▲799億円(▲22.17%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
これで見ると明白ですが、やはり最終消費地(とくに米国)に対する自動車等の輸出が軒並み20%前後、減少したことが、全体の輸出の足を大きく引っ張った格好です(もっとも、中国や豪州などに関しては、必ずしも需要が低迷したわけではありません)。
いずれにせよ、少なくとも日本の側のデータで見る限りは、コロナショックにもかかわらず、最大の「加害者」にして震源地であるはずの中国の経済が意外と堅調である、ということでしょう。
輸入高
輸入品目は鉱物性燃料の減少で50%以上説明できる
さて、2020年における我が国の貿易収支は小幅で改善しましたが、その理由は、輸出以上に輸入が落ち込んだからであり、決して「輸出が伸びた」からではありません。その意味では、貿易収支が改善したことを素直に歓迎してよい、という話ではないのです。
では、具体的にどの項目が落ち込んだのでしょうか。輸入品目についても図表1と同じものを作成しておきましょう(図表4)。
図表4 日本の輸入品目(全体、2020年の金額と構成比、2019年との比較)
品目名 | 2020年と構成比 | 2019年比増減 |
---|---|---|
機械類及び輸送用機器 | 20兆9781億円(30.97%) | ▲2兆1572億円(▲9.32%) |
鉱物性燃料 | 11兆2598億円(16.62%) | ▲5兆6909億円(▲33.57%) |
雑製品 | 8兆7451億円(12.91%) | ▲1兆1342億円(▲11.48%) |
化学製品 | 7兆7900億円(11.50%) | ▲3734億円(▲4.57%) |
原料別製品 | 6兆5589億円(9.68%) | ▲5096億円(▲7.21%) |
食料品及び動物 | 5兆7939億円(8.55%) | ▲4484億円(▲7.18%) |
原材料 | 4兆3294億円(6.39%) | ▲3442億円(▲7.36%) |
特殊取扱品 | 1兆2200億円(1.80%) | ▲1296億円(▲9.60%) |
飲料及びたばこ | 8799億円(1.30%) | ▲679億円(▲7.16%) |
動植物性油脂 | 1801億円(0.27%) | ▲75億円(▲3.99%) |
合計 | 67兆7352億円(100.00%) | ▲10兆8628億円(▲13.82%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
これで見ると、最も大きく落ち込んでいるのは「鉱物性燃料」で、前年比▲5兆6909億円(▲33.57%)でした。これだけで、輸入高が落ち込んだ要因の半分以上が説明できてしまうほどです。
石油、ガス、石炭…すべてが低迷
では、この「鉱物性燃料」とは、具体的に何を指すのでしょうか。
これについて展開したものが、図表5です。
図表5 日本の輸入品目のうち「鉱物性燃料」の明細
品目名 | 2020年 | 2019年比増減 |
---|---|---|
鉱物性燃料 | 11兆2598億円 | ▲5兆6909億円(▲33.57%) |
うち、石油及び同製品 | 5兆8920億円 | ▲3兆6144億円(▲38.02%) |
うち、天然ガス及び製造ガス | 3兆6476億円 | ▲1兆2349億円(▲25.29%) |
うち、石炭、コークス及び練炭 | 1兆7202億円 | ▲8415億円(▲32.85%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
つまり、貿易統計上、「鉱物性燃料」には大きく石油、ガス、石炭という3つの分野がある、ということですが、どの分野についても大きく落ち込んでおり、とりわけ「石油および同製品」というジャンルの落ち込みが激しいことがわかります。
湾岸諸国からの石油類の輸入が3~4割落ち込む
これについて、どの国からどの製品を輸入しているのかを展開したものが、次の図表6です。
図表6 鉱物性燃料の相手先別内訳(2020年と2019年比増減)
相手国・品目名 | 2020年 | 2019年比増減 |
---|---|---|
サウジアラビア・石油及び同製品 | 1兆8786億円 | ▲1兆0260億円(▲35.32%) |
UAE・石油及び同製品 | 1兆6043億円 | ▲9899億円(▲38.16%) |
オーストラリア・天然ガス及び製造ガス | 1兆3353億円 | ▲4629億円(▲25.74%) |
オーストラリア・石炭、コークス及び練炭 | 1兆0229億円 | ▲4634億円(▲31.18%) |
カタール・石油及び同製品 | 5903億円 | ▲2943億円(▲33.27%) |
米国・天然ガス及び製造ガス | 5114億円 | ▲669億円(▲11.57%) |
クウェート・石油及び同製品 | 4728億円 | ▲2589億円(▲35.38%) |
マレーシア・天然ガス及び製造ガス | 4243億円 | ▲677億円(▲13.75%) |
カタール・天然ガス及び製造ガス | 3740億円 | ▲1514億円(▲28.81%) |
韓国・石油及び同製品 | 3104億円 | ▲1128億円(▲26.66%) |
(【出所】『普通貿易統計』より著者作成)
どの国からの輸入も大きく落ち込んでいることがわかるのですが、とりわけ石油に関してはサウジやUAEなどの湾岸諸国からの調達が3~4割程度落ち込んでいるほか、豪州からの石炭類の輸入も落ち込んでいます。
また、なぜか日本は韓国から「石油及び同製品」を3000億円分以上輸入しているようであり(といっても、石油そのものではなく、揮発油や灯油などの「石油製品」が中心です)、これが前年比1000億円以上落ち込んでいるというのも意外です。
おそらく、韓国が産油国であるという事実はないと思います。単純に、韓国で精製した石油製品を日本が輸入している、という状況なのだと思います。日本ぜんたいの輸入量に占める比率は決して大きくありませんが、いちおう、注意は必要でしょう。
サプライチェーンの再構築
さて、ここ数日間の一連の論考では、次のことが明らかになりました。
- 現在の日本の輸出品目には「モノを作るためのモノ」が多く、自動車を除けば最終製品はさほど多くない。
- 2020年における輸出高は、米国などの最終消費地に対する自動車などの輸出低迷により、前年比8.5兆円程度落ち込んだ。
- 2020年における輸入高は、石油、ガス、石炭、などの輸入が低迷したことなどにより、前年比10兆円以上落ち込んだ。
- 中国は日本にとって、いまや米国を遥かに凌駕する、最大の貿易相手国である。
- 輸出に関していえば、現時点において輸出相手国として3番目に重要な国は韓国、4番目に重要な国は台湾だが、日本にとって両国の重要性が逆転しそうになっている。
- 輸入に関していえば、輸入相手国として昨年まで4番目に重要だった韓国は5位に転落し、代わって5位だった台湾が4位に浮上し、台韓逆転が生じた。
こうした考え方については、以降、当ウェブサイトで日本のサプライチェーンなどについて議論する際には、本稿を含めた貿易統計に関する分析を基本認識として使っていきたいと思う次第です。
また、以上の議論から浮かび上がるのは、わが国が基本的価値を共有していない中国との産業面での結びつきが強すぎるという日本経済の課題であり、また、「モノを作るためのモノ」の産業における重要性が高いという事実です。
ことに、わが国においては知的財産権こそ大切にしなければならないにも関わらず、現在の日本の法制度は知的財産権の流出に弱く、このあたりは深刻な課題でもあります(※これについては余裕があれば別稿にて詳細に触れていきたいと思います)。
ただし、日本と価値を共有していない国から少しずつ「足抜け」し、日本と価値を共有している台湾や、これから「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」やCPTPPなどでの連携を深めるであろうインド、豪州、英国などとは、関係を強化していく必要があることは間違いありません。
とりわけ、週末には「英国がTPPへの参加を要請した」とする報道もありました。
英、TPP参加を正式表明 初の新規加入で拡大機運
―――2021年01月31日07時44分付 時事通信より
英国のTPP参加には、欧州連合(EU)からの離脱に伴う英国なりの「生き残り策」という側面が多分にあることは否定しませんが、それでも日本にとっては、基本的価値を共有する相手国との連携を深めることはきわめて有意義でもあります。
本件については期待して続報を待ちたいところです。
View Comments (10)
>台湾から1.2兆円を輸入しているというのは「音響機器」ではなく『安藤たい等電子部品』です。
冒頭部分にタイプミスがあります。
Androidの部品みたいになっています。
追記です。関連する過去の記事も拝見しました。当該箇所の訂正過程が省略されることなく記載されていて、好感が持てました。
旧通産官僚筋は「国際分業こそ目指す未来の絶対善」と信じて疑わなかったのではと個人的に思ってます。今となっては国家の安寧安定を揺るがす「グローバリズム」は、懐疑の対象となっています。憎しみを集めつつあると率直に述べて言い過ぎではないでしょう。自国の利益をないがしろにしてきた経営者および為政者に指弾が集まることになりやしまいか当方は心配です。
はにわファクトリー様
まさにその通り。なにが国際分業か。
ただ、これには財務省の緊縮財政も関係してて、変動相場制の為替介入が無くなって、貿易黒字がダイレクトに円高になる為に、その黒字を海外投資に回さざるを得なかった事情があります。
貿易黒字分、財政出動と金融緩和を行っていれさえすれば、景気悪化による海外投資は防げたと思います。
大体、90年代中国の工場なんて今と比べ物にならない位ショボかったのに、何故今の状況になったか?
日本が悪手を打ちまくった所為です。
今からでも遅くない。工場国内回帰させる手を打つべきです。
とーしょーへーサンにイイヨウにヤラレタわけですナ
ヤラレっばなし!つーわけにもイキマセンわナ
引っ掛かったオタク 様
まさにその通り!!
ただ、この件で工場を移した企業を責めるのでは無く、移さざるを得なかった状況を作った内政の責任が多です。
この30年の無策で、無借金で十分なものと、借金すら出来ないものの2極化した所為で、日銀無制限量的緩和でも借金は増えません。借金が増えないので、日本円の量も全く増えません。
量的緩和だけでは、景気は回復しません。誰かが借金しないと。
このデフレの状態で借金を増やせるのは政府しかないのに、政府は何をしてるのだろう。
いまなら、コロナ対策として国民一人あたり毎月5万円給付するだけで、全てが解決するのに。
もちろん、休職された方には雇用調整助成金が支払われます。
ついでに消費税も0にしましょう。
財源は?もちろん国債です。
おそらく、感覚では4から5年は可能だと思います。
金額ベースでみた場合、石油類の輸入については2020年春にあったWTI暴落が関係しているのかもしれませんね。
その点は私もちょっと気になっていました。
鉱物性燃料は結構価格変動が激しいので、金額ベースとともに数量ベースも見ておくべきではないかと思います。
同様に半導体も、特にメモリ半導体は非常に価格変動が激しいので、金額ベースだけだと傾向を見誤る可能性があると思います。
>中国は日本にとって、いまや米国を遥かに凌駕する、最大の貿易相手国である。
なぜ基本的価値を共有しないどころか、直近では経済力と軍事力を背景に覇権主義の野望を隠さないようになった中国との貿易総額が輸出入とも米国を凌駕して第一位に君臨しているのか。それは貿易統計を精査しているだけでは見えてこない部分があるのではないでしょうか。
日本は主に生産財を中国に輸出し、衣料品や携帯電話などの最終製品(完成品)を輸入しており、結果として毎年日本側の貿易赤字(輸入超過)が続いているようです。この場合「日本から主に生産財を輸出 ⇒ 中国で組立や最終加工を実施 ⇒ 日本が最終製品(完成品)を輸入する」というような構図が見えてきますが、コトはそう簡単ではありません。
私は製造業(メーカー)に勤めており、当社は中国に生産子会社と販売子会社の双方があります。当社の場合は主に機械設備やそのメンテナンス部品等を中国に輸出しており、中国の生産子会社/販売子会社からは生産委託をした機械設備や、弊社製品に使用する一部の原材料・部品・最終製品等を輸入しています。
中国という市場では、外国企業・外資系企業・中国国有企業・中国民営企業等が入り乱れて、日々激烈な競争が繰り広げられています。仮に当社が日本から高品質な生産財を輸出し、中国生産子会社で機械設備を組み立て、高品質で故障しにくく、安全生産面で信頼性がある完成品(機械設備)を中国市場向けに投入したとしても、おそらく中国市場での激烈な競争の荒波に飲まれて、数年もしないうちに撤退を余儀なくされるでしょう。
どれだけ高品質・高耐久・信頼性であっても、その機械設備自体の価格が同類の中国国産機械に比べて軽く数倍以上になってしまうため、弊社のターゲット市場は「14億人の巨大市場の頂点」に位置するごく限られた一部企業のみ(例えばベンツやレクサスを愛用するごく一部の消費者を市場と見做す)となり、とても現地法人を維持していくことはできません。
良くも悪くも中国が持つ強みは、品質やブランド等を問わなければ「ほぼ全ての生産財や完成品が中国国内でほぼ調達できてしまう」点にあります。これがASEANやインドでは太刀打ちできない中国がもつ圧倒的な強みであり、当社を含む多くの外資系企業は「如何に中国国内で生産財を調達して原価を下げるか」が重要な経営課題の一つとなっており、どうしても中国国内で代替できないもののみを日本を含む外国から調達(輸出)していると考えて差し支えないと思います。
更にもう一つ。世界の港湾コンテナ個数取扱ランキング(国土交通省)をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/common/001358398.pdf
こちらは2019年のデータですが、世界トップ10のうち8つが中国の港湾です。即ち、中国で生産した最終製品は中国の港湾を通じて世界中に輸出できること、更にその港湾サービスは(いろいろ問題点はありますが)世界でもトップクラスの地位にあることを意味しています。
もし、中国以外の国で「ほぼ全ての生産財や完成品が○○国の国内でほぼ調達できてしまう」「日本からそれほど遠くなく、港湾インフラが整っている」「企業立地上の優位性がある」等を満たしている国があれば、わざわざ基本的価値を共有しない一党独裁の中国で経済活動を維持する名目が立たず、おのずと生産拠点を中国以外の国に移す流れが定着していくのではないのでしょうか。
覇権主義の野望を隠さなくなった中国から撤退しない経営者はいったい何を考えているのか?というご意見が多数でることはやむを得ないことと理解していますが、それはなぜK国と一刻も早く断交しないのか、日本政府は腰抜けか!というのと同様に、勇ましさはあれども少々非現実的な一面があることも見過ごせません。
日本及び日本企業が今後もしぶとく生き残っていくためには、米国と中国という二つの超大国とどのように付き合っていくのかという長期的な戦略が不可欠です。日本経済の原動力となる企業の成長戦略を打ち出し、国益を最大化するための外交を展開し、その裏付けとなる軍事力を整備することが古くて新しい喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。
過去記事のデータ見直し、ご多忙な中、お疲れさまでした。
それはともかく、
このようなデータ(貿易収支だけでなく経常収支のデータもあるとより良いかも)から分かるのは、現在の日本は、かつてのようなモノづくり大国ではないということですね。一時期のグローバル化の熱狂もあり、日本と同等か以上のモノづくり国が多数生まれています。その最大のものが中国ということです。処が本家(の積り)の日本は、高齢化・人口減少です。今後、モノづくりを全方位的に再興しようとしても無理があるでしょう。ですから今真剣に考えるべきは、何を残し、何を切り捨て、何を新たに育て伸ばしていくかです。現在、日本が輸出できる最終製品は自動車くらいとのことですが、その自動車も、カーシェアやEV化等で、産業基盤が根底から覆りかねない時代に直面しているようですし。
あと中国との関係(絶縁或いは共存)をどうするかは、経済面のみでも非常に重要です。そもそも中国も、日本とは色合いが異なりますが、伝統的にモノづくり大国です。例えばアヘン戦争なども、当時の中国の輸出品(絹織物・陶磁器・茶など)の競争力が強すぎることが遠因でした。その優位性は、彼らが伝統的に、創造性に富んでいたからと言うよりは、労働者のコストパフォーマンスが高い(低賃金で気の利いた労働者が使える)ことにより生じています。この優位性は、今後の急速な人口高齢化で限界を迎えるのかも知れませんが、当分は続くでしょう。日本としては、そのようなことも計算に入れ選択していくべきだと思います。