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緊急事態宣言は7日に発令、ビジネストラックも停止か

武漢コロナウィルスの蔓延を受け、メディアによると政府は7日にも、1都3県を対象に緊急事態宣言を発令するようです。また、先日の『政府が新規入国制限(なお中韓などからの入国は維持)』でも取り上げた入国制限措置について、朝日新聞は「外国人新規入国、全面停止へ」などと報じています。本稿では現時点におけるコロナ関連の報道をまとめておきます。

東京などに対する緊急事態宣言は7日にも発令

菅義偉総理大臣は昨日、『年頭記者会見』を行い、感染対策、水際対策、医療体制、ワクチンの早期接種の4点で「強力な措置を講じる」と述べました。

菅内閣総理大臣記者会見

―――2021/01/04付 首相官邸HPより

このうち「感染対策」については専門家からの指摘を受け、東京や近県の繁華街における「夜の人出」を抑制するために、1都3県の飲食店については20時までの時間短縮を要請するとともに、国としての緊急事態宣言の検討に入る、としています。

あわせて「給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策を採る」ための特措法を通常国会に提出する考えも示しています。

この点、複数のメディアの報道によれば、この緊急事態宣言は7日にも発令されるそうです。ここでは日本経済新聞電子版の記事を紹介しておきましょう。

緊急事態宣言、1カ月程度 1都3県で7日にも発令/休校要請せず、ワクチン接種は2月から

―――2021年1月5日 5:18付 日本経済新聞電子版より

日経によると、発令される対象は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で、期間は1ヵ月程度、感染リスクが高いとされる飲食店の営業時間短縮に重点的に取り組むとともに、「GoToトラベル」の停止も継続するそうです。

ただし、教育現場への影響を避けるため、小中学校や大学への休校要請はしない方針だとするなど、前回(昨年4月~5月)と比べて施設や店舗の利用自粛は狭める方針だということです。

これについて日経は、学校内感染は少なく、若年層は重症化しにくいとの分析もあることから、菅義偉総理も4日夜のBSフジの番組で、休校については「基本的に考えていない」と述べた、としています。

水際対策はどうなるのか

一方で、外国人の入国を巡っては、昨年の『政府が新規入国制限(なお中韓などからの入国は維持)』でも取り上げたとおり、「新規入国」などについては停止された状態にありますが、中韓などを対象としたビジネストラック、レジデンストラックは維持されています。

菅義偉総理は年頭記者会見で、「相手国内で変異種が発見された場合は(ビジネストラックを)即時停止する」と述べていますが、これに対し、与党議員らからも批判が出ているからです。たとえば、自民党の佐藤正久参議院議員は、菅総理のこの発言に対し、「不十分」とツイートしています。

佐藤正久

【水際対策、ビジネストラック等停止を再度、外務省担当に強く要請】
先月28日の外交部会の要請を受け、対象国で変異株の市中感染が確認されれば一時停止と少し踏み込んだが、不十分。
まして緊急事態宣言がなされて国民に負担を強いるなら、止めないといけない。前提が変化した以上、更に強化が必要
―――2021年1月4日 12:55付 ツイッターより

佐藤議員が批判しているのはおそらく、日本と外国との往来を可能にする仕組みのうち、停止されているのが次の3番と4番のものに限られている点でしょう。

外国人が日本に入国する際の手続
  1. ビジネストラック
  2. 在留資格を有する方の再入国
  3. 全世界を対象とした新規入国(※停止中)
  4. 短期出張ニーズに対応する枠組み(※停止中)
  5. レジデンストラック

ここでいう「ビジネストラック」の対象は中国、韓国、ベトナム、シンガポールの4ヵ国であり、「レジデンストラック」の対象はその4ヵ国にタイ、マレーシア、、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、ブルネイの7ヵ国を加えた11ヵ国です。

とくに、外国人については、次の4パターンに分け、①と③をビジネストラック、③と④(※11ヵ国に限る)をレジデンストラックの対象としています。

  • ①日本に居住していて、4ヵ国のどれかに出国し、日本に再入国する場合
  • ②日本に居住していて、4ヵ国以外の国に出国し、日本に再入国する場合
  • ③4ヵ国のどれかに居住していて、日本に入国する場合
  • ④4ヵ国以外の国に居住していて、日本に入国する場合

このうちの「レジデンストラック」は、駐在員の派遣・交代など、長期滞在者を想定したものだそうです。

朝日新聞「外国人の新規入国を全面停止」

これについて、朝日新聞に今朝、「独自」と称してこんな記事が掲載されています。

外国人新規入国、全面停止へ 中韓などビジネス関係者も

―――2021年1月5日 5時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より

朝日新聞は「複数の政府関係者」の話として、「中韓を含む11カ国・地域からビジネス関係者などを受け入れている入国緩和策」について、「新型コロナの変異ウイルスが確認されたかどうかに関わらず、一時停止とする方向で検討に入った」と報じました。

この報道の仕方だと、一時停止するのは上記のビジネストラックとレジデンストラックであり、「在留資格を持っている人の再入国」以外はすべて停止する、という意味でしょう。報じたメディアがメディアだけに、鵜呑みに信じるべきかどうかは微妙ですが、それでもあり得ない話ではありません。

朝日新聞はこれについて次のように報じています。

政府は当初、変異ウイルスの市中感染が確認された国・地域ごとに一時停止とする方針だった。(中略)与野党から批判が出るなか、方針転換した。期間は調整中だが、少なくとも緊急事態宣言中は停止する方向だ」。

実際、出入国在留管理庁によると、この緩和策による入国者(昨年12月14~20日の速報値)は中国が約3830人、ベトナムが約3390人、韓国が約340人などとなっているそうです。

読売新聞「インフルエンザ罹患数が減少」

さて、読売新聞に昨年12月21日付で、こんな記事も掲載されていました。

今年の出生数、過去最少だった昨年を下回る見通し…推計公表は見送り

―――2020/12/21 21:47付 読売新聞オンラインより

これは、田村憲久厚生労働相が同日、2020年における人口動態統計の公表を見送ると発表したという話題ですが、読売新聞の記事にはこんな趣旨の記述があります。

年間の死亡数は10年から増え続けてきたが、今年1~10月は113万2904人(速報値)と、前年同期より約1.4万人少なかった」。

これについて厚労省幹部は「新型コロナ対策としてのマスク着用の徹底でインフルエンザなどの罹患が少なくなったためではないか」と推察しているそうですが、インフルエンザ罹患者数はたしかに減少しています。

「国立感染症研究所(NIID)」の『インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(12/25更新)』を確認してみましょう(図表)。

図表 インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(12/25更新)

(【出所】国立感染症研究所(NIID)『インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(12/25更新)』)

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いずれにせよ、外出時にはマスクを着用し、集近閉(しゅう・きん・ぺい)を避け、外出後のうがい、手洗いを徹底することで、コロナ禍を乗り切りたいものです。

なお、当ウェブサイトに過去にいただいた読者投稿については、『読者投稿の募集と過去の読者投稿一覧』のページにまとめておりますので、ぜひともご参照ください。

新宿会計士:

View Comments (38)

  • > とくに、外国人については、次の4パターンに分け、①と③をビジネストラック、③と④(※11ヵ国に限る)をレジデンストラック
    ③がダブっていて、②が欠落していますよ。

    朝日新聞の記事が本当だと仮定して、「外国人の新規入国を全面停止」は厳格運用して欲しいですね。
    新しい大使の赴任もなし、日K議連の会合もなし。
    里帰りされた方々の再入国も一切禁止で。

    • イーシャ様

      いつもコメントありがとうございます。また、ご指摘大変ありがとうございます。たしかに非常にわかり辛い書き方であり、③がダブっていて②が欠落していますが、それで合っています。

      外務省の元資料を見ると、レジデンストラックは③と④を対象にしていて、このうち④は7ヵ国に限定する、ということです。また、ビジネストラックは①と③を対象としており、②を対象としているスキームはありません。

      図表 日本への入国/再入国/帰国の際に利用可能な枠組み

      (【出所】外務省ウェブサイト

      本当にわかり辛いですね。

      引き続き当ウェブサイトのご愛読とお気軽なコメントを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

      • 新宿会計士 様
        ご説明いただきありがとうございます。
        日本在住の方々が海外へ里帰りされ、再入国する場合が②のようですね。
        前例のない事態なのだから「日本人の帰国のみ認める」でよさそうな気が・・・

  • イーシャ様

    >里帰りされた方々の再入国も一切禁止で。

    お言葉ですが、イーシャ様。2021年にドラゴンズがセ・リーグを制覇して、ソフトバンクの日本一連覇を阻止するためには、われらが主砲・ビシエド選手がどうしても不可欠です。ぜひビシエド選手ご一家の再入国だけはお目こぼしを・・・(笑)

    ちなみにビシエド選手は昨年GG賞の授賞式にドラゴンズの選手を代表して出席した後、
    長男のジュニア君が通う小学校の終業式の翌日に家族でアメリカへ”一時”帰国しました。
    愛犬のフジ(富士)君はドラゴンズのスタッフが一時的に預かっているそうです。

    今年の初夢は「ジュニア君がドラゴンズのドラフト指名を受けて入団決定、ドラゴンズの新監督にビシエド氏が就任」でした?!

    <GG賞授賞式>
    https://dnomotoke.com/archives/20201218230058/

    ※雑談部屋に投稿するような内容で申し訳ありません。

    • 昨年同様、ホークスもキューバ勢が来日できないので、シーズン序盤は苦しむでしょうね。
      ただ、若手にはむしろレギュラーを獲るチャンスと思って活躍して欲しいです。

  • 更新ありがとうございます。

    「夜の人出」を抑制するために、1都3県の飲食店については20時までの時間短縮を要請するとともに、国としての緊急事態宣言の検討に入る。、、、ここまではOKです。やった方が良いでしょう。関西(大阪府、兵庫県)、愛知県も入れるべきですね。

    佐藤隊長(議員)の仰る事はごもっとも。ビジネストラックや
    在留資格を有する方の再入国なんて、とんでもない。再入国なんて、どんな菌を持っているか分からないし、シャットアウトしないと!

    私もファンの外国人スポーツ選手が家族と共に居ますが、スペインへ帰りたければどうぞ、その代わり2週間2週間は守ってください。というスタンスです。ま、スペイン国の方が大変だろけど(笑)。

  • 緊急事態宣言するなら。
    教育関連では、授業はやるが部活と合宿・遠征試合はリスクがあるので中止する。
    今年も、甲子園を含む全国大会の中止検討も考慮しておかないといけませんね。
    授業は、マスクしていれば換気だけでリスク低減できますが部活が危険すぎます。
    合宿や遠征試合は控えて欲しいのですが、部活指導者は勝利のために平気で予定しますから。
    市立習志野高校のクラスターは運動重視のあの学校らしいクラスターです。
    緊急事態宣言解除までは禁止するぐらいがクラスター予防には必要でしょう。

  • 判明してる感染経路が「家庭」「職場」がトップになってるし、職場はもうやってるからいいとして、家族持ちは家でもマスクするのが感染対策になるね。

  • 感染力の強いインフルエンザが激減するほどの飛沫感染対策ができているのに、どうして新型コロナは増えるんでしょうか?
    アルコールや石鹸で簡単に死滅するのにそこまで強大な感染力を持っているんでしょうか?
    このところ感染者の数字の方がおかしいんじゃないかと思い始めています

    •  インフルエンザに対しても無症状まで執拗に炙り出せとなればとんでもない数が出るんじゃないかと思いますね。今年はともかく去年までなら

  • インフルエンザ罹患確認者数が過去10年比で減っているとのこと、おめでとうございます(棒
    2020年間死者数も対前年比減っている見込みとのこと、おめでとうございます(棒
    昨シーズン以前特に対策もせず迂闊にインフルエンザに罹患した方々は猛省するべきかもしれませんね。
    その減った死者数分はそういった方々の不作為がもたらした人死にだったと…云えるのか云えないのかソレハワカリマセンハイ

    • 門外漢様

      バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ。

      アッ、コレはK国に南アのコロナが上陸したから喜んでいるのでは有りません。念の為に申し上げます。

      ひとつ上の引っ掛かったオタク様のインフルエンザの罹患者数が減少したのを喜んでいます。ハイ。皆様お間違えのない様にデス。

    • 政府の検討では、変異種の有無に関わらずに閉鎖、という案もあるみたいで、K国に忖度してるんですかね?

  • 外国籍の人を入国制限するのは当たり前。
    遅いくらいだと思う。

    ・厚生労働省ホームページ
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15845.html
    (2)空港検疫に係る発生状況
    空港検疫での陽性者の国籍内訳:
    (令和2年3月)日本国籍60名、外国籍6名。合計66名。
    (令和2年4月)日本国籍68名、外国籍12名。合計80名。
    (令和2年5月)日本国籍19名、外国籍26名。合計45名。
    (令和2年6月)日本国籍31名、外国籍93名。合計124名。
    (令和2年7月)日本国籍58名、外国籍219名。合計277名。
    (令和2年8月)日本国籍77名、外国籍120名。合計197名。
    (令和2年9月)日本国籍69名、外国籍104名。合計173名。
    (令和2年10月)日本国籍75名、外国籍142名。合計217名。
    (令和2年11月)日本国籍128名、外国籍225名。合計353名。
    (令和2年12月)日本国籍169名、外国籍190名。合計359名。

    もう、日本の医療を受けにわざと来ているんじゃないかと勘繰るレベル。
    大事な医療リソースは、日本国民に使われるべきだと思う。

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