本稿は、ショートメモです。先ほどの『5年前の調査で日本人ビジネスマンの8割「韓国不要」』にも少し関連するのですが、菅義偉総理大臣の日中韓サミット参加の条件を巡って、昨日、冨田浩司・駐韓日本大使が「対話の環境づくりが先だ」と述べたのだそうです。裏を返せば、「菅総理が訪韓できない状況を作っているのは韓国自身だ」という指摘だとも読めますし、それが真意なのだとしたら、当ウェブサイトとしても全面的に賛同せざるを得ません。
冨田大使の発言
本稿は、ショートメモです。
韓国メディア『聯合ニュース』(日本語版)の昨日付の報道によれば、冨田浩司・駐韓日本大使は菅義偉総理大臣の訪韓を巡り、発言をしたそうです。
駐韓日本大使「対話の環境作りが先」 菅首相の訪韓巡り
―――2020.11.06 19:07付 聯合ニュース日本語版より
(※この話題、先ほどの『5年前の調査で日本人ビジネスマンの8割「韓国不要」』で取り上げようと思ったのですが、そうすると少し論点が込み入ってしまうので、あえて別建てにした次第です。)
聯合ニュースによると冨田大使は韓国・済州島(さいしゅうとう)で開催中の「済州フォーラム」のセッションに参加した際、韓国が年内開催を目指す日中韓3ヵ国サミットに菅総理が出席する可能性について、次のように述べたのだとか。
- 首脳会談の日程は具体的に決まっていないものと承知している
- 日韓首脳による対話が可能になる環境作りが先に行われなければならない
そのうえで聯合ニュースは、冨田大使が「日韓首脳が会談した場合の国民感情がどのようなものなのか考える必要がある」、「両首脳が両国の国民のさまざまな質問にどのように対応するのか、両国の努力によって答えを探さなければならないだろう」、と述べたと報じています。
自称元徴用工問題、解決義務は韓国の側に
報じたのが韓国メディアであるという点を踏まえると、冨田大使の発言に何らかのバイアスがかかっている可能性には注意が必要と思ったのですが、この発言を読む限りにおいては、冨田大使の見解は日本政府のそれと非常に整合的と考えて良いでしょう。
自称元徴用工判決問題を巡っては、おもにわが国のメディアが10月中旬ごろまでに、「日本にとって受入可能な措置を韓国が打ち出さない限り、菅総理は年内に開催される日中韓サミットには参加しない方針だ」、などと相次いで報じています。
この点、日本政府は公式見解として、日中韓サミットに「参加する」とも「参加しない」とも述べておらず、加藤勝信官房長官らは現時点までに、たんに「日程は決まっていないと承知している」などと述べるにとどめています。
しかし、一連の自称元徴用工判決を巡って、日本政府は「日本企業に不当な不利益が生じることは許されない」、「国際法違反の状態を作り出している韓国自身が問題を解決しなければならない」、と一貫した態度を取っていることもまた事実です。
このことから、冨田大使の発言も、自称元徴用工問題で「解決の責任は韓国にある」とうす日本政府の見解と整合的なのです。
婉曲表現では伝わらない…!?
ただし、冨田大使の発言で、気にならない点がないといえばウソになります。
聯合ニュースによれば、冨田大使は「対話が可能な環境が作られなければならない」、「どのような首脳会談でも成功させるためには環境が重要だ」と強調したのだそうですが、これは韓国側に誤解を与えている可能性があります。
自称元徴用工判決問題を巡って、「国際法違反の状態」を是正する義務があるのは韓国の側である、というのは日本政府の一貫した立場ですが、冨田大使のこの発言だと、「(菅総理が訪韓できる環境を)日韓両国が作らなければならない」と主張したかに読めてしまいます。
いや、普通の読解力があれば、冨田大使がそのように述べたわけではないとわかるはずですが、相手はウソとごまかしが常套手段となっている韓国のことです。この際ハッキリと、「菅総理が訪韓し辛い環境を作り出しているのは韓国の側だ」と主張すべきだったのではないか、という気がしないではありません。
しかしながら、聯合ニュースの記事には、次のような記述も続きます。
「冨田氏の発言は、(※自称元徴用工問題)が解決されない限り、菅首相が訪韓して韓中日首脳会談に参加するのは難しいとの見解を示したものと受け止められる」。
韓国メディアには珍しく、正確に読み取っていると思いますし、この記述を読む限りは、上記の懸念は杞憂に終わりそうです。聯合ニュースの指摘どおり、冨田氏の発言は、「問題が解決する」か、あるいはその目処が立つことが菅総理訪韓の条件だ、と読み取るべきでしょう。
もっとも、それが韓国にできるかと言えば別問題ですし、敢えて悲観的な見通しを述べるならば、日韓関係を巡っては今後、悪くなることはあっても良くなることはないように思えてなりません。
こうしたなか、『韓国政府高官「韓日技術協力は続けなければならない」』でも触れたように、むしろ今後は韓国の側からいつもの「擦り寄り」が続く可能性が高いという点には、十分な注意が必要ではないかと思う次第です。
View Comments (18)
更新ありがとうございます。
聯合ニュースにしては、日本人らしい富田大使の婉曲な表現を、ストレートに読み切ってくれましたね。要は「韓国側が徴用工判決問題で日本企業資産を差押えして、現金化する恐れがある以上、菅総理の訪韓は絶対に無い」という強い決意です。これは日本政府見解とも一致してます。
しかし、相変わらず交渉下手な日本の外務省 富田大使は、危うい言い方です。「国際法違反の状態を是正し、菅総理が訪韓できる環境を醸成するのは日韓両国では無い。一方的に韓国に責がある」と主張すべきです。喧嘩越しで発言すべし。中途半端な言い方で、アチラが「ワル」の場合、ハッキリ言わないと駄目です。
国際的には、はっきり物を言わないのが日本の欠点ですね。
一方、現在の対韓国では、向こうが勝手に解釈して期待しようとほっとけばいいと思います。
事態が長引けば長引くほど実体経済が行き詰まり、追い詰められるのは韓国側なのですから。
>国際的には、はっきり物を言わないのが日本の欠点ですね。
ふと思ったけど、公職にある人が何か言うといろいろ問題があるのかなって思うのです♪
だから、政府の代わりに発言する民間のなんちゃら研究所みたいなのが、必要なのかなって思ったのです♪
昨日のBS日テレの深層ニュースで、日韓徴用工問題について、韓国の法律に
詳しい国際弁護士が興味深いことを言っていました。
①2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は新日本製鉄に対し
韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1,000万円)の損害賠償を命じた。
被害者(またはその法定代理人)が,損害及び加害者を知った時 から3年経過
すると時効により請求できなくなります。それであれば、時効がくるまでは
日本側としては、騒ぎ立てず、韓国民をいたずらに刺激せずにおとなしく
していた方が、後々の、面倒を防ぐことができます。
②日韓請求権協定に関する個人請求権に関する解釈問題は、日韓両国の間で
相違が生じた場合は、国際裁判所の判断に委ねると明記されている。
よって、協定に関する解釈問題なので、いくら、韓国の最高裁判所で
「ウリナラは、こう解釈したから日本企業は従うべきニダー」と主張しても
それは、両国による解釈の相違なので、韓国側の国内法廷で完結できる
ものではないし、韓国の国内法律機関である大法院が判断する権限もない。
韓国側が屁理屈をこねくりまわして、韓国内の大法院で自分たちに有利な判決
を下そうとも、協定に関する両国の解釈の違いなので、日本側にその効力を
及ぼすことはできない。国と国との解釈の争いになるので国際裁判所で
決着させることが必要とのこと。
日本側としては、ウリもウリもと多数、ウリナラ裁判所に訴訟を起こされたら、
その裁判対応だけでも手間がかかるので、訴訟の時効が成立するまで、おとなしく
時間稼ぎをしているとも考えられます。
誤解は向こうに勝手にやらせておけ。お公家さまのやりかた、とも言えますね。空気、くーき。
韓国は、「日韓問題は必ず日本が解決する」と考えています。また、韓国人は相手の言う事を「何でも都合良く解釈する脳」を持っています。
こんな相手に、大使がどう振る舞うかは、難しいのですが、ハリー大使は大変そうで、中国大使は言い放題にも思います。
日米中の大使の状況を比較すると、韓国における上下関係の中に、大使が組み込まれてしまっていると思います。
私が望む大使像は、韓国内で「日韓関係が破綻しても、日本は困らない」と言い切れる人です。
「そんな奴居ねーよ」と言われると思いますが、そう言ってリッパードされるくらいの、鉄砲玉を送り込んで欲しいなぁと妄想します。
という事で、私は冨田大使は失格と判定しています。
日本政府が積極的に打開しようとしていない状況においては、大使は遠回しなコメントで丁度よいのではないでしょうか。
今は韓国に追加でリソースを割くのも馬鹿らしいから、余計な油を注ぐような大使こそ失格だと私は思います。
気にくわないから徹底的に叩いてやりたいという心情は理解できますけども
だんな さま
「鉄砲玉」は、やられる方ではありません。やっつけに行く方であります。
老害さま
何でいうの?
「地雷源」。
> 私が望む大使像は、韓国内で「日韓関係が破綻しても、日本は困らない」と言い切れる人です
大使は本国(外務省)のマンデートの範囲内でしかコメントすることができないので不可能です。
gommerさま
リソースを割くのも馬鹿らしいですよね。
大使を召喚してしまうと、良いですよ。
しばらく韓国疲れで距離を置いてました。
しかし、彼らは相変わらずですね。
いつ見てもやってることは同じだし、堂々巡りで進展がない。
菅総理大臣が訪問しても進展する見込みがなければ意味がないこと。
まあ、彼らにとって進展とは日本が譲歩することなんでしょうけど。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、韓国と違って自分は間違う存在であると自覚しているので)
韓国は、米バイデン元副大統領が次期米大統領になれば、すべてが韓国の都合のよい方向に世界が動くことが、真理になっているのでしょう。(そういえば、日本も菅義偉新総理になれば、日本が韓国に譲歩することに、韓国国内ではなっていました)
蛇足ですが、朝日新聞内部では、バイデン大統領が誕生すれば、菅義偉新総理が辞任することになっているので、それまで日本学術会議問題を引っ張るつもりなのでしょう。
駄文にて失礼しました。
丁寧に無視、言うときは差し障りのない言葉に留める。良い戦術とは思いますが、たまにはバッサリ言って欲しい気にもなります。バッサリ言っても一割も理解しませんから。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
(なにしろ、素人考えですから)
アメリカ大統領選でトランプ大統領が再選した場合、(もちろん、議会選の結果もありますが)これまでの外交の継続になります。しかし、バイデン大統領誕生の場合は、どんな外交になるかは(正確には)分かりません。そこで、各国は(アメリア以外の国に)自国が有利になるように情報戦を仕掛けていると考えるのは考えすぎでしょうか。つまり、韓国は日本に「バイデン大統領誕生になったら、日本がもっと不利になるから、今のうちに譲歩しろ」と言い出す準備をしているのです。
駄文にて失礼しました。
文在寅大統領の立場で、自称元徴用工問題を解決する方法を考えてみました。
➀差し押さえた日本企業の財産を現金化する。
→日本政府の強力な対抗措置が実施され、国際法違反の状態が是正されるまで継続される。韓国経済が深刻な打撃を受け、ロウソクデモなどにより文政権が退陣に追い込まれる恐れがある。
➁韓国政府が、日本企業に代わって自称元徴用工に賠償金を支払う法律を制定し、実行する。
→2005年に、廬武鉉政権が認定した強制動員被害者は、約22万人で、仮に、この22万人(死亡の場合は相続人)に、1人当たり1000万円(韓国大法院判決の認定額と同額)を支給すれば、総額は2兆2千億円になる。
この2兆2千億円を韓国政府が負担すると発表した場合、国内全域でロウソク革命が吹き荒れ、文在寅大統領は退任に追い込まれる恐れがある。
➂日韓請求権協定に定める仲裁委員会または国際司法裁判所の司法手続きに委ねる。
→仲裁委員会または国際司法裁判所で、「韓国大法院判決は、国際法違反で無効」との結論が出され、日韓両政府が受け入れる。
判決は遡って取り消され、原告の請求は棄却されるため、日本企業も韓国政府も、自称元徴用工に賠償金を支払う必要は無くなる。韓国政府は、このような国際法違反の判決を下した大法院判事を、「能力不足」を理由に全員罷免する。(大法院の判事に全責任をなすりつける)
なお、国民から、「能力不足」の大法院院長を任命した文在寅大統領の責任を追及される恐れがあるため、次期大統領(恐らく、革新派「共に民主党」)になってから実施する方法も考えられる。
[結論]➂の方法がベストではないでしょうか。