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野党が与党に対抗するためには「解党的出直し」が早い

毎日新聞に昨日、「与党に対抗するために野党は何をすればよい?」という記事が掲載されているようです。以前から当ウェブサイトでは、立憲民主党などの特定野党をラーメン屋にたとえるならば、「自民ラーメン店よりもさらにマズくて高く、かつ不衛生なラーメン屋」のようなものだと申し上げて来ました。そんなラーメン屋に、客が入るわけがありません。そんな簡単なことが、なぜわからないのでしょうか。

民主党、民進党、立憲民主党…

最近の政治は、私たち一般国民からすれば非常にわかり辛くなってしまっているフシがありますが、その最大の責任は、野党勢力にあります。というのもここ数年の集合離散で、気が付いたら数年前に「民主党」と呼ばれていた政党などが、「立憲民主党」や「国民民主党」などに名を変えているからです。

「など」と付けているのは、厳密に分解していくと、旧「みんなの党」の一部が旧「維新の党」などを通じて民進党に合流していたりするためであり、現在の立憲民主党や国民民主党の構成員の全員が民主党出身者であるとは限らないからです。

ただし、あくまでも両党の主力メンバーは、2009年に政権を奪取した、あの民主党の出身者であるため、当ウェブサイトとしては、事実上、「民主党」→「民進党」→「立憲民主党・国民民主党」、という流れにあると考えている次第です。

(※もっとも、民進党から国民民主党のあいだに、小池百合子・東京都知事などが関与する「希望の党」などの政党も存在していたのですが、あまりにも細かくなり過ぎるので、ここでは割愛しています。)

しかも、非常に困ったことに、立憲民主党を中心とする野党勢力は、「民主党の後継者」としての立場と、「民主党ではない新しい政党」としての立場を、都合に応じて使い分けているフシもありますが、これはなかなか興味深い点です。

たとえば、2009年からの3年3ヵ月の民主党政権については、参議院自由民主党が2012年8月付で『民主党政権の検証-迷走の3年を総括-』という資料にまとめていますが、民進党、立憲民主党、国民民主党は、これに相当する総括的な反省を行ったという形跡がありません。

もちろん、上記『民主党政権の検証-迷走の3年を総括-』は、民主党のライバル政党である自民党が取りまとめたものであるとうい時点で、その執筆者の中立性には疑問が生じ得るものです。だからこそ、本来ならば当事者による総括的な検証が必要なのだと思うのですが…。

反省しない立憲民主党、スキャンダルが大好き

いずれにせよ、当ウェブサイトとしては、2012年12月に発足した安倍晋三政権や、安倍総理の辞任にともない先月発足した菅義偉政権について、盲目的に支持するというつもりはないのですが、さすがに旧民主党の「残党」のみなさんが、旧民主党政権について反省も総括もしていないのはいただけません。

それどころか、民進党は2017年ごろ、「もりかけ問題(※)」については舌鋒鋭く批判し、追及するわりに、党代表者である村田参議院議員の二重国籍疑惑をいっさい説明せずに逃げまどい、結果的に同年10月の衆院選では敵前逃亡・瓦解を余儀なくされました。

※「もりかけ問題」とは、「安倍晋三氏が内閣総理大臣としての地位を悪用し、個人的な友人が経営する学校法人に何らかの便宜を供与していた」疑いのこと。

実際、この「もりかけ問題」自体、舌鋒鋭く追及していたのは、当時の民進党を含めた特定野党に加え、「ATM」などと俗称される特定メディアが中心だったのですが、これを追及する側は、そもそも安倍総理が「怪しい」とする根拠どころか、いかなる法律に照らして何が問題なのかすら提示しようとしませんでした。

また、たしかに2017年7月頃の主要メディアの世論調査では、安倍政権に対する支持率は軒並み下落したのですが、そのわずか3ヵ月後に実施された衆議院議員総選挙ではむしろ自民党が快勝し、衆院の民進党は立憲民主党と希望の党に分裂する始末でした。

さらには、その後も立憲民主党などの「追及国会」という姿勢は変わらず、「桜を見る会」疑惑で国会審議を潰したり、法的根拠もない「野党合同ヒアリング大会」(『野党ヒアリングこそ「過労死ライン残業」の原因では?』等参照)などのパフォーマンスに明け暮れたりしています。

その結果でしょうか、「あの朝日新聞」の世論調査ですら、安倍政権を「評価する」と答えた人の割合が7割を超え、あわせて質問された政党支持率についても、立憲民主党は3%に過ぎませんでした(※自民党は40%。ただし、支持率調査は国民民主党との合流前の時点で実施されたもの)。

安倍政権を「評価する」が71% 朝日新聞世論調査

―――2020年9月3日 22時30分付 朝日新聞デジタル日本語版より

「9月15日に立憲民主党は生まれ変わりました」

しかも、話をややこしくしているのは、現在の立憲民主党と国民民主党は、どちらも今年9月15日に発足した政党である、という事実です。

これには多くの人が「?」となるかもしれませんが、一生懸命調べてみたところ、どうやらそのからくりは、次のとおりではないかと思われます(※ただし、情報源により若干、情報が錯綜しています)。

  • 9月11日:立憲民主党が両院議員総会で14日付での解党を承認。国民民主党も党大会で、11日付での解党と(新)「国民民主党」、「民主党」(※)の両党の分党を承認
  • 9月14日:立憲民主党が解党される
  • 9月15日:(旧)立憲民主党の大部分の議員に加え、「民主党」(※)の大部分の議員が合流する形で(新)「立憲民主党」が設立される

ちなみに9月15日付で(新)「立憲民主党」に合流した「民主党」は、9月11日付で(旧)「国民民主党」から分裂した政党のことであり、手続上、わずか数日のみ存在したようなのです。

つまり、現在の「立憲民主党」と「国民民主党」は、ほんの数ヵ月前の「立憲民主党」、「国民民主党」とは同じ名前でも別の政党だ、というわけですね。短い期間に政党を作ったり解体したりして、なんだかよくわかりません。

高くて不衛生なラーメンは要りません

さて、普段から当ウェブサイトで報告していますが、特定野党、とりわけ立憲民主党のおかしなところは、自分の政党の政策をきちんと示していないわりに、対立政党(とくに自民党)の揚げ足取りをしたり、悪口を言ったりしているだけである、という点にあります。

この点、ラーメン屋にたとえてみればよくわかります。ラーメン屋の本業は、美味しいラーメンを提供することにあるはずであり、「隣のラーメン屋の悪口ばかり宣伝するラーメン屋」が繁盛するわけはないからです(『立憲民主党:他店の悪口でラーメン屋は繁盛するのか?』等参照)。

もちろん、自民党をラーメン屋にたとえるならば、「マズくて値段も高い」、という批判もあるかもしれません。しかし、仮に自民党が「マズくて高いラーメン屋」だったとすれば、さしずめ憲民主党は「自民ラーメン店よりもさらにマズくて高く、かつ不衛生なラーメン屋」、といったところでしょう。

そもそも政党が存在する目的は、「本業」である政策立案、法律策定などを通じ、私たち有権者の役に立つことにあります。「もりかけ問題」「桜を見る会」などのスキャンダルを追及することにあるわけではありません。

正直、今日の政治に対する幻滅を招いている犯人は、自民党ではなく、どうしようもなく能力が低い立憲民主党をはじめとする特定野党であり、そうした特定野党をきちんと批判的に報じないオールドメディア(とくに特定の新聞社、特定のテレビ局)の面々であることは間違いないでしょう。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

こうしたなか、毎日新聞のウェブ版に昨日、こんな記事が出ていました。

<ご意見募集>与党に対抗するために野党は何をすればよい?/菅原琢・政治学者

安倍晋三前首相の突然の辞任と菅内閣の発足という慌ただしい政治状況の中ですっかりかすんでしまいましたが、旧立憲民主党と旧国民民主党による合流新党「立憲民主党」が誕生し、かつての民主党のような与党・自民党に対抗する大きな野党が生まれました。この動きが、政権に批判的な人々から一定の評価と期待を集めていることは間違いないでしょう。<<…続きを読む>>
―――2020年10月8日付 毎日新聞デジタル日本語版より

そんなこと、意見募集しなきゃわからないのですか?

その前に、毎日新聞の記事では、合流新党「立憲民主党」は「かつての民主党のような与党・自民党に対抗する大きな野党」だと決めつけているのですが、その事実認定自体、正しいのでしょうか。

正直、菅義偉内閣総理大臣が、いますぐ衆院の解散総選挙を決断したとしたら、立憲民主党は「自民党に対抗する」どころか、少なくとも現有勢力の維持もままならないかもしれません。

その理由は簡単で、前回の衆院選以降、立憲民主党に対する支持率はジリジリと下がり続けているからであり、また、立憲民主党などの特定野党を全力で守ってくれていたマスメディア(とくに新聞とテレビ)の社会的影響力が、よりいっそう低下しているからです。

毎日新聞の記事を、「売れないラーメン屋が売れるようになるためには、何が必要か」と読み替えると、その答えはひとつしかありません。それは、「お客さんに美味しいと思ってもらえるようなラーメンを研究し、開発すること」です。

立憲民主党にもまったく同じことが言えます。

まずは日本経済を具体的にどうやって再生したいのか、日本の安全をどうやって確保するつもりなのか、それに関して明確なビジョンを示してみてください。そして、国会における無意味なスキャンダル追及、法的根拠のない野党合同ヒアリング大会をどうにかしてみてください。

いちおう、それだけは申し上げておきたいと思います。いや、それをやるためには、現在の立憲民主党が少しずつ変わるというよりも、それこそいっそのこと、「解党的出直し」を図った方が早いのかもしれませんが…。

新宿会計士:

View Comments (41)

  • そんなこと、意見募集しなきゃわからないのですか?
    でお終い。
    国民を馬鹿にするな。
    以下、新宿会計士さんと同じ意見です。

  • > 国会における無意味なスキャンダル追及、法的根拠のない野党合同ヒアリング大会をどうにかしてみてください。

    これだと、「まだ足りませんか? より一層頑張ります」になります。自分で考えさせては駄目です。「やめてください」とハッキリ言わないと伝わりません。

    あの手の連中に「胸に手を当ててよく考えて見ろ」的な言い方は全く通用しないことを、胸に手を当ててどうにかしてください。w

  • 一般の美味いラーメンが店主にとって不味いラーメンなわけで…
    味を変えずに客に来てほしいのでしょう
    また、衛生的な店は店主にとって居心地が悪いわけで…
    不衛生な店のままでいたいのでしょう
    こんな店、誰も行かないですよ
    店主としても、できることは他店の足を引っ張ることだけです

    • その通りですね。
      尾籠な比喩で恐縮ですが、ハエがうんこにたかるのは好きでやっているのですから、人間に愛されるためにはうんこにたからない方がいいよと忠告したって無駄ですよね。ハエが生きていくためには欠かせない行為です。

  • 極右になって自民の中韓への弱腰や二階の妄言を批判すれば民意を得られますよ。
    簡単な事なのになんでやらないのかねー。

  • 更新ありがとうございます。

    「与党に対抗する為、野党は何をすれば良いですか?」
    知らんがな。こんな事をよく紙面に載せるな〜と言った言葉しか出ません。

    更に「(野党が一つにまとまって)政権に批判的な人々から一定の評価と期待を集めていることは間違いないでしょう」というなら、毎日新聞さんと記事を書いた人、貴社らの方で政策を提言してみて下さい。いつも諍いや有らぬ嘘を煽るだけのロートルメディアには期待しませんが(嘲笑)。

  • おそらく、毎日新聞は本当に真剣に本気で理解できないのだと思いますよ。これほど全力で応援し、自民党を叩き続けているにも拘らず、なぜ立憲民主党の支持率がちっとも上がらないのかというこの現実が。
    結局のところ、国民世論を先導しているつもりでいい気になっていたのに、実は何周も遅れていたことに未だ気が付いてないというだけのことなんですが、戸惑いを表明してるだけ、毎日新聞はまだ正直なのかもしれません。朝日新聞に至っては、「国民がバカだから、我々はますます頑張って愚民どもを導いてやらねば」という謎の使命感に満ちているようなので。

    何時の日か、日本の野党勢力が絶望的に無能なのは、メディアが甘やかし続けたせいだという簡単な真実に、メディア自身が気づくと良いんだけどなぁ。56億7千万年以内に、そんな日が来ることを期待します。

    • 光瀬龍先生ですか。萩尾望都先生のハードカバー全1巻を持っております。まあ、毎日君はあの作品世界におけるナザレのイエスにすらなれないでしょう。

      • 「暗黒神話」だったりして(^.^)
        あの馬頭観音像の周りで飛び跳ねてる餓鬼たちは、メディアの姿そのものかもしれません。

        なお、萩尾望都さんについては、富士山より高く、日本海溝より深い思い入れがあるので、ここでは止めておきます。

    • 龍さま
      「結局のところ、国民世論を先導しているつもりでいい気になっていたのに、実は何周も遅れていたことに未だ気が付いてないというだけのこと」
      良い説明だと思います。
      理解出来ないのは、イデオロギー馬鹿、馬鹿の壁?
      私は、もう工作員でくくっちゃってるけど。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (なにしろ、立憲民主党と違って自分は間違う存在であると自覚しているので)
     (個人的見解ですが)そもそも、『解党的出直し』というものは、解党の危険を冒しても、(普通の方法では出来ない)問題を取り除くために行うものです。そのため、重要なのは、『解党的出直し』をすることではなく、何を残すかを決めて、それ以外は全て捨てることです。
     しかし、(立憲民主党だけとは限りませんが)人は自分が今まで行ってきたことを否定されたくありません。
    そのため、『解党的出直し』をやったことだけで満足して、実際には前と同じことを続けたいのです。
     駄文にて失礼しました。

    • 実際に行ったのが「解凍的出直し」だったからではないでしょうか。
      せめて「怪盗的出直し」だったらもう少しマシになったかもしれませんし、「回頭的出直し」ならばもっと良かったでしょう。
      ああ、「快投的出直し」だったら優勝も夢じゃなかったかも。

      • 不覚にも笑ってしまいました。
        今の野党として機能していない野党には、そんなもので充分かと。

      • そうですね。
        <ご意見募集>に「回答」して「出直した」つもりだったのに、世間には「まるで回答になっていない!!」と一顧だにされなかったことの理由がまったく理解できないのでしょうね(棒)。

  • 日本では、マスコミが野党の役割をはたしていますから、野党は必要ありません。というのが今日の私の答えです。(少し前まで毎日新聞の読者でした)
    ちょっと真剣な話、選挙の時により悪くない候補者を選ぶことができないフラストレーションを感じます。自民党の候補か絶対選びたくない候補かの2者選択になってしまうのです。小選挙区制になった時に期待感を感じた記憶がありますが、今は選択ができる中選挙区に戻って欲しいなと思います。
    自民党以外の候補者へも投票してみたい。中選挙区と国会議員の定数削減を同時にしてくれないかなあ。

    • ミディアムユーザ様
      ボクの思ってること、そのまんまです。1CMも短くなく、1CMも長くないです。

  • 早く「影の財務大臣」だの「影の外務大臣」だのを任命して、経済では何をするのか、外交では何をするのか、とビジョンを掲げていただきたいですね。現政権のやってること、或いはちょっとの不手際を上げつろうばかりの政党や政治家は不要です。時間と経費と人生の無駄です。いったい何をしたいのか、野党からは何も見えてきません。その点、ルーピー鳩山は多少ともそのビジョンが見えてました。まあ、日本人をやめましょう、というようなビジョンでしたけど。

      • 習近平(シー・チンピン)助太刀人
        略して、平助人(ピジョット?)

        ムリ? クルシイカナ・・。

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