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レジ袋有料化も日本学術会議の提唱がきっかけ=元会長

日本学術会議の会員任命拒否に関する話題が、連日のようにメディアを賑わせています。ただ、個人的な感想を申し上げるならば、大騒ぎしているのは、もともと国民世論からかけ離れた論調を展開することで知られるメディアが中心であり、また、彼らが大騒ぎすればするほど、日本学術会議側の主張に無理があるということが一般国民の目に明らかになってしまう、という効果があるように思えてなりません。

キジも鳴かずば撃たれまい

日本学術会議が推薦した候補者のうち、6人が会員に任命されなかったという話題が、連日のようにメディアを賑わせています。

といっても、見たところ、大騒ぎしているのは俗に「ATM」と呼ばれる、国民世論からかけ離れた論調を展開することでも知られるメディアが中心であり、「ATM」などは「日本学術会議の人事に菅義偉総理が介入した」という点を問題視したいようですが、これはさすがに無理がある主張です。

なぜなら、実際に法律を読んでみると、日本学術会議そのものが行政機関に位置付けられており、その会員の任免権は総理大臣にあるからです(※法律の詳細などについては『「キジも鳴かずば撃たれまい」日本学術会議の自業自得』などでも議論したので、本稿では繰り返しません)。

さらにいえば、これらのメディア自身は気付いていないのかもしれませんが、彼らが騒げば騒ぐほど、国民の関心は日本学術会議のこれまでの在り方、あるいは彼らの過去の仕事そのものに向かいます。

元会長が東京新聞に寄稿

こうしたなか、東京新聞には本日、こんな記事が掲載されていました。

「総理は多様性を認め、政策に生かして」 日本学術会議・大西隆元会長が本紙に寄稿

菅義偉首相が新会員候補6人の任命を拒否した問題を巡り、日本学術会議の大西隆元会長が本紙に寄稿した。「学術会議は会員がそれぞれの専門を生かしながら議論する場で、政治的な主張を戦わすわけではない」と主張し、任命拒否を「残念な事態」として、政府に理由の説明を求めた。<<…続きを読む>>
―――2020年10月8日 06時00分付 東京新聞TOKYO WEBより

この記事には、久しぶりに驚きました。

というのも、レジ袋有料化も、もともとは日本学術会議の提唱がきっかけだとされているからです。

記事の執筆者は2011年から2017年にかけて、日本学術会議の会長を務めた大西隆氏です。そして、大西氏はこの記事で、「あの」レジ袋有料化政策自体が日本学術会議の提案によるものだと、胸を張って述べているわけです。

ちなみにこのレジ袋有料化、大西氏の言い分は、次のとおりです。

微細なプラスチック片が分解されずに海に滞留し、摂取した魚、さらに人に害を及ぼすから、プラスチックの利用を大幅に削減しようというキャンペーンが、レジバッグ有料化やマイバッグ携帯につながった」。

はて、どうですかね?

これについて、日経BP社出身の経済評論家である加谷珪一氏は『mi-mollet』(ミモレ)というウェブサイトに2020年7月11日付で寄稿した『レジ袋有料化の効果に懐疑論が浮上。しかし日本はそれ以前の問題だった』のなかで、こう指摘します。

  • 環境省の調べによると、海洋プラスチックごみのうちレジ袋が占める割合は容積ベースで0.3%しかなく、12.7%のペットボトルなどと比較するとゼロに近いのが実態。本当にプラスチックごみをなくすことを目的にするのならペットボトルへの対策が必須となるはずだが、現実にそうした動きにはなっていない
  • レジ袋は石油精製時に必ず発生する副産物であるポリエチレンを使用して生産されており、環境負荷が小さい。もともと捨てるはずのポリエチレンを使用するレジ袋の代替として、石油由来の素材を使ったマイバッグを生産すると、逆に石油の消費が増えてしまう可能性もある

いちいち、ご指摘はごもっともです。

もちろん、大西隆氏と加谷珪一市の主張のどちらが正しいかについては、環境専門家などの意見を踏まえた上で判断する必要があるとは思うのですが、残念ながらこの2つの主張だと、個人的には加谷氏に軍配が上がってしまいそうに見えてなりません。

説明責任があるのは日本学術会議の側

大西氏の主張への疑問点は、それだけではありません。

学術会議は、大学や企業の研究者等の代表が学術の観点から社会や政府へ提言、国際協力を行う組織で、発足して72年になる。(中略)身分は非常勤国家公務員で、会議出席の際に旅費や手当は支給されるが、会長を含めて給料や年金とは無縁である」。

これについては、加藤勝信官房長官の今月5日午前の記者会見内容(※産経ニュースの下記記事も参照)と矛盾しているように思えます。

加藤官房長官、学術会議予算の内訳示す 選定理由の説明などは拒否

加藤勝信官房長官は5日午前の記者会見で、毎年約10億5000万円が計上されている日本学術会議の予算使途について明らかにした。<<…続きを読む>>
―――2020.10.5 13:36付 産経ニュースより

産経ニュースの次の記事によると、毎年の予算は約10.5億円であり、内訳は次のとおりだそうです。

  • 人件費などを含む政府・社会などに対する提言…2.5億円
  • 各国アカデミーとの国際的な活動…2億円
  • 事務局人件費・事務費など…5.5億円

ちなみに委員の旅費もそれぞれの項目に入っているのだそうですが、決して少なくない額が人件費に充てられている計算ですね。大西氏の「会長を含めて給料や年金とは無縁である」とする内容と、加藤官房長官の説明は矛盾しているように思えるのですが、このあたり、大西氏の記事で説明はありません。

さらには、大西氏は「残念な事態、任命拒否の理由提示を」として、今回の任命拒否の理由を明らかにするように求めているのですが、これは明らかにおかしな話です。なぜなら、個々の候補者について、推薦した理由を明らかにしていないのは、むしろ日本学術会議の側だからです。

大西氏は会員の選考基準について、「会員選考基準は『優れた研究又は業績がある科学者』」述べているのですが、そのわりには、個々の会員の推薦理由を明らかにしていないのですから、これは明らかに矛盾しています。

大西氏は、次のように述べます。

学術会議は多様な専門を持つ会員がそれぞれの専門を生かしながら議論する場で、会員は政治的な主張を戦わすわけではない」。

しかしながら、今回任命拒否された6人を含め、どうも「専門知識を持つ学者」というよりも、「偏った思想を持つ政治活動家」ではないかと思えるような人物が日本学術会議の会員に入っている点については、大西氏は明確な説明を行っていません。

また、『「解体論」も飛び出す日本学術会議、中国との関係は?』などでも紹介した、日本学術会議と中国との関係についても、日本学術会議側の説明はまだありません。

いずれにせよ、今回の「疑惑」を巡って、騒げば騒ぐほど窮地に陥るのは日本学術会議の側であるように思えてならないのですが、いかがでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (61)

  • 当地では、従来からバイオマス資源製のレジ袋を無償で提供してくれているホームセンターもあります。

    ところで、レジ袋の有料化に伴い、ロールになっているポリ袋が大量に消費されているとの報道もあったように思います。
    これでは意味がありません。
    ”頭隠して尻隠さず”の典型でしょうか。

    • レジ袋有料化は日本学術会議のせいですか!
       日本学術会議は、日本人の敵!ですね。
      >レジ袋の有料化に伴い、ロールになっているポリ袋が大量に消費されている

       そりゃあそうですよ、
      『マイバックは不衛生、新品のレジ袋と違って』
      と、さんざんテレビで言われちゃ、
      『そりゃあそうだな』

      なって、牛乳パックの頭にスーパー提供のポリ袋をかぶせますよ。
       卵も割れてマイバックに溢れたら...とポリ袋、何もかもポリ袋になりました。
       テレビ情報ですが
      マイバックによる食中毒やマイバックに汁が漏れたときを考慮して今も袋無料の吉野や

      そりゃあそうだ!吉野やは頭良い。

      • コメントありがとうございます。

        投稿した後で気になったのは、”頭隠して尻隠さずの典型”としたことです。

        こうした場合に使うべき慣用句ではなかったようです。

        欠陥がある、とかアンバランスだ、とかすればよかったかなと・・(^^;) ハイ。

        • >頭隠して尻隠さずの典型
          一つのことを変えたせいで予想外の悪影響が出る、という意図だと想像しますので、
          角を矯めて牛を殺す?
          一文惜しみの百失い?
          馬を得て鞭を失う?
          木を見て森を見ず?
          差し押さえを現金化して国交を損じる?
          民主化を侵害して国際的信用を失う?
          というあたりでしょうか。(だんだん私情が入ってきている)

  • 学術会議、野党、マスゴミ、並べてしまって良い物か迷いますが、何時までやるつもりなんでしょうね。
    菅総理大臣の、皆んながおかしいと思うことを、是正すること方が、すっきりした話ですよね。
    勝ち目が、ある訳無い事が、分からないんでしょうね。

    • もり、かけ、さくらがほぼ終わったので、今度はがくじゅつ・・と。
      実に情けない話ですね。

      • 匿名MK様
        >もり、かけ、さくらがほぼ終わったので、今度はがくじゅつ
        私がパヨクではなく真面目な左翼であったなら、こんな非生産的なことではなく、NATO化まで言及されたQUADの方に噛みつくんですが…はっ!さてはこれらの小ネタはマスコミの眼を逸らすレッド・へリング?自民党、恐るべし!

    • だんな様
      溺れる者は藁をも掴む、って感じでしょうか。
      野党もマスゴミも、いつも与党を掴んだり引っ張ったり出来るものを探してますからね。

  • 実際のところ、マイバック運動はペットボトルのキャップや缶のプルトップと一緒で「エコ精神を養う為」という精神論での御名似以(当て字)だと思います。

    経済的合理性に欠けた人達は、10円安い食品を求めて10円以上のガソリン代を使ったりもする訳ですし。

    精神論で勝利するところ、戦前の日本や今の韓国と一緒だなぁ…と思います。

    • クロワッサン様
      >「エコ精神を養う為」という精神論での(以下略)

      その点にはずっと違和感を感じていました。
      割りばし、ペットボトルの蓋、レジ袋…ひいては太陽光発電、電気自動車に至るまで、「エコ」という魔法の言葉を(私も含めて)人々は無批判に肯定しているのではないか、という気がします。

      たとえば割りばし。たいていの割りばしは間伐材が原料で、そのままなら捨てられるものを利用しています。割りばしを使わないなら再利用箸を使うことになりますが、当然そのためには洗わなくてはいけません。上水の消費、洗剤入り汚水の環境負荷を勘定に入れても「エコ」なのでしょうか?

      たとえば太陽光発電。10年程度昔になりますが、一度計算してみたことがあります。太陽光パネル・整流器・制御設備・保安施設、それらの生産による環境負荷、そして設置により得られる電力とそれにより相殺される発電による環境負荷。うろ覚えですが、30年以上設備を継続使用しないと割に合わないという結果でした。そしてその当時、発電効率をその期間継続できる保証はなく、更に台風その他による不測の損傷及び修繕を勘定に入れると、環境負荷としてマイナスという結果だったと思います。コスト面でも、まったくペイしませんでした。

      そしてレジ袋。英国のEnvironmentAgency(環境庁)の2011年の試算によると、各袋の製造による環境負荷を考えるならば、レジ袋1回使い捨てと同等以上のエコ効果を得るならば、紙袋なら3回、不織布エコバッグなら11回、コットンバッグなら131回再使用しなくてはならないという事です。131回も使って洗わないことはないでしょうから、箸の再利用と同じく環境負荷を考えると、実際はさらに多数の使用が必要になります。

      このあたりの是々非々の論議もなく、ただ「エコ」という言葉に踊らされている「意識高い系」の人間が多いように思えて仕方ないのです。

      エコバッグは大衆的存在であるがために、人々の眼を「エコ」なるものに懐疑的な目を向けさせるという点において、「雉も鳴かずば撃たれまい」だけでなく「虎の尾を踏んだ」ことになる気がします。全ての「エコ」が善でもなく、かと言って悪でもない、そういった議論の良い契機となれば、と考えます。

    • 元記事に
      > 学術会議が海外の学術会議と手を携えて行った提唱
      とあるように、おおもとは欧米リベラルのポリコレ棒振りかざしだと思います。

      捕鯨なんかが典型ですが、合理的判断なんかしませんし、思い込んだら人の話を聞く連中ではありませんし、議論になりません。

      そんなアホ達が世界中で猛威を振るっているのは、二酸化炭素排出ビジネスで稼ぎたい勢力が裏で支援しているからだろうと疑っています。

  • 推薦理由の件は、維新の足立議員が質問してますね。それに対する返答は推薦理由は政府に出していない、とのことでした。履歴書も出さずに雇わないとは何事だ、と言っているに等しいですね、学術会議も野党もマスゴミも。

  • 毎日新聞から
    <ご意見募集>与党に対抗するために野党は何をすればよい?
    https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20201007/pol/00m/010/003000c
    馬鹿じゃないのと思いますが、コメントも出来ます。
    左派コメントは、マイナス評価多し。
    この前の立憲党首のネット投票でも、学習しないマスゴミ。
    どうせ正論をコメントしても、野党の政策に反映されないのは、分かっています。
    可能性が有るのは、消費税減税だけかな。

    • 自民党本部前で、全員でガソリンを被って着火すると効きますよ。ここだけの話。

      自民党には
      「あんなのは単なる人間バーベキューよ」
      と言い放つ非人道的な人はいないのでw

  • 更新ありがとうございます。
    レジ袋の件は、「木を見て森を見ず」ですね。
    視界の狭い偉い学者らしい思考と言って良いかも。

    騒げば騒ぐ程自分の首が絞まる、暴れれば暴れる程蟻地獄に落ちる。

  • 更新ありがとうございます。

    レジ袋有料化・省資源化を提言したのは日本学術会議だと大西隆元会長は言われてますが、2011年〜2018年の会長任期時には、もうレジ袋辞退キャンペーンはとっくに始まってましたよ。

    私は仕事柄、地方の市役所・国の出先機関を回る事が多かったのですが、既に2006年にはゴミの総量軽減化・焼却施設の延命化の為、「レジ袋辞退したら2円引き」「レジ袋を要望したら1枚5円」「顧客がレジ袋を辞退したら紙カードに1個ハンコを押し、ハンコが20個たまったら100円相当の商品と交換する」など、ゴミ処理場を共有する近隣都市同士或いは大手ドラッグストア、スーパー、チェーン店でいろんなアイデアが出てました。

    売り手もバカだと思います。マイバッグ推奨によって、その大きさ以上の買い物をお客様がしなくなったのです。

    規制前なら買い物量を気にせずアレコレ「次いで買い」してたのに、いまや買い物がマイバッグのキャパ越えたら、わざわざ3〜5円払わないといけない。

    結局、入るだけの適量しか買わなくなったのは、学術会議の提言を受け入れたからでしょうか?自ら良く考えず、偉い人の言う事に乗った為、売上げ(点数)が下がった。失礼ながら、やっぱり小売業の人達はお上に弱いのと、考えが浅いわ(笑)。

    コロナ禍や消費者の懐が淋しくなった以外に、こういうバカげた行動を全国一斉に取った為、消費が振るわないんだと思います。

    あ、包装台にあるロールのうっすい袋ですが、皆さん仰る通り、買い物客が大量に持ち帰る為、メーカーへの発注が増えてるそうです。余りに無くなるので、置く量を減らしている店もあると聞きました。クレーム言って来る人は僅かですから。そのタイミングで出す、と言う事でしょう。

    話変わりますが、加藤官房長官の説明と学術会議の発表では、随分食い違いがありますネ〜。人件費などを含む政府・社会などに対する提言…2.5億円、事務局人件費・事務費など…5.5億円、、、一体事務局の人件費は何人の雇用ですか?ひとり年間いくら?

    各国のアカデミーとの交流って、まさかアカデミックな学風な所ばかりじゃないでしょうネ!(笑)

  • > プラスチックの利用を大幅に削減しようというキャンペーンが、レジバッグ有料化やマイバッグ携帯につながった

    大幅に 削減キャンペーン やるべきは レジ袋より 学術会議

    > 会議出席の際に旅費や手当は支給されるが、会長を含めて給料や年金とは無縁である

    飲み代も 高額の旅費も つけ回し 無給無年金 騙る泥棒

    研究費 少ない若手が あえぐ中 己の利権は 譲らぬ老害

    お気楽な 学術会議の お仕事は 税金しゃぶり 反日活動

    日本の 防衛妨げ 中共の 軍事研究 積極応援

    学問の 自由を守れと 言いながら 守っているのは 己の利権

    学問の 自由も国も 守るなら 今すぐ潰せ 学術会議

    • とある福岡市民さま

      ・ひと月で ゴミ出し袋が 尽き果てた 市販袋で 明日は代替
      ・レジ袋 どうせ買うなら 大サイズ 数は減っても カサは変わらず

      従来のレジ袋の代替と位置づけられてる「部分的生分解性プラスチック」でも、マイクロプラスチックの発生を助長しかねないと言われてるのですし、根本的には個々のモラルの在り方の問題なのだと思います。

      *有料化後、ひと月も過ぎるとレジ袋の所望が増えてきました。変わったのは、使用総量がわずかに減った(元々無くても構わなかったお客様の分)こと、店舗側の経費負担がわずかに軽減されたことくらいのような気がします。

      ・学ぶこと 問い続けるから 学術で モラル無くせば 楽術じゃん 
      m(_ _)m

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (なにしろ、朝日新聞と違って自分は間違う存在であると自覚しているので)
     朝日新聞としては、「朝日新聞には、総理の退陣を決める既得権益がある」のに、それを無視してきた安倍総理。その安倍総理が退陣したので、「安倍総理だけがたまたま、例外であった」だけであることを証明するために、菅義偉新総理の退陣工作を準備しだした、ということではないでしょうか。
     蛇足ですが、退陣直後の安倍内閣支持率は、跳ね上がりました。もし、これが上がらなければ、朝日新聞としては「表向きは健康問題で退陣したことになっているが、本当は不祥事で退陣したのだ」と、書いていたでしょう。
     駄文にて失礼しました。

  • R4の主張。
    問題は「なぜ6人だけ排除したのか」だと蓮舫氏
    http://economic.jp/?p=90553
    既に国民の問題意識と乖離しています。
    何故、学術会議が必要で、どう役に立っているかが、税金を使う根拠として必要だという問題だと、私は思います。

    • だんな 様へ
      R4の真意は「なぜ6人だけ排除したのか、どうせなら全員排除すべきだ」ではないかと。

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