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河井夫妻逮捕という「不祥事」なのに支持率が上昇の怪

本稿は小ネタです。以前の『毎日新聞調査で「内閣支持率27%」の衝撃と「狙い」』では、毎日新聞とその関連団体による調査で安倍政権に対する支持率が27%だったという衝撃的な結果が発表された、という話題を取り上げました。これについては土曜日、今月分の調査結果が出て来たのですが、「河井克行前法相と妻の案里参院議員が公職選挙法違反容疑で逮捕される」という衝撃的な事件があったにも関わらず、むしろ内閣支持率が上昇しているのです。

世論調査の不正疑惑

世論調査不正問題、むしろ焦点は「他社の対応」では?』では、「産経・FNN合同世論調査で、世論調査の外部委託先が不正を行っていた」とする話題を取り上げました。

産経・FNN側が不正を発見し、そのことを認めて謝罪したことについては、素直に「潔い」と思います。というのも、某新聞社のように、誤報(というよりも捏造報道)を行っておいて、それを何年も放置し、挙句の果てに謝罪記事については「ノーインデックス」タグで隠蔽するような新聞社もあるからです。

あるいは、『共同通信「中国批判声明に日本が参加拒否」報道とは?』などでもとりあげたとおり、誤報、捏造報道、虚報などを行っても、かたくなに訂正や謝罪を拒否するメディアも存在します。

たしかに世論調査の結果を操作するのは「ケシカラン」話ですが、産経・FNNよりもはるかに悪質なメディアがやまほど存在しているという事実を踏まえるならば、むしろ他社こそ「襟を正せ」と言いたい気持ちでいっぱいです。

(※ちなみに当ウェブサイトでメディア虚報問題を扱うと、決まってドコモの端末から匿名でマスメディアに対し擁護的な書き込みをする人物がいらっしゃいますが、この方はもしかするとマスメディアの関係者なのでしょうか?)

メディアの虚報体質をどう見るか

さて、「メディア全体の虚報疑惑」については最近、さらに状況は悪化してきた気がします。最近も当ウェブサイトで相次いで取り上げてきたとおり、大手新聞社、大手通信社に関して、虚報、捏造報道、印象操作ではないかと思しき事例が目につくからです

2020/06/04 14:00 『茂木外相「習近平氏訪日日程、具体的調整段階にない」

6月3日のBSフジ『プライムニュース』に出演した茂木敏充外相が「習近平氏の訪日については具体的な日程調整段階にない」と断言したにも関わらず、毎日新聞が「茂木氏はG20後に習近平氏の訪日を調整中」と明らかな虚偽報道をした

2020/06/06 05:00 『「誤った社説」を利用して作成した対韓輸出管理Q&A

日本政府が昨年7月1日に講じた対韓輸出管理厳格化・適正化措置を巡り、東京新聞が社説で、輸出管理体制などの背景説明などをいっさい無視したうえで、「日本の対韓輸出『規制』」という誤った用語を用いた

2020/06/08 05:00 『共同通信「中国批判声明に日本が参加拒否」報道とは?

共同通信が「香港国家安全法制定に対し、米英などが対中非難共同声明を発信しようとしたが、日本政府がこれに対する参加を拒否した」と報道したが、自民党議員などが即時、この共同通信の記事に反論。なお、安倍総理はむしろ後日、「日本がG7対中共同声明を主導したい」と国会で発言した(『「日本主導でG7対中声明」は共同通信虚報のおかげ?』参照)

…。

これらの話題、改めて振り返ってみると、ほぼ毎週のように大手メディアによる印象操作報道、誤報、捏造報道のようなものが出て来ていることが確認できます。

やはり、産経・FNNの「事件」は、個社の問題というよりは、メディア業界の「体質」の問題ではないかとの疑念を持たざるを得ないのです。

おかしいぞ、その支持率は本当か?

さて、『毎日新聞調査で「内閣支持率27%」の衝撃と「狙い」』では、毎日新聞とその関連団体による調査で安倍政権に対する支持率が27%だったという衝撃的な結果が発表された、という話題を取り上げました。

この毎日新聞(というか、その関連団体)の調査結果は、他メディアによる調査と比べ、かなり支持率が低めに出ているように見受けられます。

図表 2020年5月~6月分 世論調査
メディアと調査日 支持率(前回比) 不支持率(前回比)
共同通信(5/8~10) 41.7%(+1.3) 43.0%(±0)
読売新聞(5/8~10) 42.0%(±0) 48.0%(+1.0)
日経・テレ東(5/8~10) 49.0%(+1.0) 42.0%(±0)
産経・FNN(5/9~10) 44.1%(+5.1) 41.9%(▲2.4)
朝日新聞(5/16~17) 33.0%(▲8.0) 47.0%(+6.0)
朝日新聞(5/23~24) 29.0%(▲4.0) 52.0%(+5.0)
共同通信(5/29~31) 39.4%(▲2.3) 45.5%(+2.5)
時事通信(郵送)(5/21~1) 38.1%(▲1.2) 61.3%(+22.5)
産経・FNN(5/30~31) 36.4%(▲7.7) 52.5%(+10.6)
日経・テレ東(6/5~7) 38.0%(▲11.0) 51.0%(+9.0)
読売新聞(6/5~7) 40.0%(▲2.0) 50.0%(+2.0)

(【出所】各メディア報道をもとに著者作成)

余談ですが、図表中、「虚偽データが含まれていた」とされる産経・FNNによる合同調査結果については、冷静に眺めてみると、とくに5月30~31日実施分については、他メディアの調査と比べても内閣支持率は低めに出ています(※余談ですが、データ捏造の結果、「どちら向き」に支持率が動いたのかは気になります)。

しかし、毎日による調査結果は、その産経・FNN合同調査よりも、さらに支持率が低いのです。ここに少し違和感を抱きます。そして、この違和感に拍車をかけるような記事が出てきました。

毎日新聞世論調査 河井夫妻逮捕 首相責任「重い」59% 内閣支持36%、不支持56%

毎日新聞と社会調査研究センターは20日、全国世論調査を実施した。<<…続きを読む>>
―――2020年6月21日付 毎日新聞東京朝刊より

毎日新聞と社会調査研究センターが20日に実施した全国世論調査によると、内閣支持率は36%で、前回(27%)と比べてじつに9%ポイントも支持率が改善した格好です。

記事タイトルにもあるとおり、河井克行前法相と妻の案里参院議員が公職選挙法違反容疑で逮捕されるという「事件」があったにもかかわらず、なぜ政権支持率は上昇したのでしょうか。

あくまでも独り言ですが、「前回ちょっとやり過ぎて、今回はちょっと修正した」のだとしたら、支持率はこんな動きを見せるのかもしれませんね。

「埼玉大学社会調査研究センター」の方のウェブサイトにある『センター紹介』のページの末尾にある『センター長挨拶』というコラムで、同センターが報道6社(※)が実施した支持率・不支持率の単純平均をトップに掲載している理由について、

報道機関の世論調査結果が最も客観的な世論の指標であることを社会に再認識してほしいという、ささやかなメッセージを込めている

などと記載されているようですが…。

新宿会計士:

View Comments (22)

  • 最後のセンター長挨拶は、新宿会計士さんもご不満の事と思います。
    「ウリは正義ニダ」的な印象を持ちますね。

  • 近々の出来事と調査結果の相関性に矛盾を見たら、「こんなデータ役に立たない」とバイアスの無い人が見たら喝破されてしまいます。
    実データ(サンプリング自体がかなら怪しいですけど)にどれだけ願望バイアスを掛けていたのかが気になります。

  • いつ見ても腹立たしいのは、国民の信託を受けているわけでもない社内の一部の人間が、身の丈以上の権力を使って世の中を変えてしまおうという考え方です。また、こんな連中がネットワークを張り巡らしていることと、具体的に誰なのか?どんなやり取りをしているのか絶対に表に出てこないことですね。某政党のトップ連中など捨て駒のように、人権デモに出てきたり、演説している姿を見ると、ある意味怖くなります。

  • 産経・FNNの世論調査の件、DappiさんのTwitterで「調査委託先のアダムスコミュニケーションの下請先「日本テレネット」の代表取締役会長が辻本氏/福山氏/前原氏等の野党政治家に寄付をしている」という話がありました。

    https://twitter.com/dappi2019/status/1273903855265124352

    だからと言って、日本テレネットが意図的に不正をした(社員に不正を指示した)と断言できるものではなく、野党政治家への寄付と今回の不正との関連性について何ら裏付け情報を持っていませんが、もしかして・・・?!と考えてしまいますね。

    今回のことを通じて、如何なる会社が実施した世論調査だろうとも、その結果はほとんど役に立たない(信用できない)という結論に至りました。

  • マスコミとか外務省(や大使館)が、日本の内なる敵のような行動をとるのかといえば、自らの身の安全を確保を優先するからではないかと考えてしまう。

    国民としては、それらには、外国に対して言うべきことは言ってもらう役割があるのでは、と期待してるのですが、コイツら、肝心な時に外国側に加勢する。

    では、それらの中にいる人で使命感に燃えて、国民の盾になったとしても、相手国から情報提供拒否、国外退去、と仕事がしにくくなるだけなく、身柄拘束、不当な栽培など、身の危険まである。

    なので、コイツらが国益に叶う行動をとってもらうには、安心して活動出来る環境を提供することがまずは大切かと思います。

    自分に出来ることは、マスコミや役人が勇気ある行動をとったときには、強力に支持してあげること、くらいから始めたい。他にあるかな?

    • 雪国の会計士様

      外務省(や大使館)は愛想笑いに徹していただいて、
      情報操作とか、秘密工作に徹した機関を設置すべきでは…。

      それはそれで、管理は難しくなるのでしょうが。

      • 成功できなかった新薬開発経験者 様

        >情報操作とか、秘密工作に徹した機関を設置すべきでは…。

        そのくらいしないと、外交になりませんね。
        でも、ホントは握手しながら、刀ちらつかせるくらいのしたたかさを外務省には持って欲しいのですが。

  • 以前にもマスメディアの在り方について、コメントさしあげたのですが、日本のメディアは一律に報道の自由について主張しますが、その責任を取ったことが無い。『ペンは剣よりも強し』とか、ご自分達でも標榜されておりますのに、そのペンが他者を傷付けても、責任を取ったことが無い。

    私たちは、運転免許を取って、車を運転するにあたって、法規を遵守し、事故の責任を義務付けられます。この当たり前なことが、何故、報道には無いのでしょう。報道とは、その責任に対する法整備もためらわれる聖域なのでしょうか?

    これでは、彼ら報道関係者が特権意識をもったとして、むべなるかなと思います。

    まあ、ごまめの歯ぎしりかもしれませんが、庶民のテイコーとしては、読まない、聞かない、信じないを行っております。

    蛇足になりますが、アメリカの某大統領によって、「王様(報道)は、裸(フェイク)だ。」と声があげられました。この流れが世界的なものになれば、外圧頼みは恥ずかしゅうございますが、日本社会も変わるやもしれません。

  • 「報道機関の世論調査結果が最も客観的な世論の指標であることを社会に再認識してほしいという、ささやかなメッセージを込めている」

    これはむしろ、日本国内においてマスコミが放つ客観性の限界
    という方向での皮肉を書いているのかなと思ったのですが

    やっぱり本心で書いているのでしょうか?

    • 私には「それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?」のレベルに見えます。

      真面目に読んだとしても、

      > 社会に再認識してほしい

      というのは、世間から客観性がないと見なされている自覚があるという事でしょう。

      報道機関各社によって、調査方法、調査対象が異なる調査結果を平均することに意味があるとも思われません。本来なら各社の調査結果を、質問内容と共に「併記」して比較できるようにしておくのが客観的態度でしょう。平気でマジェマジェしてしまう時点で信頼に値しません。

    • そう思わないとやってられない立場だと思います。
      でも、電話で人気投票をやってしまったのは、やりすぎですね。

      • 阿野煮鱒さん
        WindKnight.jpさん

        ありがとうございます。
        本当におっしゃるとおりで、客観とするにはあまりに情報が足りなすぎですし
        開き直った上で、報道機関という権威の回復の手伝いをする事が目的なんでしょう。
        「正しい事をしている」という自己暗示も多分に含め・・・

        もうそうとしか見えなくなりました(苦笑)

    • マスコミ関係者のその手の発言はすべて本気とみて間違いありません
      自らの業界に対する皮肉や自虐ではない

      • adさん

        ありがとうございます。
        今のマスコミに関する風当たりは不当、とも思ってそうですね。

  •  独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
    (私は毎日新聞と違って、間違う存在であると自覚しているので)

     毎日新聞に詳しい方にお尋ねします。なぜ、毎日新聞は(産経新聞の
    世論調査不正が出た)この時期に、世論調査の結果を発表したのでしょ
    うか。毎日新聞だろうと、産経新聞だろうと、世論調査の方法に大きな
    違いがない以上、その発表に疑念が持たれることは分かり切っていたは
    ずです。
     もし、他の業界で不正が発覚したのなら、「似たような手法をとって
    いるので、他の企業でも不正がなかったか、確認することが必要だ」と
    言い出すはずです。

     駄文にて失礼しました。

  • 内閣支持率27%に急落 黒川氏「懲戒免職にすべきだ」52% 毎日新聞世論調査
    https://mainichi.jp/articles/20200523/k00/00m/010/178000c

    >調査は、携帯電話で回答画面にアクセスしてもらう方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせて実施。携帯505件・固定514件の計1019件の回答を得た。

    >携帯は50代以下、固定は60代以上の回答割合が多めになる傾向があるが、合算することで年代バランスがとれる仕組みになっている。方式別に分けても内閣支持率は携帯27%・固定26%、不支持率は携帯66%・固定61%と大きな傾向の違いはなかった。

    携帯電話での反響アクセス方式だと、異論を持つ人たちからの回答が得られやすく(そうでなければ無関心だから)世論の実態は反映されないと思います。
    *****

    本稿の図表を見て思ったのですが・・。

    支持率と不支持率の合計を比較すると、明らかに【朝日新聞の世論調査結果だけが少ない】ように感じます。

    意図的に「どちらかといえば支持」の回答を「どちらとも言えない」と取り違えてるのか、恣意的な聞き取りの結果「どちらとも言えない」に【誘導】してるのかは定かではないのですが・・。

    *なにかヤッテルようにしか思えないんですよね。キノセイ?

    • アンケートなんてネガティブな話題を振っておいて
      最後に支持を聞けば引っ張られるからね。

  • いつもお世話になっております。
    そもそも、マスコミ等の電話等による世論調査で
    出て来た数字自体信じて良いものなのでしょうか?
     質問項目を紙面に記載せず、ただ何%上下したとして
    何の意味があるのでしょうか?
     後日、調査母体及び調査したデータの再チェックが
    出来ないデータなんてあまり意味が無いとおもうのですが?
     まさか、毎日新聞が調査する時、毎日新聞購読者に他新聞の
    購読者データを紛れ込ませてるデータなんじゃないかと
    思う事が度々あります。

    • ≫質問項目を紙面に記載せず
      そういえばそうですね。
      何故記載しないのでしょう。
      ニュースでは数字だけが一人歩きしてますね。

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