韓国政府は日本の「輸出『規制』」を巡って、世界貿易機関(WTO)に提訴する手続を再開するようです。日本はそもそも「輸出『規制』」など行っていないのですが、今回の対日提訴再開も、韓国側でウソをつきすぎたためか、にっちもさっちもいかなくなった結果に思えてなりません。しかし、日韓GSOMIA破棄や入国制限措置の延長などのカードはさすがに切らなかった点に韓国政府の苦しさが見て取れます。なお、個人的には、「対話中にいきなりWTO提訴を再開する」という今回の韓国政府の行動を根拠として、日本政府にはむしろ韓国を「グループC」以下に格下げする理由ができてしまったのではないかとも思っています。
2020/06/02 14:50 追記
当初公表版に誤植がいくつかあったので修正しております。
輸出「規制」の撤回求める韓国政府の支離滅裂さ
当ウェブサイトでは何度も取り上げて来たのですが、日本の対韓輸出管理適正化措置を巡っては、以前の『また出た!韓国「日本は速やかに輸出規制を撤廃せよ」』などでも触れたとおり、韓国政府はだいたい次のような主張を繰り返しています。
- ①韓国は日本の「輸出『規制』」ではまったく困っていない。
- ②韓国は今後脱日本化を進める。
- ③日本は速やかに「輸出『規制』」を撤回すべきだ。
もし韓国が日本の「輸出『規制』」で困っていないのならば、「輸出『規制』」撤回を求めるというのも意味がわからない反応ですし、「脱日本化を進める」と言いたいのならば、わざわざそう宣言せずに、粛々と進めれば良いだけの話でしょう。
ただ、韓国がしつこく日本の「輸出『規制』」撤回を求める理由については、『鈴置論考が解く、韓国が「輸出規制撤回」を求める理由』でも述べたとおり、韓国が最近になって、妙な先進国意識を持つようになり、日本が韓国に対して何らかの報復をしてくるのが許せない、という気持ちにあるのではないでしょうか。
もちろん、日本は韓国に対し、いっさい「輸出『規制』」など行っていませんし、それどころか自称元徴用工問題等に対しては、経済制裁どころか、いまだに有効な反撃を加えていない状態にあります。
そもそも日本政府が輸出管理適正化措置を講じた理由は、(あくまでも当ウェブサイトなりの見立てによれば)「それをやらなければ日本自身が欧米諸国から輸出管理を厳格化されかねないから」ではないでしょうか(『セルフ経済制裁?本日午後2時に韓国政府が重大発表か』等参照)。
WTO提訴再開でお茶を濁した韓国政府
こうしたなか、韓国政府は本日、日本に対するWTOの提訴手続を再開すると決めたようです。
政府、日本の輸出規制措置WTO紛争解決手続の再開【※韓国語】
韓国政府は日本の対韓国輸出規制関連、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きを再開することにした<<…続きを読む>>
―――2020-06-02 14:00付 聯合ニュース日本語版より
内容については先ほどの『【速報】韓国、対日WTO提訴再開』でも簡単に触れたのですが、韓国政府・産業通商資源部の羅承植(ら・しょうしょく)貿易投資室長は2日、次のように述べたのだそうです。
- 日本政府は問題解決の意思を見せておらず、懸案解決のための議論は進展が見られない
- WTO紛争解決手続の停止条件だった通常の対話が進行しているとは言い難い
- WTO紛争解決手続を通じて日本の輸出制限措置の不当性・違法性を客観的に証明する
…。
何だか不思議な反応ですね。
韓国政府はこれまでしつこいほど、日本の輸出管理の厳格化措置を「輸出『規制』」あるいは「輸出『制限』」などと呼んできたのですが、国民に対してもウソの説明を続けたためでしょうか、結局、にっちもさっちもいかないところに追い込まれてしまった格好だ、という言い方もできます。
ただ、個人的には韓国政府がもっと厳格な対抗措置(たとえば日韓GSOMIAの再破棄、対日入国制限の固定化など)に踏み出してくるのではないかと予想していたので、正直、「WTO提訴でお茶を濁した」点には、少しがっかり(?)している次第です。
韓国が勝つにせよ負けるにせよ、WTO提訴手続にはかなりの時間が必要ですし、また、WTOの上級審は現在、事実上機能していない状況にあります。このため、WTO提訴をしたからといって、ただちに何か状況が変わるというものでもないでしょう。
すなわち、文在寅(ぶん・ざいいん)政権は適度に日本に対してファイティングポーズを取ったまま退任するつもりなのかもしれませんね。
グループCへの引き下げの契機になり得る?
ただし、日本としては、今回の韓国政府の態度を見て、輸出管理上の措置をもう少し厳格化する理由が出来てしまったと言っても良いかもしれません。
リンク先の『聯合ニュース』の記事を読んでも感じたのですが、そもそも日本政府が韓国を輸出管理上の「グループA」から「グループB」に落とした理由のひとつが、韓国がまともに政策対話に応じないことにあったはずです。
昨年12月に政策対話が3年半ぶりに再会したことは事実ですが、対話が中断している間に、日本政府の韓国政府に対する信頼は損なわれているわけですし、また、日本が輸出した品目の横流し、目的外使用などが行われていないという保証もないでしょう。
このように考えるならば、今回の韓国政府による日本に対するファイティングポーズをもって、日本政府は韓国の輸出管理上の位置付けを、さらに引き下げるかもしれません(もっとも、グループCでも、中国や台湾、多くの東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国などと同等ですが…)。
当たり前の話ですが、政策対話を拒否していきなりWTOに提訴してくるような国を信頼しろという方が難しいのであり、そのような行動に出るという事実自体が、韓国が物資の横流し、目的外使用などを行っているのではないかとの疑いを高める行為でもあるからです。
日本政府の次の一手には注目したいところです。
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今回の韓国側のWTO提訴の言い分は、「今の状況はWTOでの紛争解決手続きを停止する条件だった『正常な対話の進行』とは見なし難いと判断した」と理由を説明した。のようです。
韓国側の談話としては、「日本が悪いニダ」が弱いと思います。
ここは、日本側のカウンターパートである経産省に、「韓国側の一方的なWTO提訴により、信頼関係が大きく損なわれた」位は、言って欲しいところですね。
韓国流に言うと、上から劣等性の指摘をして、「相手が悪いニダ」のポジションを先に取ることが、重要だと思います。
後は、二国間協議は課長級に格下げして、局長級の対話を開催しない意思を示した方が良いと思います。
>後は、二国間協議は課長級に格下げして、局長級の対話を開催しない意思を示した方が良いと思います。
対話も、時間もったいないですよね。どうせまともに聞かないんだし。
メールかはがきでどうぞって感じです。
課長補佐代理心得級がいいと思います。
それ、課長とは書いてあるけど、実は係長w
マジレスすると、
課長級は行政職7級以上となります。ここからは管理職。
課長補佐級は5級6級。課長の代理で決裁するので実務の決定は大体このあたり。
心得は適当な課長補佐級がいない時に4級の係長級が押し付けられます。
…それって実務担当者レベルと言っているようなものかと。(それより下かも)
わぉ〜
りょうちん様
課長補佐代理心得…
私も考えました。
……課長補佐代理心得見習級
対話を中止にしてグループの格下げを行ったら、脊椎反応で何が出てくるか興味があります。
だんな様
り地域には、特別枠を新設してあげましょう。
その名は「レッド国」
アチラにふさわしい名称「レッド国」待遇でいかがでしょうか?
れ地域ですね。
韓国はWTOに提訴し有利に進めるために、日本は不誠実な態度を取っており話し合いでは解決できない、という客観的な証拠が欲しかったんでしょう
その為に期限を一方的に切った
徴用工の問題で日本が韓国にしたやり方も真似してると思いますが
最初からWTO提訴有りきだったと思います
匿名 様
>韓国はWTOに提訴し有利に進めるために、日本は不誠実な態度を取っており話し合いでは解決できない、という客観的な証拠が欲しかったんでしょう。
小生はそこまで文在寅大統領とその仲間達は賢くないと思います。
今、彼らが考えていることは伊美香国会議員の問題が飛び火し、政府の支持率を落とすことです。国民の目をそこからそらすためにも、「日本がー」をする必要があります。
現に年初はあれだけ騒いでいたGSOMIAの話しは全く切り出さなくなりました。とにかく何でも良いから、国民の目を日本に向けさせて、有耶無耶になるのを待つ作戦(得意技)だと思います。
国民は既にGSOMIA破棄の通達に関しては忘れています。WTO提訴も実施するかどうか怪しいと小生は睨んでいます。
小生の予想では、もう少しすれば李容洙自称元慰安婦は消えると見ています。現に日本軍将校との「霊魂結婚式」なる変な記事が報道されました。彼女が消えるころには国民はWTOや伊美香国会議員の問題はほぼ忘れ去られているでしょう。つい最近まで騒いでいた曹国元法務部長官の話しが、現在は殆ど聞かれなくなったように。
韓国人風に言えば「国民は犬豚」ですから。
駄文にて失礼します。
韓国在住日本人さま
WTO提訴の目的を「犬豚への目眩し」と考えるのが、正解なんでしょうね。
実際には提訴せずに、日本と協議を続ける可能性も有ると。
消される話は、楽しみにしています。
シンシアリーさんのブログで、挺対協の代表の話題が消えるので、韓国政府としては成功だとありました
アレっと思って日付を確認すると、
・自称慰安婦の方が挺対協を批判したのが5/7
・韓国で輸出管理撤回の期限を要求したのが5/12
結果を見ると、不祥事を上書きするために、かなり良いタイミングでしたね。
狙って当たるもんなのかは知らんけど
なるほど。
挺対協のおばはんが議員になる日あたりを締め切りに設定したんですな。
悪知恵が働くもんだ
韓国在住日本人 様
お鼻の調子、その後如何ですか。
私は数年間にわたって蓄膿症、副鼻腔炎に悩まされました。(現在は通院しておりません。)
どうぞくれぐれもご自愛ください。
それにしても、韓国人のハチャメチャ思考はまったくもってどうしようもないですね。
良く言えばある種のナルシシズム、悪く言えば民族特有の精神的病(やまい)。
そんな感じで捉えています。
更新ありがとうございます。
WTOに提訴しましたか。何もしない方がお利口なのに(笑)。WTO提訴手続には時間が必要ですし、また、WTOの上級審は現在、定員10人のところ、1人しか居ないそうですよ。期限が済んだ人の補充を、誰かさんが「コイツは気に入らんッ」「コイツもダメだッ」と反対しているのでしょうか(笑)。
日本の対応としては、話し合い中にいきなりWTO提訴という禁じ手を選んだし、世界の常識が通じない。なら個人的には韓国はDグループ、同胞の北朝鮮と同レベルにするのがなかなか良手と思います。
そうもいかないでしょうから、Cグループにオトスか(笑)。台湾、中国、ASEANと同じなら好待遇です。
昨年の12月、3年半ぶりに第7回日韓輸出管理政策対話が再開され3月には第8回が開催されたのですが、一体何を話し合ったのでしょうね。
身の程知らずは相変わらずですが、WTOが機能していないことも織り込み済みの国内向けポーズといったところでしょうな。
グループCに格下げするというのは良いアイデアですね。
普通の国なら何がおかしいかと考えるところなのでしょうが、南朝鮮は考えることが出来ないというか
我々が正しいのだから日本が間違ってると言ったところでしょうか。
自らの世界から見たポジションを再確認させるためには良い手だと思います。
>自らの世界から見たポジションを再確認
そんなこと彼らに出来る訳もありません。
「グループC」に格下げとか、呼応したような動きは止めた方がいいと思います。
とにかく、丁寧な無視を続けるべきだと。
勿論、Bに止めおくことが出来ない明確な理由があれば別ですが。
あくまで事務的に粛々と動くべき。
>そんなこと彼らに出来る訳もありません。
おっしゃるとおりですが、私的には犬に躾をする感覚ですね。
火病するでしょうがその方が断交に向けての一歩が踏み出せるような気がします。
そのとおり。韓国はアメリカが飼ってる駄犬。飼い主との関係上、無視や虐待はできないがこちらに危害を加えることがあれば痛みを与える躾をすることは許されている(馬鹿イヌなので)。
中国がそうするように毅然として躊躇せずボコってやらないと力関係を理解せず舐められたまま。
🇰🇷韓国側の奥の手は、安倍下ろし、石破上げだと思います。
マスゴミや在日系など総動員しての宣伝戦が展開されているようですが...。
匿名MK様
韓国在住日本人様のコメントと合わせ、韓国政府側は、国内も宣伝工作で何とかなるから日本でもやってやれ、という感じなのかと思いました。
中国・韓国とも、対日広告宣伝の予算が計上されているのは事実のようですから、間違いないでしょうね。
横からすみません。
>>中国・韓国とも、対日広告宣伝の予算が計上
とのことですが、これって明示的なのでしょうかね。
日本で、対中・対韓広告宣伝費計上、などとなったら大騒ぎ。
それこそ、両国が激しい宣伝戦を仕掛けてくることでしょうね。
それに、件のマスゴミや左翼政党などが同調といった具合かと。
韓国がアメリカに対して中国包囲網への参加を誓約しなければ、近々、「シンゾー、台湾をBに格上げ、韓国をCに格下げしたらどうだ。何ならDでもいいぞ。シンゾーに任せる」とトランプから指示が来るのでは。
同じデフォルト常習国、アルゼンチンのグループA未満なのが気にいらないのか?
輸出管理政策対話がまた途絶えたら、あるいは人員も減らしたりしたらCグループでいいのでは。
お似合いなのはDグループでしょう。まあ徐々にで良い。
反日教育を行っていて、しかも約束を守れない国、基本冷遇で良い。
もったいぶらずに全部盛りで行ってみよう!
再び「GSOMIA終了」カード手にする韓国…「日本の輸出規制議論に従って慎重に検討」
https://news.yahoo.co.jp/articles/b48d99621e42c32c82f8cc1969458cd07443fdd2
外交部のキム・インチョル報道官は2日の定例会見で、「GSOMIA終了を再び検討する考えか」との質問に、「昨年11月22日の発表でGSOMIAの効力をいつでも終了させることができるという前提の下に韓国が協定終了通知の効力を停止した状況。輸出規制措置撤回議論の動向に従って(GSOMIA終了も)慎重に検討する予定」と明らかにした。
うーん。半島国家政策を考える際、外せないのが米中です。半島国家とは、もともと、意思の疎通が図れませんから、相手にすることができません。大戦前ならともかく、最近では半島国家政策を考える際、米中の力関係抜きではできません。
その米中関係、コロナを経て、香港問題で火が付きました。中国はまさに捨て身の態勢ですが、対するアメリカの覚悟が見えません。国内に蔓延らせてしまった中共工作員にやりたいように暴動を煽られています。そういう意味ですでにホットウォーは始まっています。これは、アメリカ国民(日本国民もですが、特に沖縄に生息するプロの市民活動家)が中国共産党工作にあまりにも無知だからと思います。
加えて、中国はアメリカの農産品輸入に対する合意を破棄して来ました。来たる9月のアメリカ大統領選挙でトランプ大統領の票田である農家票を奪うためです。ここで、アメリカが矛を収めても、中国は勢いに乗るだけです。引き下がれません。でも、頼みのアメリカ国民はいいように中国共産党工作してやられています。あら、ごめんなさい。アメリカのこの危機はあらゆる意味で他人事ではありませんので熱くなってしまいました。
話を戻して、韓国ですが、アメリカがこの危機を乗り越えることができるのであれば、韓国に対しては、日本は従来通り「丁寧な無視」と「速やかなる離韓」路線でよろしいかと存じます。
逆であっても、中国や半島国家に阿って生き残ることは選択肢にありません。日本という国体の消滅ですから。
ただ、米中戦争が不完全燃焼で終わったら、例えば休戦し、トランプ大統領の代わりにバイデン大統領になったとしたら、ちょっと私ごときでは分からない半島政策、対中政策が必要となると思いますの。