すでに他サイト等でも取り上げられているとおり、田中復興相が18日、記者会見で福島県の食材等を巡り、科学的根拠を挙げたうえで、韓国に対し「そっちの国よりきれい」と強烈なカウンターパンチを浴びせたそうです。思い起こしてみれば、日韓関係とは日本が韓国に一方的に配慮する歴史だったのですが、科学的根拠を無視してジャパン・ディスカウントを続ける韓国に対しては、なかなかよい反撃だったのではないでしょうか。
目次
田中復興相「そっちの国よりきれい」
一部の他サイト等でも取り上げられていますが、田中和徳復興担当大臣が18日の記者会見で、福島県の食材を巡り韓国を念頭に「そっちの国よりきれい」と発言したそうです。
復興庁のウェブサイトをチェックしたところ、本稿執筆時点で2月18日の記者会見の模様はまだ掲載されていないため(※アクセスするタイミングによってはすでに掲載されているかもしれませんが)、ここでは情報源として、韓国メディア『中央日報』(日本語版)のものを紹介しましょう。
「福島食材、そっちの国よりきれい」…日本復興相、「輸入規制」韓国批判(2020.02.19 06:32付 中央日報日本語版より)
中央日報によれば、田中復興相の発言は次のようなものです。
- 日本は世界中でもっとも厳しい基準をクリアしているものを流通させている
- 福島の食材は日本の中でも問題はない低い数値だ。韓国の数値も把握している
- そっちの国よりよっぽど安全だし、きれいだ
これは、韓国が「日本の食品は放射能汚染されている」などとやたら強調することに対する、強烈な反撃です(もっとも、田中復興相は「放射能」あるいは「放射線量」などの言葉を使っているわけではなさそうですが…)。
ひと昔前だと、日本の閣僚がこんな発言をすれば、韓国政府が大騒ぎし、謝罪と賠償を求めて来たでしょうし、藤尾元文部相(※1)や永野元法務相(※2)のように、辞任または罷免を余儀なくされたかもしれません。
- (※1)1986年9月に藤尾正行文部相(当時)による「日韓併合は韓国側にも責任がある」という発言で中曽根康弘首相(当時)に罷免された問題
- (※2)1994年4月に永野茂門法部相(当時)による「南京大虐殺はでっち上げだと思う」という発言で辞任した問題
しかし、現在のところ、田中復興相の発言に対し、「失言だ」という批判が出ているという話は見当たりませんし、当然、「失言の責任を取って辞任すべきだ」という批判も出ている様子はありません。
科学的知見を無視して日本を批判する韓国
というよりも、田中復興相の発言はむしろ、科学的な知見に基づいた、まっとうなものです。
中央日報からの引用で恐縮ですが、田中復興相は会見で、日本政府は2012年10月以降、放射性物質であるセシウムの濃度基準を1キログラムあたり100ベクレルに強化したと述べたそうですが、これは韓国(370ベクレル)、米国(1200ベクレル)、EU(1250ベクレル)と比べ、厳格です。
もちろん、世の中には「安全より安心」を求めるという人もいて、1ベクレルでも放射性物質が含まれていたら絶対に口にしたくないという人がいることは事実でしょう。
しかし、現代社会は科学を基礎として成り立っており、科学的知見に基づかずに「放射性物質怖い、怖い」と連呼すること自体科学の否定であり、究極的には現代社会の否定ともいえるのではないでしょうか?(ね、某大先生?)
逆に言えば、韓国はこうした科学的根拠を無視して日本を批判しているということでもあります。
というよりも、韓国政府が2013年9月に突如として8県の水産物の輸入を禁止した理由は、時期的に考えて、明らかに東京五輪の妨害にあると考えてよいでしょう(『コロナウィルス騒動を利用した韓国による東京五輪潰し』)。
日本の食品を「汚染されている」などと大騒ぎしていること自体、科学的根拠に基づいているわけではないだけでなく、きわめて「よこしまな」目的が含まれていると見るのも、自然な話でしょう。
「原発汚染水」という言葉に悪意が満ちている
もし韓国側で、政府や有力政治家、あるいはそれに類する人物が「日本を貶めることに価値を見出す」という共通認識を持っているのであれば、「日本=汚染」というイメージを全世界に広めるために、食品だけでなく、あらゆるものを持ち出すことは想像に難くありません。
その具体例でしょうか、同じ『中央日報』(日本語版)に昨日、こんな記事も出ていました。
李在明韓国京畿道知事「日本の原発汚染水放出、必ず阻止しなければ」(2020.02.18 20:05付 中央日報日本語版より)
中央日報によると、韓国・京畿道の李在明(り・ざいめい)知事は18日、自身のフェイスブックに次のような書き込みをしたそうです。
- 日本政府が120万トンに達する福島原発汚染水を海に放出することに決めたという。国際法を尊重し常識的な判断が可能な国で下した結論だとは信じられない
- 日本政府は人類に元に戻すことはできない罪を犯すことになる原発汚染水放出決定をただちに撤回すべき。非正常的、非常識、非合理的行為は必ずしかるべき審判を受けるだろう
…。
そもそも論として、日本が海洋放出しようとしている水は「汚染水」ではありません。「処理水」です。
2011年3月に事故を発生させた福島第一原発では、現在、汚染水を処理した水(つまり処理水)が貯蔵タンクに貯め込まれており、処理水を湛えたタンクは増え続けています。そして、この処理水には除去し切れないトリチウムが含まれてしまっていることは事実です。
資源エネルギー庁によると、この汚染水は原子炉の内部に残っている「燃料デブリ」(溶けて固まった燃料)を冷却し続ける必要があるために発生しているものですが、「多核種除去設備(ALPS)」と呼ばれるプロセスにより、この汚染水からは62種類の放射性物質が除去されます。
安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策①「ALPS処理水」とは何?「基準を超えている」のは本当?(資源エネルギー庁HPより)
ただし、ALPSでも取り除けないのがトリチウムですが、次の資源エネルギー庁の説明によれば、これはもともと自然界にも存在する、水素の「放射性同位体」であり、自然界では年間7京ベクレル相当のトリチウムが生成されています。
安全・安心を第一に取り組む、福島の“汚染水”対策②「トリチウム」とはいったい何?(資源エネルギー庁HPより)
そもそも水素原子の同位体には、「二重水素(または重水素)」と呼ばれている物質と、「三重水素」と呼ばれている物質があります(本当は「四重水素」だの、「五重水素」だのといった物質もあるのですが、本稿では割愛します)。
このうち「三重水素」は非常に不安定で、ベータ崩壊(「中性子」が「陽子」に変化するプロセス)を起こす際に放射線(ベータ線)を発生させる物質であり、「半減期」(放射性同位体の半数が放射線崩壊を発生させる期間)は約12年とされています。
いずれにせよ、トリチウムが含まれた処理水を自然界に放出したとして、それによって地球環境が著しく悪化するというものではありません。
韓国自身がトリチウムを海洋放出しているじゃないか!
李在明氏のフェイスブックへの書き込みは、こうした科学的知見を一切無視しているものであり、韓国の公職の立場にある人間がこのようなことを書くこと自体、日韓関係に悪影響を与えようとしている行為そのものであり、厳しく糾弾されるべきでしょう。
ただ、ブーメランという言葉がこれほど似合う国も珍しいと思います。なぜなら、韓国自身も含めた諸外国では、原子力発電所ないし再処理施設から発生しているトリチウム水を自然界に放出しているからです(下記リンク参照)。
平成28年度発電用原子炉等利用環境調査(トリチウム水の処分技術等に関する調査研究)報告書(2017年3月付 経済産業省HPより)
少なくとも現在の科学的知見に基づけば、トリチウム水は濃度を薄めたうえで海洋などに放出する処理が基本であり、実際、リンク先によれば、英国(P4)、フランス(P13)、カナダ(P23)、韓国(P29)、米国(P37)などにおいて、トリチウム水の自然界への放出が行われています。
そういえば、昨年の『処理水巡る韓国の対日風評攻撃、目的は「五輪潰し」?』では、韓国メディア『中央日報』(日本語版)の『韓国政府、国際会議で福島汚染水問題を公論化する』という記事を紹介しました。
これは、日本政府がトリチウム水の海洋放出を検討していることを受け、韓国政府がそれを阻止するために、国際社会に対する世論戦に出る、という話題です。
自分たちの国がトリチウム水の海洋放出をしておきながら、日本がトリチウム水の海洋放出をしようとしたとたんに国際社会で「ウソツキ・告げ口外交」に走るとは、ウソツキ国家の真骨頂であり、ダブルスタンダードそのものです。
おそらく韓国政府の狙いは「東京五輪潰し」と「ディスカウントジャパン」、あるいは「日本ヘイト」でしょう。ここから垣間見えるのは、「日本の名声を貶めることさえできれば、科学的知見などどうでもよい」、といった極めてご都合主義的な姿勢です。
コロナウィルス騒動も利用する!?
さて、一部メディアによると、韓国では日本に渡航した経歴のある人を対象に、診療制限を行う病院も出て来たようです。ここでは『日テレニュース24』に掲載された、次の記事を紹介しておきましょう。
韓国 “日本など渡航” で診療制限の病院も(2020/02/18 21:32付 『日テレニュース24』より)
『日テレニュース24』によると、韓国では一部の病院で、「2週間以内に日本などの地域に渡航した人の診療を制限する病院が出ている」として、日本大使館が在留邦人向けにメールを出したそうです。
日テレによれば、こうした診療制限がなされているのはまだ一部の病院だけだそうですが、それにしても『ウィルス騒動で久々に見た「韓国の壮大なブーメラン」』などでも報告したとおり、自分の国のことを棚に上げて、よく日本を「汚染国」扱いできたものだと思います。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
いずれにせよ、科学的根拠に基づかずに日本を貶めようとしている相手に対しては、やはり、科学的根拠に基づき冷静な情報発信に努めるとともに、「貴国の主張には科学的根拠がない」と反論していく動きが必要です。
これまでの日本政府(たとえば外務省など)は、近隣国への配慮のためでしょうか、中国、韓国、北朝鮮などの不当な言い掛かりに沈黙で返してきたという側面もあるのですが、こうした相手国に配慮した沈黙が、結果として中朝韓との関係を改善するのにまったく寄与しなかったことを思い起こすべきでしょう。
その意味で、田中復興相の今回の発言については全面的に支持したいと思う次第です。
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「貴国が放出している汚染水の方が汚染度が高い」とでも言ってやれば良い。
韓国の放出するトリチウム水は良いトリチウム水
日本の放出するトリチウム水は悪いトリチウム水
・・・彼らの頭の中では、こんな事考えているんでしょうね。
更新、ありがとうございます。
そもそも、「トリチウム=三重水素」「トリチウムが入った処理水=自然界にもあるただの水」と言うことすら、理解できていない方が多いように思います。
(恥ずかしながら、私もトリチウムという物質があると、かなり長い間勘違いしていました)
COVIT19に関してもそうですが、「専門家が当たり前と思って説明を省くこと」で、誤解する人が増えるんだろうなぁ、と言うことを最近思っています。
(もっとも、本来は政府がそんなことまでする必要無くて、情報を発信する側が、調べたりかみ砕いたりして、誤解が無いように発信するべきだとは思うのですが・・・)
茶筒様
今回の事態を政治面から見ると各国が何を優先しているかが分かります。
台湾は非常体制に入っており、必要物資の優先生産や国民への啓蒙に努めています。そしてマスコミを使って盛んに広報します。政府がしっかり対応している姿を国民に見せ付けています。
加えて(あくまで予想ですが)感染者数の操作を行っていると思われます。隠蔽しているのか検査拒否しているのかは分かりません。しかし感染者数22人と周辺国に比べると小さな値です。国民はこの幻想を見て「安心」し、政府を支持します。
中国も病院を作ったりと広報に余念がありません。
各国政府はこの事態を唯の疫病ではなく政争と捉えています。失敗すれば権力の座を失うからです。そのためなら手段を選ばないでしょう。
翻って日本では単に疫病対策を行っているにすぎません。日本には政争がありません。どんな失敗をしようと自民党が政権を追われる事態にはなりません。日本は「安全」のみを対象にしています。「安心」の発信は明らかに足りていません。分かる人にはそれで問題無いのですが。
韓国が抜けていました...
韓国の基準は日本より上か下かだけです。日本を良ければ国民へのアピールはOKで「安心」です。
感染者数は増えていますが、日本を超えない限り大きな問題になりません。犠牲者数は1人出てしまえば日本と並んでしまうので何としても隠蔽しようとするでしょう。
ただ「安全」よりも「安心」を優先したツケは後々払う事になるでしょう。隠せるはずが無いのですから。
直近の騒動も含めて思いましたのが
感情を優先する人と
科学的根拠を優先する人とが
互いに支え合えないものか。
世界にメッセージ配信するならどちらが欠けても駄目な気がします。
人に理解してもらうには科学的根拠が必要、理解してもらった上で動いてもらうには感情にも訴えないといけないと思います。
100田って風評被害ばら撒いてるだけじゃん?放射能放射能言うてる連中と何が違うの?
>感情を優先する人と
>科学的根拠を優先する人とが
>互いに支え合えないものか。
この考え方はとても大事と思います。危機的状況では特に、各自が自分にできることを主体的に行うことが必要です。
しかし実現は難しい。なぜなら、感情は人それぞれなので対応が多岐にわたりすぎることと、感情を優先する人は自分の理解を深める責任を他者に求め依存する傾向があるからです。専門家は自分が納得するまで無料で解説して当然と思っているかのように。
此処を閲覧させていただいていると、科学的根拠を優先する専門家である常連さんは、感情を優先する常連さんや一見さんに対して専門用語を避けながら客観的で定量的な根拠を示すことでごまかしのない解説を行って支えようと一生懸命がんばっておられます。しかし感情を優先する人は聞く耳を持たず解説者の善意も想像せず感謝しない。
専門家は素人への終わりのない説明に手間と時間と労力を割くよりは、専門分野に専念してほしいと個人的には思います。
2者の間を埋める立場として、例えば日本未来科学館に「科学コミュニケーター」という方々がおられます。科学コミュニケーターの方々に継続的に活躍していただくにはコストがかかります。
理解の努力を放棄する人は、自分でこのコストを負担していただきたい。
774RR様
自分のコメントは抽象的すぎたかと思っていましたので、補足的な回答ありがとうございます。
こいつらは感情を優先するから科学的に説明しても無駄だとはなから決め付けないようにしたいですね。
もちろん、聞く側も理解する努力が必要です。
新型コロナウィルスの感染拡大もブーメラン。
日本を貶めることに躍起だが、、、
韓国、新型肺炎患者1日で15人増加
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.02.19 10:28
https://japanese.joins.com/JArticle/262762
韓経:中国に次ぐ最多感染者…「日本、10万人超える大流行の可能性」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.02.19 07:49 The Korea Economic Daily
https://japanese.joins.com/JArticle/262743
(抜粋)産経新聞の黒田勝弘ソウル駐在客員論説委員は18日、「あらゆる災難は人災である」と題したコラムで、韓国政府と民間が感染拡大予防に全力投球したのを日本は見習うべきだと書いた。
(抜粋)新型コロナウイルスの感染が拡大中だが、日本政府は東京オリンピック(五輪)を予定通り開催する方針だ。
だそうです。。。
マイナンバーさま
昔からだとは思いますが、最近黒田さんは、韓国びいきです。
だんな様
年代ではっきりと分かれますね。
70代以上の世代では軍事政権時代に滞在経験があり、親韓の傾向を示しています。あくまで親保守派ですが。
苦言を言いつつも心の底には韓国への愛情が感じられます。
黒田勝弘氏、武藤正敏氏、豊田有恒氏など。
その下の世代になると民主化された反日国家がメインのため、見方が非常にドライです。
鈴置高史氏、西岡力氏、室谷克実氏など。
本文でも書かれているように、トリチウム自体は自然界でも転がっている物なので、濃度が自然界と同等レベルになってしまえば何の問題もありません。
ちなみに、トリチウムはクリーンだと言われている核融合(D-T反応)の燃料の一つでもあります。
科学的知見に基づかない安心は、百害あって一理なしですね。
韓国の排出するトリチウムは、良いトリチウムニダ。
は、さておいて、田中復興相の発言は、支持すべき内容だと思います。
問題は朝日新聞の方ですね。
科学的根拠(=事実)と関係無い、韓国のディスカウントジャパンが、続いていますし、今後もより一層悪化することが想定されます。
個別日本政府だけで無く、民間も韓国の主張が、事実無根な点を、拡散すべきです。
私のざっくりとした感想ですが、そもそも放射能もウィルスも、人が自由に行き来ができる、便利な暮らしが享受できるようになった代償ですよね。人間の力ではどうにもならないこともあります。こういったリスクというのは生活者として心のどこかで踏まえておかないといけないだろうなと思います。ある種、達観、割り切りが必要です。
「安心」を言い出したら収拾がつかなくなります。絶対安心なんてことは世の中にありえないからですね。それを為政者にのみ求めるのも違うかなと思います。一定の定められた「安全基準」のもと予防して暮らしていくしかないですよね。そして発表された客観的な数値は信じることが精神衛生上ベターだと思っています。
怖いのはウィルスの症状よりも、いたずらに言葉尻を捉えたり、想像を膨らませて恐怖や疑心を煽ったり、人の対応をむやみに責めること。自分も慎みたいです。
オブさま
私もそう思います。
良い事ばかりでは有りません。
現代に生きるリスクです。
金正恩から貰ったマツタケは、放射能検査したんでしょうかね?
日本産海産物の1000000000000000000000000000倍くらいは危ないと思うのですが・・・まあ、どうでも良いけどね。
五輪のときに韓国が持ち込んでくる食料も全量検査して、基準値超えしたものは「汚染がひどいため輸入できません」って全世界にアナウンスしてあげれば良いのではないでしょうかね。
放射性物質以外にも大腸菌だの寄生虫だので引っかかりそうではありますが。
羽毛田髭様
別にイヤガラセまがいのことをしなくたって,豚コレラだのアフリカ豚コレラ汚染国の韓国から,豚肉を持ち込むなんてこと,できないんじゃないでしょうかね.