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韓国憲法裁の慰安婦合意訴訟棄却は「譲歩」にあらず(追記:タイトルと本文に誤りあり)

韓国で2015年12月28日の『日韓慰安婦合意』を巡り、自称元慰安婦らが「憲法違反」と認定するように求めていた訴訟で、本日、同国の憲法裁判所は「違憲性を判断する対象ではない」として棄却した、という報道が入って来ました。ただ、韓国の憲法裁の判断を「良識の証拠だ」と見ることはできません。なぜなら、そもそも論として、慰安婦問題自体が韓国側(と一部の反日的日本人ら)による捏造に基づく誣告(ぶこく)犯罪のようなものであるのにくわえ、韓国政府が今年7月までに、いわゆる「慰安婦財団」を一方的に解散してしまったという問題の後始末が付けられていないからです。

2019/12/29 22:45 追記

記事のタイトルや本文に「棄却」とありますが、報道によれば、正しくは「却下」ではないか、とのご指摘を頂きました。ご指摘どおり、当ウェブサイトのミスと思われます。この点につき、読者の皆様におわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。本文やタイトルの「棄却」は「却下」と読み替えてくださいますと幸いです。

日韓慰安婦合意から、もうすぐ4年

2015年12月28日、安倍政権は韓国の当時の朴槿恵(ぼく・きんけい)政権との間で、いわゆる「日韓慰安婦合意」なるものを締結しました。当時のことはいまでもよく覚えているのですが、正直、「怒りで身が震える」という経験をしたのは、このときが初めてでした。

【参考】いわゆる「日韓慰安婦合意」(2015年12月28日)のポイント
  • ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
  • ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
  • ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
  • ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。

(【出所】外務省HP『日韓外相会談』より著者作成)

ちなみに、この合意は、岸田文雄外相(当時)が尹炳世(いん・へいせい)韓国外交部長官とのあいだで口頭で成立させたものであり、合意「文書」は作られていませんが、口頭であっても約束は約束であり、守られねばなりません。

慰安婦合意とは、何だったのか

ただ、当時、なぜ安倍政権がこんな理不尽な合意を韓国側と結んだのかを巡っては、個人的にはずいぶんと悩んだものですし、これが「良かった」のか、「悪かった」のかについて、総合的にどう判断すれば良いのかについては現在でも考えあぐねています。

とりあえず、当時建てた仮設は、次の3つです。

  • (A)首相官邸に親韓派などの裏切り者がいるため
  • (B)安倍総理なりの深い考え方があってやったことである
  • (C)米国などからの強い圧力があったため

あれから4年経過した現在になってみれば、このような慰安婦合意が結ばれた理由は、(B)と(C)の折衷的なものと考えて良いと思います。というのも、この「慰安婦合意」自体、どういう効果をもたらしたのかを考えてみれば、そのように判断せざるを得ないのです。

ものごとには良い面、悪い面があるものですが、あらためてこの日韓慰安婦合意についての個人的な評価を示しておくと、次のとおりだからです。

良い面
  • 「最終的かつ不可逆的」という文言が入ったことで、少なくとも韓国が後日、蒸し返したときに、合意違反をした側が韓国であるということが明らかになる。
  • 日韓間の当面の懸案がなくなることで、停滞していたさまざまな協力(たとえば日米韓3ヵ国連携など)について、韓国側に文句が言えない状況が生じた。
悪い面
  • 上記①に「当時の軍の関与の下に」、とする文言が入ったため、あたかも日本軍が慰安婦の強制連行に関与したことを日本政府が認めたかのような誤解を全世界に与えた。
  • 日本政府が政府予算から支出した10億円は、客観的に見れば、日本自身がありもしない戦争犯罪を認めたうえで、これに対して賠償金を払ったのと同じである。

このうち、とくに「良い面(?)」としては、この慰安婦合意によって朴槿恵政権下での日韓軍事協力が進み、2016年11月23日に『秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定』(俗に日韓GSOMIA)の署名に漕ぎ着けたことがあります。

また、あくまでも結果論かもしれませんが、日米韓3ヵ国連携を機能させるうえで、米国の日本に対する印象が非常に良くなったことも事実です。少なくとも米国から見て、日韓のどちらがより信頼に値する国であるかについては、議論を待たないでしょう。

一方で「悪い面」については、慰安婦問題があたかも事実であるかの誤解を全世界に与えたことですが、この点については今後、安倍政権としては、自身が傷つけた日本人の名誉と尊厳を回復する行動を取ることを強く期待したいところです。

いずれにせよ、日韓慰安婦合意とは、もともとは米国(とくに当時の副大統領だったジョー・バイデン)の強い圧力が背景にあったとはいえ、安倍総理なりに熟考して決断したものであると考えるのが、いちばん実態に近いような気がするのです(※その「熟考」が良かったのかどうかは別として)。

慰安婦合意は「毒まんじゅう」なのか?

ところで、この慰安婦合意には、もうひとつ、「意外な効果」もありました。

それは、韓国で朴槿恵政権が倒れ、文在寅(ぶん・ざいいん)政権が成立したあとで、文在寅政権が慰安婦合意を事実上、ひっくり返してしまったことが、却って日本が韓国に対し「道徳的優位(?)」に立てる材料となったことです(『今これをやるか!? 慰安婦財団解散の衝撃』参照)。

実際、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に先日、こんな記事も掲載されていました。

岸田氏、「韓国、何を約束しても再びひっくり返る可能性ある」(2019.12.19 10:56付 中央日報日本語版より)

この記事は、日韓慰安婦合意の当時は外相として慰安婦合意を成立させた岸田文雄氏(現・自民党政調会長)が18日の夜、TBSの番組に出演し、

  • 文在寅政権が当時の合意に反する対応を取っている
  • 慰安婦問題における財団を勝手に解散した国が、(徴用工問題で)今度新たな財団を作るという提案をする。どこまで説得力があるんだろうな
  • 今後、何を約束してもひっくり返る可能性が出てきてしまう

などと述べた、というものです。

国民の多数の反対を押し切って、あそこまで無理な約束を韓国側としてきてしまった責任者である岸田氏に、そんなことを言う資格はないとは思いますが、それと同時に、あの岸田氏の口からも「韓国とは何を約束してもひっくり返る」と言わしめている点は、注目に値します。

なぜなら、この発言自体、あの温厚な岸田氏が韓国との間では下手な約束を結ぶべきではないと認識するにいたったという証拠だからであり、その意味からすれば、慰安婦合意とは結局、安倍政権が韓国に喰らわせた「毒まんじゅう」のようなものだったという言い方もできるからです。

(※ここで「毒まんじゅう」とは、わざと相手が約束を破ることを前提に約束を結び、相手がその約束を破ったときに、相手に「毒」が回る仕組み、という意味です。)

もっとも、安倍総理が「毒まんじゅう」を「狙っていた」のかどうかはわかりませんし、万が一これが「毒まんじゅう」だったとして、それが十分に「毒」として作用しているといえるかは微妙ですが…。

韓国憲法裁が請求を棄却

さて、なぜこんな話を持ち出したのかといえば、本日、インターネット上でこんな記事が話題になっているからです。

「韓日慰安婦合意、違憲性判断の対象でない」 韓国憲法裁が訴え却下(2019.12.27 15:33付 聯合ニュース日本語版より)

これは、韓国の憲法裁が本日、自称元慰安婦らが求めていた「日韓慰安婦合意の違憲性判断」を巡り、「違憲性判断の対象ではない」として却下した、という記事です。

聯合ニュースによると、自称元慰安婦らは2015年12月当時、朴槿恵政権が慰安婦問題を巡り、日本政府との間で「最終的かつ不可逆的に解決する」と合意したことが、自称元慰安婦らの被害者としての「基本権」を侵害しているとして訴えたものだとか。

具体的には、

合意過程で慰安婦被害者らの意見が排除されたうえ、合意の条件として韓国政府が二度と慰安婦問題を提起しないとの内容が含まれたこと

が「不公正な合意」とされた、というものです。

本来であれば論評にすら値しない訴訟ですが、それでも万が一、韓国の裁判所が違憲性を認めていたとしたら、日韓請求権協定に違反する昨年の3つの大法院判決に続き、もうひとつ、韓国の司法府による国際法違反の実績が積み上がるところでした。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もっとも、今回のこの判決をもって、「日韓関係改善に向けた歩み寄り」とみなすのには、少々の無理があります。

日韓間の争いにおいては、得てして「ゼロ対100」で韓国側が悪いという局面でも、韓国側がこれを、あわよくば「50対50」、下手すると「100対ゼロ」に持って行こうとします。これを日本から見れば、「勝ってゼロ、引き分けでマイナス50、負けてマイナス100」、ということです。

つまり、今回の韓国憲法裁の判断は、「当たり前」すぎる話であり、譲歩でも何でもありません。日本が得たものはゼロだからです。

いずれにせよ、今回の判決によって韓国政府が日韓合意を破っているという状況が解消されたわけではありませんし、韓国が合意破りをしていることに対する制裁も加えられていません。

日本政府としては引き続き、韓国に対しては「日韓合意を履行しろ」と言い続けるべきですし、韓国が合意を守らないことに対して有効な制裁を加えていないという事実が消えるものでもないのです。

新宿会計士:

View Comments (31)

  • 朝日新聞社からの自己批判記事は出ないのでしょうか。それとも寝言をいつものように書くのでしょうか。

  • 「慰安婦合意」なんてものは、そもそも国家間の約束として存在しないニダ。
    さらに遡って、「日韓基本条約」も「日韓請求権協定」なんてものも、国家間の約束として存在しないニダ。

    だったら、アンタんとこをホワイト国扱いしてたなんてことも、ナシ! でいいよね。

  • 今回も醜悪な売春婦どもが勝訴して日韓関係が収拾不能までに悪化し破滅するという淡い期待?を抱いておりましたが、テキもサルものひっかく者で、するりと逃げられてしまいました。
    ただ日本にまったく利が無かったのでも無くて韓国とはいかなる交渉、約束、条約を結んでも全く無意味であることを全世界に知らしめることができたことです。また文在寅が任命した裁判所が国家の外交権まで掌握しているという、三権分立など無視した「文在寅による三権掌握」の実態が明らかになったことも大きなインパクトになりました。
    今後は「教えない、助けない、関わらない」という対韓三原則を確立して、さっさと断韓してほしいものです。

  • 更新ありがとうございます。

    韓国憲法裁判所のヘタレ。潮目見たな(笑)。こんな事では日本として納得や溜飲を下げることはありません。むしろ当たり前過ぎる話で、裁判所が受け付け無ければ良い件です。

    あの時(15年12月)私も驚きました。「慰安婦」を日本の帝国軍人が関わった事、と言ったのですから。
    女衒や斡旋人達は朝鮮人、日本人他にも居たが、日本軍人の指揮下にいた訳ではない。それと文書で手交しなかった事も悔やまれます。

    ただ、何をしても約束破るというのが再確認出来、世界に広められたのが良かった点です。米国は完全に日本方へ付きましたし。

  • そもそもこの憲法裁の判断こそが日本がとやかく言うことのできない性質のものだと思いますね。
    韓国政府が行った2015年合意が韓国憲法という韓国国内法に合致するかという、、、

    それこそ韓国憲法なんて知らない我々外国人にとっては「知らんがな…」の世界

    ただ、彼らはこれで譲歩した気になるでしょうけどね。せっかくメッセージ送ったのに無視したとか言い出しますよ。

  • 安倍首相にとっても、日本政府の責任を認める「慰安婦合意」は、政治家として苦渋の選択だったはず。(その点を与野党でつかれることがなかったのは不思議だったけど)
    したがって、もっとも普通に考えられる合意理由は、C米国の圧力でしょう。

    ①北朝鮮の挑発行為が頻発化する状況下、米国に「日韓GSOMIA」締結を迫られていた。
    ②中国との板挟みを恐れたパククネ前大統領は、慰安婦問題の未解決を前面に、逃げ続けていた。
    ③その結果、業を煮やした米国から、米国立会いの下「慰安婦合意」締結を強く求められた。

    というステップです。韓国のユン外相も嫌々な感じでしたものね。
    あれから4年ですか。慰安婦財団は解散してしまうし、GSOMIAは本来の目的を外れて変な交渉材料にされてしまうし、隔世の感がありますね。

  • 訴訟内容・判決内容ともに話にならない茶番なので慰安婦合意について。

    慰安婦合意については、当時から会計士さんの仮説の中の「安倍政権が熟慮した毒まんじゅう」だと考えています。英霊の遺族の名誉尊厳が…という面はあるにせよ、外交、特に敵性国とのやりとりでは冷徹に利害を考えなければなりません。こうして対韓感情が悪化するニュースになっている事も含め、現在に至っても効果的であると思えます。
    当時のアメリカ左寄り紙による誇張報道も悲しいほど不発でしたし。合意以後の強硬的というよりは合理的な対韓姿勢・施策を考えれば、懸念の名誉や歴史観の面も安心して良いのではないでしょうか?
    世界遺産関連の不当要求や最近の貿易関連、個人的には一番ヤバイと思えるレーダー照射問題など、何一つ譲歩はしていませんしね。

  •  中央日報日本語版によれば、裁判で被告の韓国外交部は「慰安婦合意は法的効力を持つ条約ではなく外交的な合意にすぎず、『国家機関の公権力行使』とみることはできない」という理由で憲法訴訟の対象ではないと主張したそうです。
     また、判決で憲法裁判所は「慰安婦合意は手続きと形式、実質において被害者の権利が処分された、または韓国政府の外交的保護権が消滅したものとみることはできず、憲法訴願審判請求の対象にならない」と述べたそうで、政府の立場と意見を同じくしたものだと書かれています。
     ということは、仮に、日韓慰安婦合意が条約という形式で締結されていたならば、「憲法違反」という判決になった可能性もあるということですね。
     

  • 岸田氏の下りですが、別に擁護するつもりも更々ありませんが、詐欺にかかるのは、騙す方が悪い、でも、同じ詐欺に2回騙されるのは騙される方が悪い、と言う観点から言えば、もう2度と騙されないぞ、と言う、岸田さんの気概を汲むこともできます。

    いずれにしても、当たり前の判決で、日本が譲歩しないことを願います。

  • 慰安婦のおばあさんたちも、自称徴用工が韓国大法院で勝訴したので、自分達もおかわりをしようとしたのかしら?あなた方の政府が解散してしまった財団から、既にお金は受け取っているはずですよね。

    おばあさんたちが読んでるか分かりませんが、最近発行された「反日種族主義」でしたかのご本に、あなた方がの大半が公娼であったこと。徴用工ではなく募集工であったことが暴露されていますよ。

    文在寅政権もやっと、無際限に拡大している賠償の払い手が誰になるかに気付いたのかしら?もちろん、韓国政府ですよ。文喜相案のように賠償を韓国社会保障にまで無際限に拡げたのを見てやっと目が覚めたのじゃありません(笑)?

    ここで、ひとつ助け船。徴用工原告の身分?詐称で別判決を出すというのはいかがかしら?彼らは徴用工ではなく、募集工だったのですから。

    それでも、判決の日韓請求権協定違反には違いないし、差し押さえた日本企業の資産はどぉしょうという肝心な問題はクリアできませんが、少なくとも賠償を無際限に拡げることにはブレーキをかけられます。

    あの国の法律は好きなように書き換えられるようなので、日本に迷惑をかけないのであれば、お好きになさいませ。

    • 心配性のおばさん様
      韓国の集りの原因は、あの種属の国家設計の失敗を日本に肩代わりさせ様としている事だと考えます。🐧

      年金では河原で乞食生活、生活保護ではそれ以下。🐧

      そんな国を作ったのは「あの種属」です。🐧

      この集りネタが駄目になっても、いずれ人類では考えもしない様な「ネタ」を仕込んで、日本に社会保障を集ろとするでしょう。🐧

      関わらない事が大事です、いずれ「国家破綻」しようが「内乱」が起きようが、人類とは別の種属の共食いですから人類とは関係の無い事です。🐧

      ところで、このサイトを覗き見している朝鮮人と名乗る「種属」の皆様、何か反論はございますか?🐧

      • あら、いやだ。ハゲ親父様。うっかり、あの人たちに塩を送ってしまったようですわね。くわばらくわばら。

        こんなだから、日本人はつけこまれる。話はすこしズレますが、知人で長く香港に滞在していた人がいますが、彼曰く、「歩いている。誰と誰が日本人なのか、表情で、すぐわかる。」そうです。生きる緊張感がないってことかしら?

    • 元慰安婦さん方、支給は決定したものの受け取りは完了していなかったような。ちょっと前は手続き中の方と合意反対で支給拒否勢…とのことでしたが進展あったかな。

      国に政治利用されて引っ張り出されて、次は自称支援団体に政治利用されて振り回されている御婆さん方でもあるのですよね…
      前述の支給拒否も本人が理解していて自発的なのかはあやしい。問題が解決したら利権が消滅してしまう自称支援団体が受け取りを拒否「させている」可能性が。「国民感情」は無責任な他人なので応援は熱心ですが、実際に関与してる団体は利権にしか興味がなく元慰安婦の人権名誉に興味がないようですから。

      もちろんそんなことは日本側には何の関係もないので韓国内でどうにかしろ、ですが。
      そもそも1946年以降にクリスマスにヘリでMPの腕章つけたNIHON-HEIに連れ去られた自称慰安婦さんとかは知ったこっちゃありません…

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