X

「今こそ韓日関係改善が必要だ」の本当の意味を考える

個人的事情ではありますが、昨日は少し多忙だったこともあり、いくつかの興味深い話題を取り上げる時間がありませんでした。そこで、少し遅れてしまいましたが、当ウェブサイトとして、ぜひとも取り上げておきたい話題を紹介しておきます。それは、「韓国国内で『韓日関係改善が必要だ』という声が出てくるときは、韓国自身が深く困っている証拠だ」という意味での注意喚起です。

困ったときには日本に擦り寄る

最近になって韓国側から「韓日関係改善」を期待する報道が流れて来ています。

ただ、「得てして韓国側から『韓日関係改善』を言い出すときは、韓国が困っている証拠だ」とする当ウェブサイトなりの仮説については、今週の『日韓通貨スワップ待望論は韓国経済「危険水域」の証拠』でも報告したとおりです。

個人的には、自分たちで日韓関係をあそこまで破壊しておきながら、都合が悪くなったら「韓日交流は続けなければならない」だの、「今こそ韓日通貨スワップが必要だ」だのと言い出す神経が、どうにも理解できません。

ただ、ここで重要な事実は、私たちの隣国が、私たちの国・日本とは、文化も物事の考え方も何もかも、「根本的に異なっている」という点です。これは、「良い」「悪い」の話ではありません。

  • 韓国は、みずから日韓関係を積極的に破壊するような行動を取る。
  • 韓国は、都合が悪くなったら臆面もなく擦り寄って来る。

こうした事実をきちんと踏まえたうえで、「なぜ彼らがそのような行動を取るのか」、そして「私たち日本人は、これにどう対処すべきか」をきちんと議論し、国民的なコンセンサスを形成していくことが、何よりも重要なのだと思います。

韓経「外国人資金が39億ドル流出」

こうしたなか、昨日は取り上げきれなかった、最新の韓国経済に関する記事を、いくつかフォローアップしておきたいと思います。

まずは、韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日掲載された、こんな記事です。

韓経:尋常でない外国人資金流出…株式・債券39億ドル売り払う=韓国(2019.12.11 08:11付 中央日報日本語版より)

記事のタイトルに「韓経」とあり、また、記事末尾には『韓国経済新聞』のロゴマークが入っているため、おそらく配信したのは韓国経済新聞でしょう。

これによると、韓国銀行が10日に発表した『国際金融・外国為替市場動向』によれば、2019年11月における外国人の韓国株式・債券投資資金は39.6億ドルの純流出となったのだそうです(そういえば、『土曜日の「鈴置論考」と金融市場の急変の怖さ』で速報した話題とも、じつに整合していますね)。

要するに、外国人投資家が韓国の金融市場(株式市場、債券市場)から手を引いており、韓国の通貨・ウォンを売却して外貨に両替し、国外に引き上げている、という現象です。

韓経はまた、韓国ウォンの下落も進んでいると指摘。とくに10月末から今月6日までの期間で見れば、韓国ウォンは対ドルで2.2%下落。「世界の主要13通貨」のなかではブラジルレアル(3.0%下落)に次いで2番目に大きかったとしています。

もちろん、金融市場では、株価は上がったり下がったりするものです。とくに株価が大きく下落した局面では、往々にして「絶好の買い場」と見て投資資金が流入し、持ち直すこともありますので、一時的な株高・株安が永続すると思うべきではありません。

ただ、そのことを割引いても、株式、債券、為替という3つの指標が同時に売られるときは、得てしてその国自体が信頼されていないときでもあります。そして、韓国の株価と為替の相関を見ると、とくにリーマン・ショック前後、あるいは最近では、その関連が強まっていることも事実です(図表1)。

図表1 韓国の株価と為替の状況(2008年6月末~12月末)

(【出所】韓国銀行データ等を参考に著者作成)

図表2 韓国の株価と為替の状況(今年6月5日~12月6日)

(【出所】韓国銀行データ等を参考に著者作成)

※ただし、為替相場については上下反転しています。というのも、USDKRWは「コンチネンタルターム」(1ドルを基準にして表示する為替相場)であるため、値が大きくなればウォンの価値が落ちている(逆に値が小さくなればウォンの価値が上昇している)、という意味だからです。

いかがでしょうか。

リーマン・ブラザーズの経営破綻に端を発する金融危機の前後、あるいはこの半年間に関していえば、韓国では株価と為替相場がきれいな相関関係にあることが確認できるでしょう。ここから、

韓国の株価が上昇する局面では外国人の資金が入って来ていて、韓国の株価が下落する局面では外国人の資金が逃げて行っている

のではないか、という仮説が成り立つのです。

「韓日関係が厳しい」状態を作ったのは誰ですか?

こうしたなか、同じく中央日報に昨日掲載されたのが、この記事です。

韓国通商交渉本部長「韓日関係が一時的に厳しくても交流と協力は続けなければ」(2019.12.11 11:53付 中央日報日本語版より)

これは、兪明希(ゆ・めいき)韓国通商交渉本部長が11日、ソウル市内のホテルで開かれた「ソウルジャパンクラブ」の懇談会に出席し、日本に対して韓国への投資拡大を呼びかけた、とする話題です。兪本部長の発言を紹介しておきましょう。

  • 素材・部品、新産業、高級消費財など韓国の産業全般の競争力強化に寄与する投資を積極的に歓迎する。今後も持続的に拡大することを期待する
  • 韓日関係が一時的に厳しくても両国の交流と協力は揺らぐことなく続けなければならない。日系企業が両国の経済協力の架け橋の役割を継続してほしい

なかなか驚くべき発言ですね(笑)

昨年10月30日の韓国大法院(※最高裁に相当)による日本企業に対する自称元徴用工判決以降、韓国が日韓請求権協定という、非常に基本的な国際条約を破った状態が続いています。

まともな企業経営者であれば、今、この段階で韓国に対する投資を拡大するという判断は成り立ちません。なぜなら、韓国に投資したとしても、「反日無罪」とばかりに、ありもしない自称元徴用工問題をでっち上げられ、日本の在韓資産が凍結され、没収されるかもしれないからです。

「日韓関係が厳しくても両国の交流と協力は揺らいではならない」とする発言についても、これが日本政府(たとえば安倍総理)による発言ならばまだ理解できなくはないのですが、日韓関係を厳しくしている張本人である韓国の側が発言して良い、というものではありません。

常套手段を知るべき

ただし、何度も同じことを繰り返して恐縮ですが、当ウェブサイトとしては、「韓国のような厚かましい態度を改めさせるべき」だとは考えていません。日本にとって重要なのは、「日韓両国は似て非なる国である」という事実をきちんと踏まえたうえで、しっかりと自分の国益を守ることです。

思うに、日韓関係を不当に傷つけるような行為が韓国側から相次ぐ理由は、韓国という国(あるいは社会)自体が、「自分たちの足で立っていない」証拠です。というのも、何か不都合が生じている責任を、誰か他人に求めなければ、社会自体がうまく回っていかないからです。

たまたま韓国にとって都合が良いのが「反日」だったというだけの話に過ぎません(※余談ですが、この「反日」は、いつか「反米」に、大々的に化けるかもしれません)。

また、韓国がインチキ外交(ウソツキ外交、告げ口外交、瀬戸際外交、コウモリ外交)を展開する理由も、結局のところは彼らが強国に挟まれた弱小国家だからであり、それが彼らにとって生き延びる戦略だから(あるいは彼らがそう思っているから)です。これは「良い」「悪い」の話ではありません。

だからこそ、私たち日本の側としても、彼らの常套手段をきちんと研究し、彼らに不当な利得を与えないようにしなければなりません。

ただし、『いま話題の日韓関係、「数字」でじっくりと読んでみた』でも報告したとおり、幸いなことに、日本にとって韓国は経済的に見て「死活的に重要な国」ではありません。

近所に話が通じない人間が住んでいたら距離を置くのが通常の反応です。

理不尽な相手に対しては理不尽なりに対処すればよい。

それだけのことではないでしょうか。

新宿会計士:

View Comments (25)

  • 最近強く感じる事の多い、特定野党との類似性についてですが、
    彼等がマスコミに保護されながら自身の行いを顧みず声高に叫び、自身への反論は尽く封殺し続けるスタイルも、
    自分達の主義主張がマイノリティだとの自覚があり、そのような手法でないと聞いてもらえないと考えているのではないかと思うようになりました。
    同じような生存戦略として見れば合点がいくような気がします。

    • 罰則のある条例で、一方通行というか、非対称というのは異常過ぎだと思います。

      市の条例ですから、市外には及ばないと思うのですが、恐らく無理矢理拡大解釈するのでしょう。

      「○○人は死ね」とかいったヘイトスピーチが、川崎市外やインターネット上で行われた場合、川崎市内にも「〇〇人」が在住しているからといった理由や、インターネット上の情報に関しては、川崎市内からも閲覧できるとかいった理由で、無理矢理関付けようとしている感じがしますが、かなり無理っぽいのではないでしょうか?

      詳しい方の御解説を望む。

  • 更新ありがとうございます。

    「日韓両国は似て非なる国である」という事実。もう行き渡っていそうですが、世界中にはまだ分からない人が多い。東洋人を見て皆、ジャパニーズやらジャポネとか言うのは間違いです。

    顔カタチが似ているから、日本人は損をしている?かもしれないですね。でも、警察の派出所や公民館に貼られている「全国指名手配ポスター」「賞金付き」など、日本名で出したりしてるが、たいがい「こと」金昌日とか書いている。

    ハッキリ「在日」と赤字で書いときましょう!

    韓国はいろいろ大変だそうだが、ほとんど自分がやり始めた事。キッチリとオトシマエ付けて下さいネ?

  • 最近、韓国の性質を考えた時に、真っ先に頭に浮かぶ言葉は、「問題解決能力がない」です。

    韓国人が行動しても問題は解決されない。
    何故なら彼らは、問題は作り出すもので解決するものじゃなく、回避して放置するものだ、と考えてるから。
    散らかしたまま片づけない。

    彼らに対する正しい日本の態度は、見かねて片づけてあげることでも、片づけろと言うことでもなく、賢明な判断を期待すると言って静観することですね。

    米国と中国が片づけろと言ってますが、力に屈することはあっても、韓国は本音では散らかしたい。

    • 「問題解決能力」…
      問題解決には現実の「認識能力」とその「解析能力」、解決手段を導く「思考力」、実際に「解決手段」を打った時に何が起こるか予想する「想像力」。
      これらすべて合わせた能力が問題解決には必要ですが、それら部分として見ても、全て欠損している様に見えてしまうのです。

      かく言う私も、韓国在住日本人様ほどではないですが、かつてカノ国のエンジニア達と仕事したことがありまして、その時の懐いが今また思い出される次第でございます。

      • じゃん 様
        これまで韓国で仕事をした経験はありませんが、ここのコメント主様の話を読んでいると、隣国で仕事をすると皆似たような感想になるようですね。
        問題解決に必要な能力に一つ付け加えさせていただくとしたら、「解決しようとする意思」ですね。
        意思は能力じゃない、と言われるかもしれませんが、それがなければ始まらないわけで。
        どうも、問題からの逃走本能でもあるんじゃないかというのが、たった一年間間接的に隣国の行動を見て来た経験知(というと大げさですが)から思うことです。

  •  韓国の破城がいつ起こるのか、今のところ実際に住んでいる小生にも分かりません。逆に「灯台下暗し」で、住んでるが故に分からないのかも知れません。

     米朝関係がきな臭くなる中、ドイツ銀行の件もあり、来年は東京オリンピックと騒いでいる場合ではないのかも知れません。

     そんな中で、あまり話題に上らない記事を一つ。これは文在寅大統領とその仲間達の選挙公約に掲げた韓国の徳政令の話しです。

     内容は「韓国資産管理公社(KAMCO)」と「長期少額延滞者支援管理財団」が実際に支援した人々から手記を集い、その内容を審査・表彰したというものです。一部抜粋します。

     国民幸福基金(朴槿恵政権の時に設立)の範囲内での返済能力がない未約定者33.5万人に対し、取立てを中断し、連帯保証人25.1万人に対して、保証債務を免除するなど、計58.6万人に対する支援を完了しており、長期少額延滞者支援財団と共に、2018年2月から2019年2月末まで長期の少額延滞者11.7万人の制度支援申請を受けて償還能力審査を経て、債務免除、取立ての中止、債務調整などの方法で今年7月末まで5.6万人の再起を支援した。

     今回選定された40本の手記は11月の手記集で製作・配布され、多くの国民が長い時間の間、借金で苦痛を受けた金融脆弱階層の暮らしを理解し、長期少額延滞者支援制度のような政府の包容的な金融政策の意味を共感できるようにする計画だ。

     http://www.fntoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=206708

     58.6万人+11.7万人+5.6万人=75.9万人

     これだけの人が何らかの恩恵を受けていることになります。真面目に働いている人間や低賃金外国人労働者が知ると暴動が起こりそうな内容です。

     2019.10.08の記事で、このころは曹国問題やGSOMIAで揺れていた時ですから、韓国内でもほぼ話題になっていません。

     韓国人が怠惰になる理由が分かる気がします。

     駄文にて失礼します。

     
     

     

    • 韓国在住日本人さま
      徳政令が、包容的な経済政策だというのが、韓国らしいですね。元々モラルがないので、モラルの低下は関係ないか。

  • 日韓議員連盟のカワムラ氏によれば・・。我が国では誰もがバカにして相手にしていない韓国の国会議長案に首相補佐官の今井氏が理解をしめしているらしい。(別な言い方かもしれないが 噂レベルだよね。このカワムラって人はすべて韓国側の立場でものを言う人だから にわかには信用できない)

  • 〉韓経の「世界の主要13通貨」
    というくだり

    しれっと主要通貨と唄って
    ますが、ウォンがいつから
    そんな通貨になったのか?
    嘘や妄想を所々に入れてくるから
    油断できません
    彼等の言動は全て嘘と思って
    関わらないか、対応を考えないと
    いけません

    • 6大自動車強国とか10大宇宙強国とかとにかく自分の後ろで線を引くアレですね。
      ちなみに10番目に独自ロケットに成功したのは北朝鮮で韓国は10大宇宙強国に入らない11番目ですが、北朝鮮には宇宙強国に入らないから韓国が10大強国入りとか真面目に議論してて笑っちゃいました。

  • このスレが立ったのはイチニイ、イチニイ。
    つまり、12月12に日の12時12分。

    12というのは、キリスト教などでは吉数ではなかったかと思いますが・・???
    会計士様、意識されたのでしょうかね。

    関係のない、つまらない話でごめんなさい。

  • 本件とは直接関係しないのですが私が最近感じていることを書きたいと思います。私は慰安婦問題以降韓日関係に関心を持つ者です。思うに、文大統領の真の狙いは韓国が米朝戦争に巻き込まれて災禍を受ける事態を避けることにあると推測します。そう考えると今までの韓国の発言行動が矛盾無く説明できると思います。韓国は中国については、北朝鮮を抑え米韓同盟が揺らいでも韓国への侵攻を防ぐ役割を期待していると思います。だから中国の味方を演じるのだと思います。経済関係はその次でしょう。アメリカと北朝鮮には、上手くまとまらなくても対話し続けることを望んでいると思います。両国に嘘をついてでも。そして日本については、先の目的を実現するため、民族意識を高め、支持率を維持するため日本を利用していると思います。ただし、文大統領の誤算は、米中貿易摩擦と日本の予想外の反撃だったと思います。これらは韓国経済に多大な影響を与え、自らの支持率を低下させかねないからです。例えばGsomia延長問題で言うと、これは韓国、日本、アメリカ、中国、北朝鮮に関係しますが、韓国は、戦争を避けるため、中国、北朝鮮の意に沿うよう破棄を決定しました。その結果、日本に対する民族意識は高まり、支持率は維持されまた。しかし、未だ、中国との関係は親密になっていないので、アメリカから離れる訳にもいきません。もちろん経済的にもです。結果、延長せざるを得なくなったということだと思います。結局、韓国は2年前の米朝戦争の危機をみて、経済よりも日本との関係よりも米朝戦争を避けるという決断をしたと
    考えます。

    • あっちゃんさま
      余り無かった意見ですが、辻褄は合っていると思います。
      突っ込みどころは
      Gsomia延長問題で言うと、これは韓国、日本、アメリカ、中国、北朝鮮に関係しますが、韓国は、戦争を避けるため、中国、北朝鮮の意に沿うよう破棄を決定しました。
      >日本とのGSOMIAを破棄することが、米朝戦争に影響するのかが、良く解りませんでした。
      中国、北朝鮮と韓国の関係が良くなっても、米朝戦争は防げないと思いますが。

    • 文さんを見ていると、そこまで狡猾に物事を考え進めることができる人とは思えないですねえ。

  • 韓国にとっての「今こそ韓日関係改善が必要だ」との見解は、冷静な状況把握のもとに下された正しい判断なのだと思います。

    だだし、解決の方策を求める相手は日本ではなくて自国政権〔世論〕なんですけどね。

    日本は困ってる訳ではないのですから・・。

    • カズさま
      韓国は、国内の問題を自分で解決する事が、出来ません。
      無責任にも、日本に解決を要求しているんです。
      そんな歴史が、ちょっと前まで、繰り返されて、来たんです。それで、日本が解決してくれないから、困っているんです。

1 2