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19歳の読者の方からいただいた「見識あるコメント」

当初、本稿では総務省から公表された報告書をベースにした議論を展開しようと思ったのですが、少々読み込みに時間が掛かってしまっています。そこで、そのかわりといっては何ですが、もうひとつ、興味深い話題を紹介します。昨日の『「27時間テレビ」から漂う、テレビ業界自体の問題点』には、非常に興味深い読者コメントを多数いただきました。なかでも19歳男性と名乗る方のコメントは、情報の本質を突いていて、まことに興味深いものであり、まさに「ウェブサイト執筆者が読者の方から教えていただく」という意味でのウェブ評論サイトの醍醐味を味わうことができた格好です。

お詫び:少々遅れておりまして…

昨日の『「27時間テレビ」から漂う、テレビ業界自体の問題点』では、テレビ局が満を持して組んだ「特番」の「視聴率」がズッコケた、という話題を紹介しました。

これについては、折しも総務省から『平成30年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』という興味深い報告書が公表されていて、それに関するデータをいくつか紹介しようと思っていたのですが、報告書自体が90ページという長大なものであり、読み込みが難航しています(笑)

そういうわけで、インターネットに関する話題の紹介はもう少し時間を頂きたいところですが、オールドメディア(とくに新聞とテレビ)を巡って、当ウェブサイトの読者コメント欄で、興味深いコメントを多数頂いたので、そのなかから2つを厳選し、紹介しておきたいと思います。

成熟した19歳の見識あるコメント

最初に紹介したいのは、「未熟な19歳男性」と名乗るコメント主様からいただいた、次のような趣旨のコメントです(ただしコメントは当ウェブサイトにて適宜要約し、言葉を補っています)。

  • インターネットには情報ソースが無数に存在するため、すべての情報ソースが同じ情報しか流さないという事態にならなければ、比較検討するのは簡単な作業であり、どれが最も事実に近いかを判断するのも容易だ。実際、73歳を超える私の祖父もSNSをフル活用している
  • ATMと俗称されるメディアや韓国政府が発信した内容と、読売・産経や日米両政府が発信した情報が表現からしてかなり食い違っていることくらい、比較すればすぐにわかることだ

このコメントを書いて下さったのが本当に19歳の男性なのかどうかはわかりませんが、もし本当にこれが19歳の方のコメントだとしたら、ハンドルネームと異なり、非常に見識のある、成熟した方だとお見受けします。

考えてみれば、現在の若い世代の方々は、生まれたころからインターネットが存在していて、何か調べたいときにはすぐにインターネットで検索するということに慣れているケースも多いようです。

幼いころからスマートフォンやPCなどを通じてインターネットに触れることの長所や短所については、さまざまな議論があることは承知しています(※個人的には、自分の子供に対してはクラシック音楽の動画やセサミストリートの動画などを好んで見せていますが…)。

しかしながら、「新聞をちゃんと読め」と言われ、テレビに馴染んで育ってきた私たちのような中高年世代と比べれば、現在の若年層の方々は最初からオールドメディアの報道を相対化して見ることができるのかもしれませんね。

「もりかけ」で視聴者が激減?

一方、匿名のコメント主様からは、こんな趣旨のコメントをいただきました(ただし、コメント自体は大意を変えない範囲で、当ウェブサイト側にて表現を変更しています)。

どこのチャンネルでも「モリカケがどうのこうの」としか報じていなかった時期に、完全にテレビを見なくなりましたね。YouTubeは観たいものを選んで見ることができますが、テレビにはそもそも「見たくなるような番組」がありません。

この匿名のコメント主様のような感想が一般的なものなのかは存じ上げません。

しかし、あくまでも私の主観ですが、たしかに主要なオールドメディアがいっせいに「もりかけ問題」を報じた時期を境に、新聞、テレビの社会的影響力が目に見えて後退したと思います。

ここで「もりかけ問題」とは、

安倍晋三(氏)が内閣総理大臣としての地位を悪用し、個人的な友人が経営する学校法人に対して違法な便宜を与えていた疑い

のことを指すと「思われます」。

「思われる」、と申し上げているのは、この「もりかけ問題」を好んで報じていた新聞、テレビなどが、疑惑の具体的証拠をまったく提示しなかっただけでなく、安倍総理(あるいは昭恵夫人)が何という法律の第何条にどう違反していたのかについて、最後まで明らかにしてくれなかったからです。

要するに、「怪しい」「怪しい」と言い続けることで、安倍政権の支持率を引き下げ、選挙で大敗させるための印象操作のたぐいですね。

支持率を下げても政権打倒ならず!

もう少し具体的に見ていきましょう。

たとえば、2017年7月頃の例だと、加計学園「問題」で、ニコニコ動画を除く主要メディア(オールドメディア)の調査で、内閣支持率が内閣不支持率を軒並み下回りました(図表1)。

図表1 主要メディアの世論調査(2017年7月)
媒体 支持 不支持
読売新聞(7/7~9) 36% 52%
朝日新聞(7/8~9) 33% 47%
毎日新聞(7/22~23) 26% 56%
日経・テレ東(7/21~23) 39% 52%
NHK(7/7~9) 35% 48%
共同通信(7/15~16) 35.8% 53.1%
産経・FNN(7/22~23) 34.7% 56.1%
ニコニコ動画(7/20) 51.7% 24.1%

(【出所】当時の各メディア報道より著者作成)

また、その翌年、朝日新聞が2018年3月2日付で報じた「森友文書を財務省が書き換えた」とされる疑惑を報じたところ、後日、財務省が文書を書き換えていたという事実を認めた、という事件がありました。

森友文書、財務省が書き換えか 「特例」など文言消える(2018年3月2日05時20分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

さらに、2018年4月には財務省の福田淳一事務次官のセクハラ疑惑が報じられたことなどもあり、安倍政権に対する支持率は、再び不支持率を軒並み下回ったのです(図表2)。

図表2 主要メディアの世論調査(2018年4月、カッコ内は前月比増減)
メディアと調査日 支持率 不支持率
共同通信(4/14~15) 37.0%(▲5.4) 52.6%(+5.1)
NNN(4/13~15) 26.7%(▲3.6) 53.4%(+0.4)
朝日新聞(4/14~15) 31%(±0) 52%(+4)
毎日新聞(4/21~22) 30%(▲3) 49%(+2)
読売新聞(4/20~22) 39%(▲3) 53%(増減不明)
ニコニコ動画(4/17) 54.6%(▲1.6) 22.6%(+1.9)

(【出所】当時の各メディア報道より著者作成)

(※余談ですが、図表1、図表2ともに、ネット調査が主体のニコニコ動画だと、オールドメディアの調査とまったく違う結果が出ているという点については印象深い気がします。)

しかし、2017年7月と2018年4月に内閣支持率が「危険水域」(?)に達したにも関わらず、安倍政権のもとで実施された2017年10月の衆議院議員総選挙、2019年7月の参議院議員通常選挙は、いずれも自民党が危なげなく勝利を収めています。

このことから、一時的なスキャンダル報道で政権支持率を瞬間風速的に下げることに成功したとしても、政権そのものを打倒することができなくなりつつある、ということでしょう。

ツイッターの威力

一方、ツイッターを使いこなす政治家が急増していることも、オールドメディアの社会的影響力を低下させている要因のひとつではないでしょうか。そのことを感じさせるのが、次の記事です。

「記者泣かせ」の河野大臣ツイッター ひまつぶしが今や…ブロックも(2019/10/22付 withnewsより)

記事を執筆したのは朝日新聞編集委員の藤田直央氏ですが、リンク先記事では、河野太郎防衛相が同行記者に先んじてツイッターにどんどんと情報を投稿していくため、「河野防衛相は『記者泣かせ』だ」、などと主張しているのです。

端的に言えば、「記者泣かせ」というよりも、「自分たちの特権である印象操作が封殺されている」という不満ではないでしょうか。これなども、政治家が直接に情報発信を始めたことで、オールドメディアの誤報や捏造報道が端からバレていく、という構図が出現していることの証拠でしょう。

また、最近だと大手新聞が科学的に論破されたことを受け、「科学を振りかざすな」などと「逆ギレ」しているほどです(『朝日「科学振りかざすな」 SNSで敗北する人たち』等参照)。

それにしても、「科学を振りかざすな」とは、いたく斬新な表現ですね(※皮肉です)。新聞が科学を否定したら、もはやただのオカルト紙です(『あれは不動産屋が発行する「科学否定のオカルト紙」?』参照)。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

もちろん、ネット上の情報も玉石混淆ではありますが、だからといって「ネットよりも新聞・テレビの方が信頼できる」、という話にはなりません。「情報が玉石混淆である」という意味では、新聞・テレビもまったく同じだからですし、同じ「玉石混淆」ならば、情報は多い方が良いに決まっています。

その意味で、19歳の方からいただいたコメントは、本当に勉強になるというよりほかないのです。

新宿会計士:

View Comments (32)

  • そもそも無条件で信頼出来る情報なんてものはなく、自分で裏をとる、経験則で選別する、もし嘘情報だった場合の被害も覚悟しつつとりあえず信用する。のが当たり前の技能として必要なことをネットが示してくれたんだと思います。
    昔の2ちゃんねるとかは、よく見ればわかりやすい嘘情報でもって釣る場面が随所にあり、ネットリテラシー修練の場としては最適でしたね。

    • G様

      >わかりやすい嘘情報でもって釣る場面

      そういえば、赤井邦道さんの読者投稿なんてのもありましたね♪

  • 私も、19歳の方の意見は、良い意見だと思いました。
    オールドメディアに影響されずに、ネットを利用して、正しい判断が出来るように、自然になっていると思います。
    今時の若いもんは、しっかりしているなと思いました。
    是非、若手代表で投稿をしてくれると、参考になるなと思います。

  • いやあ、朝日の「科学を振りかざすな」には、改めて呆れかえりますねえ。
    会計士様おっしゃるとおり、SNSの普及で、今や多くのマスゴミがオカルト化。
    特に、印象操作の手段が封じられつつあることへの焦りが感じ取れます。(彼等は世論を代表しているようなことをよく言いますが・・。)
    マスゴミの化けの皮がはがれつつあり、長年にわたり世論をミスリードしてきた罪は大きいと思います。

    人々は、マスゴミだけに頼るのではなく、様々な媒体を介して、有意な情報を取捨選択していく。そう言う時代になってきたと思います。

  • 音楽も変わってきた業界ですね。
    CDが売れずに、特典目当てのCD付き握手券や、本数の母数が減少したが為に安定した客層を持つアニソンがランキングの上位を占めるようになったのが象徴的です。
    最近では配信サイトのDL数も加味したランキングも、できてきたようですが・・・。

    ジャニーズ事務所は、それに対して抵抗するような動きを見せていました。
    CDを販売するサイトにジャケット画像の使用を禁止するのに至っては、正規に購入してリッピングしてスマホで聞くような層にまで喧嘩を売るような行為です。

    https://www.amazon.co.jp/SMAP-25-YEARS-通常仕様/dp/B01LTHM7YY
    まあジャニーさんが亡くなって、そういう姿勢にも変化が生じて配信サイトでの販売が始まったりしているようです。

    売れているミュージシャンの収入は、コンサート・ライブの割合が増えてきたとかとも聞きます。

  • あれは昨秋か今年初めか、私が長く購読して居る「しんぶん赤旗」がアジアスポーツ大会を報じる際に、柔道の部門で、韓国代表チームが、審判に抗議して座り込みをした、と言う出来事がありました。ここ新宿会計士さまのWebではあまり扱うジャンルでは無いので恐縮ですが、この時の赤旗の書き方は特筆すべきモノでした。
    試合結果の星取表みたいなモノは取り敢えず間違いは書いてないのですが、【「座り込み」に関して一言も報じない】。赤旗には1頁か見開き2頁のスポーツ欄があるのですが「座り込みが書かれて居るか?」と言う観点で観ますと見事にスルー。そして座り込み云々の代わりに「日韓の友情」だったか「日韓の交流」だったか日韓戦が有ったと言うだけの事で無意味に「友情」をアピールする本文と繋がらない変な大見出しが何段もぶち抜きで紙面を飾って居ました。
    これ赤旗が良くやるんですよ。WBS(野球大会)で韓国チームが勝った時に無礼にもマウンドに韓国国旗の小旗をお子様ランチの様に「掲揚」した時も「無礼を追及」など絶対にしなかった(がその時は自分はそんな赤旗の異常に鈍感で気がつかなかった)。今になって赤旗は系統立てて、必ず韓国人の明らかな無礼、明らかな無様、明らかなスポーツマンシップにもとる見苦しい事象を必ずスルーして、ナマの朝鮮人の野卑な態度が日本人の中で憤激や嫌悪の水圧が高まらない様に?(自分では巧妙に情報操作して日本の愚民を蒙昧なままに置く様に)【報道しない権利】を最大限朝鮮人にだけ用いていたと知ったのでした。
    「こんな朝鮮人の醜態を見たまま醜態として報じるのは嫌韓であり極右だ」とでも言わんばかり。このあまりにもひどい情報操作と隠蔽にはすっかり日本共産党が嫌になりましました。
    赤旗で報じなくても他紙やネットから「座り込み」で大会進行を妨害した事ぐらいすぐに知られるのに。そこに全く一行も触れずに「日韓の友情」ですからね。韓国チーム側は日本との友情や交流よりも自チームの「成績」なかんずく「日本を下した」と言うスポーツの間違った方向の国威発揚だけを気にして、それが通らないと全試合進行と運営を妨げてもお構いなしで自己主張をゴリ押しする。しかも得手勝手なルール解釈で「策士策に溺れる」パターンの自滅だったのに居直る。そんな朝鮮人の態度を「無かった事」にしてやるのが日本人、と言う何やら本当は我々よりももっと朝鮮人を見下した発想なんですけれど、それを堅持して居る様な感じです。これが旧態メディアの民主主義、旧態左翼の国際連帯なのですね。

    • 共産党や赤旗には、半島にルーツを人も多く関係していると思うのですが・・。

      • > 共産党や赤旗には、半島にルーツを人も多く関係していると思うのですが・・。

        私も、共産党や赤旗に限らず、その様な行動に出る組織は、そうじゃないかと思ってますが、かなり確からしくても、確証はありません。(多いだけでは若干詰めが甘い。)

        中の人とか、中だった人からの情報が待ち望まれます。考えられそうなのは、

        1)特亜の工作員が編集してる。(日本人に背乗りした人も居るだろうから、見破るのは容易でない。)
        2)ハニトラ等で、弱みを握られている、脅迫されている
        3)金を掴まされるとか、便宜供与等により、買収されている。
        4)所謂「良心的日本人」になることで、共同利益を得ている。
        5)その他

        • >5)その他
          己れの一生・半生が虚構でしかなかった事を認められない人とかな

          現実を知って狂信的に夢に殉じるか蛇蝎を嫌うが如くアンチになるかは人それぞれですが

  • テレビも新聞も洗脳とプロパガンダの道具です。苫米地さんの本にも書いてありました。印象操作と大衆を誘導(誤導)で日本人を愚民にするための道具です。

    特にワイドショーとかひどいですね。色々裏があるのだろうと思って疑心の目で見るようにしています。

    ネットリテラシーの高い若い人の方が、色々な情報を取捨選択できて、洗脳されていないので、正しい判断ができるのでしょう。

  • 科学を軽々しく否定するコメントを出した時に「朝日はもう国民全体を潜在購読者として見ることは辞めたのだな」と思いました。古き良きw朝日信者だけを相手に商売しようということなのでしょう。

    文大統領が曹国氏を法相に強行指名した時に、鉄板支持層のみを固めにきたのだと思ったことと同列です。政治的集団は追い詰められると先鋭化するという法則のはこの流れなのですね。

  • 海外に住むというのも有益かもしれませんね。
    ネット時代なもので、日本の番組も普通に見えてしまいます。
    (おかげで、子供の成長に伴い、アメリカの番組は全然見なくなってしまいました)

    最近は Youtubeを中心にネットニュースばかり見ています。
    テレビの報道番組はとても内容がひどくて見る気もしません。

  • ご存知の方も多いと思いますが、最近twitterで面白い出来事がありました。

    オーストリア大使館(外務省)の公式イベントを利用して、反日団体が大使館公認を騙って反日イベントをやっていました。まあ、あいちトリエンナーレのオーストリア大使館版という感じです。

    これを、市井のあるtwitter投稿者が、ネット上で得られる情報を総動員して根拠を提示し、twitter上で告発していました。
    これが、有識者や国会議員を動かし、外務省の是正措置とスポンサー企業の撤退にまで結びついたという現象です。
    投稿者と有識者や国会議員は、tweetを見る限りリアルで面識があるわけでもなさそうで、こんなことが起こりうる時代になったんだなぁと、感慨深い気持ちで見ていました。

    twitterの連ツイを拾うのが大変だったんでどうしようと思ったんですが、もえるあじあさんでまとめられていたのでこちらをご紹介。

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    続報★墺での反日イベントが拡散された結果→外務省・大使館「公式剥奪」外務省「ロゴ使用許可取り消し」スポンサー次々降板!→会田先生()ブチギレw
    https://www.moeruasia.net/archives/49654928.html
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    チンピラのような自称芸術家の脅迫(?)もあったようですが。(笑)

  • 既存メディア(新聞、テレビ)が
    信用できないには賛同します

    ただし、ネットも含め100%信用
    できる情報など存在しない、のも
    事実でしょう

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