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韓国経済副首相が「韓日葛藤年内解決」と言ってしまう

本稿は「短評」です。韓国の「経済副首相」と名乗る人物の呆れる発言を2つほど紹介しておきたいと思います。

告げ口外交、全開

本日も早朝から驚いてしまいました。

韓国メディア『中央日報』(日本語版)によれば、韓国の洪楠基(こう・なんき)副首相兼企画財政部長官(経済副首相)が訪問先の米国でスティーブン・ムニューシン米財務長官に対し、日本の「輸出規制」が「世界経済に否定的影響を与えている」として批判したからです。

韓国経済副首相、米財務長官に会い「日本の輸出規制、世界経済に否定的影響」(2019.10.18 07:14付 中央日報日本語版より)

もちろん、ここでいう「輸出規制」とは、わが国の韓国に対する輸出管理の適正化措置のことを意味しており、実際は「禁輸」でも「経済報復」でもなんでもありません(詳しくは『総論 対韓輸出管理適正化と韓国の異常な反応のまとめ』あたりをご参照ください)。

しかし、中央日報によれば、洪楠基氏はムニューシン氏との会見のなかで、この輸出管理の適正化措置が「グローバル・バリューチェーンを損ないかねない」、「早急な解決が必要だ」、などと述べたとのことですが、これなどまさに「告げ口外交」の真骨頂、といったところでしょうか。

そういえば以前、韓国大統領府の関係者が「日本の輸出規制は韓国経済に影響を与えていない」と述べた、とする話題を紹介したばかりですが(『韓国大統領府「日本の輸出規制は影響なし」の意味不明』参照)、こうやって虚実絡めて日本を揺さぶるのは、韓国の伝統芸のようなものなのかもしれません。

「輸出規制を年内解決」

しかし、「思わず驚いた」と感じた記事は、これだけではありません。

同じく中央日報によると、この洪楠基氏は、「韓日葛藤を年内に終わらせるべく、水面下で説得中」とも述べたのだそうです。

韓国経済副首相「韓日葛藤、年内に終わらせるべき…水面下で接触中」(2019.10.18 06:51付 中央日報日本語版より)

これは、洪楠基氏が米ニューヨークで韓国経済に対する投資家説明会(IR)を開いた際に述べたもので、「一部の海外投資家の韓国経済に対する不安心理を落ち着かせる」ことを目的とした発言だとしており、あわせて「日本の経済報復」に関しては「水面下で接触している」とも明らかにしたそうです。

これをどう見るべきでしょうか。

当ウェブサイトでは常々、日本の輸出管理適正化措置自体は「経済制裁」でも「報復」でも何でもない、と申し上げて来ました。その趣旨は、「もし本気で経済制裁をやるなら、「ヒト・モノ・カネ」の観点から、もっとほかにやり方があるから」です(詳細は『総論:経済制裁について考えてみる』などをご参照ください)。

ただ、韓国政府が「日本と関係が悪化している」と自分の口で喧伝することは、逆に韓国自身のクビを絞めることにつながりかねません。おおやけの場で「水面下で接触している」と言ってのけてしまうこの洪楠基氏の政治的センスのなさにも驚きますが、「日韓経済葛藤」と喧伝すること自体が韓国にとってのリスクです。

実際、日本が7月1日に対韓輸出管理適正化措置を発動するよりもかなり以前から、こうした「セルフ経済制裁」の兆候は出ていました(たとえば『セルフ経済制裁の恐怖:「脱コリア」の流れは続くのか?』など)。

今回のIRの発言が事実だとしたら、まさにこのような発言をすること自体が韓国にとっては大きなマイナスである、という点を、まずは指摘しておかねばなりません。

「年内」期限と切ってしまったことの意味

そしてなによりも、「韓日葛藤はどのような形であっても年内に解消しなければならない」という発言がすごいと思います。要するに、ニューヨークのIRで世界の機関投資家を相手に、「年内」と期限を切ってしまったわけですが、「年内」といえばあと2ヵ月少々しかありません。

そもそも論として、「韓日葛藤の解消」が何を意味しているのかは知りませんが、もし「日本の輸出管理適正化措置の撤回」を意味するのだとしたら、それはおそらく不可能です。とくに、輸出管理適正化措置のうち、「ホワイト国からの除外措置」については、なおさらでしょう。

技術的には、日本が韓国を「(旧)ホワイト国」から除外する措置は政令改正によって行われているため、いったん『輸出貿易管理令別表第3』から削除された韓国の国名を追加するためには、再びパブコメを実施して、閣議決定を経なければなりません。

また、現在の日本国内の世論を踏まえるならば、韓国を「(旧)ホワイト国」リストに再度追加するための政令改正がパブコメに堪えられるとも思えません。

そればかりか、日本が韓国向けの輸出管理適正化措置を発動した理由は、韓国の輸出管理体制に疑義があったからです。その基本的な原因が除去されていないのに、日本がこの措置を元に戻すとなれば、行政に対する信頼が損なわれます。

その意味で、「経済副首相」と名乗る人物の発言の、センスのなさが目立つ記事だ、という言い方をしても良いでしょう。

新宿会計士:

View Comments (22)

  •  小生は別に驚きもしません。多くの韓国人は「自らの発言に責任を持つ」という考えがありません。ですから大言壮語などは当たり前で、誰でもすぐに内容を膨らませます。

     仮に年内に日本との葛藤が未解決だったとしても、言った本人は責任を取りませんし、部下に罪を擦り付けるか、「日本がー」で終わりです。

     自らの発言に責任を持たないのはある意味楽ですが信用が得られません。ところが韓国人はそのような事を繰り返しても「自分は偉いからこの発言は正しい」と本気で信じていることです。信用の失墜など、予想だにしないでしょう。

     小生が会社の内外で「自分の発言に責任を持て」と、いくら韓国人に言っても、全く改善しないのは個人の性格でなく、国の文化だと感じています。

     駄文にて失礼します。

    • 韓国在住日本人さま
      ある意味、新宿会計士さんの懸念や驚きの全否定ですが、私も驚きませんでした。
      日本に対して年内に解決することを忖度して欲しいという事ですよね。
      思ったのは、北朝鮮が米朝の交渉期限を年内に設定してるのも、アメリカに忖度して欲しいと言ってて、同じ事だと思います。
      誰も責任取らないので、放置でOKですね。

    • 「自分は偉いからこの発言は正しい」と本気で信じている
      のくだりは両班の名残だと感じました。
      昨今の汚職をしてまで身内に対する過度の便宜を図る政治家の例もまさにそうですね。
      韓国在住日本人様の意見は、私のような半島人と接点を持たない人間が彼の国の人間性を理解するのに、非常に勉強になります。

    • 更新ありがとうございます。

      「日本は年内にふりだしに戻せ〜」「韓国の言い分を忖度せよ〜」「何故、最近日本は動いてくれないのか〜」でしょうね。語るに落ちる(笑)。

      曰く、「世界経済に影響を与える」(嘲笑)。大きく出たね。そんなたいそうな規模のやり取りじゃネーし。第一、制裁では無い。北の瀬取りやミカン運ぶのヤメロ!ってだけだ。

      いっそのこと、北に吸収されたら面白い。自由なんて韓国に似合わない。むしろ奴隷国家とか独裁隷属・被差別国家がいいんでしょう。クーデター出来ないんだったら南朝鮮を侵攻されて、くれてやれ。

      米国軍が縮小撤退したら、青瓦台と高級官僚、学者、韓国軍幹部を全員射殺。それでも愚民は右往左往するだけだろう。

      最高賃金を1時間500ウォンに金正恩がしてくれた方が働くんじゃないか(笑)。恨みながら。日本恨むなヨッ。

      半島には関わらない事!

    • 文大統領の具体的でない統一話も、ただ言ってみたいだけなら理解できます。

  • 葛藤って・・・。
    テニスや卓球でラリーが続くのを試合だとして、一人で壁打ちを黙々とやっている状態だと思うのですがw

    • りょうちんさま
      韓国は葛藤が無いと、存在出来ません。
      日本との葛藤は、正に自作自演です。

  • 韓国伝統の「発言してしまったからこちらのメンツをおもんばかって実現せよ」風味の会議後声明メソッドでしょうか。最近「そんなことは言っていない」カウンターを食らいまくっていますがそれでも濫用をやめないとは、そのメンツとやらもお安いものとお見受けします。

    あ、それとも永遠の「10年後には〜」の短期版ですか?

    年内に解決する方法は、韓国がこれまでの違約を陳謝し、約束を死守することです。理論的には可能ですが…実現性は皆無でしょう。

  • 今朝、紙の朝日新聞を斜め読みしていました。すると、
    李洛淵首相が文大統領の親書を携えてやってくる。そして、親書には7月以前の状態に戻し日韓友好を深めたいと書いてあるらしい
    そんな記事が大きく出ていました。

    7月以前ねぇ、友好のために戻すならば最低限でも去年の秋以前でしょう。まさしく0対100で責任があるのに、100対0と言い張り50対50を狙う記事です。
    なんか、韓国の大統領の親書なのだから、無条件で話し合いに応じろとでもいうような不愉快な記事でした

    ま、朝日新聞ですからねぇ。

    # 爺様の時代からとり続けているので、止められません。
    # 止められない最大の理由は、織り込まれるご近所のスーパーのチラシが便利だからです。
    # いくら、webで情報が得られても特売のチラシは情報として極めて強いものがありまして...

    • (折込みチラシのみの購読)

      販売店への新聞の納品掛け率は60~65%のようですので、販売店が経営に支障なく「チラシのみ配布」を実現のためには【定期購読料の3分の1程度】の負担は必要となるんでしょうけどね。

      これって、
      高いんでしょうか?
      安いんでしょうか?

    • Nobody様
      お気持ち、わかります。
      私も数年前に紙の新聞をやめるにあたり、最後まで悩んだのはチラシへの未練でした。
      でも、ネットでも近隣のチラシ情報を簡単に見られるアプリがあり、活用しています。
      何よりも毎月の古新聞のゴミ出しの労苦から解放されてスッキリです。

    • Nobody様

      新聞の購買数が低下するに従い、販売代理店も延命のために「チラシのみ配達」も行うようになると面白いのですが。

    • 特売で節約できるお金よりも、新聞購読をやめることで浮くお金の方が多くありませんか?
      それに、いつも行くスーパーマーケットなら、店に行って一回りすれば何が特売かは直ぐ判ります。

  • 洪楠基氏の言った「韓日葛藤は年内に終わらせなければならない」の意味するところは、日本の輸出管理適正化措置を撤回させる事・・・ではないでしょう。

    主様のおっしゃる通り、輸出管理で韓国をグループAに戻すのは実務的に不可能でしょう。

    それに、根本的な問題は「輸出管理適正化措置」ではなく「元徴用工問題」であるので、韓日葛藤の意味するところは元徴用工問題にあると思います。

    それに、現在の輸出管理適正化措置のままでも、フッ化水素等の輸出は平常通り行われておるようで、韓国半導体産業はちっとも困っておらない様相です、素晴らしいことにサムスンの株価は今年最高値を更新中ですらああります(笑)

    さて、それでは、何故、洪楠基氏はこのような発言をしたのでしょうか?

    政治家のこういう言い回しは、ある種の警告、いわば予言であるケースが多い。

    特に話した場所がニューヨークの投資家説明会であればなおさらです。

    よく聞く相場格言に「噂で買って、事実で売る」というのがある。

    大きな指標やイベントでトレンドが大きく変化する時、その前に、実は水面下で、結果は決まっているケースがある。

    そうした場合、世間にニュースが知れ渡ったとき、相場は既に終わっている。

    つまり一般論とは逆の動きをするのである。

    洪楠基のこの言葉を裏読みすれば、「今年中に元徴用工問題は一定の解決を見るだろう」、と示唆してるように読むこともできる。

    この場合、洪楠基は誰に教えてるのかといえば、大口投資家だ。

    つまりわかる人にはわかる符丁がスピーチの至る所に散りばめられている可能性はある。

    全くふざけてる、株式相場なんて・・・八百長だ、グズン(涙)

    え~話を戻して、日韓問題において、年末の重要イベントと言えば、もう日本製鉄の差し押さえ資産現金化しかない。

    おそらく現金化される前に、日韓の妥協が成立する、という意味だろう(すごい予想だ)(笑)

    「1+1」か「2+1」か「第3国仲裁案の受け入れ」かはわからないが、現在急ピッチで裏交渉が進められているのは間違いないでしょう。

    先ずは10/22の新天皇即位礼正殿の儀における、韓国首相と安倍首相との会談報道で、日韓政府のシナリオが上首尾に終わるか失敗するかわかると思います。

    最近の報道で日経ビジネスの紙面でユニクロの柳井正氏がちょっと妙なことを言っています。
    どうやら安倍批判を展開しているらしい。

    私の認識では、この人ほどアベノミクスの恩恵を受けてる人はいないはずなのに、なんと安倍政権で成功したのは株価操作だけで、それは国費さえつぎ込めば誰でもやれることだ、のようなことを言ってるらしい。

    私に言わせれば、全くの「ド正論」なのだが、まさかそれをあのGPIFがあからさまに買い支えしているファーストリテイリングの会長の口から聞くとは思わなかった。

    こんなこと言って、ファーストリテイリングの株を売られたらどうするんだろう。

    また日韓関係についても安倍政権を強く批判しており、日本人は集団ヒステリーにかかった、というようなことも言ってるらしい。

    この柳井正氏は「NOJYAPANボイコット運動」の最中10月、釜山に新店舗をまたオープンしたらしい、韓国ユニクロ200店舗越えたんじゃないか、商売繁盛で結構なことだ・・・ていうより、この人のメンタルは果たして本当に日本人のメンタルなのか?

    そんな柳井正氏が安倍政権を批判したとなると、多分間違いなく裏事情があるのだろう。

    私の勘ではアベノミクスのテーパリングが始まりましたという事だろう。

    GPIF及び日銀のファーストリテイリング株の放出が始まる兆しではないかとマジで思っている。

    去年フォーブスで日本の大富豪1位に選ばれた柳井正氏の総資産2兆7千億円。

    大部分は自社株だ、それでは柳井正氏がキレた、と考えれば辻褄が合う。

    今後の日銀の動きは要注意だろう。

  • 年内に解決ですって?

    どうせ「最低でも県外」くらいの他愛もない話じゃないでしょうかね。

  • 2015年のことを思い出しました。
    秋頃、朴槿恵(本人だったか閣僚だったか)が「年内に慰安婦問題に進展があるだろう」的なことを言い出して、「そんなわけあるか!」と思っていましたが、年末にまさかの慰安婦合意成立。
    まさかまさか今回も日本側がとんでもない譲歩をさせられることにならないでしょうね?
    彼の国の人特有のホラ吹きならいいですが、前例があるだけに心配です。

  • >現在の日本国内の世論を踏まえるならば、韓国を「(旧)ホワイト国」リストに再度追加するための政令改正がパブコメに堪えられるとも思えません。

    とありますが、「パブコメ」は参考意見でしかなかったのではないですか?
    再度追加で「パブコメ」への反対が95%を占めても、追加は成るのでしょう。
    まあ成ったとしても政権が維持できませんがね。

  • >その意味で、「経済副首相」と名乗る人物の発言の、センスのなさが目立つ記事だ、という言い方をしても良いでしょう。

    米朝ハノイ会談の顛末を鑑みれば、大統領と名乗る人物のセンスのなさが際立っていた訳で、流石はムンジェイン政権の一員だ!ってところですね。

  • ≫韓国政府が「日本と関係が悪化している」と自分の口で喧伝することは、逆に韓国自身のクビを絞めることにつながりかねません。おおやけの場で「水面下で接触している」と言ってのけてしまうこの洪楠基氏の政治的センスのなさにも驚きますが、「日韓経済葛藤」と喧伝すること自体が韓国にとってのリスクです。

    リスクであるのは、その通りでしょう。
    ですが、現在の青瓦台はリスクであることを100%理解しながら確信犯的に行っているのだ、と自分は分析しています。
    何故なら、『韓国』という国家のクビを絞めて、将来に北朝鮮が韓国を併合するための正当性を、世界各国に対して納得させたいからでしょう。
    そのためには、韓国という国家はどこまでも愚かで、世界各国に対して迷惑をかける国でなくてはならない。その北朝鮮からの要請に忠実に従っているのが、現在の『従北政権』たる面目躍如といったところでしょう。

    少なくとも北朝鮮指導部は、自身の頭で戦略を組んで実行しています。その戦略はどこまでも狡猾で、けして愚かなどとは言い切れぬものです。
    対して、北朝鮮の戦略に従うべき青瓦台や韓国人は、その真意に気がついてはならない。一般の韓国国民は愚民でなくてはならない、と考えるのが朝鮮人の思考回路というものでしょう。

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