今朝の『GSOMIAカード化に必死の文在寅政権、足元揺らぐ』で少しだけ紹介しましたが、昨日、「タマネギ男」こと韓国の曺国・法務部長官が辞任すると発表しました。これについて、さっそく、日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏が『デイリー新潮』に緊急で論考を寄稿されていますが、今回のテーマは「クーデター」、です。本稿では鈴置論考のハイライトについて紹介するとともに、当ウェブサイトの以前からの持論である「朝鮮半島と関わるな」について、振り返っておきたいと思います。
タマネギ男の辞任と鈴置論考
昨日、先月韓国の法務部長官(法相に相当)に就任したばかりの曺国(そう・こく)氏が辞意を示しました。辞任理由については、「タマネギ男」などとも揶揄される同氏が、15日(つまり本日)に予定されていた、韓国国会の「国政監査」に耐えられないからだ、などと報じられています。
チョ・グク氏、法務部国政監査を明日に控え辞任発表(2019.10.14 14:18付 中央日報日本語版より)
ただ、曺国氏自身が文在寅(ぶん・ざいいん)大統領にも近い人物であることに加え、同氏を巡っては韓国国内でもさまざまな批判があり、今月3日には同氏、あるいは文在寅氏自身に対する退陣を求める大規模な集会があったとも聞きます。
これについて、まとまった論考が読みたいと思っていたところ、ちょうど良いタイミングで昨日、『デイリー新潮』に次の記事が掲載されました。
曺国法務長官が突然の辞任 それでも残るクーデター、戒厳令の可能性(2019年10月14日付 デイリー新潮より)
執筆者は日本を代表する優れた韓国観察者である鈴置高史氏です。
6000字弱という長文ですが、文章の構成の良さもさることながら、根拠も明快に示されているなど、非常に読みやすい良文です(いや、むしろ読了した瞬間、「もっと読みたい」とすら感じる人もいるのではないでしょうか)。
それだけではありません。
鈴置氏は本稿で、曺国氏の辞任を手掛かりに、韓国社会の長年の積弊を切り取って見せます。
当ウェブサイトでは普段から、「自分でろくに国も運営できない韓国に、日本はできるだけ関わるな」、などと主張していますが、鈴置論考を読み進めていけば、「韓国から距離を置け」という主張の正しさの一端を垣間見る思いがするのです。
数十万人デモと「クーデター」
さっそく、鈴置論考のなかで、興味深い点をピックアップしておきましょう。
「文在寅(ムン・ジェイン)政権を追い詰めたのは、国民の多くを味方に付けた保守の大集会・デモでした。決め手となったのは、開天節(建国記念日)の10月3日、数十万人が集まって「曺国逮捕」「文在寅退陣」を要求した集会・デモです。」
意外と報じられていませんが、韓国では最近、「保守派」と「左派」の衝突が、一般人を巻き込んで激しくなってきたようです。その「数十万人デモ」の意味は、いったいどこにあるのか。これについて鈴置氏はずばり、「クーデター」という単語を持ち出してきます。
「韓国では国論が分裂して議会では収拾がつかなくなり、左右が街頭での勝負に賭けた時、クーデターが起きているからです。」
「クーデター」とは、一見すると激しい物言いですね。
ただ、一般に「クーデター」とは、「民主的な手続によらずに政権を打倒すること」を意味します(極論すれば、韓国が誇る「ろうそく革命」などは、クーデターそのものです)。
個人的には「韓国のデモ」と聞くと、2016年に朴槿恵(ぼく・きんけい)政権を退陣に追い込んだ「ろうそく革命」を思い浮かべるのですが、それと同時に鈴置氏は今回のデモについて、「政治色の薄い『普通の人』も参加した」としており、その意味では「ろうそく革命」とは違う次元のものです。
なお、余談ですが、次の下りを読んでいると、思わず声を出して笑ってしまいました。
――韓国人は2016年の朴槿恵(パク・クネ)退陣要求デモを「民主主義の精華」と誇っていたのに……。
鈴置: 英国名誉革命、フランス革命、米国独立革命と並ぶ「世界4大革命の1つ」と自画自賛しています(『米韓同盟消滅』第3章第1節「疾風怒濤の韓国」参照)。/多くの韓国人が「安倍政権をデモで引きずり降ろせない日本人は韓国を羨ましがっている」とも信じています。文在寅大統領も海外に出るたびに「韓国革命」を誇ってみせます。褒めてもらったことはあまり、ないようですが。
冷静な記述のなかに、さりげなくこうした「鈴置節」が炸裂しているあたり、本当に面白いとしか言い様がありません。
韓国はクーデターが成功した国
余談はさておき、鈴置論考を読み進めましょう。鈴置氏は今回の集会・デモについて、次のような特徴がある、と述べます。
「今回の集会・デモは、左右がそれぞれ普通の人を取り込んで参加人数を競う国論分裂型の街頭闘争でした。左派が『腐敗した権力と戦う』と音頭をとって、多くの国民を味方に付けた2016年の集会・デモとは完全に異なるのです。」
これは、極めて重要な指摘です。
国論が分裂すると、ときに激しい武力闘争を伴う内紛状態になるのは朝鮮半島の歴史のようなものですが、「左右それぞれが街頭で闘争」というのは、まさに歴史教科書に出てくる朝鮮王国時代の内紛そのものではないでしょうか。
しかも、性質が悪いことに、韓国ではしばしば、クーデターは成功を収めます。鈴置氏はこれについて、
「韓国は『クーデターが成功した国』です。1度目は1961年5月16日に朴正煕(パク・チョンヒ)少将らが敢行した軍事クーデターです。前年の1960年4月19日の四月革命により李承晩(イ・スンマン)大統領が下野しました。」
と指摘しているのです。
もう少し細かくいえば、初代大統領の李承晩(り・しょうばん)がハワイに亡命したあとに尹潽善(いん・ふぜん)政権が成立しましたが、同政権は朴正煕(ぼく・せいき、朴槿恵前大統領の父)によって排除されています。
そして、「2度目」とは、その朴正煕が1979年10月26日に暗殺され、16年間の軍事独裁政権が崩壊して成立した崔圭夏(さい・けいか)政権を、全斗煥(ぜん・とかん)が排除したクーデターのことをさしています。
政争を繰り返すのは韓国の性(さが)
こうした政争を繰り返してきたのは、結局、韓国の性(さが)のようなものではないでしょうか。
そして、今回の「曺国事態」も、結局は文在寅政権が進めた「積弊清算」、つまり保守勢力の根絶やしに向けた動きに対する反動と見るのが正解でしょう。これについて、鈴置氏の指摘を引用します。
「曺国法務部長官の任命問題も本質は左右の権力闘争です。文在寅政権は左派弾圧を担ってきた検察から権力を奪う計画です。さらには新たに設立する公務員監察組織を通じ、検察をはじめとする保守勢力に報復すると見られています。」
さりげなく、恐ろしいことが指摘されていますが、要するに、左派と右派による、生き残りを賭けた闘争に突入した、ということです。日清戦争前夜の独立派と事大派の争いのようなものでしょうか。
ただし、日清戦争前夜と違う点があるとすれば、韓国のメディア(たとえば、韓国経済新聞や朝鮮日報、聯合ニュースなど)がそれぞれの立場から「左右どちらが民主主義を壊したのか」という論争に参入し、これが「街頭政治」に油を注いだ格好となった、という点かもしれません。
ところで、鈴置氏は現在の韓国において(国軍による)クーデターが発生する可能性を巡り、「『起きない』と断言できない」と前置きしつつも、その可能性自体は低いと指摘。その理由として、米国が韓国のクーデターを支持しないと見られる、などと述べています。
ただ、文在寅氏自身が「どうせクーデターは起きない」とタカを括っているかといえば、話は別です。鈴置氏は、今回の「左右対立局面」において、結局は曺国氏の辞任により社会的混乱をいったんは収拾した形になったとしつつも、韓国社会の混乱はまだまだ続く、と予言しています。
当ウェブサイトの文責で該当する下りを要約し、箇条書きにしておきましょう。
- 曺国辞任でとりあえずはクーデターを回避したが、「左右どちらかしか生き残れない戦い」が終わったわけではなく、法務部長官の首をとって勢いに乗る保守が政権への攻勢を強めるのは間違いない
- 文在寅政権はクーデターの動きには神経を尖らせ続け、再びクーデターが噂されるほどに社会が混乱したら、戒厳令を敷いてデモを抑えるかもしれない
本当におそろしい話ですね。
朝鮮半島からは距離を置け!
さて、ここから先は、今回の「鈴置論」では触れられていない点を、当ウェブサイトが勝手に議論したいと思います。
それは、「朝鮮半島の混乱に日本はどう関わるべきか」、です。
結論からいえば、「関わるな!」が正解でしょう。
よくわが国でも、「文在寅政権下の韓国の反日が度を越している」、「このままでは日韓関係が壊れる」、といった主張が見られますが、「だからこそ、日本(と米国)は文在寅政権が倒れたあとの韓国で、親日・親米政権が立つよう努力すべきだ」、といった結論につながることもあります。
「日韓関係悪化は中国を利する」、その何が問題なのですか?(2019/08/30 11:30付 当ウェブサイトより)
しかし、「介入」するにしても、いったいどうやって介入すれば良いというのでしょうか。
また、「介入」したところで、後任に親日派政権が成立する保証などありませんし、百万歩譲って親日派政権が成立したとして、その政権が再び「左右対立」によって倒れてしまい、再び極左政権が成立する、という可能性だってあります。
さらに、明治期でまだ国力が不十分だったころの日本が、日清、日露戦争という大規模な対外戦争に巻き込まれていった最大の理由が、当時の朝鮮王国(あるいは「大韓帝国」)が国としての体をなしていなかったことにある、という点を思い出す必要があります。
同じ民族が国家を運営している以上、百年経っても同じことが繰り返されるのであり、また、しょせん、他国を「変える」ことなどできません。それどころか、下手に介入しようとすれば、日本(あるいは米国)もその国の混乱に巻き込まれていくことになるのです。
だからこそ、日本は韓国の内政からは極力距離を置き、韓国に対しては国際法に従って粛々と対応していくのが正解なのではないでしょうか。
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軍の現役が骨抜きにされてしまっている状況でどうなのでしょうかね。
クーデターを実行できるリーダーがいないような気がします。
中堅世代の多くが依然として文在寅を支持しているようですが。
レーダー照射の件も、青瓦台を恐れるあまり、言い訳にはならない反論映像を流したりして。
韓国はその旗の如く赤か青かの太極しかなく、中間的意見を許容しないその国民性自体が、いつも国家を破綻に導くことになるように思います。
自分が赤であれば青の生存を許さない、またその逆も同じという社会において、妥協や歩み寄りは極めて難しいはずです。源平の戦いで源頼朝を助命した結果、平家は滅びました。そういう危険性が頭から離れず、芽のうちから相手を潰してまわる、そういった圧政しか韓国あるいは北鮮には成立し得ないのかもしれません。そういう状態では議論など無用、正邪は立場の上下だけに立脚することになるのでしょう。
クーデターが起こるにしろ起こらないにしろ、不毛な内紛が韓国の宿痾であることは未来永劫変わりそうにありません。
中国には「族(する)」という動詞があります。誰かを処罰する際、敵討ちが起きないよう(あるいは為政者の腹いせのために)親子親族皆殺しにしてしまうという意味です。中国では春秋戦国時代から頻繁に行われましたが、朝鮮でも行われていたようですね。
中国の悪いところだけをコピーしている感の強い韓国ですから、意見が違うものとどこまでも争う文化はそこから来ているのかもしれません。
日本人が「甘い」のは、敵もまた同じ人であるという信頼関係に立脚しているのだと思います。味方と敵の境界がモヤっとしている感覚です。
逆に韓国・北鮮は敵味方でデジタルにくっきりしている印象があります。たとえ不正があろうとも味方となれば全力でかばう、敵であれば殲滅するまで戦うのです。
中国はその「族」を手段として持ってはいて、実施も冷酷に行うものの、それを完全に遂行できなくても良しとしている「いい加減さ」があるように感じますが、南北朝鮮にはそういう余裕が感じられません。偏見かもしれませんがヒステリックな傾向が強いように思います。
人が人を騙した時に、日本人は騙した方が悪い、韓国人は騙された方が愚かと評します。人間関係が、基本的に信頼に立脚しているのが日本で、不信に立脚しているのが南北朝鮮なのかと思います。
独断と偏見かもしれないと、お断りしてコメントさせていただきます。
今回の鈴置氏の寄稿記事で気になったことが、いくつかあります。
①もし、韓国の文大統領が戒厳令を敷いた場合、日本マスゴミ村が「保守
政権や軍部ではなく、革新政権が、戒厳令を敷いた」という事態を、どう
報道するか興味があります。(隣国であるゆえ、報道しない訳にはいかな
いでしょうが、ただ戒厳令の事実だけを報道するのかも、しれません)
②前にプライムニュースでも言っていましたが、「韓国は日本に近すぎる
ため、常駐の日本メディアのカメラマンは、いない」とのことですが、簡
単に(日本から韓国に)入国できなくなったら、日本メディアは、韓国を
どうやって取材するのでしょうか。韓国国内にいる普通の日本人を頼るの
でしょうか。それとも、第三国のメディアの報道を頼るのでしょうか。
③クーデターにしても、戒厳令にしても、未遂に終わるか、例え実施して
も(抗議運動などで)失敗に終わるかしたら、それで話が違ってくると思
うのですが。
駄文にて失礼しました。
すみません。追加です。
④もし、韓国でクーデターか、戒厳令の可能性が高まったら、天皇陛下
の即位の儀に、韓国側から出席するどころでは、なくなることもあり得る
のでは。
駄文にて失礼しました。
クーデターには少々期待していますが、グレゴリオ・ホナサン大佐みたいな不屈の闘志のある将校はいないでしょうね。まさか徴兵された兵隊さんが起こすとも思えないですから。クーデターで政権が変わっても反日なのは変わらないので、そこには期待はないです。北も南も軍事政権というのに期待があります。これで西側からは完全に離脱できますので...
高麗時代の武臣政権(崔氏)はないと思います。
更新ありがとうございます。
自分でまともに国を運営出来ない朝鮮半島ですから、近寄らず関わらず見ずにやり過ごすのが正解だと思います。『日本が日清、日露戦争という大規模な対外戦争に巻き込まれていった最大の理由が、当時の朝鮮王国がまともな政権運営出来なかった』(鈴置氏)為です。
文大統領は、曺国氏が辞任した後もお花畑の説明をしてます。曰く『我が国には、その時、陣痛があった』(笑)。これだけでは分からないでしょうが、前後の文章を読んでも、意味不明です(爆笑)。日本語訳もヘタかもしれ無いが、文氏もアタマが悪いと思う。陣痛って、こんな時に使う言葉じゃないでしょう。
こんな抽象的な言い方に、多過ぎる修飾語、結論は出さない卑怯なハナシ。すべて国民を愚弄してますね。
韓国は不安定ですね。
反日に勢いのあるうちは、日本人も無関心ではいられませんでしたが、ついに国内で内ゲバを始めてしまったようです。
何ともアツイ民族です。
その中で気になることは、散々、反日されていたにも関わらず、韓国保守派というだけで親日と勘違する日本人がおられるのではないかということです。
言論人にあっても、一般の韓国人は反日ではない、とか、反文在寅で戦う韓国人と連帯しよう、とか言い出しています。
誰が反日であろうと親日であろうと関係ありません。
国としての行いを見て判断するだけ。
百の甘言よりひとつの行動、です。
自分たちの国の立場が悪くなってきたからと寄ってくる不誠実な隣人を誰が信用できようか(いや、出来ない)
クーデターって、暴動のことですよね。
>一般に「クーデター」とは、「民主的な手続によらずに政権を打倒すること」を意味します
>(極論すれば、韓国が誇る「ろうそく革命」などは、クーデターそのものです)。
「ろうそく革命」=「民主的な手続によらずに政権を打倒すること」が、民主主義の極致として誇っている韓国人って(大笑)。自慢されても困ります。18世紀のパリ革命の時代ならともかく、この現代で、クーデターそのものがあったとしても、そのことを誇りにする国って韓国ぐらいじゃありません?(笑)
それにね。私、韓国人にとってのデモやクーデターなんて、所詮、お遊びの域だと考えております。
香港やウイグルなどのように、命を張って権力に対抗するのではなく、安全圏のなかでシュプレヒコールをあげています。まあ、日本で過ぎ去った青春を懐かしんでパヨク運動に興じているシルバーも同様ですが(笑)。
もしもですよ。もしも、文在寅大統領が本当に韓国民のクーデターを怖れていたのでしたら、武力鎮圧してしまえばよろしいのよ。ああ、アメリカの干渉があるかも、なのかしら。鈴置氏のおっしゃる(国軍による)クーデターも同様ですわね。基本、アメリカは、韓国国内の政争にはかかわらない。(日本もですよ!怒)がしかし、韓国内の邦人や企業保護のためであれば、干渉するでしょうね。武力○○はタブーですよ。ぐらいな。
駐韓日本大使が交代する様です。
韓国の政局とどう関係するかは、トランプ氏じゃないけど、「何が起こるか見てみよう。」ですな。
中央日報曰く、
「本人より義父がさらに有名だ。冨田氏の妻は太平洋戦争敗戦後の日本文学を代表する作家の1人である三島由紀夫の長女だ。」
「代表作『金閣寺』などを残した三島由紀夫はノーベル文学賞候補に名前が挙がるほどの天才作家だったが、右翼思想にはまり1970年に東京の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地(現防衛省本部)に乗り込んで総監を人質にしてバルコニーでクーデターを促す演説をした後、伝統的な侍式自決方式で割腹自殺した。」
と、本人の資質より、縁者の方を問題視する様です。
こんな民族性ですから、即位礼正殿の儀で韓国側が「戦犯の孫」とか言う確率はゼロではありません。
今回の新宿会計士さまのご指摘は本当に重要だと思いました
兎に角朝鮮半島は何かと隣国や大国を巻き込んでその力を利して戦争をしようとする。
朝鮮人が何十万人死傷しようと、半島内で何百万人が餓死しようと朝鮮半島に関わってはならない
それはもう一つの朝鮮半島流の生存戦略なのかも知れません
実に恐ろしい事です