インターネットの検索トレンドで調べてみると、本日はとくに日韓請求権協定第3条について調べている人が多いようですので、以前の『徴用工問題と国際裁判への道 日韓請求権協定第3条を読む』で掲載した日韓請求権協定の原文と、その第3条に対する簡単な解説を再掲し、これに最新の情報を付記しておきたいと思います。
日韓請求権協定第3条について
当ウェブサイトでは今朝方、『「仲裁委員任命期限」が近づく まずは観光ビザから始めよう』のなかで、自称元徴用工の問題を巡る仲裁委員任命についての議論を提示しました。
ただ、世間的にもやはりこの問題は関心を集めているらしく、共同通信も昨日、次の記事を掲載しています。
徴用工問題、迫る韓国の回答期限/仲裁委の開催応じるか(2019/6/16 16:55付 共同通信より)
共同通信は回答期限が18日(つまり明日)に迫っているとしたうえで、
「期日までに韓国が受け入れる可能性は低いとみられる。返答がない場合、日本は仲裁委を開くための次の手続きを韓国に提案する方針だ。今後も膠着状態が続く見通しだ。」
と報じています。
ただし、共同通信のこの記事を読んでも、日韓請求権協定第3条の全体像に関する解説がないので、少しわかり辛いと思います。そこで、以前の『徴用工問題と国際裁判への道 日韓請求権協定第3条を読む』について、要約したうえで加筆しておきたいと思います。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
まずは、日韓請求権協定第3条の記載を確認しておきましょう。
日韓請求権協定第3条
- この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
- 1の規定により解決することができなかった紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲介を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会の決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であってはいけない。
- いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかったとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかったときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもって構成されるものとする。
- 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。
(【出所】外務省HP)
第1項:外交的協議
第1項は、読んで字のごとく、「日韓で何かトラブルがあったら、外交上の経路で話し合って解決してね」、というものであり、これこそが、1月9日に日本政府が韓国に申し入れた「協議」の正体です(まずはトラブルを話し合いで解決する、というのは、考えてみれば当たり前の話です…)。
ただし、第1項には「いつまでに」という期限の規定が設けられていません。このため、「いつまで待てば相手が『外交的な話し合いに応じない』状況だといえるか」については、解釈が分かれる部分でもあります。
もっとも、今回の自称元徴用工問題では、第2項措置に移るまでに日本政府は4ヵ月以上待ちぼうけを喰らわされたわけですから、一般的には「第1項に基づく外交的話し合いが成立しなかった状態」だと認定して間違いないでしょう。
第2項:仲裁手続
第2項では、第1項の規定(つまり外交協議)で解決できない場合には、「いずれか一方」(この場合は韓国政府)が「他方」(つまり日本政府)から「紛争の仲介を要請する公文」を受け取ってから30日の期間内に、まずは両国が1人ずつ委員を選任しなさい、と定められています。
第1項と異なり、これには明確な期日が設けられています。
もし両国が委員を選ぶとしたら、常識的には日本政府が日本人の委員を1人、韓国政府が韓国人の委員を1人、選ぶでしょう。そして、このようにしてればれた日韓両国の委員が、さらに日韓以外の第三国からもう1人の委員を選び、合計3人で仲裁委員会を組織し、紛争について協議するのです。
5月20日以降の「30日の期間内」ということは、初日不算入原則(参考:民法第140条)が適用されるならば6月19日、初日不算入原則が適用されないならば6月18日がそのデッドラインです(ただし、ここでは報道にあわせ、「初日不算入原則が適用されない」という前提で議論します)。
ただし、ここで2つの分岐があります。
1つ目は、韓国側が仲裁委員を指名しなかった場合で、請求権協定上は、この場合はただちに第3項の措置に移行することになります。
2つ目は、韓国側が仲裁委員を指名した場合には、そこからさらに、第三国の委員をどこに依頼するかを巡って日韓間で協議しなければならず、30日以内にそれで合意できなかった場合は、やはり第3項の措置に移行する、ということです。
つまり、韓国側が仲裁手続を不調に終わらせるために、わざと仲裁委員を任命したうえで、第三国をどこにするかという交渉に応じなければ、それだけでさらに30日間、時間を稼ぐことができてしまうという点には注意が必要でしょう。
第3項:第三国仲裁
さて、第2項の仲裁手続が成功しなかった場合には、そこから第3項の第三国による仲裁という手続に移行します。その際の条件は、次のとおりです。
- ①片方の政府が公文を受領してから30日という期間内に仲裁委員を任命しなかった場合
- ②両国政府がそれぞれ仲裁委員を選任したけれども第三国の委員を誰にするかを次の30日以内に合意できなかった場合
この場合、仲裁委員会が完全に日韓以外の第三国に委ねられます。
具体的には、日韓両国政府がそれぞれ30日以内に第三国を1ヵ国ずつ選び(たとえば日本が米国を、韓国が中国を選ぶ、など)、それらの第三国の政府が1人ずつ仲裁委員を指名し、そのうえで2つの第三国政府と仲裁委員らがさらに第三国(たとえばスイス)から1人の仲裁委員を選ぶ、ということです。
ただし、この手続についても、韓国側が協力せず、「第三国」を指名しなかった場合には成立しません。
これを場合分けすれば、次のとおりです。
- ①6月18日までに仲裁委員を指名しなかった場合→30日の期間内(7月17日?)に第3項の手続を踏む
- ②上記①の場合、7月17日までに韓国政府が第三国を指名すれば仲裁手続開始、しなければ仲裁手続不成立で終了
- ③6月18日までに仲裁委員を指名した場合→30日の期間内(7月17日?)までに第三国委員が指名できれば仲裁手続開始、指名できなければ第3項の手続を踏む
- ④上記③の場合、そこから30日の期間内(8月15日?)までに韓国政府が第三国を指名すれば仲裁手続開始、しなければ仲裁手続不成立で終了
私自身、現段階では、韓国は上記②の手続で仲裁委員の任命を拒否し、③の段階でも第三国の指名を拒否するのではないかと見ており、その時点で、日韓請求権協定を韓国が事実上、破ったという実績が完成すると考えています。
ざっくり要約
以上、ざっくり要約すると、日韓請求権協定第3条に定める主な手続は次の①~④です。
- ①日韓両国で紛争が起これば、まずは外交の経路を通じて解決してください。
- ②①で解決できなければ、まず30日以内に両国が1人ずつ委員を選び、その2人の委員が次の30日以内に日韓以外の第三国からもう1人委員を選び、その3人で仲裁委員会を組織して議論してください。
- ③②の期間内に片方の国が期限内に仲裁委員を選ばなかった場合や、第三国をどこにするか合意できなかったときは、仲裁委員会の人選自体、第三国にお願いし、30日以内に選んでもらいましょう。
- ④出た結論には従いましょう
果たして韓国が外交条約や法律をきちんと守る法治国家であろうとするのか、それとも国際法を堂々と無視することで、名実ともに無法国家になるのか。
結論はだいたい見えているのですが、いちおう、もう少し見守ってみたいと思います。
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修辞疑問って食い物ニカ?
一応,日韓請求権協定3条の話のついでに2条の基本的な解釈指針となる最判平19.4.27(民集61巻3号1188頁)の該当部分をご参考までに載せておきます。
「(2)このように,サンフランシスコ平和条約は,個人の請求権を含め,戦争の遂行中に生じたすべての請求権を相互に放棄することを前提として,日本国は連合国に対する戦争賠償の義務を認めて連合国の管轄下にある在外資産の処分を連合国にゆだね,役務賠償を含めて具体的な戦争賠償の取決めは各連合国との間で個別に行うという日本国の戦後処理の枠組みを定めるものであった。この枠組みは,連合国48か国との間で締結されこれによって日本国が独立を回復したというサンフランシスコ平和条約の重要性にかんがみ,日本国がサンフランシスコ平和条約の当事国以外の国や地域との間で平和条約等を締結して戦後処理をするに当たっても,その枠組みとなるべきものであった(以下,この枠組みを「サンフランシスコ平和条約の枠組み」という。)。サンフランシスコ平和条約の枠組みは,日本国と連合国48か国との間の戦争状態を最終的に終了させ,将来に向けて揺るぎない友好関係を築くという平和条約の目的を達成するために定められたものであり,この枠組みが定められたのは,平和条約を締結しておきながら戦争の遂行中に生じた種々の請求権に関する問題を,事後的個別的な民事裁判上の権利行使をもって解決するという処理にゆだねたならば,将来,どちらの国家又は国民に対しても,平和条約締結時には予測困難な過大な負担を負わせ,混乱を生じさせることとなるおそれがあり,平和条約の目的達成の妨げとなるとの考えによるものと解される。
(3)そして,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権放棄の趣旨が,上記のように請求権の問題を事後的個別的な民事裁判上の権利行使による解決にゆだねるのを避けるという点にあることにかんがみると,ここでいう請求権の「放棄」とは,請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく,当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせるにとどまるものと解するのが相当である。したがって,サンフランシスコ平和条約の枠組みによって,戦争の遂行中に生じたすべての請求権の放棄が行われても,個別具体的な請求権について,その内容等にかんがみ,債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられないものというべきであり,サンフランシスコ平和条約14条(b)の解釈をめぐって,吉田茂内閣総理大臣が,オランダ王国代表スティッカー外務大臣に対する書簡において,上記のような自発的な対応の可能性を表明していることは公知の事実である。
被上告人らは,国家がその有する外交保護権を放棄するのであれば格別,国民の固有の権利である私権を国家間の合意によって制限することはできない旨主張するが,国家は,戦争の終結に伴う講和条約の締結に際し,対人主権に基づき,個人の請求権を含む請求権の処理を行い得るのであって,上記主張は採用し得ない。」
最判平19.4.27と日韓請求権協定について
(名古屋高判金沢支部判平22.3.8)
参考判示1
「(3)控訴人らの主張について
ア 控訴人らは,本件協定2条3のいかなる主張もすることができない主体は日韓両国政府であり,同規定は外交保護権のみ放棄したにすぎないと主張する。
しかしながら,いわゆる外交保護権は国家自身の権利であって,国家が私人に代わって行動するものではないというべきところ,本件協定2条3では,「一方の締結国」の請求権のみならず,「その国民の」請求権についても,いかなる主張もすることができないものと明記されている。このうち,国家の請求権には,国家がその機関又は国有財産に対する侵害に基づき直接有する請求権のほか,上記のいわゆる外交保護権も含まれるものと解される。他方,国民の請求権とは,原則として私人が国際法上の請求権をもつことはないことからすると,国民の国内法上の請求権(一般には加害地国の国内法を基礎とする請求権)をいうものと解され,国民の請求権が明記されたことからすれば,国民の国内法上の請求権について,いかなる主張もすることができないものとされたものと解するのが相当である。また,本件協定2条1が,日韓両国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたこととなることを両国が確認する旨規定した趣旨からしても,本件協定2条は個人の国内法上の請求権の問題を未解決のまま残す趣旨ではなかったものと解すべきである。」
最判平19.4.27と日韓請求権協定について
(名古屋高判金沢支部判平22.3.8)
参考判示2
「イ 控訴人らは,本件協定は日韓両国間の合意であり,両国の国家間の関係を規定しているにすぎないのであるから,国家が本件協定の中で個人の請求権を放棄することはできない旨主張する。
しかし,一般的に,国家は条約において自国民の財産を処分し,自国民の請求権を放棄するなど,自国民の私的権利に一定の効果をもたらすことはできるものと考えられており(丙47参照),このことは,例えば,イタリアとの平和条約(1947年2月10日,甲A117の1及び2)において,イタリアがイタリア国民のためにドイツ及びドイツ国民に対する請求権を放棄するとされているとおりである。
したがって,日韓両国間の合意である本件協定によって,国民個人の請求権について放棄その他一定の効果をもたらすことが不可能ということはできない(なお,本件協定2条3において,「請求権」〔前記(2)アの〔2〕に該当するもの〕につきいかなる主張もすることができないとされたのは,当該請求権自体を実体法的に消滅させる趣旨ではないというべきである。)。」
最判平19.4.27と日韓請求権協定について
(名古屋高判金沢支部判平22.3.8)
参考判示3
「(4)当審における控訴人らの主張について
ア 外務省の内部文書等に依拠した解釈について
控訴人らは,平成20年(2008年)に外務省から公開された文書(甲A105ないし107)を指摘して,本件協定2条3につき日本国政府が外交保護権のみ放棄の解釈をとっていたと主張する。
この点,控訴人らが指摘するこれらの文書は本件協定の締結直前又は発効直前における外務省の内部文書のようであり,その記載内容が本件協定の各条項の解釈に当たり参考にされることはあっても決定的な意味を有するものとまではいえないというべきであるが,その内容を検討すれば,以下のとおりである。
まず,「平和条約における国民の財産及び請求権放棄の法律的意味」と題する昭和40年4月6日付け文書(甲A105)(外務省条約法規課参事官名義の内部文書と思われる。)をみると,表題からは,平和条約における国民の財産及び請求権放棄の一般的な解釈論について述べたものであるかのような印象を受ける。しかし,本文の記載は,1項及び2項はいわゆる外交保護権とは何かに関するいわば教科書的な説明をしたものであり,3項に「拿捕漁船に間(関)する補償請求権を放棄する場合,その請求権は,やはり上述のような国の請求権であると考えられる。」と記載されているが,これは,条約において請求権放棄をした場合に問題となるであろう拿捕漁船に関する国の補償請求権が,いわゆる外交保護権であることを指摘したにとどまり,条約における請求権放棄が問題となる場合の請求権一般について述べられたものであるとはいえないし,また,個人が有する相手国の国内法上の請求権が放棄され又は主張し得なくなるか否かについてまで述べられたものとはいえない。
「日韓請求権協定第二条(案)とだ捕漁船問題」と題する昭和40年5月28日付け文書(甲A106)(外務省条約局名義の内部文書と思われる。)は,一部分判読不能であり,また正確な趣旨が必ずしも明らかではない部分があるが,文書全体としては拿捕漁船に関する国の請求権がいわゆる外交保護権に該当すること,また,この拿捕漁船に関する国の外交保護権について,本件協定により放棄することになるとの内容であって,請求権放棄が問題となる場合の上記以外の請求権も含めた請求権一般について記載されたものとは断定できない。また,日本国民個人の韓国政府に対する韓国国内法上の損害賠償等の請求権についての問題(これは,同文書の記載上明確ではないが,文書全体の趣旨からすると,例えば国家賠償責任や不法行為責任の成否に関する問題等をいうのではないかと解される)は,日韓請求権協定(。本件協定)の解釈問題とは別であるということが指摘されているといえるが,個人の韓国国内法上の請求権を本件協定によって放棄し又は主張し得ないこととするか否かについて記載されているものとは評価し得ない。
「(日韓請求権条項と在韓私有財産等に対する国内補償問題)」と題する昭和40年9月1日付け文書(甲A107)(外務省の内部文書と思われる。)は,本件協定2条3が日本国のいわゆる外交保護権を行使し得なくなることを意味すること,個人の権利について,権利自体が消滅するとすれば相手国政府の行為(措置)によってであり,本件協定によるのではないことが述べられているといえ,この内容は,従来国会答弁等で述べられてきた日本国政府の見解とほぼ同一であり,また,一見すると控訴人らの主張に沿うようにも思われる。しかし,厳密には,本件協定により、国際法上の効力という観点からみれば外交保護権を放棄することになること,個人の請求権の国内法的な効力として,実体法的に消滅させるものではないことを指摘したのみであるともいえるのであって,個人の請求権の国内法的な効力として,請求権は消滅せずとも権利行使が阻害されることになるのか否かは曖昧なままであったとみるのが相当である。
結局,本件協定について,上記各文書の記載内容あるいは従前日本国政府が明らかにしてきた見解は,国際法上の効力として外交保護権を放棄することとなる旨強調されてきたといえるものの,個人の請求権の国内法的な効力として,前記(2)に判示した趣旨において権利行使が阻害されると解することが,明らかな矛盾であるとまでは断定できない。 」
最判平19.4.27と日韓請求権協定について
(名古屋高判金沢支部判平22.3.8)
参考判示4
「イ 交渉経過等について
控訴人らは,本件協定の締結までの日韓両国の交渉において,勤労挺身隊の被害は考慮されていなかったと主張する。
確かに,本件協定の締結に至るまでの交渉において,勤労挺身隊に関して議論されたことを認めるに足りる証拠はなく,韓国側においては,その請求権について立証が困難であったことは前記認定のとおりである。しかし,前記認定のとおり,本件協定は最終的にいわゆる積み上げ方式による解決方法を断念し,いわば政治決着したものである。また,上記交渉経過において,本件協定の締結までに明らかとなっていない請求権について,これを本件協定2条3の「いかなる主張もすることができないもの」とする対象から外すことが検討された形跡はない。これらの経緯に加え,本件協定2条1において両締結国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されたこととなると明言されていることに照らすと,本件協定の締結当時明らかとなっていない請求権を含めて合意したものと解するのが相当というべきであって,交渉において勤労挺身隊に関する議論がされなかったからといって,控訴人らが本件において主張する請求権が,本件協定2条3の「いかなる主張もすることができない」対象に含まれることを否定することはできない。」
済みません、法学徒さん、このブログの読者はみんな暇なわけじゃないんで、もう少しポイントを要約して指摘してくださいませんかね?要求ばっかで済みませんけど。ちなみにこのブログ主はなんか良く判らない文章の原文をそのまま解説なしにベタベタ張ったりしないんで、それが気に入ってるんですけどね。
一次資料を重視するブログ主の趣旨からして原文引用が適切と判断していたのですが,私自身の責任で我が国の司法判断を要約すれば以下のとおりとなります。
(最判平19.4.27)
・平和条約を締結したにもかかわらず,司法救済を肯定すると平和条約締結の目的を達成することはできないことから,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおいては,請求権の民事裁判上の権利行使による解決を避ける趣旨であったと解される。
そのため,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権の放棄とは,請求権の消滅まで意味するとは解されないが,訴訟上請求権を行使する権能を失わせたものと解することが相当である。(したがって,債務者による任意の自発的な弁済は妨げられることはない。)
(名古屋高裁金沢支部判平22.3.8)
・日本企業の日韓請求権協定に基づく請求権放棄の抗弁により,韓国側は,請求権を訴訟上行使する権能を失ったと解されるため,請求棄却は免れない。
・日韓請求権協定の文言及び趣旨から,韓国側の,同協定は国家の外交保護権を放棄したのみとする主張は採用できない。
・国家は個人の請求権を処理することが認められているから,韓国側の,国家が個人の請求権を処理できないとする主張は採用できない。
・韓国側の,日本政府が過去に主張を変遷させているとの主張は,従来の日本政府の主張が条約解釈の決定的要素とまでは言えない上に,日本政府の過去の主張は,現在のものと矛盾するとまでは言えない。
・当時議論されていない問題を協定外とすることについての日韓政府の検討がなされた形跡は無く,また,同協定の趣旨からしても当時判明していなかった事項まで包括的に解決する趣旨であったと解すべきであるから,韓国側の,当時議論されていない時効は協定対象外とする主張は採用できない。
一法学徒 様
いつもコメントありがとうございます。
また、この度は有益な書き込み、大変ありがとうございました。
引き続き当ウェブサイトのご愛読ならびにお気軽なコメントを賜わりますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
いつも詳しい判例提示助かっていますよ。
解説して欲しいなら解説キボンヌとだけ書いた方が角も立たないでしょうに・・・。
一法学徒様
以前同様に判例ご提示いただき当方の考え方も整理するこたができました。
原文引用が可能であれば、それに勝る資料はありません。
非常に助かります。
匿名さんへ
ブログ主様の本文中でも一次資料(原文)を載せた上での解説、或いは引用元を記載した上での抜粋と言う形を取っています。
こと、判例などの場合一字一句が大事になるのは当然のことなので原文ママ・前文を紹介してくださっている一法学徒さんのスタンスのほうが良いと私は考えます。
お暇でないのなら読み飛ばしても良いのではないでしょうか?
「匿名」で反対意見を述べるほうが、よほどこのブログのスタンスに反しているとはお考えになりませんか?
一法学徒さん、本件に関係のある判例を、短時間の間にこれだけ紹介してくださることは、その道に居られるからこそ出来ることだと思いますし、大変参考になりました。ありがとうございます。
同意です。裁判官などの役人は短く話す能力がないのでしょう。会議でも長くしゃべる人ほど中身がないと思われています。
第3国に仲裁を依頼することの危険性を分かっているのかな?外人に何がわかるの?
保守太郎さんへ、第三国への付託は日韓請求権協定に定められた手続きですよ。貴方はそれを敗れとおっしゃるのですか?ブログ主は第三国への付託も含めてどうせ韓国が拒否してくるだろうから、それを見越して仲裁手続きをやれって話じゃないですか?第三国に仲裁を依頼するのが危険だって言い始めたらICJも危険だって話になりませんか?あなたがおっしゃってるのは究極的には国際的手続きを無視しろって話に聞こえるんですが、それだと主張がどっかのネトウヨとかパヨクとあんま変わんないですよ。このブログは冷静沈着だと思っているから読んでるんですが、ときどき保守太郎さんとか、あとカニなんとかみたいな、本当に低レベルなコメントがあるんで、がっかりです。
↑あれ?保守太郎さんに返信したと思ったけど返信できてませんでした。
私はカニさんは好きですよ…
私はチキンサラダさんとの論争は好感出来ました…
チキンサラダさんがダメとは違います。
カニさん、チキンサラダさんを尊敬していいます…
カニサラダおいしいですよね。クックパッドでもレシピが122品w
コンテクストがよくわかりませんが、私の名前が出てきたのでコメントをお返しします。
カニ太郎さんのコメントは面白いですよ。
無茶苦茶な針小棒大や事実誤認やら、論外なところも多いですが、他の人にない面白い視点もあります。
一方、レベルが低いと言う批評も、そう感じてる人がいるのなら、そう書くのは自由なんじゃないでしょうか。それをやめろというのは、まさに「上から目線」ですよねw
なお、具体例もあげアドバイスを散々したのに、それを一切なかったことにする方もおられるようですね。それこそ、そういう人は無視した方が良いですねw
2019/06/17 at 15:32付けの匿名様(今後、複数の匿名様が出現される可能性もあるので発言時刻を併記してどの匿名様の意見か特定できるようにしました)
第三国への付託はお説の通りと思います。
しかし、「ときどき保守太郎さんとか、あとカニなんとかみたいな、本当に低レベルなコメントがあるんで、がっかりです。」との記載は心情的には分かりますが、その指摘は如何なものかという気がします。
低レベルと思われる部分の記載にがっかりされるなら無視されのもよろしいでしょうし、一言アドバイスしたい場合は「ここの指摘はこのようにおかしい」とか、「このように論理的でない」、或いは「元記事の記述はカクカクシカジカのように書かれているからこのように理解すべきものである」と書かれた方がよろしいかと思います。
先日も「読解力不足のコメントが散見される」と書き込んだ方がおられましたが、そう感じるなら「当該部分はカクカクシカジカでこのように理解するのが適当であるが、投稿の内容では誤解されて書き込まれている」と指摘するか、無視されればよろしかろうと思いました。あまり上から目線で指摘するのはよろしくないように思います。
無視でも良いと思いますが、折角議論の場を提供されているのですから、同じ結論にならないにしても読者全員が少なくとも同じ方向に議論できる方がよろしいのではないでしょうか。
低レベルというのは匿名さんがそう感じておられるわけで、書き込んだ本人はそれなりのつもりで書き込んでいると思いますので、低レベルとおぼしき投稿もアドバイスによって納得され、読者全員が同じ方向に議論できれば最良の結果になると思います。そこまで時間を取れない場合は無視でもよろしいかと思います。
なお、アドバイスを書き込んでも改善されない場合は時間の無駄ですから無視がよろしかろうと思いますが。
保守太郎さんがどのような反応を示されるか興味がありますが、納得されれば一番良いのですが。
>第3国に仲裁を依頼することの危険性について
1)ICJなり 調停委員会などで「敗訴」する可能性はあります。ないのでしょうか?
2)程度の低い質問で恐縮ですが そうなった場合 日本はどう対処したらいいのでしょうか?
3)そうなった場合の対処法を考えないで (夢想すらしないで)ホイ つぎはICJ提訴だホイ・・・
まるで伝家の宝刀の如くもったいぶってる日本政府を見てると危なっかしいと言ってるのです。
4)危険性と2)の対応方法を準備したうえでなら 手続きに反対する理由はありません。
5)それより制裁を課すべきではないかと・・言っています。
さて 「程度の高い」ご意見を拝聴したいです。できれば端的に願います。
匿名さん(自称レベルの高いコメンテーターさん)からは
私のどこが間違っている ・・とか
どこがレベルが低いのかを 具体的にご指摘いただけませんようなので この項のF/Uは致しません。
(確か これで2度目ですね 残念です)
保守太郎さん、
私は保守太郎さんのコメントは面白いと思っていますが(だから、保守太郎さんにはいつも真面目なリプライをつけています)、「レベルが低い」とおっしゃる人の気持もわからないではありません。
たとえば、今回の元のコメントはこれですね。
> 第3国に仲裁を依頼することの危険性を分かっているのかな?外人に何がわかるの?
これは書き方が悪いですね。乱暴な言葉使いをすれば、貧しい発想しかできない人間なのかと誤解されがちですし、コメント内容を否定的にとられる可能性が高くなります。
そして、決定的なのは説明不足です。上記の文章だと保守太郎さんが日韓請求権協定を全く理解してないと勘違いされても仕方ありません。私ならこう書きます。
「第三国の仲裁にもリスクがあります。外国の仲裁者には日本の主張が理解されない可能性もあるのです。」
私は保守太郎さんの独特の視点は結構面白いと思ってるので、無茶苦茶な部分には、いつも突っ込んでないのですが、突っ込まれても仕方がない表現不足、事実誤認(と思われる点)、論理のつなりのなさ、は結構ありますよ。
せっかく面白い視点をお持ちなのですから、書き方を工夫すればもっと質の高いリプライもつくでしょうし、ネガティブなリプライで気を悪くすることもなくなるかと思います。
今更第二項における仲裁委員を選ぶというのは間に合わないでしょうからまずないと思います。その次の第三項で、例えば韓国がB国を指定したとします。その場合、日本が指定したA国とB国がそれぞれ仲裁委員を選出してから第三国であるC国を指定するために協議をすることになりますよね。その間の期限が書かれていないじゃないですか。第一項では4か月も協議に応じなかったことから分かり易いですけど、第三項の場合、期限が書かれていないため、韓国がB国を指定したとすれば厄介なことになるのではないでしょうか? 勿論、韓国がB国を指定すらしない、という可能性がいままでの行動から考えれば一番高いと思いますが。また、日本は日韓基本条約にかなり関係があるアメリカを指定するでしょうが、その場合は韓国はどこの国を指定するのでしょう? 中国を選べば自らのスタンスを明らかにするも同然だと思いますが。
テリー伊藤さんたちが出てるテレビで、法律関係の人が実際裁判になると結果はわからないと、言っていました。
文大統領も法律関係の人なので、裁判で日本から訴えられて勝つという瀬戸際にかけるしかないとおもいます。
日本が負けた場合、それでも日本は従いません。
国民感情から言ってもそうです。
文大統領は、そこはわかってないとおもいます。
すみません。
形式的、表面上は従っても、実際は報復するということです。
更新ありがとうございます。
え〜。いろんなご意見が見れて楽しみです。先程上の方で、「無視するのもよろしいかと」というコメント様がありましたが、おっしゃる通りと思います。
私も読まれている立場から言うと、「またこの人かあ〜」と思われているのは覚悟の上で投稿してます。逆に自分も興味の薄い会計士さんの論題なら、中を開けません(笑)。
また特定の方のコメントは、スルーする事もあります。それでいいんじゃないですか。会計士さんが、全部一応目を通しているので。
あッ徴用工の件ですが、仲裁はこのまま、韓国は何も動かないでしょう。ICJも多分「ウリは関係ない」と知らんぷり。そういうヤカラですよ、韓国人は。
でも国としての信用、責任全くデタラメというのが世界に知られます。そこまで行ってビザ免除短縮以上の経済制裁GO!ではないですか。早よ潰れて欲しいわ(大笑)。
全く同感です。