最近、当ウェブサイトでは1日に1回は韓国に関する最新ニュースに触れているような気がするのですが、その理由は、やはり、韓国が日韓関係悪化に伴い急激に苦境に追い込まれていることと、それにともない韓国側で再び「用日派」の動きが活発化していること、何より日本側でもこの「用日派」に呼応する「親韓派」が不気味な動きを見せていることを警戒しなければならないからです。
なぜ日本側が「条件なし」に会うのですか?
本日の韓国メディア『中央日報』(日本語版)に、こんな記事を発見しました。
<危機の韓日関係、連続診断4>文-安倍、大阪G20で条件なく会うべき(2019年05月29日11時03分付 中央日報日本語版より)
リンク先記事のは、文字数でいえば3000文字を超える、中央日報としては珍しい長文記事ですが、それと同時に「地の文」と「発言」の区別がついていないなど、非常にわかり辛い悪文です。
ただ、あえてこれを解読すると、この記事は「韓日ビジョンフォーラム」という、韓国の元外交官、経済界、学界、言論界の「専門家」16人らが結成したとされる団体の第4回会合の様子を記事に仕立てたもののようです。
(※ちなみに記事のタイトルに「4」とありますが、その1つ前の『<危機の韓日関係、連続診断3>日本は重要な安保パートナー…両国関係“急性疾患”の治癒を』という記事については、当ウェブサイトでも約2週間前に『【ショートメモ】韓国では友好国にレーダー照射するのですか?』で紹介しています。)
この「韓日ビジョンフォーラム」は、申珏秀(しん・かくしゅう)元駐日大使が運営委員長を、洪錫炫(こう・しゃくげん)韓半島平和構築理事が代表を務め、ほかにも朴喆熙(ぼく・てつき)ソウル大学国際大学院教授らが参加しているようです。
ちなみに、おそらく朴喆熙氏の発言だと思われるのが、次の下りです。
韓国を除いて中国と日本の関係が急激に良くなった。日中は戦争をした関係であり、中国も歴史を手段として使う。しかしいつでも手を握ることができる関係だ。一方、韓国は常に歴史を前に出す。朴槿恵政権もそうで、文在寅政権でも繰り返されている。歴史を前に出すため日本との距離を狭めるのが難しい。
少なくとも明治以降、日本と戦争をしたことがない韓国が日本を目の敵にする一方、日本と戦争をしたことがある中国が、日本との関係改善を志向しているというのも興味深い点ですし、「常に歴史を前面に押し出して日本との関係を損ねる」というのは、まさに韓国社会の悪弊でしょう。そのうえで朴氏は
米中覇権競争ではヘッジング(リスク分散)が求められる。片目だけでする外交は危険だ。中国とも柔軟な関係が必要だ。韓日関係もこうした大局的、巨視的な観点で眺める必要がある
と主張しているのですが、「柔軟な外交」以前に、そもそも歴史を前面に出して日本と対決すること自体が間違っているという点にどうして気付かないのかと疑問を抱かざるを得ません。
「条件なしに会う」は加害者が言って良い話ではない
それはともかく、この中央日報の記事では、この「韓日ビジョンフォーラム」の第4回会合では、
世界の主要20カ国・地域(G20)首脳会議を契機に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相が条件なしに会って首脳会談をすることが問題解決の第一歩という意見をまとめた
とする結論を出したのだとか。
ここでいう「条件なしに会う」とは、おそらく安倍晋三総理大臣が北朝鮮の独裁者である金正恩(きん・しょうおん)と「条件なしに会ってやっても良い」という姿勢を示していることを強く意識しているのだと思いますが、これを「韓国の側から」主張するのはおかしな話です。
なぜなら、昨今、日韓関係が悪化している責任は、100%、すべて韓国側にあるからです。
旭日旗騒動にしてもそうですし、自称元徴用工判決問題にしてもそうです。あるいは国会議長による上皇陛下に対する侮辱事件や、自衛隊哨戒機に対する火器管制レーダー照射事件についても、韓国側は日本に対し、一切、謝罪を行っていません。
この状態で、「日韓首脳会談をするなら日本が条件を付ける」のも、当然すぎる話でしょう。
そのうえでこのフォーラムは、
「葛藤の原因である強制徴用問題は今すぐ解決方法を出すのが難しいとしても、韓国政府が問題の解決に向けて動いているという信号を送れば、韓日首脳会談は開かれるはず」
と述べているのですが、果たしてこれが本当に「各界専門家」とやらが出した結論なのでしょうか?
本当に意味が分かりません。
自称元徴用工問題は、①日韓間のすべての請求権問題は1965年の日韓請求権協定で最終的かつ完全に決着がついていること、②自称「元徴用工」の多くが「元徴用工」と名乗っていること自体、信憑性が疑わしいこと、という意味で、100%、韓国側のみに責任があります。
日本がこれにまともに取り合う必要などありません。
ちなみに、崔相龍(さい・そうりゅう)元駐日大使の発言がなかなか凄いと思います。
「いま強制徴用は適当な答案がない状態だが、時間的にもG20までに接点を見いだすのが容易でない。だからといって両国の首脳が会わなければ、さらに大きな問題となる。意味のある結果を出せないとしても、ひとまず会わなければいけない。中長期的には日朝国交正常化を推進する過程で文在寅大統領と安倍首相が協力して信頼を構築する必要がある。」
果たしてこの人物、本当に「駐日大使」だったのでしょうか?
「信頼を構築」するもなにも、今まで日韓間の信頼を破壊して来たのは、文在寅(ぶん・ざいいん)氏の方でしょうに。なぜ安倍総理がそんな人物とこれから新たに「信頼を構築」しなければならないというのでしょうか。
「ワタミ」さんしか相手にしてくれなかった
ところで、この中央日報の記事には、国家未来研究院長の金広斗(きん・こうと)氏による、次のような発言も紹介されています。
「韓日経済協力委員会のような韓日財界人会合で議論し、両国の企業が出す基金を通じて解決することも考慮できる。」
この点については、ひと昔前、日本側にも中曽根康弘元首相を筆頭とする「外交事なかれ主義者」が生きていた頃であれば、まだ日本側にもそれに呼応するという意見があったかもしれません(※もっとも、中曽根元首相はまだ生きていますが…)。
しかし、立憲民主党や日本共産党のような反日政党ならいざ知らず、この期に及んで「韓国側に配慮しよう」という政治家は、少なくとも自民党では極めて少数派でしょう(二階俊博氏や額賀福志郎氏のような例外もいますが…)。
逆に、韓国に配慮しようとする議員が出てくれば、自身の再選を心配しなければならないかもしれません。
その証拠が、次の記事ではないでしょうか。
「合わせて20選」韓国議員5人を日本は初当選議員1人が相手 「このような冷遇初めて」(2019年05月29日13時59分付 中央日報日本語版より)
中央日報によると、28日から1泊2日の予定で日本を訪れている、「合わせて20選」という5人の韓国の重鎮議員に会ったのが、「ワタミ株式会社」の創業者としても知られる、自民党所属の渡邉美樹・参議院議員(しかも当選1回目)だけだったのだそうです。
しかも、中央日報の記事では触れられていませんが、渡邉氏はおそらく、改選となる今年7月の参議院議員通常選挙には出馬せずに政界を引退するとされています(2019/02/28付 文春オンライン『渡邉美樹が政界引退 元祖ポエム企業「ワタミ」はいかにして時代に乗り遅れたのか』参照)。
つまり、韓国側から「重鎮議員」が来日しているにもかかわらず、すでに政治家として「終わった人」である渡邉氏くらいしか相手にしてくれなかったのです。
中央日報は、これらの「合計当選回数20回」の5人の重鎮議員は、訪日を準備していた段階から日本側の冷ややかな反応に直面し、駐日韓国大使館を通じて接触した衆院外交委員会の若宮健嗣議員(自民党)に至っては「特別な理由もなく回答をしなかった」ほどだったとしています。
これについて兪奇濬(ゆ・きしゅん)議員は中央日報に対し、
「これまで公務で日本を7~8回訪問したが、このような冷遇を受けたのは今回が初めて」
と打ち明けたのだそうですが、これこそまさに、現在の日本の政界における雰囲気を象徴しているのでしょう。
また、議員団の1人である尹相現(いん・そうげん)国会外交・統一委員長は
「韓国と日本の政府が先に手を差し出して問題解決に対する意志を見せるべきなのに、そのような意志があまり見られない」
と述べたとしていますが、本気でそう言っているのだとしたら、ムシが良いとしか言いようがありません。
日本側からの呼応に警戒せよ
以上、韓国の「保守派(用日派)」からの「韓日関係改善」に関するメッセージは大量に出て来ているのですが、今のところ、日本側にこれに呼応する動きは限定的です。ただ、こうした中で、本稿で紹介した2つの記事の末尾に、それぞれ、非常に気になる話も掲載されていました。
最初に紹介した『文-安倍、大阪G20で条件なく会うべき』の末尾には、元駐日大使の申珏秀氏の次の発言が掲載されています。
「日本政府は韓国政府が動かないため圧力手段としてG20の首脳会談を持ち出しているようだ。G20で両国の首脳会談が開かれないのは主催国の日本としても望むことではない。韓国政府が動いているというサインを送ってある程度の誠意を見せれば、問題は先に延ばしながら首脳会談ができるだろう。」(※下線部は引用者による加工)
この、「G20で日韓首脳会談が開かれないことは、主催国である日本にとっても不本意なことだ」といった見方は、あながち無視できません。
というのも、『「文在寅氏は日韓首脳会談を望んでいる」、本当ですか?』や『「別に日韓関係改善を望んでいない」というのは日本も同じ?』などで触れたとおり、こうした見方は日本のメディアにも広範囲に見られるものだからです。
また、『韓国議員5人を日本は初当選議員1人が相手』の方の記事では、末尾に「日本側も日韓外交フォーラム準備中」だ、とする下りがあります。
「東京の外交消息筋は「日本国会内でも森喜朗元首相を中心に『日韓外交フォーラム』の発足を準備する動きがあると承知している」とし「このフォーラムが発足すれば『韓日議会フォーラム』との交流が本格化するだろう」と明らかにした。」
正直、こうした動きが日本の側から出て来ることは、十分に想定しておくべきでしょう。
中央日報は森善朗氏という実名を挙げていますが、ほかにも日韓議連の関連議員や二階俊博氏など、自民党内にも、隙あらば日本の国益を韓国に譲渡しようとする人たちが跋扈していますし、日本経済新聞や経団連企業などの動きも気になるところだからです。
その意味では、普段から申し上げているとおり、日韓関係とは、「韓国ざま見ろ」と悪態をついて溜飲を下げて済む問題ではないのです。
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おっしゃる通りです
要注意ですね
件の韓国議員は野党に声を掛ければよかったのに・・。
>森善朗氏という実名
これ存在感が全く無かった森喜朗(しんきろう)氏のことですね。
元記事には元首相とあります。
確かに、渡邉美樹 参議院議員一人のみでの来日韓国国会議員対応が現在の自民党の大勢を示していますね。
https://www.asahi.com/articles/ASM5S5JVHM5SULFA02X.html
ちなみに渡邉美樹 参議院議員は次期参院選には出馬せず、ワタミに戻るとご自身が明言されています。
森元は二階より力があるから危険だね
それにしても日本企業が資産を略奪されているのに、売国奴ばかりの政治家にはウンザリする
韓国議員団が注視すべきこと、考慮すべきことは、相手が小物で欠礼だとか言ったメンツの話ではないでしょう。
もう次の選挙を戦わない議員しか来ない=日本の議員は韓国の議員と面会することが得票に損になると判断している=日本国民の過半数は韓国と話し合うべきとは考えていないし、いわんや妥協して和解しようとは思ってもいない(と日本の議員は認識している)
向き合わなきゃ、現実と。
もう「どっちも悪い」で済む段階じゃないんです。非礼と捏造と約束違反を謝罪し賠償して、やっと話が始まる(かもしれない)状況です。
もし韓国の議員の皆さんが、皆さんの表看板である「愛国者」であるのなら、自らの体面を捨てて焼き土下座して情けを乞うことができるはずです。できますよね?
自転車の修理ばかりしているさんへ
>自らの体面を捨てて焼き土下座して情けを乞う
トネガワ?
鞍馬天狗様
「本来できるはずなのだ……!本当にすまないという気持ちで………胸がいっぱいなら……!
どこであれ土下座ができる……!たとえそれが……
肉 焦がし……骨 焼く………鉄板の上でもっ……………!」(ニコニコ大百科)
たぶん韓国が思い描いている日本の謝罪と言うのはこの種のものでしょうから、ちょっと見本を見せてほしいと思うのです。
金丸のように金の延べ棒が欲しいのか、あるいは、キーセンパーティが望みなのか。韓国に絡んだ政治家は、このどちらか。当然、落選ですね。
更新ありがとうございます。
5人の韓国議員団がやって来て、日本側はブラック企業ワ◯ミの会長1人で対応ですか(笑)。それもいろいろあって、辞める人(爆笑)。議員団なんか送り込まずに、韓国の貴族労組員を100人ぐらいワ◯ミに修行に出せばいいんだ。労働者の環境が良く分かるよ。
それに罵声飛ばすは残業は付けられないわ、酷いもんだ。韓国の労働者が味わってみたら大人しく仕事するだろう(3日で辞めるかどっちか)。
『オイ、早よせんかいッ』『作業が遅いんだ!ボケッ!』『誰が帰っていい言うた?片付け終わったら、掃除や!』『ボヤボヤすんなッこのドアホ!』『明日は1時間早く入れッ』、、まあ韓国人ならマジ続かんわ(大笑)。
そこの大将が韓国人議員相手した。ぜんぜん何を言われても堪えてないと思うよ。
G20で安倍ー文会談、、500%無いわ。韓国人は外交の世界でも「カウンターパート」と言いながら、カウンターに責任者居ないやん!いつも「無人くん」で、日本には居丈高に吠えようとする。文キチさんは敬愛する金正恩の文章だけ、丸暗記しとけ!
毎々の執筆、ありがとうございます。
本文とは関係なく、申し訳ありませんが。。。
先程、こんな記事が出てきました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190529-00010001-jindepth-int
韓国で大統領の弾劾希望が20万票超に達してしまったそうです。
青瓦台が何らかのコメントか対応を出してくるのだと思うのですが、
まぁ、余計な事をしてくれた。と思うのは私だけではないと思います。
前大統領と同じ様に弾劾が認められると、投獄ですかね。
次期大統領が文氏を上回る能力を発揮してくれれば御の字ですが、
至ってまともな人物だと、日本政府もどうするのかと興味が尽きません。
失礼いたしました。
ここが正念場だと存じます。
この機会を逃しては、あの国家とは関係清算する機会がまた来る保証はありません。
日本という国家が正気を保っている内に、心を強く持って事に当たって下さい。
また、あのような国家が相手であっても、日本は決して汚名を着てはいけない。
世界が観ている前で、一本の後ろ指も指されることなく、あの国の不法を糾弾し、関係の清算へ進みましょう。
子や孫、大切な人にあの国に関わるものを負わせることはしてはいけません。