久しぶりに驚いてしまいました。韓国の文喜相（ぶん・きそう）国会議長がブルームバーグのインタビューに応じ、天皇陛下に自称元慰安婦らへの謝罪を求めたからです。2012年に李明博（り・めいはく）元大統領が島根県・竹島に不法上陸し、天皇陛下を侮辱した事件を思い出します。私の理解だと、私自身を含めた日本国民の多くは、天皇陛下を公然と侮辱されて平然としていられるほど寛容ではないと思いますし、もしそうだとしたら、文氏のこの暴言は、ただでさえ破滅の淵にある日韓関係に影響を与えないはずはありません。

2019/02/09 0:45追記

匿名のコメント主様からのご指摘で、仮訳を一部修正しております。匿名のコメント主様、ご指摘大変ありがとうございました。

無礼で傲慢な韓国国会議長

久しぶりにびっくりしてしまいました。

South Korea Lawmaker Seeks Imperial Apology for Japan Sex Slaves（2019年2月8日 18:38 JST付　Bloombergより）

直訳すれば『南朝鮮の国会議員、日本の性的奴隷に天皇の謝罪を求める』、といったところでしょうか？

「性的奴隷（sex slaves）」とは、いうまでもなく、日本では「（従軍）慰安婦問題」として知られる問題のことです。これは、簡単にいえば、

「1941年12月９日から1945年８月15日の期間、日本軍が組織としての意思決定に基づき、朝鮮半島で少女のみ20万人を誘拐し、本人の意思に反して戦場に強制連行して性的奴隷として酷使した」

と韓国側が主張している問題のことです。

日本国民の皆さん、是非、英語メディアで「性的奴隷」（wartime sex slaves）という言葉が現在でも堂々と使われているという事実に向き合ってください。この言葉が使われるたびに、私たち日本人すべての名誉と尊厳が傷つけられているのです。

ただ、私が日本国民の１人として、深い憤りを感じているのは、このブルームバーグの記事タイトルに、いつもどおりの “sex slaves” という単語が使われていることに対して、だけではありません。

韓国の文喜相（ぶん・きそう）国会議長がブルームバーグのインタビューに対し、「性的奴隷の問題に対し、天皇がみずから彼女らに対して手をついて謝罪すべきだ」、と述べたことに対しても、強い怒りを抱いているのです。

慰安婦問題の本質は日本に対するヘイト

まずは、原文を確認しておきましょう（カッコ内は私自身による参考訳です）。

Japan’s emperor should hold hands with women forced to work in the country’s military brothels and make a personal apology if Tokyo wants to end the decades-old dispute, South Korea’s top lawmaker said.（南朝鮮の国会議長は、もし日本政府が数十年来の戦時性奴隷問題を解決しようと思うのならば、日本の天皇が日本の軍隊によって強制労働させられた女性たちに手をついてと手をつないで個人的な謝罪をすることが必要だと述べた。）

（※韓国のことを英語では “South Korea” （南朝鮮、あるいは南韓国）と呼ぶことは一般に見られる話です。ここでも、 “South Korea” を、原文に忠実に「南朝鮮」と表記しています。）

※2019/02/09 0:45追記：匿名コメント主様のご指摘で訳を一部修正し、取り消した部分を打ち消し線で、追加した部分を赤字で記載しています。

何と無礼で傲慢な物言いなのでしょうか？

もちろん、百歩譲って（いや、一万歩譲って）、日本軍が本当に「戦時性奴隷」問題を起こしていたのならば、道義的に私たち日本国民が謝罪しなければならない、という主張が理解できなくはありません。

しかし、いわゆる「慰安婦問題」は、朝日新聞社が捏造し、これに韓国国民や歴代の韓国の政権が尾ひれを付ける形で、「20万人の少女を強制連行して性的奴隷にした」という与太話に仕立て上げたものでもあります。

少なくとも私は日本国民の１人として、この「慰安婦問題」が「事実である」かのように扱うことは断じて許せませんし、日本政府自身、もっと強力に「慰安婦問題は朝日新聞社と韓国政府らによる捏造である」という事実を発信する義務があると考えています。

日本政府の責任

ただ、困ったことには、この問題を巡って日本の責任は皆無であるとはいえません。

その最大の理由は、1993年に当時の官房長官だった河野洋平が、事実上、「軍による強制性があった」と独断で認めてしまったからですが（いわゆる『河野談話』）、それだけではありません。

たとえば国連で1996年に、いわゆる「クマラスワミ報告」が出て来た時も、日本政府はいったん作成した反論文をなぜか撤回してしまいましたし、慰安婦問題の中核をなす「日本軍による強制性」が虚偽であったという点を強く主張して来なかったことが、問題をここまでこじらせたという側面はあるでしょう。

さらには、安倍晋三政権にも大きな問題があります。

2015年12月28日に行われた、岸田文雄外相と韓国の尹炳世（いん・へいせい）外交部長官の「日韓外相会談」では、両外相が（口頭で）次のような点で合意したからです。

• ①慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感し、安倍晋三総理大臣は日本国を代表して心からおわびと反省の気持ちを表明する。
• ②韓国政府は元慰安婦の支援を目的とした財団を設立し、日本政府はその財団に対し、政府予算から10億円を一括で拠出する。
• ③韓国政府は在韓国日本大使館前に慰安婦像が設置されている問題を巡って、適切に解決されるように努力する。
• ④上記②の措置が実施されるとの前提で、日韓両国政府は、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認し、あわせて本問題について、国連等国際社会において互いに非難・批判することを控える。（※下線部は引用者による加工）

①の下線部にあるとおり、安倍政権下でも、慰安婦問題が河野談話にあった「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」という表現をそのまま踏襲してしまったからです。

慰安婦合意自体、日本がその後の韓国の、少なくとも朴槿恵（ぼく・きんけい）政権の行動を縛ったという意義があったことは間違いありませんし、また、文在寅（ぶん・ざいいん）政権が慰安婦合意を事実上、破棄しつつあることは、日本が韓国を道義的に責め立てる材料の１つでもあります。

ただ、やはり、「やってもいない罪」をわざわざ認めてしまったという点については、手弁当で慰安婦問題のウソと戦っている多くの日本国民の気持ちを踏みにじる暴挙でもありますし、私自身は安倍政権も含めて責任重大だと考えているのです。

こんな人物が国会議長とは！

いずれにせよ、ブルームバーグの記事でもわかるとおり、韓国が主張する「慰安婦問題」は、少なくとも英語圏では「性的奴隷（wartime sex slaves）の問題」とされており、まるで日本が国を挙げて性犯罪を犯したかのようなウソがまかり通っている状態なのです。

先ほどの記事の続きを読んでみましょう。

National Assembly Speaker Moon Hee-sang said in an interview Thursday that Japanese Emperor Akihito — as the “the son of the main culprit of war crimes” — should deliver the apology before his planned abdication in May. （国会の議長であるモオン・ヘエ・サングは木曜日、インタビューに対し、日本の天皇・明仁は、「戦争犯罪における最大の犯人」の息子として、５月に退位する前に、謝罪を伝えるべきだと述べた。）

“The son of the main culprit of war crimes” をどう訳すか、少し悩んだのですが（ “culprit” には刑事被告人、容疑者、罪人などの意味があるそうです）、ここでは便宜上、「戦争犯罪における最大の犯人」としてみました。

他にも、引用するのもはばかられるほど酷い表現が出てくるのですが、この人物は李明博（り・めいはく）元大統領が、2012年８月に天皇陛下を侮辱する発言を行ったことで、当時の日本国民がどう反応したのか、何も学んでいないのでしょうか？

いずれにせよ、昭和天皇と今上天皇に対して、極めて無礼であるだけでなく、文氏は日本国民全体を侮辱したわけです。こんな人物が隣国の国会議長を務めているという事実を、私たちは深刻に受け止めるべきではないでしょうか？

日本語版はずいぶんニュアンスが違います

さて、先ほどの記事については、日本語版では随分とニュアンスが違います。

従軍慰安婦問題は天皇の謝罪の一言で解決される－韓国国会議長（2019年2月8日 18:38 JST付　Bloomberg日本語版より）

まず、日本語版で使われているのは「従軍慰安婦」という用語であり、 “sex slaves” 、つまり「性的奴隷」という用語は出て来ません。この時点で、英語の記事の翻訳としては、意訳のし過ぎです。

また、文氏の話した内容は

「一言でいいのだ。日本を代表する首相かあるいは、私としては間もなく退位される天皇が望ましいと思う。その方は戦争犯罪の主犯の息子ではないか。そのような方が一度おばあさんの手を握り、本当に申し訳なかったと一言いえば、すっかり解消されるだろう」（※下線部は引用者による加工）

とあります。

“The son of the main culprit of war crimes” という表現は「戦争犯罪の主犯の息子」と、ややマイルドな表現となっています（※だからといってこのような表現をしてよい、という話ではありません）。

また、下線部ではしらじらしく敬語表現になっています。ただ、おそらく同紙はインタビューを受けている際には韓国語で答えたのだと思いますが、果たしてインタビュー時に韓国語で敬語を使ったのかどうかすら、怪しいところです。

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さて、ブルームバーグの報道では、英語版、日本語版ともに、日本政府は同氏の発言に対して今のところコメントを行っていないとしていますが、私に言わせれば、首相官邸や日本政府の反応はあまり重要ではありません。

むしろ重要なのは、私たち日本国民がこれからどのような反応をするか、という点です。

韓国観光公社が公表している「観光統計」を眺めていると、前回、2012年８月に李明博大統領（当時）が竹島に上陸するとともに天皇陛下を侮辱した際には、翌・９月以降、韓国を訪れた日本国民が前年同月割れとなりました（図表）。

図表　訪韓日本人数の推移（2011年と2012年の比較）

月	2011年	2012年	増減
８月	325,927	346,950	21,023
９月	321,231	308,882	-12,349
10月	340,172	269,732	-70,440
11月	331,721	249,481	-82,240
12月	299,069	227,227	-71,842
翌１月	244,370	206,474	-37,896
２月	294,317	217,153	-77,164
３月	360,719	288,900	-71,819
４月	298,656	202,529	-96,127
５月	316,598	222,936	-93,662
６月	302,383	201,163	-101,220
７月	299,477	208,219	-91,258
８月	346,950	270,582	-76,368

（【出所】韓国観光公社統計より著者作成）

今回の発言者は「現職大統領」ではありませんが、それでも「国会議長」という要職者です。韓国の要職者がこのような発言をするたびに、日本国民の心は間違いなく、韓国から離れていくように思えるのですが、如何でしょうか？