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新聞記者を鳩やヤギに例えた高橋洋一氏に謝罪を求める

先ほどの『新聞衰退は自業自得 これからはウェブ言論繚乱の時代だ』の続きですが、現代ビジネスというウェブサイトに、嘉悦大学教授の髙橋洋一氏が、まことに興味深い論考を寄稿されています。新聞社に対してチクッと刺すような論考が小気味よいと感じるのは私だけではないと思います。

髙橋洋一氏の要点を突いた良文

「押し紙」の問題、偏向・捏造報道などの問題などを巡り、私がかねてより新聞の社会的意義については強い疑念を抱いているという点については、以前から当ウェブサイトでも主張しており、この話題は今朝方も『新聞衰退は自業自得 これからはウェブ言論繚乱の時代だ』で触れたとおりです。

ところで、日経ビジネス副編集長などの要職を経験された経済ジャーナリストの磯山友幸氏が執筆し、『マネー現代』に掲載された記事については、先ほども私自身が批判的に取り上げたばかりですが、同氏の記事に違和感を抱いているのは私だけではなさそうです。

というよりも、この磯山氏が寄稿したのと同じ講談社のウェブサイト『現代ビジネス』に、なかなか興味深い反論が掲載されていたからです。

人生の半分を「新聞なし」で生きてきた私が新聞の凋落問題に思うこと(2019/01/28付 現代ビジネスより)

執筆者は嘉悦大学教授の髙橋洋一氏であり、リンク先はウェブページに換算して4ページ分の長文ですが、軽妙にして要点を得た良文であり、すんなりと読むことができるでしょう。

鳩に豆まき、ヤギに紙やり

ただ、私がこの髙橋氏の文章を読んで、どうしても承服できない下りがありました。それが、次の下りです。

筆者も、課長や課長補佐時代に多くの「マスコミ対策」を行った。そのためのいち手段として、日頃から、マスコミへの「小ネタ」を提供していた。言い方は悪いが、いわゆる「鳩への豆まき」だ。/役所から見れば、マスコミ記者は「鳩」であり、その餌付けのために「豆をまく」という感覚である。なぜ「鳩」かというと、マスコミの記者は自分で考えることが少なく、記憶しようという努力も怠ることから、鳥並みである、というわけだ。

髙橋さん!

あまりにも無礼ですよ、この言い方は!

これだとまるで鳩や鳥が「自分で考えず、記憶しようとする努力も怠っている」とでも言っているようなものですが、これは非常に不適切です。「伝書鳩」でも知られるとおり、鳩は非常に賢く、なかなか侮れません。

髙橋氏の文章に含まれる問題点は、これだけではありません。

マスコミの方には申し訳なのだが、役人が「豆まき(レク)」をすると、かならず「紙」をくれといわれる。そうでないと、デスクが納得しないからという。なので、役人からみると、マスコミ記者は「ヤギ」にも見えた。「紙くれ」「紙くれ」というからだ(紙、とはその政策や発表に関する資料のこと)。

マスコミ記者を「ヤギ」に例えたこの下りも、実に失礼ではないでしょうか。ヤギに対して。

髙橋氏は

まだ「ヤギ」のほうが「鳥」より賢いだろうが、いずれにせよマスコミにすれば気分が悪いだろう。しかし、実際に官僚のもとに来る記者のほとんどが、自分でものを考えようとしなかったし、官僚からのレクや紙に頼るばかりだった。

と述べていますが、「ヤギや鳩に例えられて気分が悪い」のは、マスコミの方ではなく、むしろヤギや鳩の方ではないでしょうか?

髙橋さん、これらの下りについてはただちに撤回し、すべての鳩やヤギの皆さんに謝罪してください!

もちろん、優れた記者もいます

…というのは冗談にしても、実際、新聞記者の中には役所の発表を鵜呑みにしている人が相当に多いことは事実でしょう(といっても、新聞社の「中の人」が全員、鳩だのヤギだのと決めつけることは適切ではありませんが…)。

また、私の目から見て優れた記者、ジャーナリストの方々もいらっしゃいます。

慰安婦問題を捏造した朝日新聞にしたって、ソウル支局長の牧野愛博氏のようにスクープ記事を連発する人物もいますし、首相官邸のホームページから菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官の記者会見を視聴していると、「参考になる」と思う質問をする記者もたしかに存在しています。

しかし、全体としてみると、新聞社(やテレビ局)は、参入障壁に守られ、記者クラブ制度の恩恵を受けている利権集団でもありますし、得てして利権にドップリ浸かっている組織に在籍していると、本当の問題点が見えなくなってしまいかねません。

もっとも、髙橋氏の文章をきちんと読めば、「新聞記者のすべてが鳩やヤギだ」などと決めつけているわけではないことはわかると思います。実際、髙橋氏の記事では、末尾に新聞社や新聞記者に対し、非常に耳の痛い提言をされています。

官庁や企業に頼らなくても独自の情報を取ってこれる記者や、一次情報に付加価値を付けられる健全なジャーナリストはやっていけるだろうが、一次情報の媒介者にしかなれない記者や、そうした情報だけで紙面を構成しているようでは、ますます「凋落」は進むだろう。さよなら、既存の新聞社。

しかし、こうした指摘に耳を貸すほど日本のマスコミ経営者が素直であるとも思えません。

一次情報の媒介者にしかなれない記者や新聞社に付加価値がないことは言うまでもありませんが、一次情報を「捏造・歪曲」している新聞社などは論外です。日本のためを思うなら、そういう新聞社にはさっさと潰れてもらった方がありがたいです。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ちなみに「一次情報に付加価値を付けられる人」という意味では、べつにジャーナリストでなくたって構いません。

私たちのごとき一般社会人であっても、自分の得意分野に限定すれば、「ウェブ評論家」として、それなりに深い議論を展開できることもあるからです。

そのうえで、申し上げておきます。

「新聞社の経営危機は必ずしも日本の言論界や民主主義の危機を意味するものではない」、と。

新宿会計士:

View Comments (14)

  • 商業主義が第一で、スポンサーの忖度から言説の方向性と何が正しいかを自分らが都合良いように勝手に決めてしまっている。
    そんな中で働いていたら、記者が自分で物事を考えることが出来なくなって当たり前だと思うんですよね。
    ジャーナリズムは権力の腐敗を防ぐために必要だと言っておきながら、自身が何が正しいか評価できるだけの能力を持たなくなっているとも思えます。
    マスコミ、メディアのジャーナリズム、中立性や公共性に関する姿勢は本当どうなのか?と思いますが、その構成員たる記者の資質からすると、仮に真のジャーナリズムが発揮できる状況に変わったとしても、今度は能力的に真実を伝えることやチェック機能を働かすことができないという気がします。
    勿論組織の中で頑張っている方、使命感を持っている方がいらっしゃるとは思うのですが、全体の評価では、なかなかここまでプロ意識が低い業種もないと言わざるを得ないですね。

  • 今朝、高橋洋一先生のこの寄稿をみて大笑いしていたとこでした。
    たしかに、鳥やヤギに対して失礼ですマスゴミの例えに使われるなんて!
    とかくいう我が家も新聞取らなくなって30年は経ちますが生活やビジネスで支障をきたしたことはありません。

  • ハトだ、ヤギだとからかわれた経験はマスコミ関係者なら多いかも知れませんね。「それじゃあヤク(役)だヤクだと騒ぎまわるオマエらはヒロポン中毒かよ」ってやり返しましたけど。

  • 前の記事に「情報の直取引」「情報のメルカリを作って商売してはどうか」と与太話を書きましたが、

    > 一次情報に付加価値を付けられる健全なジャーナリストはやっていけるだろうが、
    > 一次情報の媒介者にしかなれない記者や、そうした情報だけで紙面を構成しているようでは、
    > ますます「凋落」は進むだろう。

    ということなのですね。高橋教授、ありがとうございます。

  • 一般人でも一次情報にアクセスできるようになったと言ってもなかなか官邸のHPや企業のプレスリリースなど個別に見に行くのはしんどいです。なのでマスコミがうまくまとめて正確に記事を書いてくれればただの伝書バトでもそれなりの存在価値はあるように思います。

    それより問題なのが一部を切り取って曲解したり新聞社のポリシーに沿った結論を無理やり導いて読者を洗脳するプロパガンダの方がよっぽど問題です。一次ソースをそのまま変な色付けをしないで提供してくれる新聞があればむしろ購読したいです。

  •  仕事帰りに立ち寄る古本屋で高橋洋一氏の著書を斜め読みしたことが
    あり皮肉屋さんと見ましたが、実体験といえど文字がきついかなと思う。
    本サイト主様が謝罪を求めるのも頷けます。

     ところで、永らく在外邦人で帰国し1年あまりですが、私も新聞購読
    していません。どの日本の新聞も情報にならない。ネットで充分という
    かネットの方がわかる。海外では選ぶ新聞社によるのですが、2~3週
    間分の新聞を日曜日に2~3時間かけて読むのが私の習慣でして、執筆
    者が変わる場合もあるが記事に連続性があり記事が情報になる。
    海外ではすべての記事が正当なものでない場合も多いですが。それも判
    定するのは読者つまり私ですけど。
    帰国し1週間あまり駅売店で新聞購入したが、日本の新聞は、記事が消
    えたりするので困る。高橋洋一氏のご指摘でその理由も漠然と理解。

    ただ、Y新聞の文化紙面だけは嫁さんが気に入ったようなので、勤め先
    でスキャンしてPDFにして持ち帰りという程度です。私も読みます。

     新聞記者さん達も様々な方居られるでしょうから、高橋洋一氏の表現
    は総論的であるということで謝罪というか訂正を求める程度でもよいの
    ではと思うのですが。高橋洋一氏の独特な表現とも受け止めてもよいか
    と思えなくもないと。

     私の言論、表現の自由と日本のそれとが合致していないようなで書け
    ることがないですが、高橋洋一氏というユニークな方が居られることは
    日本は面白いとだけ書きます。

  • 更新ありがとうございます。

    そういえば若かりし頃(ココのサイトは爺婆ばかりが占拠しているのか 笑)、司会者や発表者の話を上の空で、終わってから担当に『あんまり聞いてなかったけど、パブくれたらいいよ』はあ?『パブやん。パブリシティ。それ写すわ』なんて酷い記者さんもいましたっけ。私は単なる外野でしたが(笑)。

    新聞記者や読み物を書く人らは、本当に自分の頭で考えてない連中が居ました。それでも給料貰えるんだ(笑)。良い時代だっただろうね。

    それと役得と思ってるのか、昼メシ、喫茶、宴席、帰りのタクシーなど、して貰えるのが当然ッて態度の人も居ましたね(アゴ、アシ付きなんて言ってました)。

    特に経済系、企業担当。相手が偉いさんだから、自分も同格と勘違いしてタメ口になる。接待者側はアンタに諂っているのではなく、アンタのうしろの看板を気にしてるんダヨッ(爆笑)。

  • 新宿会計士さんも,お人が悪い。
    会計士さんは,この期に及んで善良な読者を裏切り,あっち側に行ってしまったのかと思い込んで,危うく,キツい目の抗議文を書こうかと思ってしまいましたよ。
    でも,読み進んで行く内に,結果的には,抱腹絶倒でしたけれどね😆
    こんなのを,もっと読みたいです。

  • リーマン記者には考える余裕がない
    じっくり取材する余裕もない
    「役所の広報」になりがちなんだと思います

    財務省や厚労省の統計不正の背景にもそんなことがありそう

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