ファーウェイ「初任給40万円」記事と不自然な中国大使館発表
少し前から中国企業の華為(ファーウェイ)に関する報道が散見されます。これについて調べていくと、「初任給が40万円」「中国企業で働くのは悪くないかも」といった感覚を抱く記事を発見しました。記事の執筆者が優れたライターであるという可能性ももちろんあるのですが、それと同時に、先日、『世界は中国共産党と共存できるのか?』で紹介したとおり、中国共産党が全世界でプロパガンダを展開しているという情報と照らし合わせて考えると、どうも字面通りに受け取ることができないのです。
中国企業、「初任給40万円!」
BUSINESS INSIDER JAPANというウェブサイトがあります。
見たところ、経済記事などが掲載されているウェブサイトらしいのですが、このウェブサイトに今年8月、こんな記事が掲載されました。
初任給40万円の中国企業、ファーウェイで働く日本人の“履歴書”(2018/08/13 05:00付 BUSINESS INSIDER JAPANより)
「中国企業で働けば初任給40万円!」
じつに羨ましい話ですね。きちんと調べたわけではありませんが、日本国内の主だった大企業の場合、初任給は20万円前後、高いところでもせいぜい25万円くらいでしょうか(ちなみに厚生労働省『賃金構造基本統計調査』だと、20~24歳の賃金は男性で21.5万円、女性で21.1万円です)。
この記事を執筆したのは浦上早苗(うらがみ・さなえ)さんという方です。浦上氏については、同ウェブサイトの著者紹介ページに次のような経歴が記載されています(抜粋)。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。
この「国費博士留学」がどのような位置付けの留学なのかはよくわかりません(とくに「国費」が日本の「国費」なのか、中国の「国費」なのかよくわかりません)が、ご経歴からすれば、中国とのビジネスに関わって来られた人物ではないかと思います。
ただ、「中国ビジネスに関わっている」というだけの理由で、変な先入観を持って記事を読むことは適切ではありません。実際に記事を読んで判断するのが正しいといえます。
インタビューに登場する3人
さっそく、中身をチェックしてみましょう。
浦上氏の記事では、ファーウェイ・ジャパンが中国企業として唯一、日本経団連に加盟していることに加え、日本に1000人の従業員がいるなどと紹介。そのうえで、3人の日本人の従業員に取材をしています。ここで登場する人物は、
- 「新卒一期生」として2013年に入社した31歳の男性
- 1994年に新卒で地銀に就職し、40代で同社に転職した女性
- アメリカの大手IT機器メーカーから転職した49歳男性
という3名です。
どの人物のインタビューを見ても、皆さん、ファーウェイ・ジャパンで異文化と直面しながらも充実した仕事をしているということが、文面からひしひしと伝わって来ます。
実際、私自身がこの文章を読んでいると、日本企業の意思決定の遅さ、年功序列式で給料が決まる不合理などを改めて思い起こしますし、現在、就職活動中の若者が読めば、中国企業に対する魅力を感じたとしても不思議ではない内容です。
その意味で、浦上氏の記事は、ある意味では優れていると言わざるを得ませんし、私自身もサラリーマンだった頃の働き辛さを思い出すと、たしかに意思決定の速さは魅力的だと思います。
ただ、記事を読んでいて、どうも引っかかる点はあります。それは、「中国、あるいは中国企業を前向きに紹介する記事」を読むと、どうしても「チャイナ・プロパガンダ」という言葉が頭をよぎってしまう点です。
おりしも当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』では、ほんの数日前に、『世界は中国共産党と共存できるのか?』のなかで、英ガーディアンが報じた「チャイナ・プロパガンダ」という記事を紹介したばかりです。
もちろん、浦上氏が中国ビジネスに関わっている(らしい)という理由によって、すぐに「これは、チャイナのプロパガンダだ!」と決めつけるのは非常に不適切です。
実際、私が浦上氏の文章を読んでみると、彼女がインタビューを受けた人たちの意見をうまく引き出す能力を持っていることはよくわかりますし、インタビューに応じた人たちも、中国の本国の思惑と無関係に、社内で生き生きと働いているに違いありません。
しかし、それと同時に、中国共産党が全世界でやっていることを踏まえると、どうしてもこの手の記事を読むと、「これもチャイナ・プロパガンダの一種ではないか?」との疑念を払拭することができないのです(くどいようですが、これは浦上氏が悪いのではありません。中国共産党の態度が悪いのです)。
「給料高い」をどう考えるのか?
先ほどの記事に戻りましょう。
「意思決定の速さ、実力本位、そして能力に合わせた処遇」。
インタビューに登場した3人の方は、日中の文化の違いなどにも直面しながら、それなりに面白く仕事をしている様子を見てとることができます。このため、何も前提知識を持たずにこの記事を読むと、
「あれ?中国企業で働くのも悪くないのかも?」
と思ってしまう人がいてもおかしくはありません。
実際、私もウェブ評論を始める前に、先入観なしにこの記事を読んだとしたら、「従業員として働くならばファーウェイのような会社で働いてみたい」、と、素直に興味を感じると思います。それがビジネスマン的な考え方だと思います。
ただ、冷静になって考えてみれば、一般に、「給料が高い会社」は、「良い製品を世に出して儲けているから給料が高い」というケースもあれば、「それなりの給料を払わなければ人を集めることができない」、というケースもあるでしょう。
もちろん、現段階で私は、ファーウェイを「怪しい会社だ」、「中国人民解放軍の工作機関だ」と申し上げるつもりもありませんし、同社製品が世界中で支持されているのは、単純に「値段と性能のバランスが取れている」と全世界の消費者が考えているから、という可能性も高いと思います。
しかし、それと同時に、数日前から当ウェブサイトでも取り上げているとおり、米国や日本など、主要国の政府が、同社製品をはじめとする中国製品の排除に動いているのではないか、という話題もあります(『粛々とサイバーセキュリティ進める安倍政権と猛反発する中国』参照)。
今のところ、日本政府の公式見解としては、「特定の会社の製品を排除する意図はない」というものですが、同社製品に何らかの「バックドア」(製造者によって最初から仕組まれた、正規の手続きを踏まずに機器の内部に侵入できてしまう仕組み)が組み込まれているとの報道はあとを絶ちません。
そう考えていくならば、私は1人の消費者として、どうしても同社が然るべき見解を出さない限りは、同社の製品に手を出す気にはなれないというのが実情なのです。
(※ちなみに私が使用しているスマートフォンはiPhoneです。)
中国大使館、なぜか中国語のみで発表
ところで、日本貿易振興機構(ジェトロ、JETRO)は11日付で、こんなニュースを掲載しています。
在日中国大使館、華為製品排除報道を受け反対声明(2018年12月11日付 ジェトロHPより)
これは、当ウェブサイトでも『粛々とサイバーセキュリティ進める安倍政権と猛反発する中国』で少しだけ触れた、「在日中国大使館がファーウェイ製品排除報道に猛反発している」という情報の裏付けとなるものです。
JETROのページを私なりに要約し、箇条書きにすると、中国側の反応は、次のとおりです。
- 在日中国大使館は12月7日、日本政府が政府調達でファーウェイとZTEの製品を排除する予定だとする日本の報道を受けて、声明を発表した
- 声明では、両社の製品にリスクが存在するという証拠はなく、世界の多くの先進国で両社製品が採用されているとしつつ、両者が日本経済にも貢献しているとアピールしている
- 「中国の法律・法規は、いかなる機関に対しても、通信関連企業を通じてバックドア、盗聴・スパイ装置をあらかじめ取り付けることを認めていない」などとして、中国企業への差別的取扱いに強烈な反対を表明するとしている
- ファーウェイは2011年に経団連に加入。2017年に日本で約5000億円を調達したほか、日本での従業員950人のうち75%が現地採用であり、5G推進フォーラムでNTTドコモやソフトバンクと共同実験を行っている
ただ、不思議なことに、JETROによれば、在日中国大使館の声明は、なぜか中国語ページのサイトだけに発表されており、日本語ページには掲載されていないのだとか。
中国大使館がなぜ、日本語でこの内容を発表していないのか、その理由は定かではありません。
日本語で発表してしまうと、「日本政府がファーウェイなどの製品を排除しようとしている」という報道がなされたという事実が、広く日本社会全体に伝わってしまうことを懸念したのでしょうか?
それとも、中国大使館の反応が日本全体に知られると、なにか困ることでもあるのでしょうか?
あるいは単純に、在日中国大使館に人的リソースが不足していて、日本語訳するマンパワーがなかったのでしょうか?
どれも合理的な理由ではありません。
中国大使館の報道発表を翻訳してみた
そこで、検索エンジンを利用して、次のリンクを翻訳してみました。
驻日本使馆发言人就日本媒体报称日本政府拟限制采购部分中国企业产品事表态(2018/12/07付 在日本中国大使館HPより【原文中国語】)
ただし、日本語として不自然な部分は私の判断で適宜修正しています。以下が翻訳です。
日本政府は12月7日、国家安全保障上の理由から、政府がHuaweiとZTEから製品を購入することを政府機関に禁じようとしている、との報道があった。
HuaweiとZTE製品にセキュリティ上のリスクがあるという証拠はない。 HuaweiとZTEは世界的に有名な電子通信機器のサプライヤーであり、世界中の多くの先進国がHuaweiとZTEの機器を使用している。 Huawei社とZTE社は、日本市場と日本のユーザーから高い評価を得ているだけでなく、毎年多くの日本製品を輸入し、多くの現地従業員を雇用して日本経済に大きく貢献している。 日本で3.11の地震が発生した後、HuaweiとZTEは困難を乗り越え、災害地域の通信機器の損傷を迅速に修復し、社会的責任を積極的に果たした。
中国の法律は、通信会社を通じてバックドア、盗聴、スパイ機器を事前にインストールすることを、どの機関にも許可していない。 例えば、日本政府が国家安全保障上の理由で、政府機関や国内企業による中国関連企業製品の調達を制限すると、特定の国の特定の企業に対して差別的慣行が適用される可能性がある。これに強く反対する。
中国側は、日本側がHuaweiやZTEなどの中国企業を評価したうえで、中国企業に対し、公平かつ公平なビジネス環境を提供することを要求する。
「中国の法律は、バックドア、盗聴、スパイ機器を事前にインストールすることを、どの機関にも許可していない」――。これは、なにかの冗談なのでしょうか?
法律で許可していない」としても、中国共産党という「法律の上に君臨する何者か」が命じれば、そんなものは無効になるように思えます。「中国が法治主義国だ」と言われても、中国共産党の太子党の皆さまを含めて、世界中でその言葉を信じる人が多数派だとは思えません。
ただ、この文章自体、ウソ・偽りにまみれた普段の中国政府の報道発表と大して変わりません。どうしてこれを日本語版ウェブサイトに掲載していないのか、やはりこれを読んでみても、現時点ではよくわからないのです。
いずれにせよ、本件についてはまだしばらく調べる価値はありそうです。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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初任給40万円とは、日本の会社の2倍くらいだが、2倍の成果を求められるのであれば合理的だろう。新卒でもすぐに成果を求められるのではないか。どれだけ稼ぐで給料を決めていたら安い、高いはない。給料以上の働きがなければクビ。給料以上稼いでいても成績が下位5%なら自動的にクビになるような会社だったら高い給料と引換えだから問題ない。ハイリスク・ハイリターンというわけだ。
ぶっちゃけ基地機器なんか全ソースコード公開したところで問題も無いので
それなりの手を打って疑惑を晴らせばいいのにやらないということは黒なんでしょう。
ちなみに私はiPhoneやWindowsマシンでもおそらくNSAは任意に解読可能なバックドアを持っていると認識しています。
(もちろんネット回線帯域・マシンパワーの関係でいちいち全マシンの吸い出しなんかはやっていないでしょうが)
NSAは可能でもFBIは知らないくらいの機密でしょうけどね。
毎々の執筆、ありがとうございます。
あまり詳しくは書きませんが。
小生、国内設備メーカーのエンジニアを退職した後、中国の某社と韓国の某社から、いきなり携帯へ連絡を受けた事があります。年報2000万円(後に3000万円まで上がった)で来ないか、と。
あまりのタイミングの良さに、気味悪がって全て蹴りましたが、なぜ退職することを知っているのか不思議でなりませんでした。
その頃も現在も、いわゆるガラケーを使用しており、ガラケー用アプリ等(通話とメールしか使用しない)も入れたことは無く、
どこから情報が漏れたのか(退職すること、携帯の番号など)、大変気味悪かったのを今でも覚えています。
そういった経験上、やっぱり個人情報を垂れ流す危険のあるデバイスは使用したくないし、
その恐れのある国や地域とも関わりあいを持ちたいとも思えないのです。
失礼いたしました。
私の携帯や同僚の携帯に、マンション売り込みのセールス電話が掛かってきます。
もう自分の電話帳に載っていない番号には一切出ないで、検索して公表されている連絡先だったら折り返しこちらからかける様にしています。セールスだったら無視リストに追加するのですが、最近はIP電話で回線数を安価に増やせるので、これがすぐに膨れ上がる・・・。
ぶっちゃけ個人情報の漏出は今でもソーシャルハックですよ。
それ以外理解できない広がり方をしています。
< 更新ありがとうございます。
< 私の小高大同期が、子弟がだいたい23〜30歳ぐらいの人が多いんですが、集まると子供の話しも出る。4大卒または院修士卒で24〜29万円ぐらいの初任給を貰ってます。だから中国の40万円が魅力かと言うと、ビミョーな数字ですね。2倍は無いと思う。
< 次いで海外赴任の話し。大概、本人は『嫌がっている』『出世しなくても日本が良い』の声が多い。でも『中国だけは絶対嫌』『東アジアはイヤ』が更に多かったですね(笑)。
< しかし、既に行った若手もおり、タイ、英国、米国に着任してます。親としては『安全な場所』『帰って来やすい土地ならいい』というのが、総論です。
< ウチの子息に聞くと、『海外赴任は常識だが、1年ぐらいの短期の人も5年以上の人も、皆日本語がおかしくなって帰って来るから、引くわ』(笑)との事。
< ちなみに、何社かの知り合いは、意外に企業が注力し始めているのは、中米のグアテマラ、コロンビア 怖!、南米の名前忘れた国(笑)。そしてベトナム、バングラデシュ、ラオス、ミャンマーだとか。ま、一個人の情報だからしれてます。
< しかし、皆さん将来の判断が甘いのか、正しいのか、中国押しの声は聞けなかったです。
日本の企業にお勤めの経験のある方なら、どなたもその意思決定の遅さと処遇(権限と責任と能力と報酬の不均衡)には不満を覚えるものなのですね。マクロには優秀な人材が中国や韓国に引き抜かれてきた状態は問題だと思いつつ、ミクロには「こんな処遇しかできないなら、そりゃあ人材が流出するわな」と思ってしまいます。
グローバル化、グローバル化とお題目を唱える経営者も、給与方面のグローバル化はあまり関心が無いようです。意思決定については、何十年も言われ続け、企業に自覚もある問題でありながら一向に変わりません。これも日本人の属性の一つなのかもしれません。
何か解決案があるわけでもなく、ダラダラ書いてしまいました。失礼いたしました。
更新ありがとうございます。好奇心が刺激され心の赴くままに書いていたらとてつもない長文になってしまいました。
能力に報酬を払っているのか人生に報酬を払っているのかの差のように感じます。ファーウェイもそうですが、外資系ではその瞬間にできる事に対して報酬を払う事になります。報酬を増やすためには「自分で」スキルアップしなくてはなりません。当然使い勝手が良いスキルが優先されます。逆に終身雇用型の日本企業では「企業が」スキルアップさせます。他企業では使いづらいその企業のためのスキルが優先されます。その代わりに終身雇用していました。ですが終身雇用が崩れ、権利と義務のバランスが崩れてしまったので外資系が魅力的に見えるのだと思います。
そもそも日本の初任給って終身雇用が前提になっているので元々低めに抑えられているんですよね。それが女性の社会進出とか終身雇用の崩壊とかが進み状況が変わっているのに初任給はほとんど変わりませんでした。さらに日本は異常なほど初任給に差がないので初任給40万円が多く感じるのだと思います。
これは日本の教育・社会制度の優秀さと欠陥を如実に現しているように思えます。まず人材がかなり高いレベルで均質だという事です。逆に尖った人材、飛び抜けた人材を有効活用する経験と仕組みがほとんどありません。誰を選んでもそれなりに使えるのなら入社段階で選ぶ必要は薄くなります。ならば長く勤めてもらい、その企業に特化させた方が良いという事だと思っています。そして長く勤めてもらう事を考えた時、初任給という目先の尺度に大きな差があると企業側は困るのでは横並びになっているのではないかと思うのです。
そして全てが終身雇用を前提に最適化された社会制度になっています。教育は均質である事と色が着いていない事が求められそのように教えます。ある意味で未完成な状態で企業に渡す事が求められているのだと思います。就活でも長く続けられそうな企業がどこかを研究したと思います。企業側も辞めそうにない人を選びます。結婚・子育ても終身雇用前提です。仕事しながら子育てをできる環境はありませんでした。また、離婚と再就職のハードルが高いです。定年後の生活も終身雇用で退職金をもらわないと成り立ちません。
当然その屋台骨であった終身雇用が崩壊してしまったら全てが崩れます。なのにあっさりと崩壊させる選択肢を選んでしまったように思えます。何が何でもしがみつくか、大改革をする覚悟をすべきだったと思うのですが。現在の日本は崩壊への道を進み問題が噴出し始めた事で、どうにか延命しようと応急処置しながら仕組みを整えようとしている状態だと思っています。この件に関しては政治家や官僚も結構頑張っていると思うのですが、国民の危機感がなさ過ぎるように感じています。ブラック企業も大本の原因にこの歪みがあるように思えますし、移民政策は延命すると同時に屋台骨の崩壊を早める劇薬に見えます。個人的には改憲と並ぶくらい重要な問題だと思っているのですがどうなんでしょう?
実際に外国で働くことは想像以上に困難が多いです。それらを相殺してなおかつ自分自身にメリットがあれば外国で働くことも良いでしょうが、小生を含め殆どの人が外国で受ける困難を過小評価するため長続きしないのだと思います。
小生の経験から言うと、まず先に来た日本人がいないとほぼ生きていけません。通訳が居れば大丈夫と考える方もいらっしゃいますが、通訳も所詮は現地人ですので日本人の思考性には無頓着です。小生が赴任したての頃、月曜日から金曜日までは会社で3食取ることができました。ところが、週末はそうはいきません。日本から持ってきたカップ麺等の食料も2,3週間経てばなくなります。その後、週末は水を飲んで暮らす日々を2週間ほど過ごした後、とうとう水までなくなりました。このままでは死んでしまうと思い、先に来ていた日本人と仲良くなって買い物や食事に付き合ってもらうようになりました。
小生の暮らしていた地域は韓国でも田舎のほうで、英語(Konglishのため、仮に話されても聞き取れません)も日本語も通じません。また、商習慣が異なるため言葉が分からないと何も買えません。バスは字が読めないと何処に連れていかれるか分からないので乗れません。タクシーは言葉が通じません。
会社に土日の通訳支援をお願いしたところ、通訳は土日は休日なので支援はできないから自力で頑張れとのこと。これは正直な話、気持ちが折れそうになります。会社に半年もいられず、退社していった日本人もいました。
日本で暮らしていたころはなんでもなかったことが、外国ではこんなに不便な思いをするとは考えも及びませんでした。海外転職はそれなりのリスクとスキルアップ(言語力を含む)を常に心がけないと、年功序列を基本に置いた日本企業での感覚ではやっていけません。
駄文にて失礼します