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都合悪いと相手を批判?徴用工判決巡り韓国大統領府が初反応

今朝方の『徴用工判決と日本人拉致事件の共通点:最終的に制裁が必要』の続編です。朝日新聞ソウル支局の牧野愛博氏が配信した記事によると、韓国大統領府の秘書室長が昨日、韓国国会で日本に「逆ギレ」する発言をしたようです。また、大統領府ではありませんが、韓国外交部も昨日夜、日本に対する「逆ギレ」コメントを発表しています。やはり韓国政府には問題に対処する意思も能力もないのでしょうか?

韓国大統領府が「静かに対応練る」?まさか(笑)

今朝方の『徴用工判決と日本人拉致事件の共通点:最終的に制裁が必要』のなかで、10月30日で韓国の大法院(最高裁)が下した「徴用工判決」を巡って、韓国政府・大統領府が「静かに対応を練っている」という話題を紹介しました。

「静かに対応を練っている」と報じたのは『聯合ニュース』(日本語版)ですが、ただ、先ほども申しあげましたが、私の目には韓国の大統領府が「静かに対応を練っている」ようには到底思えません。

強制徴用判決から1週間 声強める日本と静かに対応練る韓国(2018/11/06 17:38付 聯合ニュース日本語版より)

だいいち、徴用工判決の当日、声明を出したのは文在寅(ぶん・ざいいん)大統領ではなく首相でしたし、文在寅大統領は11月1日の国会演説で徴用工訴訟について全く言及せず逃げているほどですからね。

大統領府が「初の(?)」立場表明

そして、この聯合ニュース日本語版の記事が公表されたのは昨日夕方5時38分のことですが、本日午前10時26分に公表された『朝日新聞デジタル』(日本語版)によると、昨日、韓国大統領府と韓国外交部が、相次いで日本を批判するコメントを出したようです。

韓国大統領府「日本の政治的行動は遺憾」 徴用工判決(2018年11月7日10時26分付 朝日新聞デジタル日本語版より)

記事を執筆したのは朝日新聞ソウル支局の牧野愛博氏です。

牧野氏によれば、発言したのは韓国大統領府の任鍾晳(にん・しょうせき)秘書室長で、国会答弁を通じて、河野太郎外相ら日本の政治家らの発言に対し、「最近、一連の日本の政治的な行動は非常に不適切で遺憾だと申し上げなければならない」と述べたのだそうです。

その意味で、昨日の「韓国大統領府は沈黙を守り、静かに対応を練っている」とする聯合ニュースの報道は誤報だったのかもしれませんね。

また、牧野氏は韓国外交部も6日夜、「日本の責任ある指導者らが問題の根本を無視して、国民感情を刺激する発言を続けていることを非常に憂慮している」とするコメントを発表したとも述べていますが、この話題はおそらく、次の韓国メディア『中央日報』(日本語版)が報じているものと同じでしょう。

韓国外交部「日本の指導者、国民感情を刺激するような発言は遺憾…法判断の尊重を」(2018年11月07日06時54分付 中央日報日本語版より)

この外交部の発言についてはのちほど取り上げることとして、韓国大統領府の発言をどう考えるべきでしょうか?

韓国大統領府は困ってしまっている?

昨日の聯合ニュースの報道にもあったとおり、現在、韓国大統領府は「当局者・関係官庁と民間専門家が加わる対応組織を構成するなどして、諸般の要素を総合的に考慮して対応策を講じる」とする立場にあり、表立った動きを見せていません。

こうしたなか、牧野氏が報じた韓国大統領府の秘書官のコメントは、大統領府が公式に見解を述べたものではなく、むしろ「非常に不適切で遺憾だ」といった発言は、行き当たりばったりでやむなく繰り出した発言ではないかと思います。

では、河野外相の発言の、いったいどこが「非常に不適切」なのでしょうか?今ひとつよくわかりません。

余談ですが、日本の政治家の発言に「不適切だ」などと猛反発している韓国政府高官の言動を見ていると、自分にとって都合が悪い発言に対して「ヘイトだ」「デマだ」と猛反発する「パヨク」と呼ばれる人たちを、つい思い出してしまいます。

ただし、牧野氏の記事を読んでいても、河野外相らの発言の「どこが」非常に不適切なのか、その具体的な指摘はありません。

牧野氏によると、任氏は今後の韓国政府の対応について、

国務総理室が中心になり、どのような措置が正義を実現し、合理的なのか、戦略的な韓日間の未来志向的な関係をそのまま維持するのか点検している

と述べたのだそうですが、これを意訳すれば、「右往左往していてどうすれば良いのかわからず戸惑っている」、ということではないかと思います。

韓国外交部の「逆ギレ」

さて、先ほどの話題のうち、外交部の発言についても簡単に眺めておきましょう。

朝日新聞の記事中央日報の記事を総合すれば、韓国外交部が昨日夜に発した内容は、次のとおりです。

  • 最近、日本の責任ある指導者が問題の根源を無視したまま、我々の国民感情を刺激する発言をしていることを非常に懸念している
  • 特に、我々の司法の判断に対して節度もない言葉で評価をするなど、過剰対応していることは、極めて遺憾だと言わざるを得ない
  • 三権分立の基本原則に則り、行政府は司法府の判断を尊重するのは当然で、これは日本を含めてどの自由民主主義国家も例外であるはずがない
  • 今回の事案を政治的に過度に際立たせることは、韓日関係の未来志向の発展に何の役にも立たないことを、日本政府ははっきりと認識しなければならない

端的に言えば「逆ギレ」ですね。

それだけ河野外相らの発言が、韓国政府にとっては都合が悪いものだという証拠でしょう。

ちなみにこれまでの報道から確認する限り、徴用工判決を巡る韓国側の基本認識は、

  • ①徴用工判決は日本の植民支配の不法性を認めたという意味で、画期的で素晴らしい判決だ。
  • ②この判決を下さざるを得なかったのも日本の反省と謝罪が足りないからであり、日本のせいだ。
  • ③ただし、今後の韓日関係に悪影響を与えないようにするために、韓日両国はお互いに知恵を出し合い、解決策を考える必要がある。

といったものですが、今回の韓国外交部の声明も、この基本認識に沿ったものだといえるでしょう。

韓国に言わせれば、「問題の根源」とは、「日本の過去の反省と謝罪が足りないため」です。したがって、「韓国側にも悪い部分はあるのかもしれないが、日本にも悪い部分がある以上、韓国側の過失を過度に責めるのは不適切だ」、というのが韓国側のロジックだと考えられます。

さらに、「三権分立」だから「政府は司法府の判決に文句を付けることはできない」というのが、韓国外交部の基本的な考え方でしょう。

本当にこれが外交に責任を持つ官庁の発言とは信じがたい気がします。

別に日本は韓国の「三権分立」に文句を付けているわけではありません。韓国が国内で三権分立を尊重するのは勝手にすればよい話であり、日本が問題にしているのは韓国の司法府が国際法に違反する判決を下したときに、「韓国政府が」、日本との関係でこれを是正する措置を取らないことなのです。

こうした国際法の基本原理すら理解せず、ひたすら日本に逆ギレし、責任転嫁するような姿勢を見ていると、韓国政府にこの問題を解決する意思も能力もないのではないかという私の嫌な予感は、どうも当たっているような気がしてならないのです。

新宿会計士:

View Comments (32)

  • 直接関係なくてすみません。

    常々思っていることですが、韓国ニュースの日本語訳で「指導部」「指導者」という言葉をよく目にします。
    政府や首相(韓国なら大統領)を指しているものです。

    韓国語がわからないのであれですが、私の感覚ですと日本政府は指導部ではないですし内閣総理大臣も指導者ではありません。国民の代表や国民の代弁者というイメージです。私は安倍総理に指導してもらっているつもりはありませんし政府に指導してもらっているつもりもありません。(ちなみに私は自民党支持です!)

    中国や北朝鮮は独裁国家ですので実際に指導部や指導者なのはわかりますが、民主主義国家であるハズの韓国でもこういった言葉を使っているのであれば、不思議なことだなぁと。気にならないのかしら。

    • 英語では、首脳陣くらいの意味で political leaders を使います。
      日本でも、政治や経営者のトップを指して、カタカナで「リーダー」という呼び方をします。
      韓国語の「指導者」は leader の直訳だと考えると、それ程変ではないと思います、。

  • これを機に2015年の日韓合意も強硬に出られますね。
    「やはり韓国は約束を守ろうとしない国だ」と糾弾を重ねることができる。
    さらにはTPPにも飛び火するでしょう。
    「合意を守らない国に参加する資格なし」と。
    完全に反撃攻勢のターンです。一気に追いつめましょう。

  •  韓国が「お互い」という言葉を出したときは、ほぼ韓国が悪いのです。まず、大きな声で怒鳴り散らし、相手が悪いと屁理屈をこね、次にこちらも至らない部分もあるかも知れないからお互い協力しよう(俺は寛大な人間だ)。このやり取りは一般の社会でもあります。飲酒運転で交通事故を起こしても、「貴方も悪い部分があって私が事故を起こした」とか「普段はいくら飲んでも問題ないのに貴方のせいで事故を起こした」などと訳の分からない話がいっぱいあります。最終的に「お互い悪いから示談にしよう」と言ってきます。
     あるとき、バイクとすれ違った際に、鞄のベルトがハンドル(恐らく)に引っかかり、鞄が飛ばされバイクは転倒しました。運転手が立ち上がり、突然大きな声で何かわめいています。その頃の小生はまだ韓国語が不自由で何を言っているのか分かりません。最終的に小生が外国人と分かると、またわめきながらバイクを起こして、またがり去っていきました。なぜこのようなことが起こるかというと、韓国のバイクは高通ルールを無視します。信号が赤でも走り抜け、交通量が多い場合は歩道や横断歩道の上を平気で走っていきます。その後、小生は何が起きたのか理解するまで時間がかかり、結局小生も鞄も無事だったので事なきを得たと納得しかけました。しかし、家に帰ってよく考えると、これは警察に通報すべき案件であり、たまたま小生の鞄が身代わりになっただけの事です。この時に韓国語を話せないことがものすごく悔しく、仮に警察に電話したところで、日本語では通じなかったでしょう(英語でも怪しいもんです)。いかにも韓国人的な対応を目の当たりにし、外国での暮らしは大変だと覚悟を決めた事件です。

     駄文にて失礼します

    • 韓国在住日本人様 いつも貴重なコメントありがとうございます。
      小職以外にも大勢のファンがおられると思います。
      Koreaウォッチャーでは、よく甲乙関係がでてきますが、韓国人は個人間でもマウンティング合戦するのでしょうか? 劣位・優位の地位が確定するまで、永遠にわめき続けるのでしょうか?
      特に被害者になる方が、甲になれるので見境なく理不尽になるのですね。
      また絶えず上位は、地位確認のためのナッツリターンのようなマウンティング行為をしまくるのでしょうか?
      お忙しいところ恐縮ですが、お時間のある時にコメントいただければ幸いです。

      • 埼玉県民様

         レスありがとうございます

         個人間でのマウント合戦についてはさほど見ることはありません。なぜなら、基本的に韓国人は敵と味方を区別します。ほとんどの時間味方同士で過ごしているので、出来るだけ仲良く暮らそうとしています。
         ところが、これが一度喧嘩になるとマウント合戦が始まります。小生が見てきた限り韓国人はこのような喧嘩になると殆ど手打ちがありません。日本人ならば損得を冷静に考えて、自ら折れたり謝ったりしますが韓国ではありません。飲み屋で仲良く飲んでいた韓国人同士が焼酎のビンで殴り合うのを何度も見てますし、若い女性同士が人通りの多い商店街の真ん中で髪の毛を毟り合いながら喧嘩しているのも見たことがあります。あるいは別れ話か彼氏の浮気か定かではありませんが、向かい合って座っているカップルの女性が向かいの男性をビール瓶でぼこぼこにしているのも見たことがあります。原因は不明ですが、なぜこうも簡単に殴り合いになるのかさっぱり理解できません。なにせ、いきなり始まるのもですから、こちらとしても気にかけていないと喧嘩になる理由が分からないのです(特にこのような場合の韓国語は意味不明な単語を使いますので、小生のような外国人は何を言っているのか分かりません)。このようなマウント合戦の末に、相手が非を認めれば勝ちになるのでしょうが、認めなければ警察が来るまで続きます。止めに入る韓国人はあまり見ません。自分の見方でもなく、止めても益にならないので傍観するだけです。
         最初から立ち位置が決まっているような場合もマウント合戦にはなりません。面白い話ですが、研究所と製造現場では立ち位置が決まっており、無条件に研究所が上です。従って、研究所が出した無茶な要求も製造現場がやらなければなりません。そこで製造現場は日本人技術者を前面に押し出して反論させたりします。韓国の研究員は製造現場に行きません。特に課長あたりになると「俺は課長だから現場には入らない」と平気で言います。小生が無理矢理連れて行こうとすると露骨に嫌な顔をします。逆に日本人技術者は現場を行き来する人が多いため、製造現場としては現場を熟知している日本人に反論させるのが甲乙論からしても合理的なんです。日本人技術者に対して意見のできる韓国人は会社上層部ぐらいで、そこら辺の適当な中間管理職は何も言えません。

         駄文にて失礼します

  • 韓国在住日本人さんの記事に関連しますが、中央日報やハンギョレなどの記事を読む時は、記事の出だしや文末に注意して読む事が大切だと思っています。

    例えば、韓国国会外交統一委員会所属の千正培(チョン・ジョンベ)民主平和党議員が強制徴用判決に対して日本外務省に「不法な侵略の歴史を率直に認め、朝鮮人被害者に対して正当な賠償が行われるよう先頭に立ってほしい」という公開書簡を送る予定の記事が載っています。

    韓国野党議員、日本外務省に書簡伝達予定 「正当な賠償のために率先を」
    https://japanese.joins.com/article/880/246880.html?servcode=A00&sectcode=A10
    中央日報2018.11.7

    日韓両国が抱える難局に協力してもらい、さらに日本に先頭に立って欲しいと言う、一見へりくだった内容に見えます。でも、韓国在住日本人さんが言われるように、協力と言う言葉に騙されてはいけません。彼らの常套句です。

    文頭の「不法な侵略の歴史を率直に認め…」に彼らの本心が見えます。我々韓国人はすべて被害者だ!加害者である日本は偉そうにするな!と上下関係をハッキリ言っているからです。

    これを見ただけで記事を読む気は失せてしまうのですが…。

    この表現が日本側の対応によってどうように変化していくのか、秘かな楽しみになっています。

    • 最終的には、北朝鮮のテレビのオバサンが喋っている「言葉」と変わらなくなると思いますね。

  • 少々気になるのが、今回の判決が補償や賠償ではなく「慰謝料」ってことで、
    要するに、
    戦時における補償は韓国政府の責任だが、
    併合によって国民が受けた精神的苦痛に対する慰謝料は基本条約とは関係ない、という屁理屈…

    それならなんで企業に請求してるのかも分からないのですが。
    企業が勝手に併合したわけでもあるまいし。

  • 10%理性と90%感情で生きている
    困ると、必ず国民感情を持ち出す、抑えるのが政府の役割だが逆に便乗する
    自称被害者様>国民情緒法>大統領>憲法

  • 三菱重工が韓国から撤退していたようですね。これを機に売国企業連合も目を覚まして欲しいものです。

    日本が確たる意志をもって朝鮮民族と向き合う戦後最大のチャンスが来ています。

    在日特権の見直しができるのは今を置いてありません。
    今まで「人道的に」便宜を図ってきた特権を廃止するべきでしょう。
    ビザ免除の廃止・生活保護の停止・通名使用の禁止くらいは最低限させるべきでしょう。

  • 韓国では三権分立なんて完全に成り立ってないのが常識。
    最高裁判事の13人中7人が文在寅が選び抜いた人材で
    今回の裁判結果を実現するための意図的な偏った構成。

    日本国内で反日活動に従事している日本人構成員が
    韓国が日本と対決するように仕掛けてきたそうだから
    それらの反社会的サヨク活動も問題にしたらいい。

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