日刊ゲンダイが新潟市長選で大恥さらすも自民党は慢心するな

ゴシップ紙の『日刊ゲンダイ』というメディアがあります。報道のレベルはいかがなものかと思いますが、それでも私自身にとってはさまざまな「ネタ」の宝庫であり、重宝させていただいていることも事実です。そんな日刊ゲンダイに、土曜日、「安倍自民党が新潟市長選でも敗北が濃厚」とする予言記事が掲載されたのですが、ここまで盛大な自滅も面白いです。ただ、その一方で、新潟市長選もしょせんは「地方の選挙」であり、これを全国に当てはめて「安倍政権が信任された」と結論付けるのも短絡的でしょう。

日刊ゲンダイの「大恥記事」

日刊ゲンダイ、自民党敗北を「予言」

『日刊ゲンダイDIGITAL』に土曜日、こんな記事が掲載されていました。

地方で連敗続く安倍自民党 新潟市長選でも「敗北」が濃厚(2018/10/27 15:00付 日刊ゲンダイDIGITALより)

この記事の主張の要点は、「28日に投開票を迎える新潟市長選では、選挙戦の最終盤になって、自民党が支持する前参院議員の中原八一候補(59)が『脱落』した」とするものです。

日刊ゲンダイの記事によれば、今回の市長選挙では、自民党系の2人(中原氏と自民党籍のある前市議・吉田孝志氏(56))と立憲民主党など5野党が支援する統一候補の前市議・小柳聡(31)の事実上の「三つ巴」となったそうです。

ところが、「現地で取材するジャーナリスト・横田一氏」の次の説明によれば、土曜日の時点で中原氏の敗色は濃厚だったのだそうです。

告示直後までは、中原、吉田、小柳の3氏のデッドヒートでしたが、ここへきて期日前投票でも差が出てきて、吉田VS小柳の戦いになっています。26日に行われた中原氏の最後の個人演説会は“お通夜”のようでした。安倍官邸もサジを投げたみたいです

横田さん、本当に取材したんですか?(笑)

以上の記事を踏まえたうえで、「答えあわせ」をしておきましょう。昨日の新潟市長選の結果は、次のとおりです。

新潟市長選挙の結果【確定】
  • 98,975 中原 八一(59)
  • 90,902 小柳  聡(31)
  • 90,539 吉田 孝志(56)
  • 49,425 飯野  晋(45)

(【出所】新潟市選管より著者作成)

あれ?

日刊ゲンダイさん、最終的に選挙を制したのは中原さんでしたよ?(笑)日刊ゲンダイに

(現地で取材するジャーナリスト・横田一氏)

とありましたが、横田一さん、本当に現地で取材されたのですか?(笑)

束になっても勝てない5野党

それはさておき、横田一さんの件はどうでも良いとして、実際に投票結果を見る限り、確かに3氏の得票数は「デッドヒート状態」です。

この「デッドヒート」で辛勝したという意味で、自民党や安倍官邸としては、「ほっと胸をなでおろしている」状況にあるのではないでしょうか?

ただ、今回、自民党が分裂選挙になったことで、自民党系候補が共倒れとなる危険性があったことは間違いありません。自民党にとって、反省すべき点はいくつもあります。とくに、自民党公認を得ていない候補者が、自民党の党籍を残したままで選挙に出馬するという状況を許した二階俊博幹事長の罪は非常に重いでしょう。

もっとも、自民党が地方選で保守候補の一本化に失敗し、「分裂選挙」となるのは、今回だけではありません。最近の事例でいえば、2016年7月に行われた東京都知事選で、小池百合子候補(現都知事)は自民党の党籍を残したままで出馬したという事例があります。

このように考えていけば、自民党は高い支持率を背景に規律が緩んでいるのではないかと苦言を呈したいと思います。

ただ、その一方で、この選挙結果を見た私の第一印象は、

保守分裂選挙になったにも関わらず、野党は束になっても自民党に勝てないのか。

というものです。先ほどの記事の冒頭で、日刊ゲンダイは

やはり沖縄県知事選が転機だったか――。今週も自民党の地方選挙「連敗」が濃厚になってきた。

と述べたうえで、末尾で

新潟2区には比例復活の自民現職がいるから、鷲尾氏が自民党入りなら大モメ必至。菅長官がそこまでやったのに中原氏が負けたら目もあてられない。安倍自民党の運も尽きたか。

と説明していますが、この2つの文章を読めば、仮に新潟市長選という局地戦で野党系候補が勝利していたならば、日刊ゲンダイは「安倍政権の命運が尽きた」と結論づける気だったことは明らかでしょう。

その意味で、「運の尽き」は安倍政権ではなく、5野党と日刊ゲンダイの方ではないでしょうか?

自民党は慢心するな

余談:朝日新聞のダブル・スタンダード

もちろん、先月30日の沖縄県知事選で保守系の候補が敗北したという事実は重く受け止めなければなりません。しかし、そもそも沖縄県知事選挙では、玉城デニー氏が「苦戦」し、得票が55%に留まる一方、保守系の佐喜真淳候補が44%を得て「善戦」しました。

2018年9月30日執行 沖縄県知事選の結果(敬称略)
  • 玉城デニー…396,632票(55%)
  • 佐喜真淳…316,458票(44%)

私がこの沖縄県知事選を「玉城氏苦戦、佐喜真氏善戦」と述べる理由は、9月20日に執行された自民党総裁選で、石破茂氏が45%の票を得たことを、朝日新聞あたりが「石破氏善戦」と大々的に報じていたからです。

2018年9月20日執行 自民党総裁選の結果(敬称略、地方票のみ)
  • 安倍晋三…224票(55%)
  • 石破 茂…181票(45%)

「朝日新聞基準」に照らせば、そもそも沖縄県知事選では佐喜真氏が「善戦」であり、玉城氏が「苦戦」でなければおかしいはずです。

局地戦での結果を短絡的に全体に当てはめるべきではない

ところで、今回の新潟市長選挙では、自民党系の2人の候補が得た票は、5野党の統一候補が得た票の2倍を上回っています。いわば、「野党5党が束になっても自民党にかなわない」という状況を見せつけた格好ですが、朝日新聞はこれについて不思議と沈黙を守っています。

野党系候補が勝利したときは大々的に「民意が安倍政権にノーを突きつけた」などと述べるのが朝日新聞の常套手段ですが、今回のように野党系候補がダブルスコアで敗北したときにはダンマリを決め込むというのも、いかにも朝日新聞らしい卑劣さだと思います。

「もし仮に」で議論するのは不適切かもしれませんが、もし仮に野党系候補が選挙戦を制していたとしたら、朝日新聞はそれこそ鬼の首を取ったように大騒ぎしたのではないでしょうか?

日刊ゲンダイ、朝日新聞のようなメディアが「自滅」するのも、時間の問題なのかもしれません。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

ただし、私は基本的に、地方選の結果を政権支持率に結び付けるような短絡的な考え方には賛同しません。地方選はあくまでも地方選であり、中央政界はあくまでも中央政界です。局地戦の結果を、短絡的に全体に当てはめるべきではありません。

今回の選挙戦では野党が束になっても自民党に勝てなかったことは事実ですが、これはあくまでも新潟市という地域限定の話であり、実際、沖縄県知事選では、野党が束になって勝てたという事実についても無視してはなりません。

要するに、沖縄県知事選の敗北が「安倍政権に対する不信任」ではないのと同様、今回の市長選の勝利が「安倍政権に対する信認である」という短絡的なものではありません。

当ウェブサイトでは何度も公言しているとおり、私自身は安倍政権の支持者です。といっても、「安倍さんだから無条件に支持する」というわけではなく、安倍総理の掲げる政策、安倍総理の実績を見て、結果的に支持しているに過ぎません。

安倍政権がおかしな政策を推進し始めたら、私は安倍政権の支持者ではなくなる可能性が十分にありますし、似たような日本国民は多いに違いありません。

まことに僭越ながら、自民党には「勝って兜の緒を締めよ」という格言をお贈りしたいと思います。

本文は以上です。

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読者コメント一覧

  1. めがねのおやじ より:

    < 新潟は保守王国なんて言われてた事もありましたが、いわゆる昔型の保守で、域内のインフラ良くするとか、金を落とすタイプの代議士を応援してました。コレッと言って産業ないもんネ〜。

    < 『他所者』のゲンダイ如きが日帰り出張ぐらい(取材したとしても)で選挙の詳細、行方など、事前に分かるはずがない。おおかた、新潟の知り合いに電話取材か、新潟日報に聞いたか(恥ずかし)ぐらいでしょう。出張代もったいないもん。
    開きなおれば、電話取材も立派な取材だ(笑)。

    < 自民が二人出たら負けるだろう、という野党(野盗)贔屓目のストーリーで書いたんでしょう。でも、結果出る前にココまで書くとは、シャレにならんわ。タダでさえ誰が買ってるのか怪しげな夕刊紙、ネットニュースなのに。廃刊せよ!

    < 自民も県連と中央とがよく衝突してますが、それをまとめ上げるのは前の東京都連の古狸みたいな奴じゃない。県連都連の上に立つのが本部です。だから二階俊博がやってるようじゃダメ。

    < 下位に押さえが効かない。偉そうにしてるが、県連が楯突く時に、一本化するドスの効いた声が出せないようじゃ、引退です。清濁併せ飲める大領袖がなるべき。現時点では居ないね。副総理辞めたら麻生さん、適任かな。

    1. 非国民 より:

      非国民は新潟出身なんだが、どちらかというと新潟は貧しい県だ。だから、野党の方が強い。今回はたまたま自民党が勝ったがこれが国政に通用すると思ったら大間違いだ。最近の自民党はちょっとお坊ちゃまになったのか泥臭いことをしない。田中角栄は家族が泥棒で逮捕された人間にも警察庁に電話して穏便にすますように電話したりした。地元対策は徹底している。だから刑事被告人になっても支持はまったく揺らがない。今、それをやっているのはどちらかというと野党。雨の中でずぶ濡れになりながら演説しているのが野党。これは手ごわい。しかも新潟市長もひどいもんだ。BRTというバスを導入したが、いちいち乗り換えを強要されるバスに年寄は猛反発。普通に歩くのもつらい年寄にバスに乗り換えろってかということ。しかも新潟交通のバスはノンスステップバスがほとんどない。段差が大きくてつらい。挙句のはてに金を使いすぎて財政難ときた。だったらBRTなんかヤメロというのが年寄の意見。今度、市長に立候補したら反対派に投票しようとしたら本人は立候補しないときた。今回は中原が当選したが、それは来期を保証したものではないというのが新潟の選挙事情。
      陳情にいってもロクな対応をしないのが新潟の自民党系代議士又はその候補者。それじゃ、野党とかわらん。力がなくとも努力する姿勢はほしいな。私にも東京にいる息子がマンションで自殺したかもといって、警察立ち合いでマンションのドアを開けたときがあった。もちろん、報酬はゼロ。そこまですると熱烈な支援者になるよ。
      なお、縁を切ったケースもある。中国残留孤児のお孫さんで、家庭教師を無料で引き受けたことがある。こういうのは終わったら縁を切るのが最適。いつまでも過去のいきさつを引きずるのはよくない。たまたま、知り合って、私が英語と数学に詳しかっただけ。もう、会うことはない。実際、会社も変わって遠くに引っ越したからね。能力のある者はその能力を適切に使用する義務があると思う。

  2. 引きこもり中年 より:

    独断と偏見かもしれないとお断りして、コメントさせていただきます。

    日刊ゲンダイに限りませんが、マスゴミを報道にする第一歩として、
    記事と現実に矛盾をきたした場合、その理由を発表させることを義務
    付けた方が、よいのかもしれません。

    それにしても、日刊ゲンダイも直ぐに結果が出る選挙結果の予想など
    何故、記事にしたのでしょうか。これは当たったか、外れたかのどちら
    かしかなく、外れた場合の言い訳がないのに。誰か教えていただけない
    でしょうか。

    駄文にて失礼しました。

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