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菅官房長官のパチンコ換金規制は歓迎するが、優先順位誤るな

菅義偉内閣官房長官がパチンコ規制に前向きだと述べた、という話題については、以前、当ウェブサイトでも『内閣官房長官、「パチンコのギャンブル性をなくす」と明言』のなかで取り上げました。しかし、『選択』という雑誌が配信した記事によれば、菅官房長官はより踏み込んで、「ギャンブル等依存症対策基本法」の枠組みを使った対策を検討しているのだそうです。これについて、どう考えるのが良いのでしょうか?

パチンコ規制の最新情報

ギャンブル性と資金洗浄、2つの問題点

以前、菅義偉(すが・よしひで)内閣官房長官が、パチンコを「ギャンブルである」と認めたうえで、「ギャンブル性をなくす」と明言したという話題を、当ウェブサイトでも取り上げました(『内閣官房長官、「パチンコのギャンブル性をなくす」と明言』参照)。

これは、7月23日のBSフジの『プライムニュース』に出演して明らかにしたもので、山田惠資氏(時事通信社)に対して従来「パチンコ、競馬、競輪など、ギャンブルと呼ばれるものに対する依存症対策をまったくしていなかった」と述べたうえで、次のように発言しました(動画の12:30~)。

パチンコですけど、いま、全部で23兆円ですよ。これ、すぐ近く、どこに行ってもあるじゃないですか。これに対しての対応策を取っていきます。ギャンブル性がないような形にするとか。

この菅官房長官の発言に含まれている「ギャンブル性がないような形にする」という構想の具体的な方策については、この時点のハイライトムービーを視聴しただけでは、よくわかりません。

ただ、この発言の重要なポイントは、「現在のパチンコに事実上のギャンブル性があり、社会的問題となっている」という事実を、内閣官房長官という政府の要職にある人物が認めた、という点にあります。

ただ、パチンコ産業を巡る問題点は、ギャンブル性だけにあるのではありません。とりわけ大きな問題点は、現在の「三店方式」にあります。

この「三店方式」とは、客が獲得したパチンコ玉と引き換えに、パチンコ店が客に「特殊景品」を渡し、客がその「特殊景品」を換金所に持ち込む、という仕組みです。その際、どの人物がどれだけの玉を獲得したのか、といった情報は、パチンコ店にも一切残りません。

極端な話、銀行強盗などを行い、盗んだ紙幣を後日、パチンコ店に持ち込み、パチンコ玉と交換し、それをそのままカウンターに持ち込んで「特殊景品」と交換し、それを換金所に持ち込めば、「きれいな紙幣」(?)を入手することができます。

要するに、原始的な資金洗浄ですね。今の時代にこんなことができてしまうこと自体、大きな問題ですが、「三店方式」とは、究極的にはパチンコ店を通じて資金を洗浄することができてしまうという仕組みのことです。私が犯罪者なら、犯罪資金の隠蔽をするなら、まっさきにパチンコ屋を使うと思います。

待ち遠しい続報が出てきた!

ところで、この菅官房長官の発言が放送されたのは7月23日時点のことですが、それ以来、パチンコ店の規制については、続報が出て来ませんでした。しかし、これについては昨日、少し気になる報道が出て来ています。

菅官房長官が「パチンコ規制」に本腰  「景品交換所」という聖域にメス(2018/9/25(火) 7:07付 Yahoo!ニュースより)

リンク先のサイトは『Yahoo!ニュース』ですが、記事の配信元のは『選択出版』です。

簡単に内容を紹介すると、菅官房長官は安倍総理の自民党総裁3選を前提に、「ギャンブル依存症対策」という「聖域」に踏み込もうとしている、とする記事です。もっとも、安倍総理はすでに3選されていますが、おそらく『選択』というメディアが月刊誌であるということから、少しタイムラグがあるのだと思います。

それはさておき、『選択』の報道によれば、菅氏は「ギャンブル等依存症対策基本法」を使い、行政の判断でパチンコ景品交換所や場外馬券売り場の改廃に踏み込む意向なのだそうです(もっとも、『選択』は情報源を明示していませんが…)。

『選択』は「パチンコや競馬のファンが暴動を起こしかねないと懸念する声も強い」、「これだけ「敵」を増やす政策を進めるからには、権力の中枢から外れた時の「意趣返し」は想定しているのか」などとしたうえで、安倍政権が「長期政権の驕りによって周りが見えなくなっている」可能性があると指摘しています。

しかし、私は決して、菅官房長官が「長期政権の驕り」によって、パチンコ規制を打ち出したわけではないと考えています。

記者会見での回答の安定ぶり、重要な局面で着実に仕事をこなしていく実務能力の高さでは、現在の安倍政権内のあらゆる閣僚のなかでも群を抜いています。実際、少し古い調査ですが、国民の多くも菅官房長官のことを高く評価しています。

【産経FNN世論調査】/人気トップは菅長官 首相を抜く(2014.5.19 21:52付 産経ニュースより)

おなじ「菅」でも、頭にカーッと血が上って、わけのわからない行動に出る某国の元首相とはまったく違うのです。

菅官房長官への提言

具体的なパチンコ規制の進め方は?

もちろん、パチンコ産業の規制が簡単な話ではないことも事実です。

まず、パチンコ自体、売上高が20兆円を超える巨大な産業であり、その「本丸」である換金性にメスを入れようとしたら、そこの構造で美味しい汁を啜っている人たちが全力で抵抗することは間違いありません。国政のような大きな枠組みでは、関係者も多く、何事も急に進めることはできないのです。

とくに、パチンコ産業の関連団体には警察官僚が天下るなど、警察自体がパチンコ利権団体と化している状況で、パチンコの法規制を唐突に掛けると、安倍政権を快く思わない警察組織がマス・メディアにあることないことをリークし、政権を打倒しようとするおそれもあります。

もちろん、時間が無制限にあれば、「改めて内務省を創設し、日本の警察組織を解体・再編し、利権にまみれた官僚を粛清していくことから始める」というプロセスを踏んでも良いかもしれませんが、リアルの政治はどうしても「理想」どおりには進みません。

また、パチンコ業界と深い族議員も、与野党を問わず、多数存在しています(といっても、とくに立憲民主党などの野党側に、パチンコ族議員がものすごく多いようですが…)。このため、パチンコ産業の撲滅は、なかなか大変です。

私自身、『ギャンブル依存症とパチンコ問題の「現実的な」解決策とは?』で示したとおり、パチンコ産業についてはいきなり換金を禁止するのではなく、国民全体の問題として捉えるとともに、たとえば5年間の経過期間などを区切って、期間限定で換金を合法化するなどの方法が考えられると思います。

ただ、その場合であっても、少なくとも「三店方式」についてはただちに廃止すべきですし、パチンコ店の入店に際してマイナンバーカード(外国人の場合はパスポート)の提示と記録を義務付けるとともに、回数制限や所得税の徴収なども行うべきでしょう。

提言:パチンコ規制の在り方
  • パチンコ店入店とパチンコ玉購入にあたって、マイナンバーの申告を義務付ける。
  • 換金は「特殊景品方式」ではなく、マイナンバーを申告したうえでカウンターでの現金払い戻し方式(または本人口座宛の銀行振込方式)とする。
  • 払戻額は所得税法上の「雑所得」として申告を義務付ける(負けた分の経費算入は認めない)。
  • 年間の入店回数制限、遊技金額制限、一定額以上の遊技者に対する強制治療などを義務付ける。

そのうえで、たとえば生活保護受給者はそもそもパチンコ店に入店できないようにすべきですし、「年間何回入店した」という記録を確認し、地方自治体などがギャンブル依存症患者を特定し、健保組合と連携して、職場に通報し、治療を受けさせることを義務付けるのも有効かもしれません。

パチンコ規制の優先順位は?

ただ、私自身、パチンコ産業に対する規制はもちろん必要だと思いますが、果たして今、このタイミングでやるべきことなのでしょうか?実は、この点については私自身、非常に疑問でもあります。

私は当ウェブサイトを通じて、しばしば、「国民の敵」という概念を提唱しています。これは、

選挙で直接、国民から選ばれたわけでもないくせに、不当に大きな権力を握り、国益を邪魔する勢力

のことであり、具体的にはマスコミ各社、財務省、立憲民主党・日本共産党などの反日野党などの勢力が該当すると考えています。

もちろん、パチンコ規制の強化が可能ならば、是非、それを実現してほしいと思いますが、それと同時に、来年10月には消費税の税率が引き上げられてしまうというイベントが控えていることも事実です。

当ウェブサイトでは過去に何度も主張していることですが、現在の日本にとって必要なことは、増税ではありません。財政出動です。日銀による金融緩和の影響を受けて、金利も非常に安いため、まさに今が、国債を発行して将来への投資を行う絶好のチャンスといえるでしょう。

それなのに、誤った経済理論を振りかざし、財政出動を邪魔しているのは、財務省です。「選挙で国民から選ばれたわけでもない財務官僚が、不当に大きな権力を握り、財政再建原理主義という誤った考え方で日本経済を破壊しようとしている」という意味で、財務省こそ「国民の敵」の名にふさわしいと思います。

また、「国民の敵」という意味では、マスコミ(とくに大手新聞、大手テレビ局)の罪も大きいといえます。

北朝鮮の核開発の脅威、日本国憲法の改正などの多くの課題を抱えているにも関わらず、「もりかけ問題」という、明らかに朝日新聞社が仕掛けた「報道テロ」に乗っかり、民意で選ばれた安倍政権を虚報で倒そうとしたのですから、マスコミはテロ組織であり、「国民の敵」の名に値します。

さらに、「もりかけ報道テロ」に乗っかり、国会審議を停滞させた立憲民主党などの反日野党も、明らかな「国民の敵」です。このように考えていけば、政権の貴重なリソースを、「あれも、これも」と割くことは得策ではありません。

優先順位を間違えるな!

以上、私自身は、パチンコ規制については非常に重要だと思いますし、少なくとも三店交換方式については今すぐ警察を通じて全国に通達を出し、今日から廃止しても良いくらいだと思います。

ただ、それと同時に、パチンコ産業を規制するとなれば、それなりのリソースを割かれることにもなりますし、安倍政権とパチンコ産業との「全面戦争」ともなれば、場合によっては警察も「返り血」を浴びることになりかねません。

そして、政権がパチンコ産業と泥沼の闘争を始めてしまえば、「国民の敵」勢力――財務省、朝日新聞社、NHK、立憲民主党など――が、今度こそ安倍政権を引きずりおろそうとして、一斉にタッグを組み始める可能性すらあります。

このような観点からすれば、私は安倍政権に対し、「優先順位については間違えないでほしい」と申し上げたいと思います。

むろん、パチンコにおける換金が非合法化されれば、それだけで日本社会は非常に良くなります。まず、ギャンブルそのものができなくなるため、ギャンブル依存症患者が激減しますし、日本社会全体の生産性も向上することが見込まれるからです。

しかし、いきなりパチンコ産業との全面闘争をしてしまえば、いかに政権基盤が盤石な安倍政権であったとしても、どこで足元を掬われるかわかりません。それこそ『選択』がいう「長期政権の驕り」というイチャモンめいた批判にも、少しだけは耳を傾けてほしいと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

私自身はパチンコ産業など絶滅して欲しいと思いますし、政権にはパチンコ産業を今すぐ撲滅して欲しいという思いもあります。しかし、それと同時に、パチンコ産業との全面対決ともなり、政権基盤が揺らぐようなことがあれば、ほかの改革ができなくなってしまいます。

だからこそ、私はパチンコ産業については、真綿で首を絞めるように、じわじわと換金規制を厳しくしていく、という方策が良いと考えているのです。とくに、三店交換方式についてはすぐに廃止し、マイナンバーの提出と引き換えに期間限定で換金を合法化する、というのが現実的な解決策ではないでしょうか?

パチンコ屋の在り方も、たとえば、「お父さんが休日、気晴らしにパチンコを打ちに行き、勝てば子供のためのちょっとしたお菓子を貰ってくる」、というくらいに留めるのが健全でしょう。生活を賭けてまでパチンコに入り浸る人が出てくるのは、どう考えても不健全であり、社会全体に害悪をもたらしています。

あらかじめ5年間なら5年間と換金の合法期間を設け、それが終了したあとは、街のパチンコ屋はそれこそ、チョコレートだのガムだのビスケットだのといった景品と交換する娯楽機関にでもなるか、あるいはゲームセンターやシガーバーにでも業界転換すれば良いと思うのですが、いかがでしょうか?

新宿会計士:

View Comments (12)

  • IR法案決議の際、「まずは既存のギャンブル依存症への対策が先だろバカ!」って言ってたコメンテーターは、当然今回の対策については、両手を上げて評価するんですよね?

    報道が楽しみです。

  • 在日を通して北朝鮮のシノギになってるからこそ日本の最暗部みたいなコレを
    今を潰す話が出てるんでしょう。その面でもアメリカや国連の科してる
    北への制裁に協賛してる手前引かないし引けない。
    時間もかけ(られ)ない気がするけどね

  • なぜパチンコを潰すのかって?そりゃぶっちゃけ北朝鮮を潰すためでは?

  • < 更新ありがとうございます。

    < このニュースの出どころが『選択』1社のようです(他にもあったら失礼します)。ソコの出版社自体、いろいろややこしいみたい(笑)ですね。

    < 菅官房長官がパチンコ、公営ギャンブルの『縮小』を目指した改廃を考えてるのは、信憑性高いと思います。でも急に無くしたり、店数を半減させる荒療治は『抵抗勢力』(警察がパチンコ、競馬の農水省、競艇の笹川(笑)ら族が多くて、無理です。

    < 私自身ギャンブルには、ほぼド素人です。しかし考えるに、パチンコならまた、出玉の上限を下げればいいのではないでしょうか。大当たりの回数は現状維持し、出玉は1,000発まで。店は禁煙にする(笑)。

    < 景品交換所を無くして、店のカウンターでジカ取引、出玉と現金との換金は上限5,000円。もちろんマイナンバーは玉買う時にスキャンして購入額と履歴をデータ化する。月3万円で打ち止めでどうでしょう(笑)。パチンコ マニアは嫌がるやろな〜(笑)。

    < これを5年間やり、その後は景品のみの交換。但し換金性のあるタバコ、酒類は置かない。菓子、飲料、雑貨、日用品、玩具、あるいは100均を併設すれば、パチやらない客も来るでしょう。ここまでくればパチ屋は自分から辞めます。

    < 業態変換の名の下に、パチ屋は潰れまっせー(笑)大量に!23兆円の何割かが粗利益、そのうち◯%は北朝鮮に渡っているでしょう。言わば日本人も北の延命に協力していたと言える。

    < 競馬も場外馬券や車券やら、廃止にすべきです。実際にゲームを見もせず、金をかけてるだけの鉄火場です。全国潰しましょう。環境が良くなる。

  • パチンコに関する記事を書くなら、北朝鮮との関連に触れなければ本質を突いたものにならないと思います。
    北朝鮮の資金源を断つこと以上に、増税を止めて消費を冷やさないことの方が重要ですが(笑)。
    両方上手くやって欲しいですね。

  • ブログ主様のご意見に賛同します。が、老練な菅さんのことだからそれは百も承知で、憲法改正を確かなものにするため、立件民主党と社民党の資金を絶つ作戦かも。ただ、自衛隊明記以外は議論を深める必要があり、それらを加えると国民投票で否決の可能性が高い。自衛隊明記だけなら公明党も賛成するだろうから強行突破の方が憲法改正成立の可能性は高いと思う。

  • >とくに、パチンコ産業の関連団体には警察官僚が天下るなど、警察自体がパチンコ利権団体と化している状況で、パチンコの法規制を唐突に掛けると、安倍政権を快く思わない警察組織がマス・メディアにあることないことをリークし、政権を打倒しようとするおそれもあります。

    陰謀論大好きなもの好きの間では、パチンコ利権に触れると警察系の特殊工作機関によって不審死になるとも言われております。
    いや行政的には不審死と言うより、自殺と処理されるようですが。

  • パチンコ産業23兆円ですか。ずいぶん廃れましたね。
    その昔、30兆円とかで医療費と肩を並べるなどと言われた時期がありました。当時単純に思ったことは、じゃあ「国営」にすりゃいいんじゃないかとパチンコを。
    そうすればパチンコの売り上げ(収入)で国民医療費(支出)をチャラにできる。特定財源化するのね。医療保険料払う代わりにパチンコに行って、保険料相当のパチンコ打つのを国民に義務付ける(笑)いや、別に義務付けなくても依存症いるから大丈夫か。
    暇な高齢者にはどんどんやって貰う。その売り上げが自分たちの老人医療費にまわるような仕組みになるわけ。金勘定はボケ防止にいい。動体視力も鍛えられる。座位の保持が必要となれば筋力低下も予防できる。なんたってあの刺激だから、老人性の認知症なんてどっか吹っ飛んじゃう。パチンコすれば健康寿命も延びるし、医療費削減にもなる。パチンコ健康大国バンザイ!
    パチンコツーリングで海外からの観光客も誘致する。禁止になったお隣の国の人を特に積極的に呼び込んで金をまきあげる。アングラマネーが北に回るどころか、南から日本に綺麗なお金が入って来る。極めて健全。なんせ公営だからね。日韓基本条約で支払った国家予算3年分くらいの金は軽く戻って来るよ。慰安婦の10億円なんて10秒もあれば取り戻せるわ。

    まあ、あえて警察や議員の利権には触らない。そういうのは、いっときなくしてもどうせ新たな別の利権に変わるだけ。社会の潤滑油だったり必要経費と割り切らなきゃ。

  • そーいや?韓国人が福岡とかの、パチンコ屋に来て打ってるらしい。あいつらホンットギャンブル好きだからね。

    • あれ?済州島にカジノ無かったっけ?

      と調べたら、外国人専用で自国人は遊べないんですね。
      パチンコも禁止ですし、オンラインゲームが流行るわけです。

  • 変な事書いてますね
    『三店交換方式廃止』=『パチンコ産業との全面戦争』ですよ

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