北朝鮮から経済支援を強要される韓国政府の自業自得

久しぶりに北朝鮮に関する話題を取り上げてみたいと思います。もはや韓国社会は北朝鮮に取り込まれそうになっていて、しかも、6月12日の米朝首脳会談で合意された、北朝鮮の非核化という努力についてもさしたる進展が見られないという、一種の膠着状況に陥りつつあります。

北朝鮮がまたブラフ?

中央日報「朝日が報道」

韓国メディア『中央日報』(日本語版)に昨日、「韓国が南北首脳会談を8月に前倒ししようと提案したところ、北朝鮮側は終戦宣言が先だと突っぱねた」とする報道が出ています。

日本のメディア「韓国『8月に首脳会談を』…北朝鮮『終戦宣言が先』」(2018年08月02日13時44分付 中央日報日本語版より)

しかも、驚いたことに、このニュースは韓国政府関係者から出て来たものなどではなく、「朝日新聞が報じた」ものだとしています。

ということは、またしても牧野愛博氏のスクープでしょうか?実は、この点についてはよくわかりません。『朝日新聞デジタル』に肝心の該当する記事が掲載されていないからです。ただ、大型のスクープ記事を連発して来た牧野氏であれば、このような情報を取って来ていても不思議ではありません。

中央日報からの「孫引き」ですが、朝日新聞によると、

韓国政府が南北首脳会談を8月に前倒ししようと提案したところ、北朝鮮側は「4月(27日の南北首脳)会談より進展した合意が必要」「(具体的には)南北経済協力や朝鮮戦争の終戦宣言(に関する合意)ことだ」

としています。一方、韓国は米国にも会談開催への協力を求めたところ、「米国側は(北朝鮮の)非核化が進んでいないことを指摘」したとしており、この報道が正しければ、いわば、米国は韓国に対して「ゼロ回答」を示した格好です。

さらに、中央日報は朝日新聞が

最近、南北会談で局面打開を図りたい韓国だが、焦りが募っている

と伝えたとしていますが、この下りについては別に朝日新聞や中央日報が指摘する必要はありません。なぜなら、4月27日の南北首脳会談以来、南北間には目立った進展が見られないからです。

情報自体は自然だ

今回の中央日報の報道については、正直、情報の伝達ラインが長すぎるため、真偽のほどはよくわかりません。しかし、私の予想が当たっていれば、おそらくオリジナルの記事を執筆したのは朝日新聞ソウル支局長の牧野愛博氏であり、しかも、それなりに確度がある報道だと見て間違いなさそうです。

ただ、別に今回の記事が牧野氏の記事ではなかったとしても、韓国政府(というよりも文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領)が、あたかも北朝鮮の代理人であるかのように行動して来たことを踏まえれば、中央日報の記事に不自然な点はありません。

とくに、「北朝鮮が求めているのは体制保証と経済支援である」という点は、まったくそのとおりだと思います。いや、古今東西、いかなる国であっても「国益」は変わりません。それは軍事的な安全と経済的な繁栄です。北朝鮮であっても、安全保障と経済協力を欲しているということは事実でしょう。

北朝鮮支援で自滅する韓国

北朝鮮に支援を与える愚

では、ここで冷静に考えてみましょう。

北朝鮮に対して軍事的な安全と経済的な利益を提供すれば、その見返りとして、いったい何が得られるのでしょうか?

仮に北朝鮮に安全を保障したうえで経済的支援を与えたら、金正恩が北朝鮮を自由・民主主義国に作り替え、「新生北朝鮮」が東アジアの平和と安定に寄与するとでも言うのならば、この国にいくらでも支援を与えれば良いと思います。

しかし、現実の北朝鮮は一貫して、国際社会とかわした約束を破り続けて来ました。北朝鮮の非核化交渉は1990年代から断続的に行われており、国際社会は核開発を放棄する代償として軽水炉の建設支援や燃料の提供などを申し出ました。

しかし、それでも北朝鮮は結果的に核開発を放棄せず、昨年までに核実験、ミサイル実験を繰り返した末に、核保有を宣言しています。国際社会の目から見て、北朝鮮のことは信頼に値しないというのは疑いようのない事実でしょう。

また、北朝鮮に対して経済的利益を提供すれば、北朝鮮人民の生活を豊かにすることにではなく、金正恩(きん・しょうおん)一味の懐を潤し、さらなる核、生物・化学兵器、大量破壊兵器などの開発などにカネをつぎ込むことは目に見えています。

北朝鮮を付けあがらせたのは韓国が悪い

北朝鮮に対して利益を提供し続け、付けあがらせてきた、「最も悪なる国」といえば、何といっても韓国です。

とくに金大中(きん・だいちゅう)、盧武鉉(ろ・ぶげん)の両大統領は、極端な親北政策をとり、在任中に北朝鮮の独裁者・金正日(きん・しょうじつ、2011年12月死亡)と南北首脳会談を行ったほか、北朝鮮に対してさまざまな支援を行いました。

この行動は、不思議というほかありません。なぜなら、韓国にとって軍事的にもっとも重要な相手国は米国であり、経済的にもっとも重要な相手国は日本であって、いずれも北朝鮮ではありませんし、ましてや中国でもないからです。

それなのに韓国は、擦り寄る先が中国か北朝鮮かという違いはあれど、基本的に日米から離間するという方向で一貫していることはいうまでもありません。

また、北朝鮮が過去20年以上にもわたり、自国民に対する人権侵害を繰り返しながら核開発を続けてきたという事実については、重く見る必要があります。しかし、北朝鮮がそういうことを続けてきた背景には、やはり韓国が陰に陽に、北朝鮮を経済面で支えて来たことがある点については、言うまでもありません。

一方的に米韓同盟を反故にする韓国の愚かさ

それだけではありません。

「ろうそくデモ」で政権追放された朴槿恵(ぼく・きんけい)前大統領に代わって、文在寅氏が昨年5月に大統領に選ばれて以降の韓国は、再び猛烈な勢いで北朝鮮に近寄り始めています。

まず、昨年7月には日米両国に話を通さず、唐突に、北朝鮮に対して赤十字会談や南北軍事会談などを呼びかけました(※ただし、これについては北朝鮮側が応じませんでした)。また、中国に対しては昨年10月に、「三不の誓い」を立ててしまい、これにより日米両国が呆れ返ってしまいます。

実際、青山繁晴参議院議員によると、米国は昨年秋から冬にかけて、北朝鮮攻撃の準備をしていたそうです。しかし、この時点ですでに韓国は「蚊帳の外」に置かれていて、北朝鮮攻撃は日米軍事同盟に基づき、日米両国の連携において準備されていたとみて良いでしょう。

こうした状況に危機感を抱いたのか、韓国は今年1月に入り、唐突に米国に対して一部の米韓合同軍事演習の延期を申し入れ、さらには北朝鮮に再び南北高官級協議を呼びかけたのです。

一方の北朝鮮側も、日米が主導した経済制裁に苦慮していたためでしょうか、昨年7月の時点とは異なり、今年1月の時点では南北高官級協議に応じ、そこから平昌(へいしょう)冬季五輪への北朝鮮代表団の派遣(2月)、さらには平壌への韓国使節の派遣(3月)と続きます。

米国が米朝首脳会談に応じると表明したのも3月頃ですが、さらには4月に入り、文在寅氏は金正恩との首脳会談を実施。勝手に「朝鮮戦争の休戦」などからなる「板門店宣言」で合意してしまうのです。

これで米国が激怒しないはずなどありません。

南北協力の進展が止まった?

米朝首脳会談から2ヵ月:あれからどうなった?

一方で、6月12日には米朝首脳会談がシンガポールで開催されました。その米朝共同宣言に盛り込まれた合意事項は、大きく4点あります(カッコ内は私自身の意訳です)。

  • The United States and the DPRK commit to establish new U.S.–DPRK relations in accordance with the desire of the peoples of the two countries for peace and prosperity.(米朝両国は両国の人民の平和と繁栄に対する熱望に従い、新たな両国間関係を構築する。)
  • The United States and the DPRK will join their efforts to build a lasting and stable peace regime on the Korean Peninsula.(米朝両国は朝鮮半島において、恒久的かつ安定的な平和体制を確立するために協力する。)
  • Reaffirming the April 27, 2018 Panmunjom Declaration, the DPRK commits to work toward complete denuclearization of the Korean Peninsula.(2018年4月27日の板門店宣言に従い、北朝鮮は朝鮮半島の非核化を完了するよう努力することを再確認する。)
  • The United States and the DPRK commit to recovering POW/MIA remains, including the immediate repatriation of those already identified.(米朝両国は朝鮮戦争における捕虜・行方不明者の遺骨収集と、特定されたものの米国への送付で合意した。)

このうち、現実に進展しつつある項目といえば、米兵の遺骨収集作業くらいであり、それ以外の「新たな両国関係の構築」、「恒久的な平和体制の確立」、「朝鮮半島の非核化に向けた努力」などについては、いずれも目立った進展がありません。

北朝鮮外務省が「キレる」

実際、マイク・ポンペオ米国務長官は北朝鮮の非核化などを協議するために、7月6日から北朝鮮を訪問しましたが、驚いたことに、北朝鮮側はポンペオ氏が北朝鮮を去った後になって、ポンペオ氏を強く批判する声明を出しています。

非核化まで制裁とポンペオ長官、「ギャングのような」要求と北朝鮮(2018年7月8日 12:16付 ロイターより)

ロイターによると、ポンペオ氏が北朝鮮を離れた直後に北朝鮮が出した声明の内容は、次のとおりです。

(米国から北朝鮮に対し)一方的でギャングのような非核化要求(を突きつけられた)」「非核化への我々の意思が、揺らぎかねない危険な局面に直面することになった。

ポンペオ長官としては、北朝鮮に対して6月12日の米朝合意の履行を求めたにすぎないにも関わらず、北朝鮮側が(しかもポンペオ長官の目の前ではなく、彼が北朝鮮を離れた後になって)このように批判したことは、北朝鮮が核放棄をする意思を持っていない証拠と見て良いでしょう。

米国が北朝鮮を攻撃する可能性は再び低くなる

ただし、だからといって、米国が北朝鮮を攻撃するのかといわれれば、話はそこまで単純ではありません。

北朝鮮は中国やロシアと国境を接しており、中露両国の事前の了解なく、北朝鮮に攻め込むのは困難です。とくに米軍が2003年のイラク戦争でやったような「斬首作戦」をやろうと思えば、中国やロシアが何らかの形で介入してくる可能性は高く、この点も米国による軍事介入が難しい点でしょう。

このため、米軍が北朝鮮を攻撃するにしても、できることと言えばミサイル基地などに限定して爆益を加えるという、いわゆる「サージカル・アタック」か、もしくは「米軍の実力を北朝鮮人民に見せつけるための、平壌(へいじょう)あたりに対するピンポイントでの空爆」(いわゆる「鼻血作戦」)くらいです。

しかも、こうした攻撃を加えたとしても、北朝鮮の非核化が実現できるという保証はありません。

話はそれだけではありません。現在、米国は中国を相手にした「貿易戦争」に踏み切っています。米国が中国と北朝鮮を同時に敵に回し、かたや中国に対する「関税戦争」、かたや北朝鮮に対する「斬首作戦」と考えると、話は非常にややこしくなります。

あるいは、中国に対して「貿易戦争の和解」を呼びかけることの代償として、米国が中国に対し、北朝鮮への斬首作戦の実施を容認するように求める、というシナリオも考えられなくはありません。しかし、この場合、今度はロシアが介入してくる可能性もあり、どのみち「斬首作戦」は困難です。

このように考えていくと、結局、「北朝鮮処分」を巡っては、米国が中国、ロシアと話し合うしかなく、また、米中露3ヵ国が話し合いを行えば、わざわざ北朝鮮攻撃をしなくても、金正恩は「無血開城」に応じるしかなくなります。

以上から、米国が今すぐ北朝鮮攻撃に踏み切るとは考え辛いのです。

金正恩の除去が必要

こうした中、日本としては、北朝鮮による核、ミサイル、生物・化学兵器などの大量破壊兵器という問題を包括的に解決するだけでなく、北朝鮮に拉致されたままの日本人の全員を無事に帰国させるとともに、拉致事件の全容を解明しなければならないという課題を抱えています。

また、これらの問題が解決したとしても、金正恩体制が続く限りは、北朝鮮の人民は引き続き圧政に苦しむことになりますし、北朝鮮が核開発を再開しないという保証はありません。要するに、金正恩体制を取り除くことが必要なのです。

私は、日本が北朝鮮の非核化や拉致問題解決のためのコストを負担することは良いことだと考えています。ただし、そのコストは「北朝鮮に対する身代金の支払い」ではなく、「北朝鮮に対する戦費」という形で負担するのが望ましいと思います。

もちろん、「中国やロシアが介入してくる可能性がある」という点や、「韓国が北朝鮮寄りになっていて、北朝鮮開放を妨害してくる可能性がある」という点については、米国だけでなく日本にとってもまったく同じことです。

しかし、私は安倍晋三氏が自民党の総裁に三選されたあとの秋以降の臨時国会で、まずは憲法改正議論が進むことを強く期待したいと思います。そのためにも、日本は「南北平和」などと寝ぼけたことを言っていないで、まずは足元の問題を解消することに努めるべきです。

私たち有権者としても、偏向報道ばかり垂れ流す反日メディアを信頼しないことと、反日的な行動ばかり取る国会議員たちを選挙で落選させることが大切だと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

当ウェブサイトも、今や月間20万件近いページビュー(PV)を頂くオピニオン・サイトに成長しましたが、社会的影響力は、まだまだ足りないと思います。私は、有権者の皆さんが「自分の頭で考え、行動すること」が大切だと思っており、そのためにウェブサイトを通じた言論活動を続けていくつもりです。

読者コメント一覧

  1. あにまる豚 より:

    いつも記事の執筆、お疲れ様です。
    初めてコメントを記入しますが、1年程、頭に刺激を頂きながら勉強させていただいております。

    さて、隣国ですが、米国国務省から「米国務省、韓国の対北制裁破りに韓国語で警告」として
    警告を受けた様です。
    朝鮮日報日本語版に記事が出ていました。(原本は確認していませんが)
    ✳︎リンクの貼り方が分からず、申し訳ありません。

    もしかしたら、韓国へのセカンダリーサクションが意外と早く実施されるかもしれませんね。

    文末になりますが、暑さ厳しいこの頃、お身体をご自愛くださいませ。

  2. めがねのおやじ より:

    < 更新ありがとうございます。

    < 『韓国政府が南北首脳会談を8月に前倒ししようと提案したところ、北朝鮮側は「4月(27日の南北首脳)会談より進展した合意が必要」「(具体的には)南北経済協力や朝鮮戦争の終戦宣言(に関する合意)のことだ」』(中央日報/朝日新聞)。なるほど、北朝鮮としては韓国から貢物を出せッという事ですね。朝日新聞の牧野氏かもしれませんが、大したスクープです。実際ナニの進展も見せない南北関係、米朝関係ですから、【板門店宣言】や【シンガポール会談】も現時点では、『やる必要が無かった』会談と言えます。  *大して期待はしてませんでした。結局、北の金正恩がノコノコ出て来たが、交通費宿泊費は他国持ちというガメツさ(笑)。

    < ここに集う皆さまならご存知の通り、何の交渉事でも北朝鮮は手ぶらでは帰りません。ただ、今回はポンペオ長官の態度の通り、米国が強気である事、『最強の経済制裁』については、近隣の日本が一歩も引かない事から困り切っているのはヒシヒシと伝わってきます。北朝鮮の手先と成り果てた韓国が、東シナ海、韓国西部沖合で、盛んに瀬取りのお手伝いをしています。発見次第、艦砲射撃か魚雷発射できればイチコロなんだが(笑)。

    < 私見ですが、朝鮮半島における『安定した平和』は、【金正恩ら金一族の除去と文在寅政権の崩壊】まで、無いと思います。但し文政権がローソクデモ等で倒れようが、『反日』である事に変わりありませんし、韓国経済を立て直すのは、極めて難事であると思います(北はそれの何百倍も大変だが)。そうこうしているうちに、中国が介入して来るかもしれない。そうならない為には重しとしての在韓米軍は必要です。

    < いずれにせよ日本は、愚民半島がどうなろうとヘタに近づくより『関知しない』が正解です。秋の「安倍首相3選」後には、是非とも改憲について、提議をお願いしたい。タイムリミットは近いです。   以上。

  3. とある東京都民 より:


    >>しかも、驚いたことに、このニュースは韓国政府関係者から出て来たものなどではなく、「朝日新聞が報じた」ものだとしています。
    >>
    >>ということは、またしても牧野愛博氏のスクープでしょうか?実は、この点についてはよくわかりません。

    つ~か、朝鮮総連が、朝日新聞に書かせた記事なんじゃないの??

    その視点が無い!

    まあ、無論。
    現状、ステルスモード極め込んだ韓国政府か韓国国民を、揺さ振るつもりか?
    それとも、ただの大きなブラフか?キタが、もう痺れを切らしたか?

  4. りょうちん より:

    一応傍証はある模様。

    http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201808/CK2018080302000144.html
    中国、終戦宣言に前向き 朝鮮戦争 王毅外相が示す

    ASEANでの話みたいですが、核・弾道ミサイル放棄させたら北朝鮮もビルマ(旧名)やラオスみたいに参加するのですかねえ。
    ASEANって、自由陣営の国の集合だと思いこんでいましたが、中国がオブザーバー気取りで参加していたり、今回のダム決壊洪水報道でわかったように独裁国家も多いんですよね。ベトナムもまだ一党独裁ですし。

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