韓国メディアの報道を読んでいると、「日本の地位が下がれば韓国の相対的地位が上昇する」から、「日本の地位が下がることは好ましいことだ」、と勘違いしているのではないかと思うことがあります。週末のトランプ氏の発言をベースに、その最新事例を紹介しておきましょう。
韓国メディアの支離滅裂さ
日本が「再び蚊帳の外」に!?
北朝鮮の独裁者・金正恩(きん・しょうおん)の「片腕」と目される金英哲(きん・えいてつ)が先週、米国を訪問しました。これについて、今週初になり、韓国メディア『中央日報』日本語版に、「トランプ大統領が安倍総理を裏切った」、などと嬉々として報じる記事が、相次いで掲載されています。
23回の電話、6回の会談…その安倍首相を裏切ったトランプ大統領(2018年06月04日09時01分付 中央日報日本語版より)
韓経:トランプ大統領、ボルトン氏とペンス氏除き…金英哲氏に「友邦最高位級の礼遇」(2018年06月04日09時12分付 中央日報日本語版より)
このうち、「23回の電話、6回の会談」とする記事の方では、トランプ大統領が金英哲と面会したことについて、「日本が裏切られた」、「日本政府は慌てている」などと指摘されています。また、『韓国経済新聞』の方の記事でも、これが「友好国の最高クラスの外交官に与えられる儀典」だったと報じています。
要するに、「日本は一方的に『日米は一体だ』と信じていたのに、トランプ氏によって裏切られた」、というストーリーですね。
確かに、米国が今回、金英哲を迎えた際の姿勢には、いろいろな問題があります。たとえば、先週『【夕刊】核より拉致:北朝鮮への軍事侵攻はあるのか?』でも触れましたが、マイク・ポンペオ米国務長官が金英哲をニューヨークの豪奢な高層コンドミニアムの晩餐会で歓待している姿が、世界に報じられました。
こうした姿を見ると、たしかに米朝両国が「和解」に向けて急速に走り出しているかのような誤解を、世界に与えかねません。実際、日本や韓国のメディアなどが、嬉々として「日本が蚊帳の外に置かれた!」などと報じているのがその証拠でしょう。
中央日報に必要なのは「冷静な目」
では、米国は具体的に、どういった点で「日本を裏切った」のでしょうか?
中央日報が論拠として持ち出しているのは、「日本メディアの報道」です。
- 「毎日新聞の報道によると、防衛省幹部の間では「日本が圧力の維持ばかり主張すれば疎外される可能性がある」という懸念が出ている」
- 「トランプ-金英哲会談について日本メディアは「トランプ大統領としては米朝首脳会談の開催に意味があり、段階的な非核化という北朝鮮の主張を容認してしまった」と懸念している」
- 「東京新聞は「ノーベル平和賞の受賞を強く意識しているため」と分析した」
…??
「日本が圧力の維持を主張すれば疎外される」という下りは、『ハンギョレ新聞』をはじめとする韓国メディアの典型的な主張であって、米国で見られる主張ではありません。次に、トランプ氏の発言の「米朝首脳会談は1回では終わらない」という発言も、米国がCVID ((CVIDとは「完全な、検証可能な、かつ不可逆な方法での廃棄」(Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)のこと。)) を諦めたものではありません。
さらに、最後の「ノーベル平和賞」云々の下りについては、見当外れも良いところでしょう。いかにも東京新聞あたりが報道しそうな俗説ですが、まったくもって意味不明です。さらに、
「トランプ大統領が「非核化に相応する対北朝鮮経済支援は韓国と日本、中国がする」という趣旨で述べた点も日本国内で波紋が広がった。日本は「核とミサイル、拉致問題の包括的解決を通じた国交正常化なしに対北朝鮮経済支援はない」という立場であるからだ。日本外務省の幹部は読売新聞に「拉致問題が未解決のまま北朝鮮に巨額の経済協力をするのは国民の理解を得られない」と述べた。」
という下りについては、以前からの日本政府・安倍政権の立場と何ら変わるところはありません。
さらに、米国・トランプ政権が金英哲を歓待した点については、一見すると「やや軽率だった」との見方もできなくはありません。しかし、それと同時に、米国の現在のスタンスは、「わざと柔軟姿勢を見せて金正恩を油断させ、6月12日にシンガポール会談に引きずり出すためだ」、と位置付けると、すっきりします。
トランプ氏が金正恩の使節を歓待してみせ、金正恩からの親書を受け取ってみせることで、金正恩に「もしかしたら米国は態度が軟化したのかもしれない」、「米国は交渉次第で核の段階的放棄に応じてくれるかもしれない」と思わせることが出来れば、それはそれで大成功だ、という仮説ですね。
いずれにせよ、「トランプ氏が金正恩の使節を歓待した」からといって、「日本が米国に裏切られた!」と直結するのは、報道機関の論評としてはお粗末であり、短絡的過ぎます。
韓国の地位が向上するわけではない!
ただ、韓国のメディアの報道を読んでいて、私が昔から疑問に感じているのは、韓国メディアが「日本の地位が低下するようなことが発生すれば、韓国の地位が相対的に上昇する」、という、きわめて短絡的・近視眼的な視点に支配されているのではないか、という点です。
先ほど引用した2つの記事からも、「トランプ氏が金正恩の使節を歓待した」、イコール、「日本が外された」、「米国における日本の地位が低下した」、そして「韓国の相対的な地位が高まった」、という勘違いが、痛いほどに伝わってくるのです。
ところが、週末に米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版に、こんな記事が掲載されています。
South Korea: We Need to Give Kim Jong Un a Chance to Change the North(米国夏時間2018/06/02(土) 01:13付=日本時間2018/06/02(土) 14:13付 WSJより)
(※余談ですが、タイトルに “South Korea” とありますが、直訳すれば「南朝鮮」です。日本のメディアが韓国を「南朝鮮」と表現したら韓国から強烈な抗議が飛んで来るのが常ですが、なぜか米国のメディアが「南朝鮮」と表現したところで、韓国政府はWSJに抗議しないのは不思議というほかありません。)
この記事は、土曜日にシンガポールで開催された安全保障フォーラム(通称「シャングリラ会合」)で、韓国の宋永武(そう・えいぶ)国防長官が「国際社会は北朝鮮に対して非核化のための猶予を与えるべきだ」と主張した、というものです。
WSJは小野寺五典防衛相が「北朝鮮に対する最大限の圧力を続けるべきだ」、カナダのサジャン国防長官が「CVID以外はあり得ない」などと発言したのに対し、韓国だけが、米国の同盟国でありながら対話を唱えているという異常性が浮き彫りになっているのです。
WSJの記事には、「韓国はまるでヒトラーに対するネビル・チェンバレンのようだ」、という読者コメントが付されています。ここで「ネビル・チェンバレン」とは、アドルフ・ヒトラーに対して「宥和政策」を推進した英国の元首相のことですが、いわば、これが西側諸国から見た韓国の姿なのかもしれません。
最後まで気を抜くべからず
さて、北朝鮮の独裁者・金正恩は、本当に6月12日の米朝首脳会談の場に姿を現すのでしょうか?米国は現在のところ、「予定どおり、6月12日にシンガポールで首脳会談を行う」と述べていますが、正直、これについては最後まで気を抜くべきではないと思います。
私は、金正恩が土壇場でシンガポールに現れない可能性も十分にあると考えています。たとえば、金正恩は1泊65万円もするスイートルームへの宿泊を希望しているとされていますが、「スイートに泊れないならシンガポールに行かない!」と言い出しかねません。
正恩氏/1泊65万円スイート希望 費用、誰が払う?(2018年6月2日 19時52分付 毎日新聞より)
スイートに泊れないのならば、徹夜するか、日帰りで良いと思うのですが(笑)それはともかく、私自身は今でも、金正恩が6月12日の首脳会談に現れない可能性は極めて高いと考えています。
当ウェブサイトの人気コンテンツの1つが、定期的に更新している「朝鮮半島の将来に関するシナリオ」というものですが、以前、『緊急更新「朝鮮半島の6つのシナリオ」仮定版』で申し上げたとおり、シンガポール会談が行われれば一挙に朝鮮半島情勢が動き始める可能性は高いです。
1つだけ確実な点があるとしたら、まだまだこの話題から目を離すことはできない、ということでしょう。
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「日本の地位が下がれば韓国の相対的地位が上昇する」
「日本の地位が下がることは好ましいことだ」
バカッター?? と言うか、馬鹿だね、こいつら・・・www
建設的な議論をせずに政権の足を引っ張るばかりの野党、そして多くのマスコミも自民党の地位が低下すれば、相対的に野党の地位が上昇すると韓国と同様の発想で勘違いしているようです。
< 第2報、ありがとうございます。
< WSJも年寄りがいるのか(笑)、チェンバレンなんて名前出すなよ。それでは例え話は分かりにく過ぎる(笑)。
< 金英哲などというテロリスト、軍の最悪司令官をポンペオ長官が厚遇したのは、ゴキブリホイホイかそれに近いものでしょうね。米国が段階的破棄、縮小に応じるのかもしれないと。小心者で猜疑心強い金正恩がシンガポールに来るかは微妙なところです。私的には来たら金正恩の負け、と思う(宿泊代は韓国にタカレ。でも韓国は来なくてよい)。
< 宋氏はシャングリラ会談で日本の小野寺外務大臣の対北強硬姿勢を非難してますが、ナニ、元はといえば同族同士。65年以上も対立してるのはアンタラ朝鮮民族に、統一する器量を持つ人がひとりも出なかったのが問題だろう。他国に迷惑かけんな!と言いたいです。
< 失礼します。
チェンバレンが無能の代名詞な呼ばれ方をされていますが実際にはドイツの軍拡に対応するために第二次世界大戦の準備を行い、その時間稼ぎの為にもチェコスロバキアを生贄に差し出す必要性があったので必ずしも無能でもありません。
そして今回の例えだと少し無理があります。当時のドイツに対抗するために時間が必要だったイギリスですが、今北朝鮮が時間を得ても制裁が続くだけで苦しむだけですし時間が味方するわけでもありません。
南朝鮮も時間を得ても何かが変わるわけでもないのでただのこじ付けでしょう。
核兵器が欲しい。
核兵器が有れば世界中がウリナラを大国として見てくれる。
核兵器が欲しい。
核兵器が有れば安倍の上から目線言葉を聞かなくて済む。
核兵器が欲しい。
核兵器が有ればトランプやキンペーの蔑みの視線を受けなくて済む。
核兵器が欲しい。
クロデンワとトランプの間に入って核兵器をポッケナイナイしたい。
そうすればきっと世界がウリを崇めてくれる。
だから…核兵器が欲しい。
妄想国家の超ド近眼メガネの電波を以上の通り受信しました(笑)
何がチェンバレンですかね。
チェンバレンに謝れ(笑)