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【夕刊】危機にこそ本領は発揮される

主要メディアの調査による政権支持率が軒並み急落していますが、これに昨年7月の「加計学園騒動」のときと同じような、一種の「報道テロ」のにおいを感じるのは私だけではないでしょう。

政権支持率は30%台!

森友学園への土地売却に関連し、財務省内で公文書が改竄されていた問題で、政権支持率が急落しているそうです。先週から今週にかけて、あいついで公表されている内閣支持率調査によれば、もっとも極端な例だと支持率が30%台前半にまで低下していることが確認できます(図表1)。

図表1 主要メディアによる2018年3月時点の内閣支持率
メディアと調査期間 支持率 不支持率
読売(3/9~11) 48%(▲6%) 42%(+6%)
産経・FNN(3/10~11) 45.0%(▲6.0%) 43.8%(+4.8%)
毎日(3/17~18) 33%(▲12%) 47%(+15%)
朝日(3/17~18) 31%(▲13%) 48%(+11%)
時事(3/9~12) 39.3%(▲9.4%) 40.4%(+8.5%)

(【出所】各メディアの報道より著者作成)

ただ、この「支持率急落」については、過去にも見覚えがあります。その典型例といえば、昨年7月、加計学園に対する獣医学部新設認可に関して国会閉会中審査が行われた際に、内閣支持率が急落したことでしょう。

内閣支持率は昨年7月に急落したのち、8月に不自然な急回復を見せました(『内閣支持率、不自然な急回復』参照)。その後、安倍総理は9月に入り、衆議院の解散総選挙を決断。10月22日の総選挙では、自民党は現有勢力をほぼ維持して圧勝したことは記憶に新しい点です。

主要メディアが支持率を不当に操作しているのか、世論調査の母集団が偏っているのか、はたまた本当に支持率が急落しているのかは、わかりません。しかし、どうも私の目には、「マスゴミ(※)が凝りもせずに同じ手を使ってきたな」、としか映らないのです。

(※)マスゴミとは、もともとは「ゴミのような情報しか流さない新聞・テレビなどのマス・メディア」に対する怒りを込めたネット・スラングですが、いまやすっかり人口に膾炙したようにも思えます。

政権は今回の局面を乗り切るか?

余裕を見せる安倍総理

今回の「森友学園文書改竄事件」は、新聞・テレビを中心とするマス・メディア、官僚機構(今回は財務省)、野党政治家の「腐敗した既得権益3点セット」が仕掛けてきた倒閣運動の一種と見ていて、前回の「加計学園騒動」と同じような構図が見え隠れします(図表2)。

図表2 森友・加計学園事件の共通点
森友学園 加計学園
焦点 国有地の不当に安価での売却に安倍政権が関与したかどうか 獣医学部の設置に安倍政権が関与したかどうか
官僚機構 財務省、近畿財務局、佐川宣寿・前国税庁長官 文部科学省、前川喜平・前文科省事務次官
マス・メディア 朝日新聞 朝日新聞
野党議員 審議拒否、昭恵夫人の証人喚問などを求める 国会閉会中審査の開催などを求める

(【出所】著者作成)

ただ、前回の7月の支持率急落局面と今回が大きく異なっている点が、1つあります。それは、安倍総理にどこか余裕が見えることです。今朝の産経ニュースに、こんな記事が掲載されています。

【自民党総裁選】/「安倍3選」に黄信号 蠢く引退長老衆…「反安倍」の連鎖どこまで 首相「今は慌てず本性見極めるチャンスだ」(2018.3.19 05:00付 産経ニュースより)

記事本文にはさして読む価値があるとも思えないのですが、記事の末尾にある次の言葉は、私にはしっくりと来ます。

こういう時は慌てて動いてはダメだ。人の本性を見極めるチャンスじゃないか。誰がどう動くか。じっくり見るんだ…

「人の本性を見極めるチャンス」!まったくそのとおりでしょう。

「味方のふりをして後ろから弾を撃つ政治家」の有名どころとしては、石破茂氏や村上誠一郎氏あたりでしょうか。自民党議員だからといって、全ての議員が無条件に日本のことを考えているとはいえません。そのことを、安倍総理にはじっくりと見極めてほしいものです。

「攻撃は最大の防御なり」

こうした安倍政権の余裕を感じるのは、安倍政権が窮地に追い込まれているように見えながらも、さまざまな布石を打っていることにあります。私が着目したいのは、憲法改正、放送法第4条第1項改正と電波オークション、日米首脳会談です(図表3)。

図表3 安倍政権の「布石」
分野 概要 備考
憲法改正 戦力の不保持などを定めた第9条第2項の取扱いなどを巡り、改正議論が加速している 産経によると、自民党内で20日に議論再開後、25日に「改憲の考え方」発表を目指す方針
放送改革 電波オークション制度の実施、放送と通信の融合などを柱とした改革議論が緒に就く 当ウェブサイトでも取り上げたとおり、放送法第4条第1項の改革とセットと見られる
北朝鮮外交 3月9日に米朝首脳会談が発表された時点で、ほぼ同時に4月の日米首脳会談を開催決定 日米首脳会談に加え、日朝首脳会談、日韓首脳会談なども同時に検討される

(【出所】報道等をベースに著者作成)

この3つの論点は、いずれも、野党やマス・メディアにとっては都合が悪い項目ばかりです。とくに憲法改正は日本の戦後の既得権益に穴をあけることになりかねませんし、電波オークションはテレビ業界と、その同一企業集団にある大手新聞社が、何としてでも阻止したいものであることは想像に難くありません。

もちろん、今回の「森友文書改竄事件」という一種の「報道テロ」について、現時点で先行きを楽観視すべきではありません。しかし、日本国民もバカではありません。いつまでもこうしたマス・メディアによる印象操作に国民の多数が騙されるようなことはないと思います。

その意味で、私は今回の森友文書改竄事件を巡る事態を慎重に見守りたいと思います。

新宿会計士:

View Comments (3)

  • < 夕刊の発信ありがとうございます。
    < 安倍内閣の支持率がマスゴミの『言論テロ』で手負いの重傷、いえ、かすり傷を負ってます。支持するが30〜40%台、支持しないが40%台。だいたい6〜13%支持がダウン。そりゃあれだけやり放題やられたら、情報弱者なら疑います。でも今が最悪の数字で、また上がる。
    < ああいう安倍さん降ろしの集会、どんな人かと思って、共産党主体と思われるデモが近くであったので、近づいてスマホで撮ったらおじさんに睨まれた(笑)。もちろん画像は見て即削除した。参加してるのは爺さん婆さんと一部偏狭な若者、中年だ。先入観だけで書くのはいけないが、いかにも元教師、元看護師、元公務員、元会社労組員な感じ。もう、あそこまでガチガチなら生涯根性は治らんだろう。ああ、私には生涯縁のない方々だな。
    < 安倍首相はじめ内閣は布石は打ってます。憲法改正、日米会談、放送法改正と電波オークションなど、どれも落とせない。でも『こういう時は慌てて動いては駄目だ。人の本性を見極めるチャンス。誰がどう動くか』なんて、産経は援護射撃かな。貴社とフジ、FNNの関係はどうなってるの?不適切な関係だね。
    < 失礼します。

  • 国の一番大切な仕事は国民の不安をなくすこと。
    完全雇用に近い失業率、ベースアップの復活、非正規から正社員へ
    暗黒の民主党政権時代と比べれば、絶大な安心感があります。
    給料が上げること、景気を良くすることをコッミトしていけば
    「声なき声」は応援します。