ときどき設定を忘れそうになりますが、実は私は公認会計士です。そして、意外と知られていませんが、公認会計士は「企業会計の専門家」というよりは「監査の専門家」です。そうした視点から、現在の安倍政権にまったく問題点はないのかを議論してみるのも面白いかもしれません。
目次
企業会計と政治の違い
「説明責任」とは?
「説明責任」という言葉があります。
これは、簡単に言えば、「私はきちんと仕事をしていますよ」と説明する責任のことです。
もともとは企業会計の概念であり、企業経営者が株主に対して「今年もちゃんと利益を上げましたよ」、「会社をちゃんと経営していますよ」と説明する責任があることを「説明責任」と呼んでいましたが、本来、こうした考え方は、企業経営の世界以外にも存在しているものです。
たとえば、政治家であれば国民に対して「私は日本の国益を最大化するために努力していますよ」と説明しなければなりませんし、官僚などの公務員であれば、国民に対して「私(たち)は法律に従い、国民のために尽くしていますよ」と説明しなければなりません。
私は、この「説明責任」こそが、民主主義国の根幹をなす概念だと考えています。
「説明責任」の語源
さて、少しアカデミックな話をしましょう。
「説明責任」、英語では「アカウンタビリティ」(accountability)と表現します。
そもそも「アカウント」(account)は、辞書で調べれば「会計」、「銀行口座」などと出てきますが、もともとの意味は「説明すること」です。ここから転じて、「企業経営者が企業の経営状態を説明する行為」を「会計」と呼ぶようになったのです。
とくにわが国では、大企業では創業者一族が株式を握っているということはほとんどなく、たいていの場合、株式を証券取引所に上場しています。そして、これらの株式は証券取引所で転々流通しているため、企業の経営者と企業のオーナーである株主はまったく面識がないこともあります。
そこで、企業経営者としては、「株主の皆さん、当社は今年、これだけ儲かりましたよ」などと「説明」するのです。これが「企業会計」の原義です(※厳密には株主だけでなく会社債権者などに対する説明責任もあるのですが、詳しく知りたい方は専門書を読んで下さい)。
ところで、この「アカウント」に対して、「オーディット」(audit)という単語があります。日本語では「監査」と訳されることがありますが、実は、これは「アカウント」の対義語です。「オーディット」とは、「オーディオ」(audio)などと同じく、ラテン語のaudire(アウディーレ、「聞く」)から派生した単語で、原義は「(誰かの説明を)聞くこと」です。
そして、「オーディター」(auditor)とは「(会計)監査人」のことです。
この「監査人」という言葉を、初めて聞くという方もいらっしゃると思いますが、これは、簡単に言えば、「企業経営者から話を聞いて、その経営者が作成する決算書が正しいかどうかをチェックする人」のことです。
つまり、「会計」と「監査」はセットなのです。
わが国の場合は、基本的に会計監査は公認会計士が独占的に担っています。ちなみに、私たち公認会計士は、世の中の人からは「企業会計の専門家」だと思われていますが、厳密には「監査の専門家」です。
企業会計はややこしく、一般人はなかなか会計基準を読み解くことができません。そこで、公認会計士が専門家の立場から企業の会計(account)を監査(audit)するのです。
いわば、企業会計に詳しくない一般株主の代わりに、きちんと企業の決算書をチェックしてあげる仕事だと考えればわかりやすいでしょう。
「監査人」がいない政治家や公務員
ところで、私が調べたところ、この「説明責任」と「会計監査」という関係は、企業会計の世界以外では、あまり見当たりません。
一般企業の場合だと、経営者が「うちの会社はこれだけ儲かりましたよ」と、株主に対して自分の業績を盛んに宣伝するのですが、これは会社の決算をちゃんとチェックする監査人がいるからこそ、自信を持ってそう断言できるのです。
しかし、政治家や公務員の場合、「私はこれまで、これだけちゃんと仕事をしました!」と説明したとしても、それを検証する人はいません。つまり、「政治家の仕事をチェックする専門家」というものは存在しないのです。
ただ、だからといって政治家や公務員が説明責任を果たさなくて良いという話ではありません。
私たち国民は、日本という国の主権者であり、主人です。そして、政治家や公務員は、私たち主権者に仕える「公僕」です。
企業経営者が株主に対して説明責任を負っているのと同様、政治家や公務員は、私たち主権者に対して説明責任を負っているのです。
ということは、社会的に政治家や公務員に対する、何らかの監査機能が必要です。具体的には、その政治家や公務員が「私たちはちゃんと仕事をしていますよ」と主張していたとして、その主張している内容が正しいのかどうかをチェックする人が必要なのです。
それだけではありません。
政治家や公務員の中には、ろくに説明責任を果たそうとしない人もいます。
(※余談ですが、「ろくに説明責任を果たそうとしない人」の具体例として、ハッキリ実名を挙げるならば、日本共産党の志位和夫委員長がその典型例です。というよりも、日本共産党の場合、そもそも委員長がどうやって選ばれているのか、第三者が見て全く分かりません。つまり、日本共産党は公党でありながら、日本国民に対する説明責任を一切果たしていない組織だといえます。)
民主主義国は「有権者」が「政治家」を選ぶ
では、なぜ「説明責任」は大事なのでしょうか?
いうまでもありません。日本が民主主義国だからです。
日本の場合、政治家の任期は衆議院議員が最長4年間、参議院議員が6年間です(3年ごとに半数改選)。そして、これらの政治家が議員を続けたければ、任期満了時、もしくは衆議院の場合は解散総選挙の際、選挙で有権者の洗礼を受ける必要があります。
つまり、有権者は衆議院については少なくとも4年に1回、参議院については3年に1回、政治家に審判を下す権利を持っているのです。
その時に、その政治家が自分の事績なり能力なりについて、ウソの説明をしていたとしたら、有権者はそれに騙されてしまい、結果的に有権者自身が被害を受けることになります。
それで日本国民全体が酷い目に遭った事例といえば、2009年8月の衆議院議員総選挙ですが、私たちはこの「悲劇」を決して忘れてはなりません。
ただ、それと同時に、政治家が自分の事績や能力を巡ってウソをついていたとしても、有権者側がそれを見抜く社会的な仕組みが必要です。
いままでであれば、新聞・テレビを中心としたマス・メディアがその役割を担ってきたのですが、2009年8月の衆院選で、マス・メディアが猛烈な偏向報道を行い、有権者を騙したという実例があります。
新聞・テレビなどのマス・メディアは、これまでずっと情報を独占していて、競争原理が働き辛い業界です。このため、業界全体が腐敗していて、いまでも有権者を欺く偏向報道を続けています。
私自身がこのウェブサイトを運営している最大の理由とは、まさにマス・メディアに対する牽制という目的があるからですが、それだけではありません。
政治家や公務員の仕事を、1人のビジネスマン、金融規制のプロフェッショナルという立場から批判的にチェックすることにあります。
安倍政権を批判する
安倍さん、説明責任を果たしていますか?
前置きが長くなりましたが、「説明責任」が、わが国にとっていかに大切な概念であることがおわかりいただけたと思います。
そして、安倍晋三総理大臣は、日本の行政機構のトップとして、非常に大きな責任を負っている人物でもあります。それだけに、現在の日本において、国民に対し、最も大きな説明責任を果たすべき政治家とは、安倍晋三氏をおいてほかにないのです。
ところで、私は1人の有権者として、今のところは安倍政権のことを支持しています。
「今のところは」、と申し上げた理由は、安倍政権の事績が顕著であり、とくに前任の野田佳彦元首相と比べて、際立っているからです。
ただ、これはあくまでも野田佳彦、菅直人、鳩山由紀夫の各元首相らと比べてそう申し上げているだけの話であり、安倍政権には、「やろうと思えばもっとできる」という分野が、ほかにたくさんあります。
安倍政権の顕著な事績としては、何といっても外交分野があります。
安倍総理は2012年12月の「第2次安倍内閣」発足時点以降、現時点までに、76ヵ国・地域を訪問し、600回もの首脳会談を行いました。
こうした「地球儀を俯瞰する外交」が、わが国の国益に寄与していないはずなどありません。
実際、鳩山由紀夫・菅直人の両元首相が破壊した日米関係は、安倍政権下で復活しただけでなく、かつてない強固な同盟となり、いまやドナルド・トランプ米大統領は主要国首脳の中で、安倍総理に最も強い信頼を寄せているとも聞きます。
また、日本にとっての「価値同盟」である欧州連合(EU)との間ではEPAが発足したほか、ASEAN諸国、オーストラリア、インドなどとも良好な関係を維持しています。
さらには、ぎくしゃくしていた日中関係も修復に向かっていますし、ロシアとも関係改善の兆しを見せています。
これだけで見ても、外交面では成果は万全です。
経済面では及第点以下
ただ、私が最も期待を寄せていた経済面では、完全に期待外れです。
やはり、2014年4月からの消費税の増税が、日本経済の再生を完全に腰折れさせてしまいました。このことは、GDP統計、物価統計などの客観的データからも明らかです。
また、せっかく日本銀行が巨額の金融緩和をしているにも関わらず、財務省が財政再建を重視するあまり、財政出動を渋っていることもマイナス材料です。
経済理論上は、日本のようなオープン経済下では、金融政策と財政政策のベストミックスが取られたときに、デフレからの脱却が実現するはずです。
確かに足元の日本経済は、雇用情勢も改善し、ややインフレ気味に転じ始めています。しかし、これはアベノミクスがうまくいっているからではなく、金融緩和の一本足打法の成果であり、日銀が金融引き締めに転じた瞬間、すべては元の木阿弥になるでしょう。
もちろん、私自身は安倍総理が外交を最優先課題に置いているのだろうな、と理解しています。どんな強固な政権であっても、財務省と外務省を一度に敵に回すことはできません。まずは外交を立て直し、そのあとで財政機構の改革に着手するというのは、戦略としてはアリでしょう。
ただ、「安倍政権が財務省よりも外務省と戦うことを優先している」という点については、安倍総理自身がそう語ったことはありません。あくまでも私自身が、1人のビジネスマンとしての視点から、そう勝手に理解しているだけの話です。
説明不足が目立つ安倍外交
もちろん、私は某経済評論家と違って、「安倍憎し!」のあまり、安倍総理がやることなすことの全てを批判するというつもりはありません。
しかし、私ははっきり申し上げて、安倍政権の経済政策に対しては失望しているのです。
ただし、安倍政権が「外交上手、経済オンチ」であるとしても、外交面においても全面的に安倍政権を評価することはできません。
その大きな分野といえば、何といっても対韓外交です。
「対韓外交が安倍政権と日本にとってのアキレス腱だ」という点については、昨日もそのまた前日も、はたまた先々週も主張したとおりですが、もういちど繰り返します。対韓外交こそが安倍政権のウィークポイントであり、アキレス腱なのです。
なぜ私がそのように考えるのでしょうか?
端的に申し上げれば、安倍総理ご自身が、対韓外交を巡って国民に対し、誠心誠意、説明を尽くしていないからです。
その事例は2つあります。1つは2015年12月の「日韓慰安婦合意」であり、もう1つは、つい先日発表された、安倍総理の平昌(へいしょう)冬季五輪の開会式参加です。
このうち「日韓慰安婦合意」については、平たく言えば、日本政府が慰安婦問題を巡り、元慰安婦らに対しておわびと反省の気持ちを表明したうえで、10億円を韓国側にくれてやる代わりに「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決する」ということを確認したものです。
世の中の保守論壇、ブログなどを読んでいると、「このときに10億円を韓国にくれてやったから、今になって韓国がこれを蒸し返そうとしているときに、韓国に対してむしろ精神的優位に立っている」といった論調が目立ちます。つまり、「安倍総理はよくやった」、という評価ですね。
しかし、私はこの「日韓慰安婦合意」については、まったく評価していません。
なぜなら、そもそも論として、慰安婦問題自体が朝日新聞社による捏造だからです。慰安婦問題とは、
「1941年12月9日から1945年8月15日の期間、日本軍が朝鮮半島で少女ばかり20万人を戦場に強制連行し、性的奴隷として使役した」
問題のことですが、この問題の本質とは、文筆家の故・吉田清治の虚偽証言に従い、朝日新聞社の元記者だった植村隆らが捏造した記事をベースに、韓国政府と韓国国民が共犯者としてでっち上げた、日本人に対するヘイト犯罪です。
安倍総理はその犯罪に対して立ち向かうのではなく、カネを払って解決するという選択肢を取ったのです。
このこと自体、私は絶対に許すことはできません。ですが、それと同時に、安倍総理ご自身が、この問題について収拾をつけるチャンスは、まだ残されています。
それこそが、文在寅(ぶん・ざいいん)韓国大統領が主導し、昨年12月に発表された「日韓慰安婦合意検証タスクフォース(TF)」なのです。
平昌参加も意味不明
現在のところ、安倍総理ご自身は、この2015年の日韓慰安婦合意については「1ミリも動かない」と述べ、再交渉に応じない構えを崩していません。この姿勢自体、今のところは正しいものです。
ただし、私は安倍総理が在任中に、必ずこの合意を「韓国側から破棄させる」方向に持って行かねばならないと考えています。なぜなら、2015年の慰安婦合意が日本人すべての名誉と尊厳を傷つけ続ける材料として使われているからです。
実際、慰安婦合意成立後も、米国をはじめとする世界各地で、あの醜悪な慰安婦像や虚偽の碑文が設置され続けており、日本人の名誉と尊厳が犯され続けています。しかし、皮肉なことに、その原因となったものが、2015年の慰安婦合意でもあるのです。
諸外国から見れば、この慰安婦合意自体、「日本は慰安婦問題の全責任を認めて謝罪した」と受け取められていて、「性奴隷とされた少女たちの悲劇を将来に語り継ごう」とする韓国の邪悪な野心が、世界で受け入れられているのも当然のことです。
たとえば、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も、いまだに「戦時中の性的奴隷(wartime sex slaves)」と報じていて、この虚偽がまったく修正されていないのです。
South Korea Backs Off Japan Over Wartime Sex Slaves(米国時間2018/01/09(火) 02:21付=日本時間2018/01/09(火) 15:21付 WSJオンラインより)
私は本件につき、外務省の無為無策については当然、厳しく糾弾していくつもりですが、本件については安倍総理の責任も極めて大きいことを指摘しておきたいと思います。
そのうえ、安倍総理はよりにもよって、韓国で2月9日に開催される平昌(へいしょう)冬季五輪の開会式に参加する意思を表明しました。
もちろん、現段階では「諸般の事情が許せば」という条件付きではありますが、自民党の二階幹事長らが、わざわざ国会日程を調整するなどしたため、国内事情的にはむしろ安倍総理の訪韓はほぼ確実になった状況でもあります。
私自身、『【速報】安倍総理の平昌参加を支持しない』と『平昌五輪:安倍総理は政治利用されるのか?』の2本の記事で申し上げたとおり、合理的に判断するならば、安倍総理のこのタイミングでの訪韓は、悪手中の悪手だと考えています。
もちろん、総理ご自身の決断でもありますし、また、安倍総理なりのなんらかの判断もあったのかもしれませんから、現段階で「何が何でも安倍訪韓は大間違いだ」だとか、逆に無理やり「安倍総理の隠れた狙いはこうだ!」などと決めつけるのは間違いです。
しかし、本件についても私は、安倍総理の国民に対する説明責任の欠如を感じざるを得ないのです。
国民は何を気にしているのか?
「日本は韓国に嫌われている」という点は間違いない
さて、「日本は韓国から嫌われている」という点については、朝日新聞だろうが産経新聞だろうが、別に異論はないはずです。
左派論者の主張に多いのが、「日本は韓国から嫌われているから、相手がもう良いというまで謝罪すべきだ」といった議論ですし、右派論者の場合は、「日本は韓国から嫌われているが、そもそも韓国が日本を嫌うのに道理がないから無視すべきだ」などとする主張が多く見られますが、いずれにせよ、「日本が韓国から嫌われている」という点については、論者の左右を問わず、一致しているはずです。
当然、日本国民の間でも、韓国を「好きだ」という人もいれば、「嫌いだ」という人もいます。
内閣府による『外交に関する世論調査』を見てみると、日本国民の韓国に対する感情は、2013年以降、「親しみを感じていない」人の比率が、「親しみを感じている」人の比率を上回っています(図表)。
図表 日本人の対韓感情の推移
(【出所】内閣府「外交に関する世論調査」をもとに、著者作成)
ただ、「韓国に親しみを感じる」人の割合も決して低くはなく、直近の調査だと、ざっくりと4対6の比率で、日本国民の韓国に対する見方は割れているというのが実情に近いと思います。
私が日本国民全体にアンケート調査を取ったわけではないものの、おそらく、「日本は韓国に嫌われているが、何とかして関係を修復すべきだ」と考えている人もいれば、「日本は韓国に嫌われているが、別に関係を修復すべきでもない」と考えている人もいることでしょう。
あるいは、某匿名掲示板では、「朝鮮人はゴキブリだ」などの差別語・侮蔑語をまき散らしながら、感情的に日韓断交を叫ぶネトウヨもいますが、これは論外でしょう。
(※余談ですが、私自身は母親が在日韓国人二世ですが、私自身は韓国が嫌いですし、日本が大好きです。ただし、私自身の感情の問題については、ここで深く議論することは避けたいと思います。)
ただし、日本国民の意見が割れている問題であれば、なおさら、安倍総理としてはこの問題を巡って慎重であるべきですし、決断を下したのなら、それについてできるだけ本音を語る責任があります。
「本当の意図は五輪後にわかる」の無責任
私の目には、安倍総理が2015年12月の慰安婦合意のような失敗を、わざわざ繰り返しに行こうとしているようにしか見えません。
この点、私が見たところ、保守論客の多くは私と同じような理由で安倍総理の訪韓に反対していますが、保守論客の中にも、安倍総理の平昌五輪参加の意図を無理やり解説しようとする人もいます。たとえば、産経新聞の阿比留瑠比氏は、次の解説記事を執筆しています。
安倍晋三首相の平昌五輪開会式出席、リスクを取ったぎりぎりの決断 「慰安婦の日韓合意を終わったことにさせない」(2018.1.24 05:00付 産経ニュースより)
これについて私は、敢えて言葉を選ばずに申し上げれば、阿比留氏が「安倍総理訪韓の意義」を無理やりひねくりだしているようにしかみえません(ただし、これについては当ウェブサイトの昨日の記事で指摘しているので、ここでは繰り返しません)。
ほかにも、某匿名掲示板などを覗いてみると、「国際社会の前で慰安婦合意の履行を文在寅氏の口から言わせることに意義がある」といった、一見するともっともらしい分析記事もありますが、どれも分析記事としては今ひとつ説得力がありません。
さらに、論者によっては、「今回の安倍総理訪韓の本当の意図は、五輪後にわかるだろう」といった表現をする人もいます。
私も、結局は安倍総理訪韓の「本当の意図」は、五輪後でなければわからないのではないかと思います。ということは、やはり安倍総理はこれについて、説明責任を果たしているとは言い難いのです。
ウェブメディアによる「監査」の必要性
繰り返しで恐縮ですが、私は別に安倍政権を支持していないわけではありません。
いや、むしろ憲法改正などを通じて日本が国難を乗り切る端緒を掴むために適任な政治家は、安倍総理をおいてほかにいません。その意味で、私は安倍総理を支持しているのです。
それだけではありません。安倍政権は現段階で、対韓外交以外のさまざまな分野では、幅広く成果を上げています。たとえば、北朝鮮制裁を巡っても、国際社会において日本が主導権を発揮して実現した項目が多く、これは安倍総理のリーダーシップがなければ実現しなかったものです。
ただし、本稿で主張したとおり、対韓外交の分野における安倍総理の説明責任のなさは非常に気になるところですし、これが政権発足以来6年目に入ったことによる慢心によるものだとしたら、それはそれで困りものです。
いずれにせよ、経営者に会計監査が必要であるのと同様、権力者には何らかの「監査」、あるいは「監視」が必要です。マス・メディアが権力の監視機能を果たしていない以上、ウェブメディアこそが、その任を担うべきでしょう。
その意味で、私もささやかながら、安倍総理を筆頭とする日本の政治家・権力者らの行動や決断を分析し、それによって権力の監視機能の一端を担っていきたいと思います。
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安倍総理の権力基盤に二階幹事長と公明党という親中国派がいて、また今日も山中教授を失脚させようと画策する共同通信など国内に敵が多すぎるため、訪韓で殺されたフリをして5対5の引き分けではなく、6対4の勝ちに持ち込もうという考えだと思われます。慰安婦でやられて、ペンス大統領と北朝鮮爆撃の最後通牒を行う、まあ政治的には刺し違える覚悟と思われます。自民党は、韓国への経済支援のキックバックで選挙資金の捻出など今迄やってきたのでしょうし、韓国利権と恩を感じて、最後のご奉公といった考えでしょう。
最後通牒をアメリカと共に突き付けるなら、総理自身でなく駐韓大使等の派遣で十分なはずです。アメリカも副大統領の派遣なのに日本は総理自身。韓国を重視しているのか、総理の党内基盤が実は弱いのかなど、政権への不信、不安材料にしかなり得ません。積極財政、消費増税延期しないなど、経済分野で指導力を発揮出来ていないのも、党内基盤が弱いためであるなら納得です。
理由にならないかもしれませんが、一応国家元首としてはアメリカでは大統領、日本では天皇陛下なため、首相がいくとしても格が違うというわけではないようです。ご理解の上の文でしたら、すみません。
< 毎日の更新ありがとうございます。
< 確かに2015年12月慰安婦合意もそうでしたが、安倍首相の説明は足りなかったですね。説明不足は否めません。モリカケもデッチ上げとはいえ、もう少し説明した方がよかったかも。国民はどうしてこうなったのかという説明、監査報告を聞く権利がある。4年に1度の選挙だけでは消化し切れない。今回の訪韓は、親韓派の二階氏や公明党の山口代表らに外堀を埋められて、行くようにさせられたのかと思ってます。しかし、あれだけ安倍首相に訪韓を要請していた韓国の状況・態度が変ですよ。
< どうやら、積極的に首脳会談の場を設ける気がないような雰囲気。安倍首相と会談すれば当然、慰安婦合意履行と追加措置については、「1ミリも動かない」と面前で断られてしまう。青瓦台側はスポーツと政治は別と、またもや「ツートラック」もどきの用日を言ってますが、わざわざ五輪に足を運んだ首脳に対しては、トップ会談を行なうのは常識中の常識です。
< 韓国側は、安倍総理に来て欲しいだろうが、まさか米中露不参加で訪韓してくれるとは思っていなかった。恐らく文大統領は会わずに逃げ切るつもりでしょう、なんだかんだ理由つけて。それなら日本(安倍首相)側が俄然有利になる。相手の不誠実を突く事が出来るからです。ギリギリ待って前日まで文から日程の調整回答が無ければ、訪韓しない。韓国の不誠実による渡韓中止です。これを喧伝すればいい。
< もし会談設けるなら、会ってやって日米韓の枠組で、北への圧力を再確認すればいい。慰安婦合意履行も強く詰ればいい。また言を左右にして、平昌に行ってからも会談開催返答無しなら即帰国。テロリストばかりの国、安倍首相は韓国人に徹底して嫌われているから、護衛厳重に。選手団には選手村で激励すればいい。選手・スタッフは感激するでしょう。長居は無用、プレスセンターで韓国の「不誠実さ」を世界に広めて帰国。
< こんなストーリーを考えています。
< 失礼しました。
訪韓の意味は五輪の後にわかるというほど、機密事項を沢山抱えて難局を渡る首相に国民に説明しろというほうが無理なのでは。
本来何も言えないところ、なんとか理由を繕うのがせいぜい、というのを国民が忖度して応援するか、国益を害しても何もかも説明しろというか否かという問題なのでは。
確かに管理人さんの意見もわかりますが、例えば最後通告で五輪後開戦が決まってるとしたら、それは発表出来ませんもんね。
ただ、これが党内政治の為だとしら失望しかないんですけどね。
どちらにせよ安倍信者の極右岩盤層以外は、野党が酷すぎるから消去法で自民党に入れてるだけだと思うので、安泰だと慢心はしないで貰いたいものですね。自分たちの襟も正せず、国民無視で常に逆張りの野党でなく、まともな野党の台頭が緊張感ある政府には1番必要だと感じます。
うーん、そうかな?別にブログ主は国家機密をべらべら国民に喋れって言ってるんじゃなくて、国民から見て政治を信頼できなくなるような動きはできるだけ控えたら?って言ってるだけじゃないの?これは俺っちの読み方かもしれないけど、別に皆まで言わなくてもいいから、国民が安倍さんはちゃんと仕事やってるねって確信が持てるだけの動きをすべきだってことじゃね?国益を害さない範囲でちゃんと説明しろってことだと思うよ。
気分を害されたなら失礼しました。
ただ、外交では機密がメインの場合が多々あるので、何も報告出来なく無いかなぁと思ってたので、、、
結局現状の当たり障りない建前だけの報告しか出来ないし、国民が納得できる明確なアピールって難しくないでしょうか?
根拠のない勝手な想像ですが、安倍総理の対韓外交の不合理な部分には米国の意向があると考えています。
2015年の合意に関していえば、日本の従来の立場は「1945年以前の問題は1965年の条約で解決済み」であり、改めて合意をする意味も理由もありません。韓国にしても時間をかけて既成事実化を図ってきた政治カードをわざわざ放棄する理由はないわけです。日韓双方に対して不本意を強制できる状況なり勢力といえば米国以外には考えにくいのです。
第二次大戦の相手である米国は「慰安婦の強制連行」などなかったことを知っています。それでも”慰安婦問題”については不干渉でした。当初は2国間の問題でしたし、戦勝国米国にとって”戦犯国日本の犯罪行為”が拡大されることは都合がいい側面もあったでしょう。ですが、韓国が日米韓の軍事同盟にかかわる要請を"慰安婦問題に対する国民感情”を理由に拒絶するようになったので黙認できなくなった。そこで一応は韓国の顔も立てる形で両者を無理やり手打ちさせた。日本にとって北朝鮮情勢で米国の協力は不可欠ですし、韓国にとっても同様でかつ”慰安婦問題”のペテンが通じない相手なので言われるままに手打ちに応じるしかなかった、というのが真相ではないかと思っています。
今回の開会式訪韓についても米国黒幕説はあちこちで散見されますし、私自身もそれ以外の理由は考えにくいと感じております。ちなみに安倍総理を擁護する意図はありません。現時点で不合理を説明できる仮説が自分の中ではそれしかないというだけです。