韓国、近日中に大統領弾劾が成立か?
本日2本目の配信です。いよいよ朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領の弾劾訴追の判決期日が近づいてきたようです。
目次
急速に動き出す韓国情勢
弾劾は3月13日までに成立も?
複数のメディアによると、韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領に対する弾劾訴追の判決が、近日中に下されるそうです。
韓国大統領、「運命の日」迫る(2017.3.8付 JBプレスより)
朴大統領弾劾めぐり「国が二分」と韓国紙、「ろうそく集会」「太極旗集会」の対立先鋭化、憲法裁の判断後も混乱?(2017年3月4日(土) 13時30分付 レコードチャイナより)
ほか多数
これらのメディアの報道を総合すれば、
- 朴槿恵大統領の弾劾(罷免)を成立させるためには、憲法裁判所の裁判官6名以上の賛成が必要だ
- ただし、憲法裁は定員が9名であり、このうち1名(憲法裁所長)は1月末で退任済みであり、現状、残り8名で審理をしている
- 3月13日にもう1名が退任するため、判決が3月13日以降となれば、弾劾を成立させるためには7名中6名の賛同が必要となる
- そこで、憲法裁としては、3月13日までに判決を下す方針だ
ということだそうです。
確かに、定員が9名の憲法裁には、現時点で8名しか判事が在籍しておらず、判決が3月14日以降にずれ込めば、7名に減少します。この状態で、判事がさらに2名欠けた場合、審理自体ができなくなってしまうという事態が生じます。
いずれにせよ、「3月13日」というのは、韓国、さらには東アジア全体にとって、非常に重要な節目であるといえるでしょう。
なぜこの国の動向がそんなに重要なのか?
では、なぜ、取るに足らない小国である韓国の動向が、これほどまでに重要なのでしょうか?
地政学的に、韓国や北朝鮮は、中国、ロシア、日本からみて、ちょうど中間に位置するからです。そして、韓国は現時点で米国の同盟国ですが、朴槿恵大統領が弾劾で罷免された場合、後任大統領候補者はいずれも強硬な反日政治家ばかりです。
私は、歴史的に見て、長期的には韓国(あるいは朝鮮半島)が再び中国の勢力下に戻るのは必然であると見ているのですが、その途中経過次第では、日本にも悪影響が及びます。
具体的には、韓国に待ち受けているのは、
- 北朝鮮主導での赤化統一、
- 中国主導での中華属国化、
- 韓国軍部主導での軍事クーデター、
のいずれかです。このうち、韓国が中国からの独立を維持し得るのは、(3)軍事クーデターのみですが、現在の韓国政府の「ふぬけ具合」を見ていると、その可能性は極めて低い(確率は10%以下である)と見てよいでしょう。
ということは、韓国社会が赤化して転覆し、北朝鮮主導での統一国家が成立するのか、それとも中国主導の「中華属国」となってしまうのか、そのいずれかの確率が極めて高いということです。
赤化統一の可能性
朴大統領の後任として名を挙げている候補者のうち、「筆頭候補者」は文在寅(ぶん・ざいいん)氏です。
同氏は、極端な親北・反日・反米政権だった盧武鉉(ろ・ぶげん)大統領時代に頭角を現した政治家でもありますが、その政治思想は盧武鉉元大統領のものを受け継いでいると考えられます。実際、中断されたままになっている北朝鮮支援事業である金剛山(こんごうさん)観光や開城(かいじょう)工業団地事業などを再開すると公言しており、「文在寅大統領」が実現すれば、韓国社会の赤化が加速することは間違いありません。
親北政策の動向次第では、早ければ「文在寅時代」に、遅くともその次の大統領の時代に、北朝鮮が提唱する「高麗連邦」という形での統一国家が成立するのではないでしょうか?
この場合、赤化統一した朝鮮が反日国家となることはほぼ間違いありませんが、問題は中国やロシアとどのような関係を構築するか、です。意外と、現在の北朝鮮政府は中国と距離を置いており、こうした政策が維持されるのであれば、「共産党一党独裁王朝国家」である高麗連邦は、東アジアの平和と安定を脅かす存在にはならないかもしれません。ただし、その場合でも朝鮮半島を非核化する努力は必要でしょう。
もちろん、北朝鮮がミサイル開発やVXガスによる金正男(きん・せいだん)殺害など、国際社会の秩序に対する挑戦を行っていることを受け、米国が「北爆」に踏み切る可能性はゼロではありません。この場合、「赤化統一」の前提となる北朝鮮自体が崩壊してしまいますので、このシナリオは実現しません。
中華属国化の可能性
ただ、仮に今回の弾劾訴追で朴大統領が罷免を免れたとしても、長期的には韓国が中国の「属国」となるという流れを止めることはできないと思います。
詳しくは明日、議論する予定なのですが、現在、中国は朝鮮半島・在韓米軍へのTHAAD配備を巡り、韓国に「小出しの経済制裁」を仕掛け、脅しています。韓国は日本と違って、中国に敢然と立ち向かう国ではありません。おそらく、文在寅氏のような「極端な親北系」の政治家が大統領に選ばれることを阻止したとしても、「赤化統一」を防ぐ効果しかなく、どのみち中華属国化は避けられません。
韓国の「中華属国化」とは、具体的には、軍事、経済両面で完全に中国の傘の下に入ることを意味します。韓国は既に経済面で中国への依存を高め過ぎており、仮に在韓米軍が撤退すれば、韓国には直ちに中国人民解放軍が駐屯することになるでしょう。
ただし、この場合、中国から見ると、北朝鮮の存在は必要なくなります。韓国が中華属国化した場合には中国の後ろ盾を得て、北朝鮮を韓国が主導して吸収統合する、というシナリオもあるのです。
クロス承認シナリオ
もう一つ、私としてはあまり考えたくないのですが、韓国が中華属国化した場合、すかさず日本と米国が北朝鮮を承認する、というシナリオも考えられます。これが「クロス承認シナリオ」です。
具体的には、日本としては、対馬海峡を挟んで朝鮮半島に駐屯する中国人民解放軍と向かい合う必要がありますが、中国と国境を接する北朝鮮と国交を正常化し、北朝鮮が生きながらえる程度に北朝鮮を支援すことで、中韓両国を牽制する、というシナリオです。
もちろん、日本人を拉致した北朝鮮のような犯罪国家と、日本が国交を正常化することには、私自身には強い抵抗があります。ただし、日米が共同して金正恩(きん・しょうおん)を排除し、朝鮮労働党を解体し、北朝鮮の体制変更を伴うことができるのならば、この「クロス承認シナリオ」を検討する余地は生じて来るでしょう。
予告:明日のコンテンツ
朝鮮半島情勢が緊迫化する一方、中国の韓国に対する「経済制裁」が続いています。ただ、報じられ方が派手な割に、きちんとまとめてみると、中国による韓国への制裁措置は、いずれも小出しでみみっちいという印象があります。では、この制裁をどのように考えるべきなのでしょうか?そこで明日は、「米中両国に翻弄される韓国」という観点から、この制裁が持つ意味合いを考察してみたいと思います。
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