韓国の次期大統領と日本【+追記】慰安婦像から見る日韓関係

韓国の朴槿恵大統領は現在、職務停止中であり、また、有力な次期大統領候補者の多くは、「慰安婦合意の撤回」など、さらに過激な反日を掲げています。ただ、私は別に次の韓国大統領が「強力な反日」を掲げることは、日本にとって悪いことではないと考えています。むしろ、中途半端な「親日・親米」を掲げる候補者の方が、日本にとっては有害です。本日は、歴史的・地政学的に見た日本と朝鮮半島の関係について振り返るとともに、次期大統領と日本の関係について、考察してみたいと思います。

地政学的に見た日本にとっての朝鮮半島

朝鮮半島という日本にとっての不幸

私たち日本の隣には、歴史上、日本が何度も辛酸を舐めさせられた地域があります。それが朝鮮半島です。

朝鮮半島は地政学的にみて、日本にとっては極めて厄介な場所にあります。長崎県対馬の北端から朝鮮半島までの距離は、一番短いところで約50km弱に過ぎません。この朝鮮半島は、古くは白村江の戦い(西暦663年)に始まり、最近では北朝鮮による日本人拉致や韓国による竹島不法占拠に至るまで、一貫して、日本に厄介ごとをもたらし続けています。

地政学的に強大な国家に挟まれた地域で弱小王朝が成立すると、19世紀以降のバルカン半島のように、周辺国が戦争に巻き込まれることがあるのは、「歴史の常」です。日本、ロシア、中国という「三強」に挟まれた朝鮮半島に、独立の弱小国家が存在していることは、実は極めて危険な状態にあるのです。

古代から江戸時代直前だけでみても、日本の対外戦役の大部分は、朝鮮半島と関わっていたことがわかります(図表1)。

図表1 古代から中世の主な戦役
時代主な出来事備考
663年白村江の戦い日本・百済連合軍が唐・新羅連合軍に敗北
7世紀~10世紀防人(さきもり)制度唐、新羅などの入寇を防ぐための制度
1274年・1281年2回の「元寇」蒙古・高麗の連合軍が日本に侵攻
1592年~1598年文禄・慶長の役豊臣秀吉による朝鮮出兵

また、1853年にペリーが「黒船」を率いて浦賀に来航して以来、日本は鎖国を解き、なし崩し的に「開国」。さらに1868年に成立した明治政府は早くから西洋化・近代化を受け入れて「列強」の仲間入りしたのですが、これに対して当時の朝鮮王国は変化を拒絶。日本からの距離の近さに加え、政治的な弱さが、日本にとっても地政学的な脅威として再認識されたのです。

実際、1894年に勃発した日清戦争、1904年に勃発した日露戦争は、いずれも朝鮮により引き込まれたようなものです。

日本は最初、朝鮮の地政学的な重要性から、朝鮮(当時は「李氏朝鮮」)の清国からの独立を要望。しかし、清国がこれを妨害するなどしたため、明治維新からわずか26年の日本は、清国との開戦を決断。当初、物量的に圧倒的優位にあると見られていたにも関わらず、最終的には日本が圧勝しました。

しかし、日清戦争の勝利で独立したはずの「大韓帝国」(すなわち「韓国」。ただし、実質的には「李氏朝鮮」と同一国家)は、今度はロシアをはじめとする各国に国内の様々な利権を売り渡すなどし、再び日本にとっての外交的脅威となりました。このため日本は、今度はロシアとの開戦を決断。多くの犠牲を払いながらもロシアに勝利し、最終的には1910年の「日韓併合条約」に基づき、朝鮮の併合に踏み切ったのです。

ただ、日本は第二次世界大戦に敗戦し、朝鮮半島は38度線を境に、南はアメリカ、北はソ連に占領され、1948年には南北それぞれに国家が成立し、現在に至ります。

本当は大陸と関わりたくない

朝鮮半島に成立する王朝・政権は、代々、日本に様々な害をなしてきました。日本と朝鮮半島の関係が安定していたのは、日本でいう江戸時代(1600年~1868年)と、日本が朝鮮半島を「日本領として」支配していた時期(1910年~1945年)に限られ、それ以外の時期は、何かしらの不安定要因を日本にもたらしていたのです。

つまり、日本が安定的に発展するためには、「できるだけ関わるべきではない」のが朝鮮半島です。私がそう考える理由の一つは、「中国を含めた大陸」との関係を強化すると、歴史的に見て、日本の国力が鈍化する傾向があるからです。

これについて、極めて平易で説得力の高い議論を提示しているのは、評論家で拓殖大学客員教授でもある石平氏が執筆した「なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか (PHP新書)」という書籍です。

この書籍は、「朝鮮半島」というよりも、「中国との腐れ縁」(同P203)の方に、より力点を置いた構成となっています。ただ、私は「中国と距離を置くべきだ」という石平氏の主張が、そのまま、「朝鮮半島とも距離を置くべきだ」という風に、読み替えることができるように思えてなりません。

というのも、石平氏の主張通り、確かに歴史的に見ても、日本が中国(や朝鮮半島)とあまり関わりを持っていない時代には国力が上昇し、逆に中国(や朝鮮半島)と関わりを深めている時代には国力が鈍化しているからです。

近現代だけで見ても、明治維新直後の黎明期は日本が国力を充実させることに必死でした。しかし、日韓併合(1910年)から敗戦(1945年)までの35年間は、日本国内のインフラ整備を後回しにしてまで朝鮮半島に莫大な投資を行い、朝鮮半島には世界最大級の発電所や工場などのインフラが整いました。

ただ、「朝鮮併合」は、日本にとっては中国大陸への関与度合いを高め過ぎる契機となり、結局は中国、ソ連、アメリカという「三正面」を敵に回した泥沼の戦争に引きずり込まれて破滅してしまいます。

余談ですが、北朝鮮が1960年代ごろまで、韓国(南朝鮮)を圧倒する工業生産力を有していたことからも、日本が朝鮮半島に残した遺産の大きさを窺い知ることができます。

また、戦後も中国や韓国との往来が非常に少なかった1970年代までは、日本も高度経済成長を謳歌していました。しかし、1965年の日韓基本条約で、日本は韓国に対して有償・無償の莫大な経済支援を実施。日本の協力の下で韓国に鉄鋼や自動車、家電などの産業が勃興し、皮肉なことに、1980~90年代を通じてこれらの韓国企業が、世界の輸出市場で日本企業を駆逐し始めたのです。

石平氏の指摘ではありませんが、「失われた20年」とも揶揄される日本の長期的な経済停滞は、中国・韓国との関係を強めたことが原因なのだとの考え方は、慎重に研究する価値があるでしょう。

個人的体験から来る朝鮮嫌悪症

ところで、「日本が韓国・朝鮮と絶対に関わるべきではない」という点については、私の個人的な体験に根差した持論でもあります。この点、当ウェブサイトは「ビジネス系評論サイト」であり、本来ならば客観的証拠のない話をすべきではないのですが、「日本と朝鮮半島とのかかわり」について言及するからには、どうしても触れておかねばならないのが、この「個人的体験」です。

私自身の事情を申し上げるなら、母親(故人)は在日韓国人二世(ただし、生前に日本に帰化済み)です。つまり、私は日本による朝鮮併合がなされていなければ、この世には存在しなかったはずの人間です。

ただ、私は「血統上のもう一つの祖国」であるはずの朝鮮・韓国に対して、帰属意識を一度も抱いたことはありません。

私は日本人として生まれ、日本国内で過ごしてきましたが、「日韓ハーフ」であるという理由で差別をされたことなど、ただの一度もありません。しかし、従兄弟らの証言によれば、朝鮮半島では「在外僑胞」あるいは「日本人とのハーフ」という存在は、非常に厳しく差別されるのだとか。

また、私には日本国籍を有さない朝鮮人・韓国人の親戚が多数、存在します。祖父母の遺産の相続では、私自身を含めた相続人の名義を不正使用され、それによって損害を受けました。

このため、私は2009年から今年春先まで、それこそ「血みどろの」訴訟を戦いました。また、その過程で、朝鮮人・韓国人の親族どもが、ことごとく「理屈が通用しない」、「上下関係でしか判断できない」ということを痛感しました。

もちろん、「レイシスト」のように、「韓国(朝鮮)人はDNAからダメな民族だ」、などと決めつけることは間違っています。ただ、私の個人的体験が強烈すぎるためでしょうか、それともインターネットを通じて日々、目にする韓国関連のニュースが「斜め上」だからでしょうか、私にはどうしても韓国・北朝鮮に対し、「良い印象」を抱くことができないのが実情なのです。

歴代大統領の不幸な顛末

次に、「漂流する韓国政治」についても確認してみましょう。

朴大統領の弾劾の行方

韓国の朴槿恵(ぼく・きんけい)大統領は、現在、国会での弾劾決議の可決を受けて、「職務停止状態」にあります。韓国の憲法によると、憲法裁判所は国会の決議(12月9日)から180日以内(つまり来年6月7日まで)に、大統領を罷免するかどうかを決定する必要があります。

なお、憲法裁判所で朴大統領の罷免が決定されるためには、9人の裁判官のうち、6人以上が弾劾に賛成する必要がありますが、次の時事通信の報道によれば、3月中旬までに所長を含む2人が退任します。このため、後任が任命されない場合には、残り7人中6人が賛成しなければ弾劾は成立しません。

韓国憲法裁の弾劾判断(2016/11/27-16:43付 時事通信より)

仮に朴大統領の罷免が決定された場合、朴大統領は任期満了日(2018年2月24日まで)を前に失職します。その場合は、60日以内に後任の大統領が選出されます。

後任大統領の任期に関する2説

ところで、朴大統領が失職した場合、後任の大統領の任期はどうなるのでしょうか?いろいろ探してみたのですが、これについてきちんとした説明は見当たりません。私が調べたところ、

  • (A説)朴槿恵氏の残りの任期までであるとする説
  • (B説)当選した日から5年間であるとする説

の双方があるようです。この点、韓国の憲法の規定上は、

  • 大統領の任期は5年とする(第70条)
  • 大統領が欠位となったとき、または大統領当選者が死亡し、もしくは判決その他の事由により、その資格を喪失したときは、60日以内に後任者を選挙する(第68条第2項)

とあるだけですので、確かに解釈としては、上記「A説」も「B説」も成り立ちます。

仮に、「A説」を採用した場合には、朴大統領が失職してしまった場合、野党候補も何かと困るのではないでしょうか?なぜなら、憲法裁判所が朴大統領の罷免を決定するのがギリギリ(2017年6月)にまでもつれ込んだ場合、そこから60日以内(つまり2017年8月)に後任大統領を選出したとしても、その大統領の任期はわずか半年しかない、ということになるからです。

いくら韓国の国会議員が「後先考えずに行動する人たち」だからといって、「後任の大統領」の任期が最短で半年になってしまうのだとしたら(※しかも韓国は大統領の再任が不可能)、大統領選に出馬する人が出なくなることくらい、わかるはずです。従って、ここでは「B説」が成り立つ、と考えるのが妥当かもしれません。

ただし、韓国のことですから、いざ朴大統領の罷免が成立してしまってから、「後任大統領の任期が半年しかない!」という騒ぎになったとしても、私は何も驚かないと思います。

歴代韓国大統領の不幸

では、朴大統領以前の韓国大統領は、どのような「末路」を辿ったのでしょうか?

初代大統領である李承晩(り・しょうばん)は、韓国建国以来、ほぼ「独裁者」として12年間にわたり、権限を握ってきたものの、1960年の不正選挙疑惑に対する民衆の怒りからハワイに亡命。事実上の「二代目大統領」である朴正煕(ぼく・せいき)は、16年間在任したものの、在任中に暗殺されてしまいます。さらに、事実上の「三代目大統領」である全斗煥(ぜん・とかん)は、8年間執政したものの、民政移管後に死刑判決を受けています(のちに特赦)。

なお、李承晩と朴正煕、朴正煕と全斗煥の間には、それぞれ短期間、大統領が在任していたものの、いずれもクーデターにより大統領の座を追放されています。

そして、民政移管後も、それぞれの大統領は、大なり小なり、悲惨な「末路」を歩んでいます(図表2)。

図表2 歴代韓国大統領の末路
氏名任期末路
盧泰愚(ろ・たいぐ)1988~1993大統領退任後に政治資金隠匿やクーデターなどを追及され懲役刑を受ける(のちに特赦)
金泳三(きん・えいさん)1993~1998次男が斡旋収賄で拘束される
金大中(きん・だいちゅう)1998~2003北朝鮮への不正送金を巡り政権下の幹部らが有罪判決を受ける
盧武鉉(ろ・ぶげん)2003~2008側近・親族が相次いで贈賄容疑で逮捕され、本人はその後、投身自殺
李明博(り・めいはく)2008~2013退任後に実刑が斡旋収賄容疑で逮捕される

どうして任期を全うすることができないのか?

上記で見たとおり、韓国大統領は任期の最後に、亡命するか、クーデターにより政権を追われるか、暗殺されるか、任期満了後に本人や身内などが逮捕されるか、といった具合に、必ず不幸な結果になっています。

どうして韓国では「大統領がまともに任期を全うすることができない」のでしょうか?

これについては、「韓国では大統領の権限が強すぎるからだ」、「再任ができないから自分の任期が終わった後のことはどうでも良いと思っているからだ」、など、大統領制度という「制度設計」に原因がある、という意見も多数みられます。

しかし、私に言わせれば、韓国の場合、「民主主義」や「法治主義」の運用に、根源的な問題があるように思えるのです。

例えば、学術書『帝国の慰安婦』を執筆した世宗大教授の朴裕河(ぼく・ゆうこう)氏に対して、先日、「元慰安婦らに対する名誉棄損」の罪で、検察側が懲役3年を求刑したのだとか。

著者に懲役3年を求刑 「日本軍と同志的関係」 韓国検察 来月末に判決(2016.12.20 20:11付 産経ニュースより)

そういえば、産経新聞の加藤達也編集委員(前ソウル支局長)が、日本国内に「日本人向けに日本語で」執筆した記事をもとに、韓国の検察当局から「大統領に対する名誉棄損」で起訴された事件も記憶に新しいところです。

つまり、韓国では、「法律」よりも「民族感情」の方が上位に来る、世界でも稀有な国なのです。

私に言わせれば、「民主主義国」「法治主義国」を名乗る資格など、韓国には一切ないのです。

次の韓国大統領は?

誰が後継者になっても極論?

韓国では、朴大統領が罷免されれば来年中に、罷免されなかったとしても再来年には大統領選挙が行われます。

その中で、文在寅(ぶん・ざいいん)、潘基文(はん・きぶん)、李在明(り・ざいみん)、朴元淳(ぼく・げんじゅん)の各氏が有力候補とされています。しかし、私が知る限り、潘氏を除くと、いずれの候補も大なり小なり「親北(朝鮮)」、「親中」、「反日・反米」的な主張を掲げています。

文・李・朴の各候補は、2015年12月の「日韓慰安婦合意」を撤回すると主張しているとか。しかし、この「慰安婦合意」は、米国の「仲介」の下で形成されたものであり、韓国がこの合意を撤回すれば、直ちに米韓同盟に影響が生じます。

最悪、米韓同盟は破棄されてしまうかもしれません。

「中途半端な親日・親米」が一番困る

では、潘基文候補が次の大統領に就任したら、どうなるのでしょうか?

私の本音を申し上げます。この中で日本にとって一番「厄介な候補」とは、「中途半端な親日・親米」候補、すなわち潘基文氏です。

潘氏は10年間、国連事務総長を務めましたが、その間、国連は私物化され、国連が本来果たすべき役割も果たせないままになっています。シリアのアレッポでの戦闘は激化していますが、潘基文氏はシリア内戦について、信じられない発言をしました。

潘事務総長、最後の記者会見 「アレッポは地獄と同じ」(2016/12/17 06:48付 共同通信より)

共同通信によると、潘基文氏はシリアのアレッポが「地獄と同じだ」としたうえで、

シリア内戦について「胸が張り裂ける思いだ。われわれはシリアの人々を見捨ててしまった」と話し、国連や国連安全保障理事会がシリアの平和と安定に向け十分な役割を果たせなかったことを悔やんだ。

とのこと。

私は、国連事務総長という職にある人間が、何をふざけたことを言っているのかと腹が立ちます。どうして今すぐアレッポに行こうとしないのか?この人物を見ていると、韓国では「どんな人間が偉くなるのか?」ということを、手っ取り早く知ることができる気がします。

このような人物が韓国の次期大統領となったら、表面上は「親日」「親米」を掲げながら、水面下で中国や北朝鮮と仲良くしようとするでしょう。このような人物は信頼に値しません。

理想的な大統領

できることならば、朝鮮半島とは極力、関わらない方が良いに違いありません。あるいは、朝鮮半島の先っぽまでが中華民族の支配する地域であれば、日本としては中国政府だけを相手にしていれば良いはずです。

ただ、現実には38度線を挟んで、朝鮮半島には韓国と北朝鮮が存在しています。日本側から、表立って「韓国と関わらないようにする」というのは難しいのが実情かもしれません。

この点、韓国の次期大統領のほうから「反日」を唱えてくれれば、米韓同盟も今度こそ破綻の危機に瀕します。その意味で、私が考える朴槿恵大統領の後任者は、朴槿恵氏よりも強力な「反日」を唱える人物が適任です。「日米同盟」の枠組みに、韓国は不要だからです。

日本にとって近隣にある韓国の政権が日米の同盟国であるという状態のままで不安定化するのは、日本の安全保障にとっても深刻な脅威でもあります。しかし、逆に「韓国の新政権が反日・反米を全面に掲げてくれる」と、日本の「防衛ライン」が「38度線」ではなく「対馬海峡」であることが明らかになります。

その意味で、私は、潘基文候補を除く次期韓国大統領の「有力候補者」がことごとく「極論を掲げていること」については、それほど懸念はしていません。

いずれにせよ、朴大統領の進退問題を巡っては、来年もさっそく、動きがありそうです。私も引き続き、この問題を追いかけ続けたいと考えています。

2016/12/30 08:00 追記

韓国の「聯合ニュース」の日本語版によると、韓国の世論調査で、日韓慰安婦合意を「破棄すべきだ」と回答した割合が59%に達したそうです。

韓日慰安婦合意 韓国世論「破棄」に傾く=世論調査会社2016/12/29 13:00付 聯合ニュース日本語版より)

聯合ニュースの記事によると、

  • 「韓日合意」(※日韓合意の韓国側からの呼称)について、「破棄すべきだ」が59.0%、「維持すべきだ」が25.5%、「よく分からない」が15.5%
  • 調査実施日は12月28日、対象は成人525人、調査実施者は世論調査会社のリアルメーター
  • 合意直後の昨年12月30日時点で「韓日合意は韓国政府の誤りだった」が50.7%、「韓日合意を評価する」が43.2%

ということです。これについて聯合ニュースは「1年の間に否定的な世論が強まった」としていますが、1年前と比べて設問が異なるため、そのような単純比較はできません。ただ、韓国の世論が「慰安婦合意」の転覆を求めていることは間違いないと考えて良いでしょう。

また、聯合ニュースによると、慰安婦合意を「破棄すべきだ」と回答した比率は、40代で79.2%、30代で76.4%でした。いわば、「社会の中核層」である30代や40代の7~8割が慰安婦合意破棄を望んでいるということです。調査対象サンプルが韓国社会という母集団を正確に示していると仮定すれば、「日韓慰安婦合意を求める意見」は、「社会のごく一部の極端な層」にみられるのではなく、「韓国の現役世代のマジョリティ」を占めているということです。

2016/12/30 11:30 追記

日韓両国の「慰安婦合意」から丸1年となる28日、韓国・釜山(ふざん)市の日本領事館前の公道上に、地元の市民団体「未来世代が建てる平和の少女像推進委員会」が慰安婦像を設置しましたが、釜山東区庁は同日、これを強制排除し、撤去・押収しました。

ところが、慰安婦像が撤去された直後から、同庁には「業務がマヒするほどの抗議電話」が殺到。同庁ホームページには苦情の書き込みが相次ぎ、29日夕方4時頃にはホームページがダウンするという騒ぎに発展。

こうした「市民団体」(?)側の反発が強すぎたためでしょうか、本日付の「中央日報日本語版」によると、同庁は押収したこの慰安婦像を市民団体側に返還する方針を固めたそうです。

釜山東区庁、押収した少女像の返還を決定…非難世論に屈服か(2016年12月30日09時53分付 中央日報日本語版より)

当初、釜山市当局が慰安婦像を撤去した行為は、国際常識に照らしても妥当な行為です。なぜなら、日本領事館はウィーン条約にいう「外国公館」であり、慰安婦像はその「外国公館」の尊厳を貶める目的で設置された違法構築物ですから、これを直ちに撤去した行為自体は極めて正しいといえます。

ただ、これに対して「市民」側から、抗議の電話が殺到し、ウェブサイトにも当局対応を批判する書き込みであふれたということですから、「慰安婦問題」を巡る韓国国民の反応は明らかに常軌を逸しています。

韓国の次期政権が慰安婦合意を反故にする(あるいは蒸し返してくる)確率は極めて高いと見るべきでしょう。

本文は以上です。

読者コメント欄はこのあとに続きます。当ウェブサイトは読者コメントも読みごたえがありますので、ぜひ、ご一読ください。なお、現在、「ランキング」に参加しています。「知的好奇心を刺激される記事だ」と思った方はランキングバナーをクリックしてください。

にほんブログ村 政治ブログ 政治・社会問題へ

このエントリーをはてなブックマークに追加    

読者コメント一覧

  1. しーまん より:

    朝鮮との間には歴史的に他にも15世紀に「応永の外寇」という朝鮮による対馬侵攻があるようです。

  2. しーまん より:

     結局のところ、日本は朝鮮に関わったからというよりも、朝鮮に対して日本の価値観を持ったまま親切に助けすぎたから駄目だったのではないかと思います。日本は親切に助けさえすればその国は日本に恩を感じて好きになり友好的関係が築けるという性善説的な一方的な思い込みがあり、相手がそれを利用するだけ利用して逆に力をつけた後に日本を追い落とそうとするという想定をしていない。
     ところが朝鮮と中国は感謝するということを知らない。問題解決済みのことでさらに謝罪を受けてもODAや補償という形で賠償を受けても、それは日本が悪くてその悪い日本をやっつけてやり外交的勝利をしたから当然のことだと中韓は認識している。そういう相手だという分析すらせずに一方的に中韓を助け謝罪をし金を払い続ければ、当然中韓は自分たちこそが正しく日本は悪いと思い込む。また政治体制もそのように国民を教育しその感情を国政に使用する。
     私は、異常で卑劣な中国・韓国が悪いのではなく、日本が相手がいかに異常で卑劣なのかすら調査せずにひたすら性善説を信じて謝罪と賠償を繰り返した日本の関わり方があまりにも悪すぎたのだと考えます。泣いて暴れてお菓子をくれと叫べばいくらでもお菓子を与えられる子供は、いつもお菓子をもらえる自分のやり方が正しいのだと認識するのと同じです。泣いて暴れればお菓子を与えられるどころか罰を与えられるのだということを彼らに教えなければ、今後も同様のことが起きるでしょう。
     残念ながら地理的にも中韓と関わらずに過ごすことは不可能な日本なので、もう日本には我侭は通じないのだということを身をもってわからせる必要が在ります。そのためには中国がTHAADを配備した韓国に対して現在行っているように、韓国が日本に対する嫌がらせをするたびに日本も韓国に色々な嫌がらせを確実に実行していくのが効果的でしょう。それが日本がとるべき韓国への関わり方ではないかと思います。

  3. 通りすがり より:

    はじめまして。
    日経の鈴置さんが今日(元旦)に記事を書いてますが面白いですよ。
    韓国と関わることが「凶」だとか。

※【重要】ご注意:他サイトの文章の転載は可能な限りお控えください。

やむを得ず他サイトの文章を引用する場合、引用率(引用する文字数の元サイトの文字数に対する比率)は10%以下にしてください。著作権侵害コメントにつきましては、発見次第、削除します。

※現在、ロシア語、中国語、韓国語などによる、ウィルスサイト・ポルノサイトなどへの誘導目的のスパムコメントが激増しており、その関係で、通常の読者コメントも誤って「スパム」に判定される事例が増えています。そのようなコメントは後刻、極力手作業で修正しています。コメントを入力後、反映されない場合でも、少し待ち頂けると幸いです。

※【重要】ご注意:人格攻撃等に関するコメントは禁止です。

当ウェブサイトのポリシーのページなどに再三示していますが、基本的に第三者の人格等を攻撃するようなコメントについては書き込まないでください。今後は警告なしに削除します。なお、コメントにつきましては、これらの注意点を踏まえたうえで、ご自由になさってください。また、コメントにあたって、メールアドレス、URLの入力は必要ありません(メールアドレスは開示されません)。ブログ、ツイッターアカウントなどをお持ちの方は、該当するURLを記載するなど、宣伝にもご活用ください。なお、原則として頂いたコメントには個別に返信いたしませんが、必ず目を通しておりますし、本文で取り上げることもございます。是非、お気軽なコメントを賜りますと幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

【おしらせ】人生で10冊目の出版をしました

自称元徴用工問題、自称元慰安婦問題、火器管制レーダー照射、天皇陛下侮辱、旭日旗侮辱…。韓国によるわが国に対する不法行為は留まるところを知りませんが、こうしたなか、「韓国の不法行為に基づく責任を、法的・経済的・政治的に追及する手段」を真面目に考察してみました。類書のない議論をお楽しみください。

【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました

日本経済の姿について、客観的な数字で読んでみました。結論からいえば、日本は財政危機の状況にはありません。むしろ日本が必要としているのは大幅な減税と財政出動、そして国債の大幅な増発です。日本経済復活を考えるうえでの議論のたたき台として、ぜひとも本書をご活用賜りますと幸いです。
関連記事・スポンサーリンク・広告