資格試験に見る「目的意識の重要さ」

本日は普段の「時事ネタ」から離れ、資格試験の受験経験をもとに、「満点主義」の間違いを指摘するとともに、「目的意識の重要さ」を考察してみたいと思います。

満点を目指すことは正しいのか?

当ウェブサイトは、「新宿会計士」と名乗るブログ主が、「読んでくださる方の知的好奇心を刺激する」ことを目的に運営しているものです。もちろん、金融政策や金融規制やユーロ危機、あるいは尖閣諸島や日韓問題といった「時事ネタ」については、ずいぶんと取り扱ってきたつもりですが、「知的好奇心の刺激」という観点からは、たまには「時事ネタ」から離れ、こんな話題を紹介したいと思います。

本日のテーマは「満点主義」です。

私自身、昨年9月まで某一般企業(業種・会社名は明かせません)に勤めていましたが、その前は某監査法人に在籍していました。当時、監査法人に入社する人は、公認会計士第二次試験に合格し、「会計士補」の資格を得てから勤務する、というパターンが多かったように記憶しています(もっとも、この「会計士補」という資格は制度変更により廃止されてしまい、2006年(平成18年)以降の「公認会計士試験」合格者は「会計士補」と名乗ることができなくなってしまいましたが…)。

私自身も、国家公務員一種試験を受験・合格したものの、希望する官庁に就職の内定を得ることができず、結局は官僚の道を諦め、そのまま2年間受験勉強をして会計士補になったという経緯があります。このため、私は社会人になる前に、国家Ⅰ種試験、公認会計士試験という「資格試験」を受験したのですが、こうした「寄り道」をしたことは、実は私自身のキャリア観を形成するのに役に立っています。それは、「満点主義」を捨てることが大事だ、という点です。

資格試験が典型例ですが、多くのケースにおいては、「満点」を取らなくても合格できます。もちろん、中にはTOEICのような「点数型」試験もありますが、TOEICはむしろ例外で、多くの資格試験の場合、「ボーダーライン」を超えたら合格と判定されるのです。そして、「ボーダーぎりぎり」で合格した人も、「トップ合格」した人も、合格者という意味では対等の関係にあります。

逆に言えば、「合格まであと1点足りなかった」という人がいたとしても、その人は「不合格者」であり、資格試験に失敗したという意味では「全く点数が足りなくて落ちた人」と同じです。

点数の時間当たり効率を重視せよ

もう少し詳しく見てみましょう。

例えば、ある試験で100点を取るために必要な勉強時間が100時間だったとします。ただ、その試験に必要な合格点は60点だったとします。そして、点数の獲得に必要な時間数が図表1の通りだったと仮定しましょう。

図表1 ある試験の点数と勉強時間の関係(グラフ)

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これをもう少し詳しく書くと、図表2の通りです。

図表2 ある試験の点数と勉強時間の関係(数値)
点数勉強時間点数当たりの時間
40点10時間1時間当たり4点
60点20時間1時間当たり3点
80点45時間1時間当たり1.8点
90点66時間1時間当たり1.4点
100点100時間1時間当たり1点

いかがでしょうか?この設例だと、確かに「試験で100点を取るために必要な時間数は100時間」ですが、「合格に必要な点数は60点」です。ということは、この場合、「100時間かけて100点を取る勉強」ではなく、「20時間で60点を取る勉強」が正解、ということです。そして、基礎学力があるにも関わらず、資格試験になかなか合格できない人というのは、得てしてこの「時間効率」(点数当たりの時間)を意識していないケースが多いのではないでしょうか?

実は、私自身がこのことに気付いたのは、今から約20年前、公認会計士試験を受験していた頃のことです。ある受験専門学校に通っていた時のことです。その受験専門学校が作成している「問題集」と、過去の公認会計士第二次試験の問題のレベルが、さほど変わらないこともあれば、過去の問題が「著しく難しい」こともある、ということに気付いたのです。

そこで、「出題されても8割の受験生が回答できないような問題」を見切り、その問題に割くべき時間を捨てることで、効率良く勉強することができたと思います。多くの資格試験の場合、合格点は60点前後だそうです。専門学校はその資格試験をずっと昔から研究しているはずであり、専門学校のテキストに従って「頻出論点」から勉強していけば、想定しているよりも遥かに短い時間で合格点が取れるはずです。

ただし、この勉強方法だと、短期合格をすることはできるかもしれませんが、資格試験に合格したとしても、勉強不足の感は否めません。実務家になった後で、しっかりと勉強していく姿勢が必要でしょう。

効率の高い仕事を目指す

じつは、この考え方は仕事にも応用が利きます。

私自身、定期的に当時の公認会計士試験の受験仲間と飲むのですが、「短期間の勉強でさっさと合格した人」のその後の仕事を聞いていると、やはり同じような傾向があります。要するに、「儲かる分野」「時間当たりの報酬が高い仕事」を重視する、という傾向があるのです。これは私自身にとってもおおいに勉強になります。

もう一つ、興味深い話があります。それは、受験専門学校では、「合格する人同士が群れる」という傾向です。試験制度が変わっても、この点は変わりません。

某専門学校の某資格試験の例でいえば、100人中、受験勉強を始めて1年で合格する人は10人で、3年以内に合格する人は15人、5年以内に合格する人は15人だとします。残りの60人は、5年以上の時間をかけてやっと合格するケースもあれば、まったく合格できずに試験を諦めてしまうケースもあるでしょう。

私の経験上、100人の「クラス」があったとして、そのうち10人単位の「仲良しグループ」が自然に10個ほどできますが、「Aグループ」からは1年以内に合格する人が8人、3年以内に合格する人が2人ほど出ます。また、「Bグループ」の場合、1年以内に合格する人が2人、3年以内に合格する人が7人、5年以内に合格する人が1人、といった具合です(図表3)。

図表3 合格者同士群れる
カテゴリ1年以内合格3年以内合格5年以内合格それ以外
Aグループの10人8人2人
Bグループの10人2人7人1人
Cグループの10人3人5人2人
Dグループの10人2人3人5人
それ以外の60人1人6人53人
合計10人15人15人60人

つまり、自然と成立する「仲良しグループ」のうち、「Aグループ」に所属している人は、不思議なことに、さっさと合格して専門学校からいなくなってしまうのです。受験生だった当時は、このことがとても不思議に感じたものですが、あれから20年近くが経過する中で、当時の「Aグループ」の仲間たちと再会すると、その後の仕事ぶりでもくっきりと差が出ているのがわかります。

つまり、目的意識が明確な人たち同士が群れ、そのグループ内で切磋琢磨し、受験に合格して資格を取ったらさっさと仕事に取り掛かる、というパターンが多いのでしょう。また、「Aグループ」「Bグループ」に所属していた人たちの中には、監査法人にあまり長くとどまらず、さっさと転職(あるいは独立開業・起業)するケースも多いようです。

自分がやりたいことを明確にし続ける

いずれにせよ、私自身は、大学を卒業してすぐに就職せず、国家一種試験や公認会計士試験を受験したことは、自分自身のキャリア観の形成に役立ったと考えています。というのも、勉強の目的は「資格を取ること」ではなく、「得た専門知識を使って仕事をすること」にある、という当たり前のことを知ったからです。

まだ私は起業して一年弱の若輩経営者ではありますが、これからも「自分は何をやる人間なのか」という点を明確にし続けることが大事だと自分に言い聞かせたいと考えています。

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