問題番組にCMを出すこと自体も問題となり得る時代?
①企業のコンプラ意識の高まり、②株主説明責任の圧力の高まり、③SNSの炎上リスクの高まり、④TV広告の魅力の相対的低下、⑤「みかじめ料」モデルの崩壊―――。やはり今年が「テレビ広告崩壊元年」となるのかどうかには、引き続き注目する価値があることは間違いないでしょう。こうしたなかでちょっと気になる話題があるとしたら、SNSで報告された、スポンサーの「とある動き」です。
月刊WiLL2025年4月号の記事要旨
オピニオン誌『月刊WiLL』2025年4月号に、『新宿会計士…フジテレビ問題を数字で見ると』と称する記事を掲載していただいたのですが、その要旨を改めて振り返っておくと、こんな具合です。
「フジテレビで1月、スポンサーが一斉に離れるという事態が生じたが、それは大きく①企業側のコンプラ意識の高まり、②SNSでの炎上リスクの高まり、③テレビ広告の魅力の相対的低下、④一種のみかじめ料モデルの終焉―――などの要因に基づくものだ」。
「これはフジテレビだけの問題ではなく、物議をかもすような内容を放送し続ける他局にも容易に波及する者であり、テレビ業界の終焉の号砲を告げるものだ」。
この詳細については、『月刊WiLL』の該当記事でも詳しく論じているほか、当ウェブサイト側でも『民放ワイドショー「放送内容」がネット上で改めて物議』などで似たような趣旨のことを述べていますので、もしご興味があれば、是非ともご参照ください。
テレビ広告費の動向
同記事でも議論したとおり、最近、著者自身が個人的に強く注目しているのが、SNSの社会的影響力の上昇、そして広告主から見たテレビ広告の魅力の低下です。
先日の『新聞広告費がさらに減少…ネット広告費はさらに伸びる』でも取り上げたとおり、株式会社電通が公表した『2024年 日本の広告費』によれば、2024年のネット広告費は前年比10%成長の3兆6517億円に達した一方、マスコミ4媒体広告費は2兆3363億円とほぼ横ばいでした。
また、マスコミ4媒体広告費のうち、テレビ広告費は1兆7605億円で、前年の1兆7347億円と比べて1.49%ほど伸びているのですが、それと同時にテレビ広告費は近年、伸び悩んでいることも事実です。
ことに、著者自身が保有する2000年以降のデータで見ると、テレビ広告費は最盛期の2000年の2兆0793億円と比べて15.33%も落ち込んだ格好です。
ちなみに総広告費のうちプロモーションメディア以外の広告費(マスコミ4媒体vsネット)をグラフ化しておくと、図表のようなイメージです。
図表 広告費の推移(マスコミ4媒体vsネット)
(【出所】株式会社電通『日本の広告費』レポートおよび当ウェブサイト読者「埼玉県民」様提供のデータをもとに作成)
この傾向は、おそらくは不可逆的なものでしょう。
しかも恐ろしいことに、この数値は今年1月に発生したフジテレビ騒動を反映していないものでもあります。
あくまでも予想ですが、フジテレビからの主要スポンサーのCM差し控えは少なくとも3月末まで続くと考えられるなか、今回の騒動がテレビ広告費全体を押し下げる可能性は濃厚であるだけでなく、今後はフジテレビ以外の各局にも波及する可能性すらあります。
とあるXユーザーの報告
こうしたなかで、Xでちょっとした話題となっているのが、某民放報道番組を巡るスポンサー離脱という情報です。
これは、とあるユーザーの方がスポンサーのうちの1社に対し問い合わせを行ったところ、同社がこのユーザーの方に、「2025年3月末をもってスポンサーを終了する」と回答した、というものです。
ポストの時系列を整理すると、一連の流れは逆になりますが、問い合わせの概要および同社からの回答を掲載したポストを紹介すると、こんな具合です。
Xユーザー側からの問い合わせ概要
- 兵庫県議会選(※「兵庫県知事選」の誤植か?)で斎藤元彦(兵庫県)知事が再選され、これを機に(NHKから国民を守る党代表の)立花孝志氏へのマスコミの風当たりが非常に厳しくなっている
- そのなかでも御社がスポンサー提供しているXXX『XXXX』(※原文では実名)については放送法に定める政治的公平性の遵守に疑念を持たれる報道が目立ち、賛否がわかれている
- <略>(御社が)同番組へのスポンサー提供を行っている趣旨について、株主への説明をお願いしたい
同ユーザーが報告したスポンサーからの回答の概要
- XXX(※テレビ局名)XXXX(※番組名)へのテレビCMは2025年3月末の放送をもって終了させていただきます。
まだ事実かどうかはわからないが…テレビCM崩壊の兆候となるのか?
これが事実なのかどうかについては、まだ判断できません。
該当する会社のウェブサイト上、現時点ではそれに該当するプレスリリースは見当たらず、また、主要メディアのウェブサイトなどを閲覧しても、まだこの話題を報じている社は(少なくとも現時点では)見つけることができないからです。
また、仮にその会社が同番組のスポンサー提供をやめるとする情報が事実なののだとしても、その理由は番組の内容そのものを問題視したからなのか、それともなにか別の理由があるからなのかについてもまた、現時点で判断することは困難です。
ただ、冒頭でも指摘したとおり、時代は大きく変化しており、次のような観点から、明らかに問題のある番組へのスポンサーを続けることは、次第に困難となりつつあります。
- ①企業のコンプラ意識の高まり
- ②株主説明責任の圧力の高まり
- ③SNSの炎上リスクの高まり
- ④TV広告の魅力の相対的低下
- ⑤「みかじめ料」モデルの崩壊
やはり今年が「テレビ広告崩壊元年」となるのかどうかには、引き続き注目する価値があることは間違いないでしょう。
本文は以上です。
日韓関係が特殊なのではなく、韓国が特殊なのだ―――。
— 新宿会計士 (@shinjukuacc) September 22, 2024
そんな日韓関係論を巡って、素晴らしい書籍が出てきた。鈴置高史氏著『韓国消滅』(https://t.co/PKOiMb9a7T)。
日韓関係問題に関心がある人だけでなく、日本人全てに読んでほしい良著。
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【おしらせ】人生で9冊目の出版をしました
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twitter(x)で、「報道特集 スポンサー」で検索したらワラワラ出てきました。
そんな動きになってたんですね。
スポンサー側が、単なる炎上対策の及び腰対応ではなく、筋の通った出稿取りやめを判断するサイクルが回るといいですね。
今時の名のある企業は大丈夫なんじゃないかな。
しかし、視聴者の声には超然としてきた報道特集がどう対応するか、見物です。
(ざ○ーみ○)
横から失礼しますけど、同じ放送局の別番組の司会者かなんかをやっていた白髪のジャーナリストとやらも昔ネットの意見を「便所の落書き」していたらしいですね。
30年前のカルト教団の件しかり20年くらい前の深夜番組の不祥事しかり、自分たちへの意に沿わない人間への誹謗中傷しかり…地方の系列局も問題多いのでは
誤字や字足らずだったので訂正させてもらいます。
横から失礼しますけど、同じ放送局の別番組の司会者かなんかをやっていた白髪のジャーナリストとやらも昔ネットの意見を「便所の落書き」呼ばわりしていたらしいですね。まぁカスやゴミから言われてもチャンチャラおかしいといいますか。
30年前のカルト教団の件しかり20年くらい前の深夜番組の不祥事しかり、自分たちの意に沿わない人間への誹謗中傷しかり…地方の系列局も関西や北海道と問題多いのでは
便所の落書き以下に成り下がったのでしょうかね・・・
スポンサー企業としては、CMを出した番組が、後々、問題番組と分かることもあるので、CMを出すこと自体、止めるのが安全ではないでしょうか。
蛇足ですが、CMを出した番組が、問題番組になった(?)場合、そのスポンサー企業の企業イメージが損なわれることになるので、テレビ局に補償を求めて、または問題番組でないとの確約を求めるのではないでしょうか。
政党がCMを出した番組が、問題番組だった場合、その政党のイメージにも傷がつくのでしょうか。
リストをざっと見ましたが、三菱自動車は「ミカジメ」ぽいですねえ。
これを機会に寄生虫からオサラバするのが得策かと。
弱者連合の誘惑にも勝てたんだから。
(笑)
①企業のコンプラ意識の高まり
②株主説明責任の圧力の高まり
③SNSの炎上リスクの高まり
④TV広告の魅力の相対的低下
⑤「みかじめ料」モデルの崩壊
上記は世間一般の会社なら当たり前のように意識されてるものばかり。
結局、メディアは権力の座に胡座かいてただけってことですわ。あなたとは違うんです、ってね。
ヤマダ電機が報道特集の広告から撤退するとの表明を。
「報道特集」から「TBS」に主語を拡大して全広告主にコンプラ違反を訴えていけば第二のフジテレビになるかもしれませんね。
AIで広告も個人に最適化される時代なので、テレビCMは、機能的には価値がなくなる可能性。CMを止めるよい口実になりそうです。
浜本浩の「浅草の~」シリーズを見ると
才能と志ある者がオペラや芝居から映画に移籍する時代が描かれている
やがてその者たちは映画からテレビへと移っていき
時代が流れ流れて、そのクリエイター達はテレビからネットへと吸収されていく
かつてテレビ局もオリジナルドラマの作成にしのぎを削る時代もあった
しかし、ゼネコンは下請けを差配するだけ、
デパートがスペースを提供するだけの場に変わったように
テレビ局は番組制作会社を下請けとして扱い、入札で買い叩く
それは安定したスポンサーがついていた時代にはテレビ局の確実な収入源だった
クリエイター達は収入面でも創造性発揮の場としても魅力的な
ネットへと活動舞台を移していくのは当たり前だろう
今やがらんどうとなったテレビ界のフロアには
試食店とカラオケ屋とクイズの屋台がぽつんと寂しく営業しているだけである
南無~
もえるあじあさんから
報道特集さん、立花孝志自作自演説の取材を始める…
https://www.moeasia.net/archives/49775484.html
わかりやすいですねー。公正中立が聞いて呆れる。(笑)